11話 クエスト 囚われの勇者を助けろ!
「ううっ! なんなんだよコレ! なんで僕がこんな目に!」
先程までの強い雰囲気とは打って変わって、弱々しい態度をとる彼女。
彼女の服は溶け強く体を締め付けられる。
粘つく粘液が彼女の体にまとわりつく。
「……やばいですって、シンジ、これ下手したら捕食シーン見ちゃいますって」
そんな彼女を見ながら、このバカ天使は縁起でもないことを言いやがる。
「おい! 馬鹿な事言ってないで助けるぞ!」
そう言うと、このバカは嫌そうな顔をして弓を構える。
「ええー、なんでこの人助けなきゃ行けないんですか。そりゃ戦力は欲しいですけど、性格悪いのはお断りです」
「馬鹿野郎、困ってる人がいるなら助けて当たり前だろうが! それに元男が女になって処女喪失とか笑えねぇよ!」
同じ男として、それは絶対に止めなければいけない!
特殊性癖ならともかく、普通の男子がそんなことされたら一生立ち直れないぞ!
女になるってのも、ショッキングなのにそんな事になったら彼多分思い詰めて死ぬぞ!
「……たっく、変なとこで優しいんですから! そんなんだから彼女候補にキープ扱いされるんですよ!」
そう言ってユエは、弓を引いた。
放たれる矢はキモータの肌に向かって一直線。
よし、このまま矢をぶっ刺して殺してやろう。
「ユエ! 思い切りやってくれ! あっ、シャルルには当てるなよ!」
「当たり前です! さぁ、腐れミミズ! 私の矢を喰らえー!」
ポヨン
彼女が意気込んだ瞬間だった。
矢はモンスターに当たったが刺さりはせず、柔らかい音を立てて弾かれた。
「「えっ?」」
思わず顔を見合わせる俺たち。
なんで、攻撃当たんないの!?
矢を当てたせいで、キモータはこっちをじろりと見てきた。
「きしゃあああああ!!!!」
「「いやああああああ! こっちくんなぁ!!!」」
シャルルを自分の体で縛ったまま、俺達に向かってくるモンスター。
ひいっ、ごめんなさい! 許してください!
「うわーん! なんでなんですかぁ! 私可愛くないし、神聖すぎるので食べると罰当たりますよ!」
逃げながら、そんな事を口走るユエ、おいせこいぞ! そんなこと言ったら俺が食われるだろーが! 物理的に!
説明しよう。キモータは比較的女しか襲わないが、その捕食(意味深)を邪魔したら男女構わず物理的に殺してくるのだ!
「シンジ! 心の中で変なナレーションしなくていいから何とかする方法見つけてくださいよ! つか見つけろ!」
「おい駄天使! なんで俺に丸投げなんだよ! あーそうか! 小学生みたいな頭だから考えられないんだな! このロリっ子!」
「なんでこんな状況で煽ってくるんですか! 馬鹿なんじゃないですか!? この腐れ骸骨!」
逃げながら、互いに罵倒し合う俺達。
どちらも責任を押し付け合うもんだから、すぐ口喧嘩になる。
こんなことしてる場合じゃないってのに、何やってんだ俺達!
「きしゃあああ!」
そんなことしてたら、俺達はキモータの体にどつかれて飛んでたった。
「いてて、大丈夫かユエ!」
「私は大丈夫です! ……ってシンジ!? 体バラバラになってますけど!?」
「ぎゃー!? 直して、早く直して!」
バラバラになった体を急いで直してもらう俺。
くっそー、あの腐れミミズ絶対倒してやる!




