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とある青年のレベル上げ ~グラド・サーガ~  作者: あいうえおさん
第7章 残り香は、ただ漂うままに 《エンブレム・ヘラウィザード》
86/110

レベル78 核心 《ダウト》

7月1日、いよいよ第7章のスタートです!


「はい・・・はい、そんな感じで・・・あ、やっぱりそうですよね・・・」


「はい・・・はい、はい・・・・分かりました。」



ガチャッ・・



「うん、やっぱり転職して上級職になった方がいいみたい。このままレベル上げしても大してステータスは伸びないらしいからね。」

「だよな。」



ここは場所が変わってレントヴィンのペルカトレ大聖堂。

今あのお告げを聞いていたのはミオン、司祭様から告げられたお告げによれば、転職は今頃くらいに行った方がいいそうだ。むしろ今この時が丁度いいのだとか。

一応シェリーと芽衣をエクスタシア城に残して、今はレイとミオン、そしてアリナの3人でレントヴィンまでやってきた。

レイはミオンが来てというから、アリナはお姉さまともう一度行きたいというから。まぁ理由はなんでもいいが、とりあえずレントヴィンにいるのはこの3人である。


「上級職というのは・・・やはり『司祭』ですか?」


「うん、属性とか相性から見てそれが一番だと思う。」


『司祭』という上級職は回復魔法を中心に補助魔法や状態異常魔法、そして一部の攻撃魔法を覚える職で、いうなれば『プリースト』の進化版の職と言える。この職になれば全体的にステータスが向上するので、なったからと言って損はないだろう。

少々瞬発力が下がるがその分防御力があがるので、別にマイナスにもなるわけではない。

しかしレベル上げは大変である。プリーストレベル41から司祭レベル1になる上に、上級職はレベルが上がりにくい。大分のハンデとなってしまうがまぁ致し方ない。


「なるほど・・・『司祭』になりますと、もう一つの基本職『魔導士』をレベル10まで上げる必要がありますね。まぁこれくらいでしたら問題ないでしょう。」


「まぁみお姉は一切の攻撃魔法を覚えてないがな。まぁ俺達がその分経験値稼ぎすればすぐに行けるだろう。」


ピロン♪


「ん?」



『ヴィザードマンの群れ(45体)を討伐。それぞれ経験値42750、3600ゴールドを獲得。

 スキル発動;レイ=ベルディア、シェリー=クラシアはそれぞれ経験値171000を獲得。』



「お、あっち組は早速レベル上げしてるみたいだな・・・そうだ!今のうちにみお姉、『魔導士』に転職だ!あっちが稼いでるうちに一気にレベル10まで行ければ!!」


「あ、それいいね!後で二人にはお礼を言わなきゃ!」


「そうと決まれば教会に急ぎますよ!」




こうしてミオンはパーティー登録の大きな利点を利かし、その日じゅうに魔導士レベル10をクリア。上級職『司祭』への転職をたった数十行で達成した。

これで攻撃魔法まで使えるようになるわけだが(まぁ当然だがレベルをある程度上げてからである)、『司祭』と『プリースト』との大きな違いはやはり攻撃力である。

『司祭』職は攻撃力がプリーストのそれを大きく上回るため、ミオンも物理的攻撃に参加できるということになる。

しかし魔法戦士やアークレンジャーほどの攻撃力は有していないので、大半はヒーラー役に回ることが多いのだが。



そして翌日。ミオンは『司祭』に転職して最初の戦闘へ。



『ヴィザードマンの群れが現れた。』


「いやいや!これ最初の敵ってハードル高いよッ!?大丈夫なの!?」

「まぁフォローはいくらでもしてやるから、とにかくみお姉はアタックあるのみだ。」

「忘れてるよね?完全に忘れてるよね!?私レベル1になったからMPも少なくて『ジゴケルビム』も1回しか使えないんだけど!?」


「お姉さま、司祭職は『攻撃できる神官』という性質を持っています。よって今のお姉さまが持つ攻撃力は以前より高いはずです。」


「いや、でもこれッ、全然倒せるような数値じゃないよ!?どうすればいいの!?」


「いえ、おそらくなのですが・・・プリーストレベル40を超えた神官であれば、『パラディブースト』というスキルが解放されているはずです。」


「え?・・・あ、ホントだ。なにこれ?」



『スキル2;「パラディブースト」

 発動条件;(特殊条件成立時)保有者生存時

 発動内容;一定時間の間、味方全体の防御力を二倍にまで上昇させる。またこの時、発動者の攻撃力は3倍になる。

 発動可能条件;1周期辺り一回使用可。ただし持続時間はレベルによって変化する。』



「へぇ~・・こんなのが発動するんだ・・・」


「はい、いわゆる『ブーストスキル』ですね。そちらを使ってみると捗ると思います。」

「って言ってるうちにどんどん群れが大きくなってくるんだけど!」



こんな解説のうちに、ヴィザードマンの群れはもうすぐで100体に達するほどに。

まぁミオンだけが戦うわけではない上に、こちらには全体攻撃のスペシャリストがいるので安心なのだ。

すでにミオンの後ろでは、芽衣が全体攻撃魔法を詠唱し始めている・・・


「ほいみお姉、じゃあ行ってこい!」

「えええ!?じゃ、じゃあ・・・スキル発動ッ!!」



『スキル2;「パラディブースト」を発動します。パーティー全員の防御力が上昇、ミオン=プルムの攻撃力が上昇。

 持続時間;1分』


「いッ一分!?」

「でも1分あれば余裕だぜッ!!」



ミオンは短いブーストタイムに少し焦りを感じながら、それでも目の前の大群へ駆け出していく。


「ッ・・・この技は、こう使うのかなッ・・!!」


司祭職に転職した時についてきた特典技のもう一つに、こんな技がある。

それはプリーストレベルを35までクリアしていた時にのみ与えられるレア技である。

MPを使って波動を放つ攻撃手段『ジゴケルビム』に対し、こちらは攻撃力の数値で威力が決まる波動技。

スキルではない、特技として分類されるこの技。

名を ―――



天竜哮(アークシャプカ)ッッ!!」



“天竜の息吹”とも表現されるこの白銀の波動は、なんと発動者の攻撃力数値を反映して、

この攻撃の威力はその数値で変化するという、とっても分かりやすい攻撃なのだ。


さらにその白銀の波動、強力な灼熱を内包するためにそれを浴びた者は全て



焼滅する ―――




!!!!!!!!!!!!!!!!!!!


「すげぇ!」

「ハァハァ・・何とか出来た・・・あれ?なんか結構取りこぼしてるッ!!」

「そういう時の私だよ!任せて!」



詠唱完了、合わせる両手に雷のスペルを召喚する。

スペルがマックスまで溜まった瞬間、芽衣は両手を空に掲げて天空へとスペルを撃ち出した。



芽衣は、呪文を唱えた。




「 『ギガレイン』! 」



!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!



あと片付け完了。




『ヴィザードマンの群れ(97体)を討伐。それぞれ経験値92150、7760ゴールドを獲得。

 スキル発動;レイ=ベルディア、シェリー=クラシアは経験値368600を獲得。』


『ミオン=プルムはレベルが上がった。

 レベル1→レベル7 ランク9→ランク9』


『報告;スキル2「パラディブースト」の効果が終了します。』




「結構使えるんじゃないかその技!?」

「うん!ミオンとってもカッコよかった!!」


「しかも攻撃力の数値で威力が変わる技ということは、攻撃力を上げればその分その技の威力も強くなるのですよね・・!?凄いです!!」


「(・・・まぁそれはどの技でも言えることだけどね。)」

「まぁこの技はその伸び幅が比較的大きいのかな。」


「しかもこれでレベルが7まで上がるなんて結構捗っていいなコレ!よしッ、もう一狩りするかッ!」

「待ってレイくんッ!」

「ん?なんだよ?」


「私もうMPほとんどない・・・」


「あ・・・」

「レイさんいくら何でも無茶ですよ。一応お姉さまは先程までレベル1だったのですから。」




ということで今日のレベル上げはここでおしまい。しかしヴィザードマンはある程度の実力があればレベル上げの優良物件に化けるとはいい情報を手に入れた。

まぁ手っ取り早いのはあの『あげリン』が獲れる密林なのだが、休業中の上に出禁を喰らっている始末だ。まず入れてくれないだろう。

レベル上げの場所に困っていたレイにとっても、今日は価値のある一日となった。



そしてその夜。

5人はエクスタシア城に招待されている身である、よって泊まる場所はこのエクスタシア城であるのだ。

まぁこの国王と大臣の計らいによってここに泊まらせてもらっていることは、すでに城内の人々に周知されているので問題ない。

夕食は大食堂で食事、まぁこんなトコに慣れていないレイはフォークを持つ手がおかしいとやらで横に座るアリナにおちょくられたことには深入りしないでおこう。

夕食・入浴も済み、5人はそれぞれベッドの上で就寝タイムへ。


そして色々なものを手に入れた今日が、終わろうとしていた・・・





今は真夜中、ふと目が覚めるレイ。


「ッ・・・トイレ行きてぇ・・・」


アリナみたいに夜のトイレは怖いと言って必ず誰かと一緒に行くというテンプレからは外れているレイなので、そのままトイレへと直行する。



「ふう・・・今日一スッキリしたぜ・・・まぁ今は深夜1時なんですけどね。」


みたいなことを言いながら、レイは寝室へと歩を進めていた。



「・・・ん、なんだ・・?」


偶然通りかかったドアの手前、レイの耳に誰かが話し合う声が偶然入ってくる。


「(ったく、深夜なのにご苦労様なこったぜ・・・)」



しかし少し聞き耳を立てていると、どうやら話している内容はレイのパーティーについてらしかった。

少し気になったレイは、気づかれないように盗聴を続ける。


「(なに話してんだ・・・?)」




『おい、レイ殿のパーティーのことなんだが・・・お前も気になったことはないか?』


『・・・まぁ言いたいことはわかるが、一応お前の口から言ってくれ。』


『あぁ、じゃあ言うぞ。レイ殿のパーティーの一人に長い髪のヒューマン族がいるだろ?』


「(長い髪のヒューマン族・・・あぁ、芽衣さんのことか?でも何で芽衣さんが出てくるんだ・・・?)」


『あぁいるな。』


『だろ?でもよ、あのヒューマンを見てると何か疑問に思うことがあるんだよ。』


「(疑問・・・?見ただけでか・・・?)」


『あぁ、それは一体なんだ?』




そして次に聞こえてきた役人の台詞は、まさに核心に触れるような事実であったのだ。







『あぁ、あのヒューマンから“悪魔の残り香”がするんだ。』




レイの眉が、大きく歪んだ ―――




次回投稿日;7月2日

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