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とある青年のレベル上げ ~グラド・サーガ~  作者: あいうえおさん
第1章 最初に越えるべき壁 《ペーディオ》
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レベル11 変身 《フォルムチェンジ》


レイは持っていた普通の剣を捨て、先程よりも速いスピードで襲い掛かる。

先程より、いや、先程の何倍も速いスピードで突進。


『なッ、はやッ!――――

「ッ・・・!!」


ペーディオの身体は急激なスピードアップに一瞬硬直。

レイは右腕を鞭のようにしならせると、硬直するペーディオの左腕を鉤爪で切り裂いた。



!!!!



『くッ!?・・・』ズバッ!!


ペーディオの耐性が一瞬崩れる、左脚が大きく崩れて、態勢が後方に傾いた。

切り裂くと同時に、レイはペーディオの背後に回り込む。


『ッ!!くそザコがぁ!!』


ペーディオは何とか振り返って大腕を振り上げる、

が・・・



『!?消えた・・・!?』



後ろにいるはずのレイがいない。

次の瞬間ッ、ペーディオの頭上を大きな衝撃が走る。



!!!!



『ッ!!・・・』ボゴオ!!


「・・・図体デカいから上に気づかねんだよ。」


ペーディオの頭部にレイのかかと落としが炸裂。したかと思えば、今度は一瞬でペーディオの前から姿を消した。


『くそッ、チョコチョコ動きやがってッ・・・!!!』


ペーディオは呪文を唱えた。


『 「レランデ」ッ! 』


対象一人の瞬発力を一時的にある程度上げる補強呪文の一つである。さらにこの呪文は素早さだけでなく、なんと反応能力も一時的に上がるのだ。

レイは後ろから接近する・・・


「!?レイくんそこダメッ!!」


ミオンの直感が働く。何とペーディオの動きはどことなく後ろの獲物に合わせているようだ・・・

しかしそんなミオンの声は届かず、レイは止まるペーディオの背中に高速で襲い掛かる。


そして


『・・・そこかよ、見つけたぜ!』


レイが背中まであと数センチと迫った時、ペーディオは瞬時に振り返り、その回転でしなった大腕をレイの身体にブチ当てた。


『うら喰らえッ!!』



ッ!!!!!!



「いッ!!??」


突然の予期せぬ攻撃に、レイは祠の端まで突き飛ばされた。

飛ばされた勢いで祠の壁に高速で激突。


「!!くッ・・・!」ガラガラガラ・・・


「レイくんッ!『シェリエ』ッ!!」


ミオンはすぐに回復魔法を唱える。

青色の光がレイの身体を癒し・・・しかし体力はあまり回復しなかった。


「あ、あれッ!?何で!?」


呪文を短時間に複数詠唱すると、重ねるごとに効果が薄れてくる。ミオンはこの短時間に何度も呪文を使っているために、この現象が発生している。

呪文は短時間の間に乱発すると、回数を重ねるたびに効果が薄れるという効果がある。

今のミオンはそんな状態だ。


レイの身体は、未だに重傷のままだ。



『・・・どうやらそっちもヤベぇみたいだな・・・ハァハァ』


「・・・てめぇもさっきより息荒くなってんぞ。」ハァハァ


『あぁ!?ぬかせザコがッ!!!』


ペーディオは態勢を立て直したレイに高速突進。腕を大きく動かし


『しなる大腕、喰らわしてやるよッ!!』


ペーディオはその大腕を再び振り上げる。


『喰らいなッ!!』


大腕が唸りをあげて襲い掛かる。


ゴオオオオオオオ!!!!



「 『プロイ』ッ!! 」


呪文を唱えたのはミオン。

優しい光が瞬時にレイを包み込み、光の膜を形成する。


!!!!!


大腕がレイに衝突する。



『!!・・・!?なッ、なに!?』


レイに振り下ろした腕が動かない。

しかしミオンの呪文効果はそこまで機能していないはず。


「・・・てめぇの腕キャァッチィィ・・・」ハァハァ


『ッ!?』


レイは何とその竜の手でペーディオの大腕を受け止めていたのだ。ペーディオは腕を掴まれていて、道理で動かない訳だ。

しかし今のレイにそんな力は残っていないはずだが・・・


「ッ!!」


レイは掴んだ腕に飛び乗り、腕の上を駆け上がっていく。


『なッ!!くそッ・・!』


またも硬直するペーディオの顔面をレイは思いっきり蹴り飛ばした。



ブチッッッ!!!!!



鞭のようにしなったレイの蹴りは豪快な衝撃音と共に、ペーディオを逆サイドの壁に突き飛ばす。


『ギィッ!!!』



!!!!!!!



壁の衝突で周りの壁もが倒壊し、祠自体が崩れ去った。

しかしまだレイのターンは終わらない。


『くッ、クソザコがあああ!調子乗んなああああ!!!』ガラガラ・・・


ペーディオは衝撃で痛む身体を無理やり起こして、猛スピードで襲い掛かる。


「ッ・・・」フイッ


レイは迫りくるペーディオの動きを見切ると、高速で襲い掛かるペーディオを瞬時にかわし、そしてペーディオの横腹を思いっきり蹴り上げた。


「うらァッ!!」



!!!!!!



『ウゥッ・・!!』ベチィィ!!


ペーディオは空高く蹴り上げられ


「フッ・・」ピョンッ


レイもペーディオの場所まで飛び上がり


『くッ・・・・なッ、何でお前上空に!?』


「フンッ!!」


ペーディオに回し蹴り



!!!!!!!



『!!!???』ボゴォォォォ!!!


ペーディオは音を上げて急降下。

ペーディオはそのまま地面にめり込み落下した。


『クッ!!・・クソがァ・・・!!』!!!!!!!


ペーディオは反動で中々立つことが出来ない。立つと同時に激痛が走り、またその場に倒れてしまう。

しかし、それはもう一方も同じだった。


「ハァハァハァハァ・・・・!!!!」


「れ、レイくんッ!?」



(ヤベぇ・・・消耗が激しいわこれッ・・・身体、動かねぇ・・・!!)



龍人体時での体力消耗が大きかったせいで、レイの体力が底をつきそうなのだ。今まで全力で動いていたこともあり、特に脚の筋肉が悲鳴を上げている。


「レイくん、まさか体力がもう・・・!?」


「あ、あぁ。ガチでヤバくなってきた・・・」ハァハァ!


青年時代の竜人が変身(フォルムチェンジ)を行うと、その未発達な身体ゆえに体力は簡単に底を着いてしまうのだ。さらに龍人体時に受けたダメージは中々外に抜けにくい。

今のレイには、相当なダメージが蓄積されているはずだ。


そして今、レイの身体は動かない。



『・・・フッ』


「ッ!!??」


ペーディオがこちらを伺っている、まるで腹をすかせた肉食獣が獲物を見た時のような眼で。

ペーディオは何とか身体を起こして、今にも襲い掛かってきそうだ・・・


「まずい・・・!!これじゃレイくんが・・・!」


ミオンは右手の杖をレイの心臓にあてて、詠唱を始める。


「なッ!みお姉!!次呪文やったら立てなくなるんじゃないかッ!?」



そう。

短時間の間に呪文を複数詠唱した身で、かつMPが0になってしまうと、詠唱者は気力を失って気絶してしまうのだ。


大量の魔力を一瞬で解き放った時、または短時間で多くの魔力を消耗して最終的に0になった時、対象者が気絶することがある。これをオーバーリリース状態という。

今のミオンは、まさにその状態と隣り合わせである。



次、レイのために『シェリエ』を唱えたら、ミオンは十中八九気絶してしまう。


「・・・いいの、気絶するだけだからね。死ぬわけじゃないんだよ?」


「でもッ!でもきぜつ ――――

「そういうの心配しちゃうとこ、まだまだ子供だねレイくん。でも私ね、レイくんが倒すって信じてるからこうしてるんだよ?」


ミオンの杖から青い光のスペルが溢れ出す。


「私はレイくんよりお姉さん。だから当然信じることも出来るよ。だからね、レイくん・・・」


「ッ!―――」



「 必ず、倒してね。」



ミオンは、最後の呪文を唱える。



「 『ベシェリエ』 」



回復呪文『ベシェリエ』。『シェリエ』より多くの傷を癒すワンランク上の回復呪文は、レイの身体を動かせるほどまで回復させた。


呪文詠唱が終わると、ミオンはその場で気を失ってレイの腕に崩れた。


「・・・ありがとう、みお姉。」


レイはミオンを端に寝かせ、そしてペーディオと対峙する。

今日何回目の対峙だろうか。

・・・もういい加減飽きたわ



――― これで最後だッ!!



「ッ・・・!!」


レイは静かに闘志を燃やし、ペーディオの前で構えのポーズ。


『・・・別れはすんだのか?永遠の別れにしちゃァちょっと短くねーかァ?』


「・・・それよりそっちこそ大丈夫なのかよ。」


『ッ!あぁッ!!??』




「俺を殺るチャンス捨てといてよ・・・もう命乞い聞いてやんねーぞこのデカ物野郎がァ!!!」



次回投稿日;4月4日

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