表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
とある青年のレベル上げ ~グラド・サーガ~  作者: あいうえおさん
第6章 『天』という世界で 《ヘブンズ・ウェイハザード》
75/110

レベル69 無敵覚醒 《ゾーン・ウェイハザード》


(・・効いてッ!!)



紫色のスペル、まっすぐにギュオリヤの胸元へ。



『ふふ、そこですか・・・でも効きませんよ?』


「アリナちゃんもっともっと撃って!でも撃ちすぎて倒れないようにね!」

「任せてください!久しぶりの見せ場なのですから!!」


アリナは次々と呪文詠唱を繰り返し、そしていくつもの『オーディバイン』をギュオリヤへと放っていく。



『無駄ですよ?スペルを発生源から撃っているので、一人がそこにいるのはお見通しです。』


「ッ・・・!!」


『しかもそんな状態異常攻撃、高耐性を持つ私に聞くはずなど・・・』



多くのスペルがギュオリヤに届く、

その時。




『スキル;「フィドゥーティア」が発動します。』




久々の発動、何とこれがまさかの2回目。実に53話ぶり。

しかしまさかのこのタイミングに発動するとは運がいい。




『フフッ・・・ん?ちょッ、あれッ・・・なぜッ・・・・!!??』



次々とアリナが放った紫色の『オーディバイン』スペル、その“全て”がギュオリヤに直撃して呪文耐性を大幅に下げていく。

おそらくこれでギュオリヤの呪文耐性は、ほぼゼロ。



『ッ!!しかし耐性を下げたところで一体何をする気ですか?』


呪文耐性が下がったことでさらに4人の姿が見えなくなったギュオリヤ、よってこれから次の呪文を発動する者とその居場所も特定できていないだろう。

というのもその者は、



――― たった今、ギュオリヤの真後ろにいるのだが



「(・・よし、行くよッ!!)」


真後ろで呪文を詠唱、両手に緑色のスペルを召喚。

そしてミオンは、ギュオリヤに呪文を放った。



「 『ケミストラ』ッ!! 」

『後ろッ・・!?』



ギュオリヤは瞬時に振りかえるがもう遅い、振り返るより先にスペルがギュオリヤの身体に侵入し

一定時間の間、ギュオリヤの呪文を封じたのだ。

『オーディバイン』で呪文耐性を下げていたのは、まさにこの『ケミストラ』を効きやすくするためだったのだ。


「ミオン!ゲリュオンもう撃てるって!!」


ちょうど今ので3分間経ったようだ。『プラニイェト』が掛かっているとはいえ、味方同士ならお互いを認識できるというからくりである。

シェリーがそういうと、それ以外の3人はゲリュオンが放つ波動の射程圏外へと急いで外れた。

ここでもうすぐ『プラニイェト』の効果が切れるが、この5分間で発動した能力向上魔法は一番最初の『ケミセリド』だけではない。この波動は敵味方関係なく、射程圏内にいる全ての者の効果をかき消すモノなので、消されたくなければ逃れるほかない。


しかしそこから逃れたいが逃れられない者もいる。

ギュオリヤだ。

ギュオリヤはゲリュオンの姿も見えていない。


「・・・よし、シェリーちゃんいいよ!!」

「わかった!!じゃあゲリュオン、行くよッ!!!」

――― 任セロッ!! ―――



大気を一気に凍らせ、氷結の波動を一気に放出する、



『蒼天の波動』。




――― ~~~~~~!!!!!!! ―――


『ウグッ・・・!!』



ギュオリヤに掛かっていた『ヴァルテナ』効果や『キルディ』効果など、全ての相乗効果が今この瞬間にかき消された。





『クッ・・・!!やっと見えましたねぇ・・・ようやく私のターンのようですが・・』





『テメェラ全員八ツ裂キニシテヤルッ!!!!』





「さぁここからだねみんなッ!!・・・ん?」


とりあえずこれで『ヴァルテナ』を封じた。しかしこれはやっとスタートラインに立ったばかり、むしろこちらが少し遅れを取っている形である。

しかしパーティーメンバーを鼓舞するミオンのステータスパネルには、嬉しい誤算になるこんな一文が示されていた。



『スキル1;「エルベディオ」が特殊条件下で発動しました。』



(このスキル・・・まさかッ・・・!!??)


この『エルベディオ』というスキル、番外編その5で紹介したがもう一度しておこう。

このスキルを発動すると『一定時間の間、一切のダメージを受けない。』という、ギュオリヤの『ヴァルテナ』と瓜二つなスキルのことである。

そしてこのスキルをたった今発動させた者とは、





『「エルベディオ」発動 発動者;松嶋芽衣』






形勢逆転である。




~~~~~~


レイパーティー内で加入時からパーティー最強説を唱えられてきたが、今この瞬間だけは間違いなくパーティー最強である。


「フッ・・・」


芽衣は一呼吸、全身をリラックスさせて軽快なステップ。

そして次の瞬間に、



「」ダダッ



芽衣の進撃が始まる ―――



「 『神貫(ザ・レイド)』 」


芽衣が装備する裂空の槍、凄まじい音と風を纏い出し

眼にも止まらぬ速さでギュオリヤの心中へ一直線。


『ウッ』


!!!!!!!!!!!!!



凄まじい威力だ、ただの一突きが暴風を起こすまでになるとは。


「」スッ・・


芽衣はすぐに瞬間移動、驚くギュオリヤの視界から突然と消える。



『・・・ハァ?』



そして次の瞬間、



「 『光神貫(セカンドレイド)』 」



ギュオリヤの頭部に、大きな衝撃が迸った。




!!!!!!!!!!




「芽衣さんすごい・・・!!??」


芽衣に発動する一時的なスキル『エルベディオ』。しかし本質を言えばギュオリヤの無効魔法『ヴァルテナ』とはかなり異なる。

『ヴァルテナ』の場合は完全にダメージ攻撃が効かなくなるのに対し、芽衣が今発動している『エルベディオ』は相手の攻撃を完全に“見切ることが出来る”ゆえに一切のダメージも効かないという理屈。

『エルベディオ』はいわば一生物が繰り出す極限の集中状態。よってその効果は『ヴァルテナ』より断然効果的だ。

ネックになるのはその多量の集中力を注ぎ込むために、長期発動が出来ないということ。この状態は持って3分である。


そう、3分 ―――



「ッ」サッ


芽衣はこの事も全て承知した上で『エルベディオ』を発動している。

このスキルは無敵になる事と引き換えに自分の身を削る、とても大きな賭けなのだ。もしこの3分が終わり、スキルが解除されたら芽衣はそのままマインドダウン、もう戦闘に参加することはできない。


そして残りは2分を切っている ―――



「 『焔神貫(フォースレイド)』 」



くりだした気功弾が強烈な業火を纏い、竜の息吹の如く一斉に業火が放たれる。



『なんだよッ!?一息つく暇もねぇ!!!』



ギュオリヤも先程から結構頑張って避けているが、そろそろ瞬間体力が限界に届きそうだ。一個体が一呼吸無しで活動できる時間は平均で30秒ほど、よって倍以上もこの状態が続いているギュオリヤ、かなりに負担が身体に掛かっているはず。


「 『烈火砲(カルヴァリン)』ッ 」

『ッ』グラ・・


不意にギュオリヤ、態勢を大きく崩す。


「芽衣さんッ」

「」ササッ



態勢を崩すギュオリヤの前に回り込むと、芽衣はギュオリヤの顔面部にぶっ放す。



「 『連爆貫(スターマイン)』ッッ 」



速射で放たれる爆火の閃光、態勢を崩したギュオリヤの身体を光速で次々と貫いていく。貫いた箇所が次々と爆発し、ギュオリヤを爆炎に包んでいく。



『ッ・・・!!!!!』



さすがのギュオリヤも体力がだいぶ削られた状態ではかなりのダメージだろう。実のところ、かなり効果があるようだ。


「ッ!!ハァハァ・・・!!」


そして芽衣の方も、体力的に大分厳しいゾーンに差し掛かっている。攻撃し終わると膝に両手をついて吐く息は先程よりも何倍と荒い。

スキル発動から約2分が経とうとしているこの瞬間、芽衣だけでなく避け回ったギュオリヤの方も体力的にきているようだ。

この攻撃チャンスを逃すわけにはいかない。そう悟ったパーティーリーダーが再び動き出す。


「ッ!!アリナちゃん『ルジェベリ』で相手の防御力を下げて!!シェリーちゃん射撃準備お願い!!」

「了解ですッ!」

「わかった!」


二人への指示を済ませた後、ミオンは杖先を芽衣の方向へ向ける。


「芽衣さんまだ大丈夫!?」

「ハァハァ・・・まだいけるよ!!」

「じゃこの後もお願いね!!」


芽衣の安全の確認が取れると、ミオンは芽衣に強化呪文を唱える。


「 『キルディアス』! 」


チカラを授かった紅く輝くスペルが、ミオンの杖先から一気に仲間全体に散っていく。特にスペルは芽衣に多く集まり、芽衣の攻撃力をさらに向上させる。

これで味方全体の攻撃力が上昇した、シェリーの射撃もチカラをさらにもらって輝きを増す。



「残り1分ッ!!1分以内で頑張ろうッ!!」



いくら強いとはいえこれでも中ボスレベル、もうそろそろ倒してレいたちの元へ合流しなければならない。

ここで足止めを喰らっていては、この先の旅でも同じ結末を迎えるだろう。それは4人とも遠慮したいらしい。

4人の眼には、さらに情熱が映し出されていた。


まずはアリナ、先程頼まれた通りに弱体化魔法『ルジェベリ』を。


「 『ルジェベリ』! 」


ある程度耐性があるならば効果はないこの魔法だが、放たれた先に居るのは呪文を封じられて呪文耐性も0にされたギュオリヤ。

スペルはいとも簡単に吸い込まれていく。


『ッ!?』


ギュオリヤの防御力が一時的に下がる、芽衣もスキルを発動させてブースト状態に。

一方ギュオリヤ、先程の『連爆貫(スターマイン)』がかなり堪えたらしく、今の動きは大分よろけている。

そんなギュオリヤへ気功弾を召喚、エネルギーを集約して威力を高める。

そして、放つ ―――



「 『光神貫(セカンドレイド)』ッッ 」



光を纏う強力な気功弾、字の如く光速でギュオリヤの身体で弾けた。

凄まじい威力、凄まじい爆風

その全てに、ギュオリヤの身体はただただ圧倒される。



『~~~~!!!!!!!!』



光速連撃にギュオリヤの態勢が大きく崩れる、芽衣はまだまだ攻撃の手を止めることはない、シェリーも射撃準備オーケー。

芽衣は神がかった集中力と反応判断速度で次の攻撃態勢、シェリーは溜めたエネルギー矢たちを一斉に放つ。



「 『光雷雨(ホーリーシャワー)』ぁぁぁぁ!!!! 」

『お前やめッ』


!!!!!!!!!!!!!!


無数の光矢、光速で帯びた熱を内包したままギュオリヤの身体を次々と貫く。



『クソッ!「煉獄焔(ヴェルファイア)」ッッ!!』


ギュオリヤも攻撃されながらも反撃するが、その全てを芽衣に見切られ結局誰一人ともダメージを与えられない。

まさか自分以外に向けられた攻撃をも見切って無効化するなんて・・・ギュオリヤにとって想定外な事ばかりをしてくる芽衣に、ギュオリヤは半ば諦めも感じているのだろうか。


『ッ・・!!どうやって攻撃すりゃいいんだよッ・・・!?』


ギュオリヤ、先程と立場が完全に逆転。

そんなギュオリヤに芽衣、とどめの一撃を、



放つ ―――




「 『極神貫(ラストレイド)』ッ 」




全ての属性を纏った芽衣最大の気功弾を浴びて、ギュオリヤは音を上げることもなく崩れ去る ―――

ブースト状態かつ『エルベディオ』発動中の芽衣が繰り出す攻撃は、ギュオリヤの想像以上に重いものだったようだ。




『“魔神官”ギュオリヤを討伐。5人はそれぞれ経験値10000、0ゴールドを獲得。

 スキル発動;レイ=ベルディア、シェリー=クラシアは経験値40000獲得。』




「さぁみんな!!リーダーの元へ戻るよッ!!」



次回投稿日;6月14日

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ