表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
とある青年のレベル上げ ~グラド・サーガ~  作者: あいうえおさん
第7章 残り香は、ただ漂うままに 《エンブレム・ヘラウィザード》
97/110

レベル89 煉獄魔女 《リオナ=メルド》


ついに始まった。


「アリナちゃんは魔法の準備!リオナさんもお願いします!シェリーちゃんはカイくんについて守ってあげて!」


ミオンの指示と同時に二人は持つ杖に魔力を召喚、一人は倒れる一人の下で護衛、そして一人はその双方のサポート準備を。

ちなみに先程のギアボロス戦で、カイのスキルの内容もざっとだが理解しているようだ。



「(カイくんのインターバル解除まであと4分か・・・よし、行ける!)」



『・・・そんなに必死な眼しちゃって・・・あなたたち可愛いわね・・・!』


「あなたに言われても全然嬉しくないなぁ」


『あらあら・・・・・どうやらそこの寝たきりの人が厄介なようね。』



といって、シル・ガイアはカイに向けて魔力の召喚を始めた。

ちなみに先程の魔氷波(デスケルビム)でカイも氷漬けにされなかったことは、シル・ガイアも認知していたようだ。

そしてシェリーをその護衛につかせる所を見て、厄介なものだと判断したのだろう。


その証拠に、膨張する魔力の量はくらべものにならないほどまでに達していた。



「アリナちゃんッ!!」

「はいッ!『ダラディトス』ッ!!」



無数の灼熱光線が一斉にシル・ガイアへ。



『・・・そういえばあなたも、厄介な魔法を覚えてたわね。もう一人の私から記憶を引っ張り出すのも苦労するわ。』



膨張する魔力を今度はアリナたちに向けると、迫りくる灼熱光線へ魔力を放ち出した。



『 「デスヴェルム」 』



光魔法と暗黒魔法が、二人の中央で炸裂する。

しかし覚醒したシル・ガイアはやはり持つ魔力が桁違いだったようだ、段々とアリナの光魔法が押され気味である。


「くッ・・・!!魔力がッ・・!」

「安心なさいアリナ。何のためにお母さんがついてると思ってる?」



リオナは今では魔道具屋の副店主だが、元々は“煉獄の魔女”と言われ恐れられてきたほどの大賢者。

保有する魔力はやはりアリナよりも全然多く、そして強力だ。



「この魔法も久しぶりね・・・!!あぁ疼くわぁ・・・!!!」



そしてリオナ、杖先の魔力を前方へ勢いよく放っていく。


「 『ダラディトス』ッ!! 」




アリナと同じ光魔法だが、スペルの威力はアリナのそれをはるかに超える。

冒険者リオナのレベルは何と87、知力なんて芽衣を軽く超えた631である。



『ッッ・・・!!!光魔法まで操れるのね・・・腹立たしいわッ・・!!』



アリナのスペルに相乗したリオナのスペルは、押され気味だった状況からシル・ガイアのスペルを押し込んでいくほどまでに。

しかしこれで終わりではない。



「さて、もう一つ行くわよ!!」



リオナは左手の杖で光魔法を放つ傍ら、もう一方の右手に再び魔力を召喚し始めた。

魔力はすぐさま膨張を始め、そして段々と熱く燃え滾る炎のスペルを纏い出す。


「お母さんッ!?まさかそれも同時に放つの?!」


「えぇそうよ!アリナも頑張れば出来るようになるからもっと強くなりなさいね!」


右手の魔力はうなりを上げて、今にも爆発しそうな程までに。



『まさかそれも撃つ気・・・?!』





「“煉獄の魔女”のチカラ、見せてやるわッ!!」




リオナは、呪文を唱えた。




「 『フレイガッシュ』ッッ!! 」





左手で光魔法上級呪文を放つ傍ら、右手で放ったのは炎魔法最強呪文。

色々な意味で、アリナとは次元がかなり違う。



『ッ・・!!うざったいわねぇ・・・!!!!!』



そしてそのスペルは、シル・ガイアの下で大きく爆ぜた。




!!!!!!!!!!!!!






「す、すごい・・・」



リオナが撃ち出した二つの魔法は、どちらも消費魔力が高いものだ。特に『フレイガッシュ』というのは炎魔法の最強呪文なので、50を超える程の魔力が必要になる。

それを数秒の間に撃ってもオーバーリリース状態によるマインドダウンを起こさないのは、それをしても大丈夫な程の魔力保有量があるからだ。

アリナもレイパーティー内では断トツの保有量を誇るものの、今のリオナ程の魔力消費には耐えられないだろう。

その光景に、ミオンはただ息を呑むばかりである。




『クッ・・・クソがッ!!!』



シル・ガイアもリオナに応戦する。しかしまだ芽衣との融合に慣れていないのか、よく見てみると動きが何だかぎこちない様な・・・気がする。

それでも域を超えた強さであることに変わりないのだが。

リオナと戦っていることで、まだ不慣れな状態であることが分かってしまう。それほどリオナは強力な賢者であるのだ。

本来はミオンがアリナに指示を出すはずが、今ではリオナがアリナに指示を出している。




「あぁ久しぶりね!!魔力をぶっ放す快感ッ!!!」



リオナは久々の戦闘にかなり高揚しているようだ、少々キャラ崩壊を起こしそうなレベルで。

一方シル・ガイアは、荒れ狂う魔力と断続的に繰り出される強力な呪文たちに少々翻弄されているようだ。その中でもリオナへ攻撃を繰り出しているため、少し疲労も伺える。


序盤からリオナの魔法攻撃に圧倒されるシル・ガイア、形勢もかなりリオナに傾いていると言えよう。しかしその中で驚くべきものは、リオナの魔法攻撃が自分にクリティカルヒットするのを避けていることだ。

言うなれば、所々でリオナの攻撃をかわしたり軽減したりしているということだ。


断続的に放たれるリオナの魔法攻撃は、その一つ一つが強力なもの。そしてその魔法攻撃は広範囲に及ぶものがほとんどなために、完全に避けるのはほぼ不可能だ。しかしそれでも100パーセントのダメージを受けないように軽減や回避を繰り返しているのを見ると、やはりシル・ガイアもタダ者ではない。何せ世界崩壊の元凶である。


しかしリオナの断続的な魔法攻撃はそこまで続かない。

いくら“煉獄の魔女”と言えども、決して魔力保有量は無限ではない。さらには魔力消費の大きい呪文を何十発も放っている。



よって先に攻撃の手を止めたのは、シル・ガイアではなくリオナの方である。




「ちょっとはしゃぎ過ぎたわね・・・」


『ハァハァ・・・やっと終わったのね。さんざん疲れさせてくれたモノだわ。』



シル・ガイアも疲労が蓄積されているようだ。しかし致命傷を負わせるほどまでに至ってないのはさすがといえよう。

だが感心している場合ではない。これは大分まずい状況である。何せ重要な戦闘員を一人失うことに近い。

そしてまたそれは、相手の動きを封じられなくなったと同義。




『そろそろ本格的に潰すわ。調子乗ってるんじゃないわよ・・・!!!』




「リオナさん・・!!大丈夫ですか?!マインドダウンとか・・!!」


「え、えぇまぁ・・・それほどではないわ。というか私、マインドダウンはほとんど起こさないのよ。」


「え、それすごい・・・」


「・・・でも、さすがに先程みたいに動き回れはしないわね。あれって結構体力使うのよ。私体力あまりないし。」


リオナが先程のような戦闘が出来ないとすると、今度はアリナを前線に立たせ、シェリーもそこに加わってもらう形をとる必要がある。出ないと火力不足を補えない。

さらに疲労が溜まっているものの、シル・ガイアはまだ余力を全然残している。

なのでシェリーを前線に上げる代わりに今度はリオナをカイの守り役につかせなければいけない・・・が、


「(・・・あれ?インターバルって・・)」


ふとミオンはシェリーの方を向くと、



「・・・ふう、あんがとなキューピットちゃん。大分回復したわ。」


「え?あ、うん・・・(キューピットちゃん?)」



先程のリオナのお陰で、カイのインターバル残り4分が経ち、カイは再び強力モードに切り替わった。


「よし、ナイスタイミング!」



しかしシェリーはまだ通常状態のまま、残りの獣騎士はまだ来ていない。




まだ耐久戦は、続く ―――






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ