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とある青年のレベル上げ ~グラド・サーガ~  作者: あいうえおさん
第1章 最初に越えるべき壁 《ペーディオ》
13/110

レベル12 発動 《プレ=ヴィローゼ》

お互いダメージは身体にかなり蓄積している。一つの油断が致命傷になるのはレイだけではなくなってきたようだ。

しかし今のペーディオは怒りでパワーアップ。形勢はペーディオ側に傾いているといった所だろうか。


『貴様ァ・・・ぶっ殺してやるッ!!!』


ペーディオは身体を無理やり起こして戦闘態勢に。

レイ目掛けて猛突進、大分ダメージを削っているはずなのに速い。


(まだあそこまで走れんのかよこのバケモノはよッ・・・)


レイは重い脚を何とか動かし、突進してくるペーディオを迎え撃つ。


「おら来いよデカ物ううう!!!!」


ペーディオはさらにスピードを上げてレイに迫りくる。


(フッ、そのまま永遠に走ってやがれッ!!)



『ぶっ殺すッ!!!』



ペーディオがレイの数メートルまで接近すると、レイは自分の身を下方にずらし、ペーディオを見切る態勢に。

この程度の見切り、先程のペーディオなら軽く判断できたが、今のペーディオは判断力が鈍っている。

『レランデ』の効果もタイムアップ、反応能力は元に戻っている。


『ッ!?クソッ・・!!』

「ふッ、むやみに突進するからだっつーんだよ!!」


レイはそのままペーディオの真下に移動すると、ペーディオの腹を空に目掛けて蹴り上げた。


「うらあああああ!!!!」



!!!!!!!



『ウグフッ!!!!!』ボゴオ!!!!


ペーディオの身体は上空に飛ばされる。


(今だッ!!)


レイは再び上空に飛び、ペーディオを上から叩き落とそうとペーディオのさらに上に飛空する。


「ほらッ!もういっちょ食らわせてやるよッ!!」


レイはかかと落としの態勢に、ペーディオの上空に到達。

しかし、


『同じ手が俺に通じると思ってんのかァ!??』


ペーディオは上空のレイの足を両手で掴む。


「ッ!!??」

『フッ、お前が落ちちまえ!!!』


ペーディオはそのままレイを真下に思いっきり投げつけた。


『死ねええええええ!!!!!』ビュンッ!!

「うわッ!!」



レイの身体は高速で下の地面まで落下。


「うッ・・・!!」バゴッ!!


酷く背中を強打したレイ、衝撃で身体が動かない。

先程回復した体力もこれで半分以下まで削られてしまった。


(クソッ!動けッ・・・!!)


真上からペーディオが蹴り下ろしてくる。落下速度も相乗してスピードは急速に増している。


(ヤベぇ、早く逃げ、ないとッ・・・!!)


ゴオオオオ!!!!


(クソッ、なんだよッ・・・・!!!)


ゴォオオオオオオオ!!!!!!!



(から、だ・・・動かねぇッ!!!!!)



『砕け散れぇぇぇぇ!!!!!!』




次の瞬間、ペーディオの脚はレイを思いっきり踏みつぶした。




!!!!!!!!!!





粉砕した瓦礫たちから足を抜き取るペーディオ。


『ハァハァハァハァ・・・や、殺ったか・・・?』ハァハァ


ペーディオは踏みつぶしたであろうレイがいるかどうか、脚をどけて確認する。

しかし



『ハァハァ・・・クソッ!!いねぇ!!どこ行きやがったァァァァ!!!!』



ペーディオは怒りで我を忘れている。

しかしそのおかげで、レイが踏みつぶされる直前に近くの瓦礫に回避したことは気づかれていないようだ。瓦礫の隙間は下に屈まないと見えないほど狭いので、瞬時に気づかれることは少ないはず。


しかし



(ハァハァ!!・・・ヤバいッ、回復してもらったのにッ・・・!!全く動かねぇ・・・!!)



(ここが気づかれるのも時間の問題だ・・・どうすればいいッ!!!???)



(俺があのバケモノを倒すためにはどうすればいい・・・!!??)



(みお姉を救うにはッ・・・!!!!)






(どうすればいいッ・・・・!!??)








その時、ふと頭に声が響く



――― (ナンジ)、我ノ力ヲ欲スルカ ―――



(・・・!?なッ、なんだ!?)



――― (ナンジ)、我ノ力ヲ欲スルカ ―――



(だ、誰だッ!?俺の思考に話しかけてくる奴は!?)



――― 我、三聖器ヲ成ス者ナリ 汝ハ我ノ力ヲ欲スルカ ―――



(三聖器・・・?ま、まさかッ・・・お前、“竜絶の剣”・・・!?)



――― モシ汝、我ノ力欲スルナラバ ―――



――― 我、守護獣エヴィウスノ名ニ於イテ、ソノ力ヲ差シ出ソウ ―――



(・・・!?)



――― 汝、眼ヲ閉ジ、ソシテ想像セヨ ―――



レイは眼を閉じ、想像する



――― 赤ク燃エ(タギ)ル、業火ノ軌跡ヲ ―――



(・・・)



――― 想像セヨ ―――


――― 光ノ如ク敵ヲ斬リ裂ク、閃光ノ刃ヲ ――― 



(・・・)




――― サァ、力ハ汝ノ物 戦イタマヘ ――― 







――― 赤ノ獣騎士ヨ ―――










『スキル;「プレ=ヴィローゼ」が発動しました。』









『見つけたぞぉ・・・!!!このザコ野郎がァ!!!』


ペーディオは今に大腕をレイに振り下ろすッ!!


『死にやがれぇぇぇぇぇ!!!!!!!』




(ッ・・・)





レイは何も考えず、ただ風の流れに身を任す



背中の剣を抜き、そのまま起き上がり



目の前の敵へと、高速で駆け出し



持つ剣を、ただ振り抜く



その軌跡、まさに閃光の如く







―――― ペーディオの身体を切り裂いた




!!!!!!!!!!!




『ッ!!!????』ブシュッッ!!!!




片腕を失い、大流血で動きが止まるペーディオ

光の如きレイの動き、ペーディオは全く見えなかった。

その一瞬の出来事に、ペーディオの反応は追いつかなかった。



レイはすぐに方向を転換し、再び剣を振り抜いた。




その軌跡は、燃え盛る地獄の業火を纏い




ペーディオの身体を焦がしていく・・・ ―――――――――





『ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!!!!!!!!』




その業火、一瞬にして


魔獣の身を、焼滅させる ――――









『黒獣ペーディオを討伐。二人はそれぞれ経験値4800、ゴールド0を獲得。』










~~~~~~~


「んんッ・・・」


レイはふと起き上がる。

そこは見るも無惨に崩れた神代の祠でもなく、とある一室のベッドの上


「あれ、ここどこ・・・」


「あ、レイくん!!起きたんだねッ!!!」


ふと起きた横にはなぜかミオンがいて、そしてさらにそこは豪華な装飾の一室。

今居る場所に、レイは少し混乱状態。


「・・・み、みお姉!?気絶は!?大丈夫なの!?あとここどこッ!?」


「私は大丈夫ッ!それよりレイくんは!?大丈夫!?」


「・・・あぁ、何とかな。」


「ハァ・・・良かったぁ・・・よく頑張ったね、信じて正解だったよ、レイくん。」


「・・・ペーディオは・・・祠は・・・どうなったんだ・・・?」


「あぁ、ペーディオはレイくんが倒して、祠は崩れちゃったけど・・・でも、明日から再建するんだって。」


「はぁ、それは良かった・・・でさっきも言ったけど、ここどこ?」


「あぁ、そういえば言ってなかったね。ここはイーストデルト城の寝室だよ。」


・・・


・・・


「えええええ!!??」





あの後について説明しよう。

レイはペーディオを倒すと同時に気絶。

たまたま討伐に来ていた国王軍と冒険者たちが二人を保護し、国王の銘にて二人を治療しているのだという。

そしてレイは、その夜に目を覚ましたのだ。


「何かレイくん起きたら国王の所に来て欲しいっていってたよ?レイくんが大丈夫なら下行かない?」


「あぁ・・・あぁ?あれッ、俺の剣は??」


「あぁ、そこにあるよ。でもレイくん、こんな凄そうな剣持ってたっけ?」


ミオンが奥の机上から持ってきたそれは、レイが今まで見てきたその剣の姿とはかけ離れているほど軽く、光っていて、そして力を感じるものだった。


「この剣・・・俺が見てきたのと違う・・・」


レイはステータスパネルを開いて、詳細を確認する。


『名称;竜閃(リュウセン)の剣 竜絶(リュウゼツ)の剣から特殊条件下で進化

 同時に所有者 レイ=ベルディアにスキル“プレ=ヴィローゼ”発動。

 発動条件;竜閃の剣装備時 内容;装備時、所有者と剣は共に成長する。所有者の場合、成長速度は早くなる。』



「おぉ、あの司書さんが言ってた通りの効果だ・・・」スゲー


「え?あのスキルについて分かったの?あとこの剣って・・・?」


「あぁ、やっとわかった。この剣は俺が背中に背負ってたあの錆びた剣だ。戦闘で進化したんだなぁ。」


「へぇ~すごいねそれ!」


レイはついでに、自分のステータスも確認すると・・・


「えぇッ!?ソルジャーレベル12ぃ!?しかもランクが4に上がってるぅ!?こ、攻撃力なんか100オーバー!?」


「ペーディオ討伐ですごい経験値もらえたんだよ!私だってプリーストレベル9に上がったよ!ランクも3だって!新しい呪文も覚えたし!」


「そ、そうか・・・」スゲーナオイ


(でもさすがにここまでは・・・やっぱりあのスキルの効果なんだな・・・・)





それからレイ達はペーディオ討伐、および国の重要財の神代の祠の燭台を防衛した功績に対する感謝と褒美をたんまりと貰って、イーストデルトの民たちに祝福された。ってか祠の燭台って壊れてなかったんだ良かった~!

気絶したミオンにも経験値が入ったのは、あとで司書さんに訊いたらパーティー登録しているからだそう。パーティーに登録していれば死なない限り、仲間が獲得した経験値はパーティー仲間全員にわたるのだ。あ、そういえば司書さんに竜閃の剣見せたらめっちゃ驚いてたわ笑笑。


とにもかくにも、レイ達は最初の試練を乗り越えたのだった ―――















一方、神代の祠 ―――


『・・・ヤベぇなぁ・・・!!早く止血しないと・・・!!ってかまずここから逃げないとッ・・!』ハァハァ!!


瀕死のペーディオ、血まみれのままで脱出を図る


しかし、



――― 待ちなさい、どこへ行くのだ ―――



『ッ!!??』ギクッ!?


ペーディオの後ろから、ふと誰かの声が響く


それは恐ろしい邪気を纏う、禍々しい声



――― ペーディオ どこへ行くのだ ―――



『し、シル・ガイア様ッ!?申し訳ありませんッ!!このような失態、王妃様にお見せするなど!!』



――― 何のためにお前を召喚したと思っている ―――



『そ、それは・・・』



――― あのレイ=ベルディアの身を摘むため・・・だったはずだ ―――



『ッ・・・!!』



――― ・・・まぁ良い、見たいものは見れた 今回は良しとしよう ―――



『!?では、もしや・・・!?』



祠内の空気が、段々と冷気を帯びて凍てついてくる



――― ・・・あぁ、お前はもう用済みだ ―――



『・・・え』



――― 用済みのお前にもう用はない、そう言っている ―――



『そんなッ!?お願いしますッ、この通り!!もう一度ご慈悲をッ!!』



――― 慈悲など必要ない・・・(わらわ)の前から消え失せよ ―――



『お願いしますッ!!ご慈悲をッ!!』



シル・ガイアはペーディオへ手を掲げ、魔力を召喚する



――― 消え失せよッ!! ―――



魔力を、解き放つ



『えッ、そんなッ、シル・ガイア様ッ!!王妃様ッ!!アアアアアアアア!!!!!!』







――― やっと静かになったわ この口調も疲れるなぁ ―――




――― でも竜絶の剣と、あのスキル・・・ ―――








「いいモノ見せてもらったよ ―――







――― ベルディアくん









そして彼女は、姿を消した。









第一章 完

次回投稿日;4月8日

(この後の一話は番外編その1となります。本編とはまったく関係ありません。)

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