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とある青年のレベル上げ ~グラド・サーガ~  作者: あいうえおさん
第6章 『天』という世界で 《ヘブンズ・ウェイハザード》
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レベル62 黄泉夢中 《ソウルランド》


「探すモノってシェリーのヤツだったのか・・・まぁそれより」


「?」


「・・・お前スキル発動したな!」



『スキル2;「プリ―フィオ」

 発動条件;保有者生存時

 発動内容;相手に取りつく霊体魔をはがし、そして浄化する。』


「・・・レイありがと!!」にこッ


「・・・でもここからはどうするの?またこの先歩いてく?」


「え?だってこの道の先に出口見えたんじゃないのか?」


「まぁね。でも気付いてないの?」


「え、何に気づくんだ?」


「分からない?あの悪魔は、『プラニイェト』で見えないはずなのにこっちに襲い掛かってきたんだよ?」


「た、確かに言われてみれば・・・」


本来この隠蔽魔法でも見えるようになる者の条件として、『発動者が敵ではないと認識した時』というものがある。つまりこの場合だと、芽衣が『味方だ』と認識した者同士がお互いの存在を確認できることになる。

しかしシェリーの父の御霊から豹変した悪魔のことを、決して芽衣は味方だと認識していなかった。

この事実は、魔法効果の不確実性を強調する。


「この先に出てくる敵にも、もしかしたら見えてるのかもしれないね。」


「・・・まぁでも元は慎重に行くためにやったモンだしな。今ので大分整理できたし大丈夫だろ?」


「うん・・・そだね。シェリーちゃんも用心しててね。」


「分かった!」



世界でたった今復活した『古代魔法』。存在定義自体もあやふやなこの魔法だが、しかし存在するすべての中で最も効力が高い魔法というのも実はこの古代魔法だ。

よってよほどの上級者でない限り『古代魔法』を見破れる者はいないはずだ。『古代魔法』はアリナが覚えているような攻撃型魔法ではなく、様々なギミックを出現させたり解決したりなど、より技術的な魔法である。よってより精密なギミックにも対応できるように精度は高めなのだが・・・



そして歩くこと10分、距離的に言えば300m程だろうか。

3人は虚無の洞窟の出口にたどり着いた。

しかし外の光景は、3人が想像していた光景よりも・・・いや、3人が先程まで居たあの世界の光景とは大幅にかけ離れているものであった。



「なんだここ・・・!?」

「ふぇぇ・・・・!!」


「これってまさかね・・・!?」



皆も一度は耳にしたことがあるだろう。

太陽の光など届かない、目の前にあるのは異様な雰囲気を醸し出すとある泉

多くの御霊たちが集う場所




『黄泉の国』というものを ――――





~~~~~


『日本書紀』という書物を読んでいた時期があった芽衣にとって、目の前のこの光景と書物に出てきた『黄泉の世界』はかなり一致する箇所がある。さらにそれは今までの経過でも読み取ることが出来る。

先程3人の前に現れた豹変魔物、元はシェリーの亡き父の御霊であった。本来は亡くなっている存在が再び身体を持つなど、ここまで現実味の無いこともないだろう。よってこの世界は黄泉の世界に似たような世界だということが推定できる。ってかもうした。

3人がこんな物語にしか出てこなさそうな世界にたどり着いたのは、要因全て『蒼天の塔に入った』ことだ。

『異なる次元に行ける』というのはこのことなのだろうか。


芽衣は黄泉の世界について、レイたちに簡単に説明する。



「・・・なるほど、ここって死者の世界なのか。」


「多分そうだと思う。シェリーちゃんのお父さんが出てきたのもそういうことじゃないかな?」


「え?じゃあここにいる人ってみんな死んじゃった人なの?」


「多分そうだよ。」


「へぇ~・・・」


「・・・お前の母さんを見つけるのはかなり難しいと思うぞ?」


「べ、別にママとはもうおわかれしたし見守ってくれてるからいいもん!」


「そうかいそうかい・・・ってあれ?ここって死んだ人がいる世界、なんだよな・・・?」


「うん。」


「じゃあ俺達も死んでるってことか・・・!?」


「理論上そうなるね。」


「そッ、そんなサラッと言うことじゃなくねぇか・・・!?」


元々はクエストを受けるためにあの塔に潜入したのだが、いつの間にか死んでたなんて・・・全然自覚ないのに。

・・・そう言えばホントはクエストだったなここに来た理由って。ったく、鵺っぽい魔物とかどこに居んだよ・・・



「・・・ソリューもいんのかな」ボソッ




あれから3人は探索を続け、しかし鵺のような魔物などは見つからずにクエストは難航中。洞窟の外に出たとは言ってもやはりレイのスキル『ルート』は効力を発揮してくれない。現実世界やら幻想世界やらでは出来んのに黄泉の世界ではできないのかよ?

うわ、途端に使えねーって思ってきたこれ


「・・・まぁもしかしたらここでも使えるようになるかもよ?」


なんで心読まれてるんですかね・・・


「おなかすいた~・・・」


「我慢しろ・・・ってか死んでも食欲とかはちゃんとあんだな。」


「ここにご飯とかあるの~?」


「シェリー・・・あるわけねーだろ」


「・・・でも中々見つからないね。もう戻る?」


「んん~・・・そうだなぁ・・・」


結構距離はあるが、先程抜けてきた洞窟はきっちりと奥に見えている。来た道を戻っていけばあの塔のあのゆがみに戻れるかもしれない。最も、今『死んでいる』状態の3人が無事に戻れるかは分からないが。



「・・・よし、じゃもどr ―――

「レイなんか見つけたよ!」



中断を決めたレイを呼び止めたのはやはりシェリー。本当にシェリーは何か見つけるのがうまい。


「なに見つけたんだ・・・?」


「これだよ、これ」コレ



シェリーが2人を呼んで指差す方向には、不自然に空いた小規模の穴が。

底など見えるはずもないが、一応下を覗いてみる。

・・・うん、見えない。


「もしかしたらここからまた別空間に行けるかもよ?」


「・・・じゃまぁ行ってみるか。」


手掛かりがここまでない探索というのは前回のヤツで慣れたが、やはり疑問が多く生まれるものだ。

何も無いと思ったらシェリーが何かを見つけ、やっぱあるんやないかいとなるパターンなどもう定番シチュ化しちゃったぜおい。



「じゃ、行くか。」

「「うん(!)」」



そして3人は、順に穴へ飛び込んでいく ―――




(・・・あれッ)


レイは穴に飛び込んだ直後、元のあの場所にとある物体が目に入った。



(あれって・・・)






(ソリュー、か・・・?)







~~~~~


「・・・」


レイはふと目を開ける。


「・・・どこ」


目を開ければ見知らぬ天井、どうやらあおむけの態勢になっているようだ。背中から感じる感触もなぜかフカフカである。

・・え、これベッド?



そして次の目に入ったものは、



「「レイくん(さん)ッ!!」」




村にいるはずの2人だった。


「・・・あれ、どうしてココにいr ―――

「んもうッ!全然帰ってこないから心配で塔まで行ったら3階らへんで3人とも倒れてたんだよッ!?何無茶やってんのレイくん・・・!!」グスッ


と、本当に心配していたのだろう、そう言うミオンの目からは大粒の涙が零れ落ちていく。

そんなミオンを横目に、向こうの方で同じ目を覚ますシェリーと芽衣の姿も見えた。まぁ無事だったみたいだ。

しかしミオンは『全然帰ってこない』と言っていた、しかしレイ達がダンジョンにいた時間はそこまで長くはないはずだ。さらに言えばあの時レイたちは変な穴に飛び込んだはずなのになぜこんな場所にいるのか・・・ってかここ何処だ?


「・・・ここどこ?あと俺らそんなに長い間探索してたか?」


「何言ってんの!?レイくん一週間も帰ってこなかったんだよ!?私達の体調もあまり良くならなかったから探すまでに4日分遅れちゃったけど・・・」


「へ?一週間?」


「うん一週間!!覚えてないの・・・!?」



レイたちが塔の中に潜入していた時間は、一週間どころか一日、いや半日も経ってなかったはず。

あの世界はどうやら『次元』どころか『時空概念』も異なっていたらしい。てかこういうことが瞬時に分かる俺、めっちゃ天才だわ。


「・・・で、ここは?」


「エクスタシア王国の城内の一室だよ。」


ホント俺って『目を覚ましたらそこはお城の中』パターン多いよな


「・・・なんで?」


「私達と一緒にギルドの職員さんも探索してくれたんだけど、その職員さんもあまり数がいなくて王国から兵隊さんを数人程度借りたの。それでのびたレイくんたち見つけてお城まで連れて帰ってきて今に至るってトコロかな。」


「な、なるほど・・・」


理由も似たような感じのヤツか・・・


「・・・ま、目を覚ましたら報告してって言われてるからレイくん行くよ?」


「あぁ、って俺だけか?」


「うん、パーティーの代表者のレイくんになんか話があるみたい。」


「俺この国でなんかしたかな・・・?」


「まぁとにかくついてきてよレイくん。」


「へいへい・・・」




レイとミオンは大臣がいる部屋に赴き、生存と感謝の報告を済ませた。

そこで分かったことがある。なんとこの大臣、レイたちの事を知っていたようだ。

しかし今までのレイ達の成果を見ればわからなくもない。『イーストデルトの重要文化財保護および上級悪魔討伐』、『クルスオード帝国の乱を無事解決』などなど。その名声が大陸にある国々の王室まで知れ渡っているのは、救った国がイーストデルトやクルスオードというような大規模の国々であったからだろう。



「・・・さて、レイ=ベルディア君。君に折り入って頼みたいことがあるんだが・・・」


「な、なんすか・・・?」


「君たちのパーティーが今までに成してきた業績はかなりのものだ。あの大国の難事を解決するほどの技量を見定めて、わが国の難事も解決に協力して欲しいのだ。」


どうやらこの国も厄介ごとを抱えていたようだ。

・・・ホントこの大陸の国って完全に平和なトコないのかよ


「で、依頼というのは?」


「あぁ、簡単に言うと『蒼天の塔に住み着いた魔物の退治』なんだが・・・詳しく説明していこうと思うから聞いてくれ。」


依頼の内容は、どうやらレイたちが受けていたものと同じようだ。ついでにクエスト内容が書かれたビラの依頼者欄を見てみると『エクスタシア王国王室』と書かれていたことは、たった今気づいたことだ。


「・・・では、どうぞ。」


「あぁ、ではまず今の状況から話すとしよう。」


「・・・」


大臣は一呼吸を置くと、レイたち二人に向けてこう言った。








「 もうすぐこの国が、滅んでしまうかもしれない。 」




次回投稿日;6月7日

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