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とある青年のレベル上げ ~グラド・サーガ~  作者: あいうえおさん
第6章 『天』という世界で 《ヘブンズ・ウェイハザード》
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レベル65 魔将獣 《デモンズ・デュラーデ》


デュラーデのスピードは接近する毎にどんどんと上がっていく。

スピードが速くなると、あれほどの巨体モンスターの攻撃もその分重くなる。

よってこの時に喰らう攻撃が一番致命傷になりやすい。(まぁこんなことは言わなくても分かるだろう。)

レイは左手に青色のスペルを召喚、目の前に魔法陣を形成して詠唱を始める。


『カァッ!!!』


僅差まで迫り来たデュラーデに向けて、レイは詠唱し終わった呪文を前方へ強く放ち出す。

レイは呪文を唱えた。



「 『バゴルディ』ッ!! 」



放たれる青色のスペルが相手の体内に侵入し、相手の攻撃力を一時的にかなり下げる状態異常系魔法の一つである。

最近はずっと剣で攻撃だけしていたが、レイは仮にも『魔法戦士』という職であることを忘れてはいけない。



『ッ・・・!!』



いくら怪力自慢の凶悪モンスターでもやはり弱点はあるみたいだ。大体このような体力系モンスターの場合、呪文耐性は低めである。よって状態異常魔法は普通の物理攻撃よりも効きやすい。

現にデュラーデの周りを青色の霧がつつみ込み、攻撃力をかなり下げているみたいだ。


デュラーデが振り下ろす巨大な拳を、今レイは剣持つ片手で受け止めている。


「ッ!!重ッ・・・!!」


しかしそれでもやはり重いようだ。魔王級モンスターである証拠だ、呪文で弱くしても簡単には倒せない(はず)。



『ッ・・・!!!』



デュラーデは握る拳を解くと、今度は鉈を持つもう一方の腕をレイに振り下ろしにかかる。

・・・しかしデュラーデはそのせいである標的を見失っている、さらに今のデュラーデはその標的に背を向けている状態だ。


「シェリー頭部にヘッドショットだッ!!」

「 『輝空閃(シェロスパーダ)』!! 」


レイが叫ぶと同時に放たれた一閃は、指示通り頭を直撃する。


『ウゥッ・・・!!』



・・・普通の魔物ならヘッドショット一発で簡単に倒せるはずなのだが、やはり目の前の敵にその理屈は通用しないようだ。

全然倒れる気配がない、レイはこれでようやく気付いたようだ。



デュラーデの体力・耐力は、予想以上に高い。



「『レランデ』!・・レイこれで素早さあがったよ!」


シェリーが習得している瞬発力向上魔法『レランデ』を発動、自分とレイの素早さを一時的だが或る程度上げる。

まぁ素早さが高いと後々の先頭を有利に進められるが、目の前のデュラーデは元々速度は遅い。その上デュラーデを倒すカギとなるのは素早さではない、ダメージ量だ。


このデュラーデは、今ここで確実に沈めておきたい。

あの後少し神話を調べたレイに、目の前のデュラーデは『世界豹変の大罪者』と認識されている。神話上でデュラーデをそう表現しているためだ。



そしてそのデュラーデが、ついに二人の前で暴れ出す ―――



『ッ!!』

「うわッ」


デュラーデは鉈持つ再び振るい出し、レイへ再び振り下ろす。




ッ!!!!!!

「やべッ」



素早さに補正がかかっているレイは何とか鉈の斬撃を回避したが、回避したレイの真横には鉈で大きく(えぐ)れる神殿の床面が。

しかし回避したと思うのもつかの間、


『ッ!!』


今度は地面に刺さる鉈をレイが避けた方向へ強引に強くずらした。

その時レイは真横にいるので、その鉈が急に自分の方へ来るという状況。

一連の動作が一瞬の間だったため、反応が少し遅れてしまう。



「お、おもッ・・・!!」

「レイ・・!!」



レイはデュラーデの鉈に身を強く押され、勢いのまま海岸まで吹っ飛ばされた。

しかしデュラーデは追撃を止めない、吹っ飛ばされているレイへ猛突進。

頭部を見せて頭突きの構え、このままレイを海に沈める気だ。


「おいおいッ・・!!」

「レイいま助けるよッ!!」



レイに猛突進するデュラーデの左方からレイへ駆け出す『騎士』が一人、

シェリーは矢をおさめて弓を引き、デュラーデの左目に狙いを定める。


「行くよッ!! 『神蒼閃(グングニル)』ッ!! 」



蒼青を纏った光速の一矢、

デュラーデがレイに達するより速く、蒼矢はデュラーデの左目を直撃した。



『ッ!?・・・』



デュラーデが左目をやられ、動きがだいぶ崩れてくる。

レイはその隙に何とか海岸の砂浜らへんで踏みとどまり、海へ飛ばされぬように陸部へ急いで避難。


「ハァハァ助かったぜ・・・!!でもその技って『蒼騎士(フェンリル)』の時にしか使えないヤツじゃなかったか・・・?」

「うん、だから今なってるでしょ?」


そういうシェリーの下には、先程まで聖堂でゲートを開いたゲリュオンが。



――― ・・・スマナイシェリー、少シ準備ガ遅レタ ―――



そういうゲリュオンは先程よりも一層蒼のオーラを強く放ち、鋭い眼光は輝きを増している。

シェリーも今は『蒼白のトーガ』を纏い、『蒼騎士(フェンリル)』に覚醒している。


「お、俺には来るのか・・・!?」



――― 案ズルナ ヤツモ主ノ境遇ハ認識シテイル ―――



「そ、そうなのか・・・ッ!!シェリー後ろ来てるぞッ!!」


シェリーがレイの声で振り返ると、片目を失いデュラーデはさらに暴れ出す。



――― ッ・・コノ悪魔ガッ!! ―――

「ゲリュオンこれの動きを止めて!!」

――― 了解ダッ!! ―――



ゲリュオンは主シェリーの命令の元、雄叫びに相乗させて『蒼天の波動』を放った。



『クッ・・凍ルッ・・・!!!』



潜在能力『ゴットゾーンプレス』が相乗した波動は、デュラーデの動きをひるませると同時に冷気で動きをさらに鈍くする。

シェリーは動きが鈍ったデュラーデの右目に狙いを定め、弓を力強く引いていく。


――― 行ケシェリー!! ―――

「 『神蒼閃(グングニル)』!! 」



蒼い閃光は光速で右目へと迫りくる。


『ッ!!ハァッ!!』


デュラーデは即時に結界を形成、形成された炎属性の円型結界が閃光の光を焼滅させる。

放った矢はデュラーデの前に灰となって散っていく。




――― ・・・待タセタ、レイ ―――



こちらもエヴィウス登場、レイのスキルが覚醒発動して『騎士覚醒』の条件を満たす。

紅い光に包まれる双方、チカラが解放される様はまさに燃え盛る炎のようだ。



『ハ、ハァ!?オ前モカッ!?』




レイは身に紅蓮の鎧を、エヴィウスは紅の眼光に紅蓮のオーラを放っている。

再び登場、赤の獣騎士こと


紅騎士(エルドラド)』である ―――





~~~~~


『ッ、獣騎士勢ゾロイカヨッ・・・!?』



今のデュラーデの前には

一方、紅く燃え盛る業火のオーラを放つ獣騎士 一方、蒼く凍て付く氷結のオーラを放つ獣騎士

さすがの“魔将獣”でも、この光景には驚いているようだ。



――― ゲリュオン、『リモラ』ハドウシタノダ ―――



――― ヤツノ主ガ大変ラシイ、シカシモウスグ解決スルダロウ・・・ ―――



ゲリュオンとエヴィウス、双方が言うのはもう一体の守護獣・『リモラ』。

三聖山の一つ『バル・イデオ聖山』を護る、翠騎士を主とする守護獣である。翠騎士はフィル=ガイゼルであるが彼は(あの時は)心身分離中だったので、守護獣リモラも主の救出を優先しているのだろう。

・・・しかし今ここにいない以上、デュラーデはこの二人で戦うしかない。


しかし蒼と紅がそろうと、こんなスキルが一時的に解放されることも今分かった。





『スキル3;「デュミローア」が一時的に発動しました。』



紅と蒼がそろったことで全ステータスが大幅にアップする『相性型スキル』、それがこの「デュミローア」である。

以前のクルスオード帝国でのシル・ガイア戦でも、実はこのスキルは発動していたそうだ。まぁあの時は集中してたからいちいち確認はしてなかったからな。


「じゃ・・行くぜッ!!」

「うんッ!!ゲリュオン行くよッ!!」



両騎はレイの掛け声と同時に左右へ散り、デュラーデに両サイド攻撃を仕掛ける。

というのも今のデュラーデはシェリーが放った一矢で片目が失明状態、よって片方は見ることが出来てももう片方まで見る事までは出来ないはずだ。

後は『いかに異常値な体力を削っていくか』にかかってくる。


「ッ!!」

「やぁッ!」


レイは剣にスペルを撃ち込み斬撃態勢、シェリーは視力を奪ったあの技で。



「 『竜王殺(デスドラゴ)』!! 」

「 『神蒼閃(グングニル)』ぅぅ!! 」



左右両サイドから、属性異なる強力な斬撃と射撃が繰り出された。

デュラーデは先程のように結界を張って左右とも交わそうとするが、


「ゲリュオンやっちゃえ!!」

「あの波動を頼む!」


――― 了解ダ・・!! ―――

――― 任セロッ!! ―――




――― ッ!!!!! ―――

――― ハッ!!!!!! ―――



左方からゲリュオンの雄叫びが、右方からエヴィウスの『灼熱の波動』が

結界形成より先に、デュラーデ全身に浴びせられた。



『ッ!!??』


双方のショック攻撃にデュラーデの動きが止まる。

そして左右二つの攻撃が、次の瞬間






ッ!!!!!!!




ほぼ同時でデュラーデを貫いた。



『ッ!!??ハァハァ・・・!』



動きを止められてはさすがのデュラーデも対処は出来ないようだ。相手は神獣込みの獣騎士二人、形勢逆転は始まっている。

しかしデュラーデの持つ体力はまあるで底がないかと思うほど有り余るようで、結構なダメージがあってもおかしくないほどの攻撃を受けてもすぐに態勢を立て直す。


「ッ・・・」

『スキル2;「ルート」を発動します。』



『調査対象;“魔将獣”デュラーデ 推測を元にデュラーデのステータスを数値化。

 現在のステータス・・・HP;171638/180000 MP;∞

 攻撃力;287/1024 防御力;72 知力;21 瞬発力;14

 弱点属性;推測中』


ヒットポイントの項目を見てみるとやはり底なしの体力というのは間違っていなかったようだ。HP18万も異常値だが、もっと言えば攻撃力が1000越えにはさすがに驚きを隠せない。『バゴルディ』で大幅に減らしていてやっと200台だが、もしこれが無かったらワンパンは避けられなかった。

弱点属性も未だ分からずの状況、さすがに判明前にゲームオーバーは絶対避けたい。



「さて、どうするかな・・・!?」





デュラーデは眼光をさらに光らせて、双騎士をにらみつける ―――




次回投稿日;6月10日

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