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とある青年のレベル上げ ~グラド・サーガ~  作者: あいうえおさん
第6章 『天』という世界で 《ヘブンズ・ウェイハザード》
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レベル72 絶望へ 《ジゴレイド》


「ッ!!」ダダッ

『ッ!!』ダダッ



二人は同時に双方へ突撃、なんと動き出すタイミングまで同じと来た。


そして両方、ついに正面衝突 ―――



!!!!!!!!!



「オラオラオラオラぁぁ!!!!!」ダダダ

『オリャオリャオリャぁぁぁ!!!!!』ダダダ



目にも止まらぬ爆裂拳が幾度となく双方を間を交錯する。

・・・いや、ホントに『目に留まらぬ』なんだって信じて。


『おいおい右腰の宝剣様使わねぇのかぁおい!!??てめぇの拳は全く何も感じねーからよぉ!!』ダダダ

「これは俺が使いたいときに使うモンだわボケ!ってかお前も息上がってきてるんじゃねーのか!?」ダダダ


こんなハチャメチャな速さで攻撃しているのだが、なぜこんなにも会話が出来るのだろう。ライバルという存在との勝負は、例え相手の姿が変わっても負けたくないという心情が働くらしい。実際この爆裂拳攻撃で息は上がるものの、戦闘中の一切の動きに遅れなどどちらも見当たらない。


「」タタッ

『』タタッ


今度は空中戦。お互いに魔力を召喚、お互いの両手は高威力を秘めた気功弾に変化する。



「おいオラ来いよッ!!」

『ぶっ飛ばす!!!』



気功弾に魔力が最大まで溜まった。



「 『神焔弾(マスターフレア)』ッ 」

『 「氷弾群(ヘイルストーム)」ッ 』



!!!!!!! !!!!!!!



焔の弾丸と氷のつぶて、無数ものそれが召喚され、二人の中を交錯する。

焔と氷が見事にぶつかり合って数多の光が生じ、戦場は眩しい光達で埋め尽くされる。


「来いよオラぁ!!」

『ッ!ザコがッ・・!!』


空中戦で飛び回る二人の空は、多く飛び交う焔と大雹で光まみれ。下から見るフィルには、二人のはっきりとした姿が確認できない。

そしてその光は、雲上だけにはとどまらない。



「何あれッ!?すごい光ってるよ!?」

「うぅ、眩しッ・・・!!」

「うわ~!!はなびだ~!!!!」

「あんな目に優しくない花火なんてありませんよ・・・」


フロアを駆け上がるレイパーティーメンバー4人にも確認できるほどだ。

この4人、本来なら極薄の酸素濃度で倒れてしまうのだが、まだフィルが発動している『オベロンプレート』スキルの効果は続いているらしい。

しかしまだ4人が天空城に着くのには、まだまだ時間がかかりそうだ。


先程の戦闘でだいぶ疲労が溜まった芽衣は、今はミオンの背中におんぶ状態。強化魔法『キルディ』で増強されているおかげで何とか担げているが、そろそろ疲れも見えてくる頃。しかしこれから戦闘にメインで参加する二人に担がせるわけにも・・・


「ハァハァ・・!!」

「お姉さま大丈夫ですか・・?」

「ハァハァ・・・まぁ何とかね・・・。二人は先に行ってて!私達は後で合流するから!」

「分かりました!さぁシェリー、行きますよ!」


今4人がいるのは9階付近。天空城へのゲートがあるのは30階ほどのフロアなので、先に行ったとしても時間はかかる。

しかしミオンのスピードに合わせていた二人を先に行かせれば、今より速くレイの元に到着できる。さらに二人は回復手段が手薄なので、今のウッチに満タンくらいまで回復させておきたい。


「アリナちゃんシェリーちゃん! 『ベシェリオ』! 」


味方全体の体力をかなり回復させる上位回復魔法、芽衣も覚えているこの魔法だが唱えたのはミオンだ。ミオンのレベルアップした際に習得したので、ギュオリヤ戦で弱った芽衣の代わりに発動。



「二人とも早くレイくんを手伝ってあげて!!」



副団長の言葉を背に、二人は階段を駆け上がる。



そしてその遥か上のフィールドでは、




「ハァハァ・・・!!そろそろぶっ倒れてくんね?どんだけ面倒くせぇんだよてめぇ・・・!!」

『おいおいギブするなら今のうちだぜぇ?・・・ハァハァ・・ザコのクセに我慢してんじゃねぇよぉ・・・!!』


口の悪さは健在だが、体力の方は二人とも大分消耗しているようだ。

先程からおよそ10分の間、二人は天空城の上空でずっと空中戦を繰り広げていたのだ。さんざん特技を撃ちまくり、そしてさんざんその攻撃を避けたり受けたりした双方だが、まだ立てるくらいのダメージで抑えられているようだ。


しかし今のレイ、なんと最凶悪魔デモンズカウザムと互角にやり合っているのだ。10分も攻防を繰り返しなお戦い続けるレイを、フィルはただ驚くことしかできない。


ソリューは、自分がフェージョ=サタナと戦っている時に、共に心身分離をされた被害者どうし。しかもソリューは自分より厄介な状況に陥っている。今のフィルにソリューの“精神”の部分の居場所は分からない。

しかしレイとの戦闘で、ソリューの意識と呼べる感情が現れ始めているのも確認できる。

自ら探しに行った自分と違い、ソリューの場合は精神自ら身体へ戻ろうとしているのか。


そんな考察を広げるフィルの前で、“デモンズカウザム”は次の段階へ移行する。



『ハァハァ・・・じゃ、そろそろ秘技出すか・・・!!』


「秘技だと・・?お前そんな難しい言葉よく覚えてんな。」


『バカにすんのももう終わりだぁ。てめぇをここで積んでやるッ!!』



重い一息の後、体内に眠る“悪感情”のチカラを一気に解放。



ッ!!!!!!

「なんだ・・・!?」


そして雲上全体が大きく揺れ出す。



・・・・・・!!!!!!!!



「おいおい・・・なんで雲が揺れるんだよッ・・!!!??」



『・・・!!!!!!』


ソリューの体内で暴発する“悪感情”の波動が天上に放たれたと思えば、その波動が天上を一瞬でどす黒い不気味な黒紫色へと変えるのだ。

太陽の光は、この瞬間から閉ざされた。


「マジかよ・・・!?」


目の前の光景にただ驚くレイの先では、ついに姿まで悪魔へ変えてしまったソリューの姿が。

・・・いや、もう“ソリュー”ではない。



――― デモンズカウザムへと、姿が変わってしまった。



「ヤベェ!『竜閃炎(イグナイトソウル)』ッ 」



焔を纏う紅騎士の斬撃は、魔王獣の左腕で簡単に跳ね返されてしまう。



「は、はぁ?」

『なんだこの軽いヤツはよぉ・・・ザコ過ぎだろお前。』



変体前には大きなアクションを取らなければダメージになるような攻撃だが、今の相手は簡単にそれを払いのける。

・・・どうやら能力は想像以上に上がっているようだ、今までの攻撃では到底通じない。


かといってレイに対抗できる手段があるわけでもない。形勢がデモンズカウザムに傾き始める。


「おい紅・・どうする気だ・・・!?お前くらいしか対抗できないぞッ・・!?」


「はぁ?お前俺よりも強いんじゃなかったのかよ!?俺もどうすればいいのか分かんねえぞ・・・!!」


「本当かそれはッ・・・!!!」


二人が状況に戸惑う間にデモンズカウザム、先程とは比べ物にならないほどの魔力を召喚し始める。



『おいおいおい、俺も話に混ぜてくれよぉ・・・ッ!!!!』

「「!?」」


デモンズカウザム、両手に風雷のスペルを召喚。ひとたび融合させるとそれは何倍にも膨らむ超エネルギーとして現出する。

しかし、この魔法は珍しく・使う者も少ない、しかし威力は強大なモノであった。



「おいおいあれはッ・・・!?」



伝説上の悪魔は、一体どれだけ想像を超えてくるのだろう。

そして、悪魔は呪文を放った。




『 「ジゴレイド」 』



無数の雷が嵐と共に荒れ狂い、輝く流星群の如く降り注がれる。

融合魔法最上位呪文・『風雷魔法』の上位魔法、それがこの『ジゴレイド』である。




!!!!!!!!!!!!!!!




「「ッ!!!?」」


『・・・まだまだ終わらねえぜ?』



悪魔のささやきに思わず向いた先には、二発目の呪文詠唱を済ませてスペルを召喚するデモンズカウザムの姿。

さらにこの呪文も、見たことの無いほどの膨大な暗黒のスペルを召喚しているのだ。


「もう勘弁してくれッ・・・・!!!」

「ッッ・・!!」



暗黒魔法、最上位呪文



『 「デスラグーン」ッッ 』 




膨大に放出された闇のスペルが一気に膨れてフィールド全体を包み込むと、ドーム状の空間でスペルたちが豪快に爆ぜだした。

スペルの量が異常なうえにドーム状の空間から逃げ出すことも出来ない、まさに『袋のネズミ』。



闇のチカラに呑み込まれ、二人は一気にボロボロになってしまった。




『おいおい、もう終わりかよ?もうちょっと楽しませてくれよオラぁ・・・!!』







正直に言おう。今のレイたちに対抗できる手段は、




一つも、ない ――――



次回投稿日;6月17日

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