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13話 本日の食卓

「キモータ二匹討伐の賞金、20万テッサです! あとシンジ様、ユエ様のレベルが上がっておりますので後で冒険者カードをご確認ください!」


賞金をもらって、俺達はギルドの食堂に行く。

俺達はそれぞれ、好きな物を注文して席につく。


「ぷはー! 仕事終わりのオレンジジュースは体にしみます~」


ぷはーっと息を吐いて、ジョッキを机に置くユエ。

なんか、すごいオヤジ臭い。


「ほれ~シャルルも食べてますか~」


機嫌よく、シャルルに絡む彼女。

さっきまで、険悪ムードだったのに態度を変えて彼女は話しかけている。

おいおい、まさかこれアルコール入ってないよな?

そう思って少し飲んでみる。


うん、大丈夫だ。

しかし、彼女もコロコロ表情や気持ちが変わるな、まぁ仲が悪いより仲がいい方がいいけどさ。


「なっ、なんだよ腹黒天使。急に」


優しくなったユエを見て、驚くシャルル。


「酷いです~シャルル~私はただご飯食べてるか聞いたのに~」


……本当にどうしたんだこいつ。


「あっそうだ、20万どうします? シンジ。まず貴方の服とシャルルの服を買うのに使いますよね、あと私の装備。それとシンジの死体を現場調達するのは効率が悪いので死体入れも買うとして……すぐに飛ぶんじゃないですかこの金」


シャルルに絡んでいたユエは急に真面目になって俺に話し始めた。

いつものユエとは考えられないほどの頭のキレの良さ。


「どうしたんだユエ! 本当にお前か!? いつもなら食費宿代を奮発しましょうとか言うだろ!」


「馬鹿ですか? 何舐めたこと言ってるんですかシンジ。食費や宿代なんて真っ先に削るものです。ご飯なら雑草を食べる。宿など野宿で充分です」


オレンジジュースを飲みながら、彼女はキッパリと冷静な声でそう言った。


おお、このユエはなんだか出来るやつだぞ。

自称じゃなくて、本当に有能天使だ。



「そうだ、冒険者カード見てみるか」


レベルが上がったって言ってたからなどうなったんだろう。

カードを見てみると、スキルの書き込みが増えていた。


死体操縦 レベル3なら糸を引かなくても死体を操ることができるようになります。


……なんかレベルが3つ上がっただけで、凄い楽になったんだが。

いいのかこの世界、こんなんなら強い冒険者わんさか出てくるぞ。

そういや、みんな疑問にしなかったから、不思議に思わなかったがそもそもレベル制ってなんだよ。

ゲームとかでよくあるけど、なんでそれがこの世界に根付いてんだ?


「なぁ、ユエ。レベルが上がるけどさこの世界の仕組みってどうなってんだ」


俺の質問を聞くとユエは飲んでいたジュースを置いて、鼻で笑った。


「ふっ、シンジ。そんなの私が知るわけないじゃないですか。そんな細かいこと気にしなくとも生きてけますよ」


……俺の評価を返せ、この無能天使。

なんで知らないのに、ドヤ顔で言ってんだよ。


「シンジ~それよりオレンジジュースおかわり~。これ飲むと頭冴えるの~いい気持ちになる~」


体をぐるぐる回しながら、彼女は俺に悪絡みする。

……こいつ、オレンジジュースで酔うのかよ。

絶対こいつにもう飲ませねぇ、体に悪いドーピング剤みたいなもん飲ませて頭おかしくなったら困るからな。

そんな彼女の傍に行き、ぐるぐるしてる彼女の動きを止める。


「シンジ、この世界こと知らないなら僕が教えてあげるよ」


見かねたシャルルが俺にこの世界のことを話し始めた。


「この世界はね、女神コルテッサ様が作ったんだ。その際に能力とかの成長とか目に見える方が良くね? ってことでレベル制を取り入れたんだ!」


へぇーそうなのか……

いや、そうはならんだろ!

なんか、凄いスピリチュアルな話だな、信用しがたいんだが。


「冒険者カードって教会で貰うだろ? あれはね、祭壇で神に祈ることで貰えるんだ。カードって人間が作ってるんじゃなくて神からの贈り物なんだ、女神様が僕らを見守ってるわけピッタリなジョブを付けてくれるって訳さ」


なるほど、だからギルドじゃなくて教会で冒険者登録するのか。

それにしても、凄いなこの世界は神と密接に関わってるのか。

……そういや、女神って一人だけなのかな。

もしかして、その女神ってユエを左遷した……


「だーれがコルテッサ様ですか! あんなロクデナシが年中無休で見守ってるわけないでしょ!」


支えてたユエが急に立ち上がってシャルルに怒りながらそう言った。

さっきまで、へろへろだった彼女を名前一つで元に戻すなんて余程恨みを持ってるらしい。


「おい、ユエ! いくら君が天使だからって神を侮辱するな! そもそも君天使でしょ! 使えてる主人に対して失礼じゃないか!」


「黙らっしゃい! 知らないようだから言いますけど、彼女は私をドーナツ一つで左遷した器の小さな女神なんですよ!」


ユエがそう言うと、シャルルは驚いた顔で「うそだろ」と呟いた。


「それに、冒険者カードは私達天使が作るんですよ。あの馬鹿野郎はたまに気まぐれで手伝うだけ、面倒臭い仕事は全部天使の仕事って言うんですからあのクソ女神」


衝撃の事実を、信仰者に対して放つ天使。

おいおい、そんな話していいのかよ。

シャルルだけじゃなくて他の冒険者も口をあんぐりさせてお前の話を聞いているぞ。

彼女はそんなのお構い無しに、女神の愚痴を吐き続ける。

あーあ、見守られてたらお前本当に帰れなくなるんじゃね?



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