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とある青年のレベル上げ   作者: あいうえおさん
第3章 亡き母を求めて 《クラシア=ヴェルデ》
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レベル28 準備 《グロゥイング》

「ハァハァ・・・・!!やっと逃げられたか・・・!!」


4人は浄化の鈴を探しに暗黒洞を探索。そしてその鈴があったのはなんと魔物の首元。

途中で魔物に気づかれはしたが、何とか振り切って逃げることに成功。今は麓のレントヴィンで一休みだ。


「でも珍しいですね、レイさんが結構倒せそうな魔物を置いて逃げるなんて。何かまずかったんですか?」


確かに両目の視力と4本脚の動きを封じた相手は、普通の状況よりはるかに楽に倒せそうだが、


「バカかお前、多分それで近づいた所であの結界を張られるだろ?結界を張られたらどうにも出来ねぇ。」


結界とは自分の魔力を消費して発動する、固有空間形成術のことである。

結界を張ると、その空間内には発動者のみが生存できる状態となり、他の者がその場に侵入すると結界に飲まれて死んでしまう性質を持つ。

盲目になったからとかそういうものではないのだ。結界を作る魔物との場合、必ず結界を壊す術が必要不可欠なのだ。


「俺達の中に結界を壊せるやつは誰もいない・・・はずだ。だから逃げるしかねぇんだよ。」


「まぁでもこれで浄化の鈴はゲットできたね。これから帝国に戻る?」


「帝国かぁ・・・」


(・・・いくらこれで分離できても、おそらく力不足で負けるのがオチだ。レベル上げしないと歯が立たん。)


「・・・いや、まだ帝国には戻らない。まだあっちは『魂の光』をゲットできていないだろうし。そのうちにレベル上げをしようと思う。」


「またレベル上げですか?」


「あぁ、特にシェリーには上げてもらいたい。その弓を使いこなせるまでな。」


「そうだね!私もっとこれ使ってみたいッ!!」


「おう、頼むぞ。・・・で、俺達はまずメルディン村に戻りたいんだが・・・」


「確かここと村の間って結構広い砂漠があったよね・・・?」


「あぁ、さすがにあそこは通りたくは・・・」


レントヴィンとメルディンの間にあるフレアデルト砂漠は、その名の通り燃えている砂漠である。燃えているといってもまるで火事のように砂漠一帯が燃えているのではなく、その地帯特有の灼熱さに所々から火が出ている光景を指す。

ここを生身で通る時は、必ずウォーターベールという衣服を装備する必要があるのだ。実際4人が帝国に行く馬車のも中でも、また暗黒洞に行く時でも、その服を上に着用していた。


しかしその服は一回使うと、その効力を失ってしまう。いわば消耗品なのだ。さらに原価も高い。


「・・・仕方ないから4人分のベール買う?」


「う~ん・・・痛い出費だけど、まぁ仕方ないか。」


するとアリナが、自分のステータスパネルを開きながら二人を止めた。


「ちょっと待ってくださいッ・・・もしかしたら服無しで行けるかもです・・・!?」


「は?なんかあるのか?」






「ほ、ホントだ・・・!!」


「一瞬で村についたね・・・」


「どうですか!?私さっきのダンジョンでレベルアップして、移動呪文『トレイフ』覚えたんですよ!!」


移動呪文『トレイフ』とは、今まで一度行ったことのある場所であれば瞬時にワープできる呪文だ。

消費MPもそこまで大きくはないので、道中のショートカットに大変役立つ呪文である。


「・・・お前が使えるっていうのがなんか腹立つな。」

「何でですかッ!?」


「ねぇレイ~?ここからどーするのー?」


「あぁ、それはな・・・





「ここでレベル上げするの?」


「あぁ、この森は魔物のレベルが高いらしい。村長がそんなこと言ってた。」


4人が現在いるのは、先日シェリーが守護獣ゲリュオンを召喚したあの森の中だ。結構光が届きにくい場所で、午後5時を過ぎると完全に真っ暗になるのだとか。


この森、名を『ベルディークの深層』というのだが、周辺では隠れたレベル上げ場所で有名らしい。ちなみにこれも村長から聞いたことだ。


「よし、ここで暗くなるまでレベル上げだ!2人ずつに分かれて行くぞ!」


「えッ?4人全員で行くのではないのですか?」


「あぁ、4人だと経験値獲得の効率が悪い!だれかが倒せば経験値入るなら、二つに分かれて倒した方がよくないか?」


「た、確かにそうですね・・・!頭良いです!」


「フッ、当たり前だろッ」キラッ

「そのキメ顔なかったら本当に賢そうに見えたのですが残念です!」


「・・・んんッ、じゃあ俺とシェリー、みお姉とアリナに分かれて反対方向で攻めていくぞ。集合場所はここだ。」


「念のために、ここに印描いておくね。」


「あぁサンキュ。暗くなる前にここにいるように!」


「「「了解ッ!」」」




ここの魔物は経験値が多い分、強さもまた比例する。呪文を使ってくる魔物もいたり、回避率が高い魔物も。

しかしここではレベル上げと、もう一つできることがある。

それは『特技習得』である。

特技とは、その対象者が持つ能力を生かした攻撃手段である。例を言うと、レイが魔神戦で見せた竜閃炎(イグナイトソウル)だ。これはレベル上げで身につくというよりも、実際の戦闘で身につくことがとても多い。


「シェリーそっちから来るぞッ!」

「おーけー!!」


シェリーに掛かってくるのは、HPが高いデットリーナイト。攻撃力も高く、特に連続攻撃が厄介だ。


「とっておき行くよ~!!」


シェリーは迫りくるデットリーナイトを迎え撃つようだ。

デットリーナイトに向かって走り出す。

武器を構えて突進してくるデットリーナイト。弓矢を持って走り出すシェリー。


「危ないぞ!弓で接近戦はきつい!!」

「違うよレイ!これはこうするの!」


するとシェリーは矢を前方の空中に放り投げた。そしてシェリーは矢に光のスペルを打ち込んでいく。

矢は空中で光を纏い輝きだした。


「ッ!?何する気だ・・・!?」


そしてついにデットリーナイトが目の前に。デットリーナイトは武器を振り上げてシェリーに斬りかかる。


「効かないよ~!!」


シェリーは背中から隠していた妖精の羽を出現させ、空中に飛んで攻撃をかわした。

空中に飛びながら弓を引くと、なんと放り投げた矢が引いた弓と弦の間におさまった。


「おぉ、すげぇ!!」

「行くよ~!!!」ギギギッ


シェリーはデットリーナイトの背中に矢を放つ。



輝空閃(シェロスパーダ)ッ!!!」



光速で放たれた光矢は、なんとデットリーナイトの鋼鉄の身体を一瞬で貫いた。


「よしッ!」

「やったッ!!初めてで出来た!」


ステータスパネルが討伐を報告。


『デットリーナイトを討伐。経験値250、135ゴールドを獲得。

 スキル発動;レイ=ベルディアのみ、経験値1000獲得。』


「一撃だったな!すげーぞシェリー!」


「えへへ~///そうでしょ~!!」



(・・・しかし、まだシェリーには『あのスキル』は発動していないみたいだな・・・)


「・・・どうしたの?」


「えッ?いや、何でもないぞ。じゃあ次行くか!」


「うんッ!!」




一方ミオン&アリナサイドでは。


「お姉さま!四方から来ますッ!!」

「アリナちゃん右側お願い!私は左側やるから!」

「了解ですッ!!」


アリナは杖先に魔力を、ミオンは構えた両手にエネルギーを溜め始めた。

四方から来るのは何十匹のバウンサーウルフ。回避率と素早さが高数値の厄介な魔物だ。


「融合呪文、行きますよッ!!」


アリナはもう一方の手にも魔力を溜め、それを杖先の魔力と融合。

目の前のバウンサーウルフに魔力を解き放つ。

アリナは呪文を唱えた。



「 『シラーヴァ』ッ!! 」



氷魔法『シラザイラ』と爆発魔法『ノヴァ』の融合呪文が炸裂。

巨大な冷気の大爆発が、バウンサーウルフの群れを一瞬で氷漬ける。

冷気の爆発はたちまち周りの魔物も氷づかせ、とても大きな氷の結晶を形成した。


「アリナちゃん凄いわね・・・じゃあこっちもッ!!」


ミオンの前にもバウンサーウルフの群れが飛びかかってきた。

ミオンはスキルを発動する。


「 『ジゴケルビム』ッ!! 」


巨大な電磁波が一斉に放たれた。

電磁波はたちまち強力な電気と灼熱を纏って、ウルフたちの身体を焦がしていく。ウルフたちの身体はあまりにもの高熱に燃え始める。


「お姉さま!!」


しかし燃えるウルフは燃えながらこちらに襲い掛かってくる。


「くッ・・・!!」


すると後ろで、氷ついたウルフたちも氷を破壊して襲い掛かってくる。


「えッ!?ホントですか!?」

「アリナちゃん、この燃えてる方にさっきの呪文撃ち込んで!!私はそっちやるから!!」

「わ、分かりました!!」


二人は再び魔力を解き放つ。



「 『シラ―ヴァ』!!!」

「 『ジゴケルビム』!!!」



冷気爆発と電磁波動が同時に周囲に放たれた。

燃え盛るウルフは瞬時に氷づき、氷から抜け出したウルフは大きな炎を上げて燃え出していく。

魔物でも急な温度変化は相当なダメージとなる。


そしてついにバウンサーウルフの群れを倒した。


「やった!」

「お姉さま!」


『バウンサーウルフの群れを討伐。経験値1800、990ゴールドを獲得。

 スキル発動;レイ=ベルディアのみ経験値7200獲得。』




「ホントにここにいないレイくんたちにも経験値が入ってる・・・」


「なんか複雑な感じですね。」


「そうだね。まぁでもあっちもレベル上げしてるだろうかお相子じゃない?」


「それもそうですね。」


二人は勝利と経験値システムに少し談笑。



結局今日で4人はレベルが一つずつあがり、新しい技も習得できた。

レイの場合、これで魔法戦士レベルが10になり念願だった新しい呪文『ケミストラ』を習得。ミオンとシェリーはランクもアップ。それぞれ5に上がった。


そして森の中は夜の闇へと包まれていく。もう夕方のようだ。


「そっちはどうだった?なんか覚えられたか?」


「覚えたというわけではありませんが、呪文融合の術を・・・」


「そうだよ!ほらあそこに氷の山見えるでしょ?あれアリナちゃんがやったんだよ!」


「へぇ~・・・」


(すみません暗くて見えません)


「そっちはどうだったの?」


「あぁ、シェリーが良くてな。特技まで覚えたよ。」


「そうなの!思いつきだけどね!」


4人は集合場所でレベル上げの成果を報告しあい、そして談笑。レベル自体は伸びた気はしないが、それ以上に特技や呪文融合が習得出来たのは大きい収穫だ。


「・・・あれッ!?」


シェリーがふと何かを察知する。


「どうしたシェリー!?何か来るのか!?」


「うんッ・・・あれ?これって・・・」


するとシェリーが警戒する方向から声が聞こえた。


「おぬしら~!!大変じゃ!!大変じゃよ!!」


「この声って・・・」


「村長の声か!」


そして森の木々から村長がひょっこり顔を出し、その場で膝をついて息を整える。


「ど、どうしたのじいじ?何かあったの?」


少し息が整うと、村長は表情を青くしてこういった。






「大変じゃッ!!国王が今帝国で暴走しているそうじゃッ!!」


次回投稿日;4月26日

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