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とある青年のレベル上げ ~グラド・サーガ~  作者: あいうえおさん
第6章 『天』という世界で 《ヘブンズ・ウェイハザード》
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レベル67 激動 《ラインズ・ウェイハザード》


神速ともいえる程の速さでデュラーデの右腕を切断したのは、騎士覚醒で強化された翠騎士(クーフーリン)が持つ『天颯の鉾』。

翠の鎧を装備し神獣を従える翠騎士フィルは、辺りにチカラを与えられた風を纏う。


「・・・フィル、来たのか?」


「あぁ、この通り感情も元に戻ったよ。じゃあとりあえず君たちを何とかしないとね。」


フィルはまず瀕死状態で倒れるシェリーの元へ。

シェリーの首元に左手を当てて、フィルは呪文を唱えた。



「 『ブリッシュヴェール』。」



優しい純白の光が粒となって現出、シェリーの体内にすっと溶け込むとシェリーの身体から毒を消して体力も完全に回復させる。

これが高位蘇生魔法『ブリッシュヴェール』。瀕死状態の味方一人に掛かる全ての状態異常を消し去り、体力を完全に回復させる魔法である。

みるみる内にシェリーの顔色が良くなり、ステータスパネルでシェリーの状態を見ると、


『パーティーメンバー4;シェリー=クラシア

 現在ステータス・・・HP;256/256 MP;32/32』


体力は完全に回復。フィルが手を離すと、シェリーは元気よく身体を起こした、ゲリュオンの方も主の回復で先程の蒼い輝きと纏う強力なオーラを取り戻している。

蒼騎士(フェンリル)』、完全回復。



「・・・よし、今度はレイだ。ほれ薬草とシェリアスウォーター・・・3本くらいでいいでしょ?」



レイは渡された毒消しと回復道具を使うと今まで身体を蝕んでいた毒が綺麗に消え、さらに今までのダメージで麻痺していた部分が一気に軽くなる。

紅騎士(エルドラド)』、完全回復。

さらに、



「レイくん大丈夫!?怪我とかないッ!?って怪我はしてたね・・・」

「うわッなんで辺りがこんなに猛毒まみれなんですか・・・!?うわくさッ・・・!!」

「二人とも回復は済んだみたいだね、良かったよ。」


何と聖堂で待機しているはずの3人までここにいると来た。おそらくフフィルと守護獣リモラが3人をここまで連れてきたのだろう。方法は知らんが。

しかしこれでレイパーティー勢ぞろいで回復役も無事揃い、そしてさらに翠騎士(クーフーリン)までご登場。


3人の獣騎士に、新たなスキルが解放される ――――




『『『スキル;「アウェイク」が一時的に発動しました。』』』


3人のステータスが、飛躍的に上昇する。




『ッ!?マジカヨッ・・・!!!!????』



デュラーデはまさかの獣騎士集結にかなりの動揺を見せた、そして直ちに退避の態勢に移る。

『今の獣騎士たちでは、さすがに勝ち目がなさすぎる。』

デュラーデは急いでエルゴ島を脱出しようとするが、

それを食い止めるのはやはりこの男。



「させんッ!!」



――― 翠騎士(クーフーリン)



「 『暴風陣(エンドレスプリズン)』! 」


エルゴ島に突如発生した暴風の壁がドーム状の空間を成し、外部からの侵入と内部からの脱出とを同時に封じた。

外部への逃亡を図っていたデュラーデは、ドーム壁のその暴風でたちまち地上陸部へ追い返される。


デュラーデは退路を断たれた。


『ッ!?フザケンナッ・・・!!』


「・・・さて、さっきはよくもうちの大事な仲間と俺に変な毒盛ってくれたなぁ・・・・!!」


レイは持つ剣をデュラーデに向け、下のエヴィウスと共に戦闘態勢。レイパーティーはレイのその動きと同時に全員戦闘態勢に。フィルは元々戦闘態勢。

計18つの眼に今、一つの標的が映された。




「お前は中ボスキャラなんだよ・・・そろそろ終わらせねぇとなッ!!!」




そして6人と3体は、一斉に攻撃を放った。




―――― ッッ!!!!!!! ――――



『ッッ』



『“魔将獣”デュラーデ HP;102342/180000』



――― ッッ!!!!!! ―――

『!!!???』



『“魔将獣”デュラーデ HP;87123/180000』



――― ッッ!!!!!! ―――

『・・・!!!』



『HP;46729/180000』




デュラーデの体力は、一瞬で大幅に奪われた。


『ヤ、ヤベェ・・・!!』



膝から崩れるデュラーデの前に、レイが剣にスペルを撃ち込んで斬撃を仕掛ける。



「 『竜王殺(デスドラゴ)』ッッ 」



竜を滅するほどの強力な斬撃は、デュラーデの身体を一瞬で貫いた。






『“魔将獣”デュラーデを討伐。5人はそれぞれ経験値6500、0ゴールドを獲得。

 スキル発動;レイ=ベルディア、シェリー=クラシアは経験値26000を獲得。』




~~~~~


大ピンチだったのが一転、フィル登場のおかげで何とかデュラーデを倒すことが出来た。

フェージョ=サタナのことと言い本当にフィルには助けられてばっかりなレイだが、

しかしそのフィルがこんな必死な表情で頼み事をする相手は、なんと自分が助けてきたレイであった。



「頼むッ・・俺の仲間を助けてくれッ・・・!!」



感情がしっかりとこもったフィルの言葉は、冗談など含まない本音であることを証明する。どうやら分離していた精神と身体は無事元の一つに戻ったようだ。

しかし、


「仲間・・・!?お前仲間いるのか・・・!?」


「当たり前だッ、長く世話をしてきた大切な仲間だ!その仲間が今悪魔に乗っ取られているんだッ!」


「えッ、乗っ取られてる・・・!?」


“魔王獣”デモンズカウザムは生物にある悪感情を肥やして悪魔に豹変させる伝説上最恐の『悪魔』である。デモンズカウザムが行うこの行動は、こちら側からしてみると『洗脳』というワードが一番近いだろう。

よっておそらくその仲間は、デモンズカウザムに悪感情を支配された被害者の一人であることが予想できる。


「そうだッ、だから今すぐに『蒼天の塔』に来て欲しい!早くしないと本当に飲み込まれてしまうッ・・・!!!」


「え、『蒼天の塔』に・・!?」


「あぁそうだ!紅はまだ分からないかもしれないが、今あの塔は闇に侵食され始めているんだッ!!空を見てくれ!」


そう言ってフィルが蒼天の塔方の上空を指差すと、そこには天へまっすぐのびる塔の半径数百キロメートルを『闇の赤雲』が立ち込めていた。

あまりにもの『闇』の大きさに空までもが影響を受け変色する、それが『闇の赤雲』である。

しかしこれはフィルの仲間を同行というよりまずこのエクスタシア王国が危ない。


「ッ!?アリナ今すぐここの全員を『トレイフ』で蒼天の塔へ!!すぐだッ!」

「はいッ!行きますよッ!!」


アリナはすぐに詠唱態勢を確保し、めちゃめちゃ早口で詠唱を済ませ呪文を発動。



「 『トレイフ』ッ!! 」






「ここをまっすぐ登っていけばいいのかフィル!?」

「あぁそうだ!しかし何階なのかはわからないが、とにかく登っていけば分かるはずだ!」


蒼天の塔は亜人種(というか生命体全部)の体質を考慮すると、確か七階付近が限界のはずだ。さらに二度目の遠征の時、こちらも確か3階付近に時空のゆがみもあったはずだ。

どちらのルートが正解なのだろうか、この場にいる全員はそれを知らない。


しかし今はそのような事を考えている余裕がある者はここに誰一人といない。フィルはその仲間のことを、レイパーティー全員は『この国ヤバい』と。

確かに国に起こったヤバそうな出来事ランキングには堂々の一位を飾りそうなくらい大事のように感じられるし、実際一番危ないのも週病で分かる。



「ッ!?レイこの先に誰かいるよッ!?」



先頭を走る“蒼騎士(フェンリル)”シェリーが後ろの全員に先のフロア情報を伝える。しかもそこは偶然にも3階フロア、あの空気のゆがみがあった場所でもある。

しかしシェリーはゆがみのことをしているはずだし、しかもシェリーは今『誰かいる』と言った。



100パーセント、敵。





『・・・下が騒がしいと思ったら、まぁこんなにも大群を連れてきたものです。』



2回目行ったときに空気のゆがみがあったその場所に3回目の今、デュラーデと同じオーラを放つ“悪魔”が一体 ―――



「・・・ギュオリヤ・・・・・!!!」



“魔神官”ギュオリヤ ―――

魔王獣デモンズカウザムの左腕として、かつて多くの国に死の呪いを掛け滅ぼしたという伝説が残る、この世界で最凶の神官の名である。

確かに放つオーラはデュラーデのと似たようなもの、しかし実力はというと



『スキル2;「ルート」を発動します。』




――― デュラーデの倍は強い。




『デュラーデを倒したそうですね、見事です。』



『・・・しかし残念でしたね、私はあれとは格が違いますよ?』



『・・・ここであなた達を倒します。私はそのためにここへ参ったのですから。』



「くッ・・・!!足止めかよッ・・!?」


「レイくん任せて!!ここは私達で何とかするから二人は先行ってて!!」


と言ったのは、レイの後ろで戦闘態勢に入ったミオン。そしてミオンだけでなくアリナや芽衣、そして前を走っていたシェリーまでもが戦闘態勢に入っていてもうやる気だ。


「レイさんたまには私にも出番くださいよッ!?」

「アリナちゃんこの状況でそのセリフは少しおかしいよ・・・」

「レイ先行ってていいよッ!!ここは任せてよ!!」


レイパーティーの団員はあまり戦っている場面が少ないだけで、実際かなりの実力を持っている(とレイは思っている)。

しかし平均的で言うと本当に強い。しかも最近になってチートレベルの団員も加わって補強もバッチリだ。


だからきっと、ギュオリヤ(こいつ)も倒してくれるはずだッ ―――


「・・・じゃ任せるぜッ!!」


そして階段を駆け上がっていくレイとフィルにミオンはオーケーサイン。




そして今、3階フロアにいるのは、


4人と一匹と、一体 ―――



「・・・じゃ、みんな準備良い?」


「「「オーケー!!」」」


「レイくんがいないけど指示は私が出すよ!みんなワンパンとかには気を付けてね!!」

(ワンパンってよくレイくん言ってるけど、この意味知ったのってつい最近なんだよね!)


レイパーティー副団長ミオン=プルム、今だけは団員を指示して動かす『団長』に。


「お姉さま私いつでも呪文撃てますよ!!」

「シェリーもしゃげきじゅんび出来たよ!!!」

「ミオンちゃんどうする!?」






レイパーティー『団員たち』 VS “魔神官”ギュオリヤ



たった今、開幕 ―――




次回投稿日;6月12日

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