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とある青年のレベル上げ ~グラド・サーガ~  作者: あいうえおさん
第2章 各々の条件 《フィドゥーティア・ジゴケルビム》
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レベル15 過去 《トラウマ》

宿は二人部屋と一人部屋、合計で400ゴールドすることとなったが、今のレイ達は金欠ではないので痛くない出費だ。

二人部屋にはあの師弟コンビを、一人にはレイ一人という部屋割りとなった。



(やっぱアイツのあの妙な反応はいったい・・・?)



レイはベッドの上で、今日のアリナの様子について考えていた。

なぜあの時、アリナはあんな反応をしたのか。期待しているといった時のアリナの反応は、頼りにされた時の嬉しさではなく、まるで拍子抜けなことを言われたかのようなものであった。

デルト街道でのことも含めて、アリナの過去に何かあったのだろうか。


(みお姉と一緒に訊いてみるか。話してくれるかは分からんが・・・)



コンコンッ


――― は~い?


「みお姉、俺だ。ちょっと話があってな。」


すると奥からこちらへ来る足音が聞こえ、そしてドアからミオンが顔を出してきた。


「どうしたの?こんな夜遅くに。」


「あぁ、アリナと話がしたくてな・・・。今大丈夫か?」


そう言いながらレイの目に、白いベッドですやすやと眠るアリナの姿が見えた。


「・・・っと、おねんね中か。相変わらず幼女みたいだなあいつは・・・」ハア


「・・・ちなみに話って、今日のアリナちゃんのこと、だよね?」


「あぁ、なんであんな反応をするのか気になってな・・・今後それが原因で命を落とす可能性だってあるはずだ。だから最低限のことは知っておきたくてな・・・」


「・・・フフッ、本人の前じゃ結構塩対応なのに、変なところは真面目なんだよねレイくんは。」


「う、うるせッ」


「・・・まぁいいよ。私が知っていることだけでも話すよ。アリナちゃんには悪いけどね。」


「いいのか?話しても。」


「うん、どのみち知る日が来ると思うから・・・」




「――― ということかな。ここまでが私の知ってることだよ。」


ミオンの話を簡単に要約する。


アリナは魔道具屋に生まれ、小さいころから魔法と触れ合う機会が多かった。そのこともあって、アリナはすぐに頭角を現し、なんと10歳ほどで賢者になったのだ。当然他のパーティーは上級職の彼女を欲しがる。

そしてアリナはとあるパーティーに入ったわけだが、そこでアリナはまったく貢献できず、パーティー内で浮いた存在となってしまった。それはパーティーの長の気に障り、しだいに彼女を見る目が羨望から嫌悪に変わっていったのだそうだ。

期待されることにおびえ、それで何も出来なかったときに受ける報復を恐れて、パーティー離脱後は冒険にも出ていなかったようだ。



「・・・なるほど。なんで前にパーティーに入ってたことを隠したいのかが分かった。」


「うん。初めてパーティーに入ったってことなら戦闘不慣れでも納得してくれるってことだね。」


「でもみお姉、そんなこと誰から聞いたんだ?」


「この子のお母さんよ。言ったでしょう、魔道具屋の娘って。私は路地裏で苦しそうなこの子を治して、そして家まで送ったから。お母さんがこの子が目を覚ますまでって、そんな話をしてくれたの。」


「・・・まいったな、こういうことは向いてねーし、どうすればいいんだ?」


「それは私も分からないよ。何せアリナちゃん自身の問題だもん。私達を受け入れてくれるしか・・・」


「・・・でも、今知っておいて良かった。聞きたいことも分かったし、そろそろ寝るわ俺。」


「うん、おやすみ。」



ガチャッ・・・






そして翌日。


「アリナ、お前その装備で大丈夫か?ヤバそうなら新調するぞ?」


「えッ、いや、それは大丈夫です・・・」


「・・・そうか。」


「・・・」


(これもやはり期待されるのを恐れて、か・・・)


「よし、じゃあ行くか!」


「うん!」

「はい!」






「と、遠いなコレッ・・・」ハァハァ


「そ、そうだね・・・」フウ


「おいアリナ、お前大丈夫か?幼女みたいな体系なんだからへばったら言えよ~」


「だッ、誰が幼女ですかッ!!??」


(よし、コイツは大丈夫みたいだな。)


「あ、あれじゃない?」


「お、ホントか・・・?」



3人は暗黒洞(ダークサイト)に到着。予想以上に時間がかかったが、他の二人も(体力的に)問題はなさそうだ。


「よし、今日のスケジュールを確認するッ!まずはこの中の迷子を拾うッ!以上ッ!!」


「それだけ・・・?」

「拾うって・・・」


「その子ってどんな見た目ですか?」


「依頼には10歳の獣人の女の子って書いてたな。丁度お前みたいな感じじゃね?」


「なッ!だから私は14歳ですッ!!」


「この先には魔物が結構いるんだよね?」


「あぁ、幸いこっちには全体攻撃ができる奴がいる。普段よりかは楽に行けるだろう。な?」


「えッ・・・はい、がんb ―――

「あ、でもお前幼女だもんな~小さい子供にはまだ早かったかな~」


「なッ!だから幼女じゃないですッ!!」


「えッ、出来んの?」


「や、やってやりますよ・・・!今度こそ幼女って言えないような呪文見せてあげますよッ!!」


「ほほー、そうかそうかww」ププッ


「~~!!今私を笑いましたね~!!もう怒りました!本気で行きますッ!」


「あぁ、頑張れよ~。」


「はいッ!」


(・・・よし、少しは緊張ほどけたみたいだ)


「・・・」フフッ




そしてダンジョンに入ってから5分経過。

今3人は、大量の魔物に囲まれていた。


「なんだこいつらは・・・?」


「おそらく『ヨトゥンエビル』という魔物でしょう。種類はオークですが、暗闇では特に力が強くなる補正スキルがあるのが厄介な相手です。」


「なるほど・・・ステータスパネルにも書いてある・・・」


「『ヨトゥンエビル』の弱点は光です!私に任せてください!」


アリナは杖に意識を集中させる。


「光よ、熱を帯びし灼熱の光よ!この先に留まりてその力を示せッ!!」


「レイくんかがんでッ!」

「えッ?あ、おう。」


アリナは呪文を唱えた。



「 『ダラディトス』ッ!! 」



杖から無数の光の粒が一斉に放たれる。

その光の粒はお互いに集い、やがて大きな光線へと姿を変えると、光速で周囲の魔物たちを貫いた。



ピカッッッ!!!!!!



「ッえいッ!」


円状に放たれた光線は、やがて灼熱を纏い燃え盛り、全てのヨトゥンエビルを焼滅させる。




ゴォオオオオオオオ!!!!!!!!!!!!!!!!




「ッ!っと・・・」


レイが目を開けた時には、先程まであらゆるところにいたヨトゥンエビルたちは灰と化していた。


「す、すげぇ・・・」


『ヨトゥンエビルの群れを討伐。それぞれ経験値4320獲得、1600ゴールドを手に入れた。

 スキル発動;レイ=ベルディアのみ、経験値17280獲得。』


「これが光魔法ですッ!あまり見ないレアな攻撃魔法なんですよ?」


「あぁ、これは素直に強い・・・」


「ふふ~ん!!そうでしょ?」♪


「わ、私今のでレベルアップしたよ・・・ありがとうアリナちゃん。」


経験値はパーティー全員に付与される。今のでミオンはプリーストレベルが11から12に上がった。

新しい呪文まで覚えている。


「ありがとうございますッ!!これd ―――



――― これくらい賢者なら普通だろ ―――

――― これが出来なかったら子供なんて入れねーよ ―――

――― あまり調子乗んなよ子供風情がよぉ ――― 



「ッ!・・・」ビクッ


「ん、どうした?大丈夫か?」


「あ、いえ、何でもないです。それより次行きましょうよ!」


「・・・」






3人はさらに奥へと進んでいく。


次回投稿日;4月11日

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