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とある青年のレベル上げ ~グラド・サーガ~  作者: あいうえおさん
第3章 亡き母を求めて 《クラシア=ヴェルデ》
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レベル32 焔王妃 《シル・ガイア》


『・・・見せてあげるわ、これがシル・ガイア妃の姿だよ・・・!?』




松嶋芽衣は自分の持てる力を解放し、姿を悪魔へと変えた。



芽衣は、シル・ガイア妃へと姿を変えたのだ。


今の姿は神殿に現れる時ほどの力は有していないが、それでも保有する力は大きい。

なんせ人間体のときでも世界を凍り付かせるほどの能力があったのだ。

王妃体に変身(フォルムチェンジ)したとなれば、持つ力も大きくあがっているはず。


『まだあの時ほどではありませんが、今のあなたたちであれば問題ないでしょう・・・』


「「ッ!!」」


二人は再び武器を構える。


『“欠けた状態”の獣騎士であれば、力は大きく下がると聞きましたし、大丈夫ですね。』


「か、欠けた・・・!?」


『えぇ、緑獣騎士(クーフーリン)もいなければ、ベルディアさんは完全体でもない・・・』


「ッ!?」


獣騎士は3人存在し、それぞれ赤・青・緑と分けられる。

3人が集った時に獣騎士の力は極限まで肥大するが、今はその条件を満たしていない。


『神殿での召喚に、あなたたちはいりません・・・むしろ邪魔なのですよ・・・』


『あの時一度ベルディアさんを消そうとしましたが、エヴィウスに阻められ失敗。しかし今日こそは・・・』


(・・・そうか!だからあの時ッ!!)


おそらくバル・グラデの洞窟で、芽衣が突如闇の気配と共に姿をくらましたことだろう。それは迷子ではなく、レイ自身を消すためにくらましたというのだ。

エヴィウスがレイのもとに現れたのはそれを防ぐためだろうか。




『きみたち獣騎士を、消してあげる ―――



「来るッ!!」


シル・ガイアが高速で襲い掛かる。

レイは再び剣にスペルを撃ち込み、特技発動の準備を始める。


『・・遅いなぁ』


しかしシル・ガイアのスピードは先程の10倍は速い。発動に追い付かない。


「レイふせてッ!!」


シェリーが横で矢を放つ準備が出来ている。レイはその場に伏せると


「行くよッ!!」


シェリーは思い切り矢を放つ。



輝空閃(シェロスパーダ)ッッ!!!」



輝く光速の矢。矢はシル・ガイアの頭部へ一直線だ。


『邪魔するなッ!!!』


シル・ガイアは右手をシェリーに向け、呪文で矢を迎え撃つ。


『 「デスヴェルム」ッ!! 』


ディモーネも使っていた暗黒の呪文。しかしディモーネのそれとは格が違う。

矢の輝きはあっという間に飲み込まれた。


『そんな光じゃ淡すぎるのよ!!』


一方レイはシェリーの攻撃の間にシル・ガイアの前から回避。

シル・ガイアの横に周り、ガイアの呪文封じに掛かる。


「 『ケミストラ』!! 」


緑色のスペルがシル・ガイアに放たれた。『ケミストラ』とは、相手の呪文を一時的に封じる状態異常魔法。


『そんな子供だまし、効くわけないでしょ!!』


シル・ガイアは緑のスペルを簡単に端へと打ち払っていく。


「まぁ予想してたし、まさかとはいわねーよ・・・シェリー!!」


シェリーはゲリュオンの背に乗り、シル・ガイアに猛突進。


「今度こそ食らいなさいッ・・・!!!」


『次から次へと・・・うざったいわねぇ!!!』


シェリーは弓を引いて狙いを定める。矢はゲリュオンと共鳴して蒼く輝きだす。


「ゲリュオンッ!!!」


ゲリュオンはシェリーの掛け声とともに、シェリーを前方の上空へと放り投げる。

シェリーは上空で矢を放った。



神蒼閃(グングニル)ッッ!!!」



蒼い一閃、まばゆい光をのせてシル・ガイアに一直線。



焔王盾(エビルシールド)ッッ!!』



シル・ガイアは瞬時に闇の光壁でガード!!


『くッ・・・!!!あの小娘ッ!!』


シル・ガイアはシェリーの姿を追うと、シェリーは上空からシル・ガイアの背後を狙っている。そしてさらに、シェリーは弓を引いて射撃態勢に入っている。


『ッ!!まさか一本目はフェイク・・・!?』


シェリーはシル・ガイアが気づく前に一本目の矢を放り投げ、そして気づいたときにもう一本の矢で射撃。

要するにシェリーは上空から射撃する前に、もう一本の矢をあらかじめ上空に用意していたのだ。


「こっちが本命だよッ!!」

『うち落としてやる・・・!!』


シル・ガイアはシェリーがいる場所へ飛び出そうとする。


(・・よしッ)

「ゲリュオン今だよッ!!」


シェリーの掛け声と同時に、ゲリュオンは強烈な雄叫びをあげた。




――― ~~~~~!!!!!!!! ―――


『ッ!?くぅ・・・!!』




潜在能力『ゴッドゾーンプレス』と相乗して、シル・ガイアの動きを一瞬だけ硬直させる。

シェリーは同時に、もう一本の矢を放つ。


「 神蒼閃(グングニル)ッッ!!!! 」


蒼い閃光、神の速さで迫りくる。


『反応がッ・・!!』


シル・ガイアは一瞬の硬直で動きが鈍っている。


「いけぇぇぇ!!!」




!!!!!




そして矢がシル・ガイアの腕に命中。


『痛ッ・・!!』


シェリーは反対側の地面に降り立つと、再び弓を引いて矢を放つ。


「レイそこどいて!!」

「あ、あぁ!!」


レイはすぐさま射程外へと回避。ゲリュオンは雄叫びの準備。

シル・ガイアの左右はシェリーとゲリュオンで阻まれた。


『調子にのるな小娘ぇぇぇ!!!!』


シル・ガイアは両手に暗黒の魔力を召喚すると、左右の攻撃より先に魔力を放った。



魔光弾(デスブレット)!!!』



凄まじいスピード、シル・ガイアの思いがけないカウンター。


「えッ、ちょ・・・!!」


シェリーは咄嗟の反撃に反応が遅れてしまう。



――― シェリー!! ―――



ゲリュオンはシェリーの危険を察知し、神速でシェリーの前に立ち憚る。

シル・ガイアの反撃を受け止めた。


「ゲリュオン!?」


守護獣は、主人と決めた者を何が何でも守るという本能がある。今はシェリーの身の危険にゲリュオンが咄嗟に反応し、シェリーを自身の身を挺して守ったのだ。


左右に攻撃を放ったシル・ガイアの背中に回避していたレイ。背後から反撃に掛かる。

先程溜めていた炎を、背中に向かって解き放った。


竜閃炎(イグナイトソウル)!!」


『ッ!?無駄無駄ァァァァ!!!』


シル・ガイアは身を回転させ後ろに振りかえると、レイの放った軌跡をシェリーたちのほうへはじき返した。


「なッ・・・!!!」


レイの斬撃はなんとシェリーたちの方へ、はじき返しを喰らった。



――― ッ!! ―――



ゲリュオンはまたシェリーの前に立って、身を挺してシェリーを庇った。

ゲリュオンに竜閃炎(イグナイトソウル)の斬撃が直撃。


「ゲリュオンッ!!??」


いくら守護獣で神の加護が聞いているとしても、二連撃を受け止めたことでさすがに身体に応えているようだ。

ゲリュオンの息遣いが荒くなり始める。


「し、しっかりして!!」


シェリーは懐から自分用に閉まってあったエルフの涙を取り出し、ゲリュオンにそれを飲ませようとする。


「シェリー後ろッ!!来てるぞッ!!」ダダッ


シル・ガイアが高速で突進してくる。


『焔王妃の怒り、思い知らせてやるわッ!!』


シル・ガイアは拳を地獄の焔で纏わせ、シェリーたちに殴りかかってきた。



――― ッ!!! ―――

「ゲリュオンだめッ!!!」



!!!!!!



シル・ガイアの拳が、なんとゲリュオンの頭部にクリティカルヒット。



――― クッ・・!!?? ―――



ゲリュオンは衝撃のまま、凍り付いた城壁へと殴り飛ばされた。

ゲリュオンは巨体のまま城壁に大激突。



バァン!!!!!!!



「ゲリュオンッ!!!」


シェリーは急いでゲリュオンのもとに駆け出した。


「早くエルフの涙を飲ませないとゲリュオンが死んじゃうッ・・・!!」


しかし、


『・・・ッ!!!!』


シル・ガイアの攻撃は終わらない。

今度はゲリュオンに向かっていくシェリーの背へ殴りかかってくる。


「シェリー後ろ!また来てるぞッ!」

「・・・ッ?」


あれではシル・ガイアの攻撃に間に合わない。

レイはシェリーの援護のために、シル・ガイアに剣を持って走り出す。



『喰らいなッ!!焔王妃の怒りを!!!』



灼熱の拳が襲い掛かる。



「ふッ!!!」


レイは横から手を伸ばして、拳を剣でガード。


「レイッ!!」


シェリーはすぐに目の前から回避すると、遅れて援護に駆けつけてきたゲリュオンの背中に乗り、


「レイ早く掴まって!!」


シェリーは手を差し出しレイの手を掴む。

そしてゲリュオンはその場から駆け出して、シル・ガイアと距離を取る。

シェリーは急いでゲリュオンにエルフの涙をのませる。


「ヤバいな・・・いよいよ歯が立たなくなる・・・!!」


ゲリュオンは何とか回復したものの、青獣騎士(フェンリル)になったシェリーとゲリュオンでも押され気味だ。このままでは防戦一方、さらに・・・



(俺の力が、全然通用しない・・・!!!)



シェリーも先程から動きっぱなしで体力が削られてきている。先程のような攻撃は出来なくなってくる。

そうなってくると、いよいよ勝負が積んでしまう。



(どうすればいい!?どうしたら致命傷を・・・!?)





シル・ガイアは魔女の形相でにらみながら、こちらを伺っている ――――


次回投稿日;4月30日

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