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旅立ち~新たな仲間と黒い影~

「それでは、ついてきて下さい。転生の扉にご案内いたします」


女神様は歩き出した。それにしても、歩いても歩いても草原だ。言い換えれば何もないところだ。こんなところにずっといて女神様は暇じゃ無いのだろうか。


「そういえば、これを渡すのを忘れるところでした!」

「うわっ!びっくりした。どうしたんですか、急に大声出したりして」

「これを渡さないと異世界生活は始まりませんもんね」


そう言うと、女神様が一冊の分厚い本を取り出した。


「これですよ、これ。“ソーレナの書”です」

「ソーレナの書?」

「はい。この本は冒険での出来事を記録してくれるのです」


つまり、ド〇クエで言う「冒険の書」みたいな物なのだろう。しかし、いざ持ってみると結構重くて分厚いし持ってあるくの大変そうだな。


「ただし、これは特定の出来事を文章で記録するだけの物なので記録された部分に戻るなんてことは出来ないので気をつけて下さいね」

「りょっ、了解です。分かりました」


急にメタ的な発言だね。思わず変な返事しちゃったよ。


「それにしても、まだ着かないんですか?結構歩きましたよ」

「もう着きましたよ」

「着いたって、どこに扉があるんですか?」

「すいません。草原のホログラムのままでした。今戻しますね」


女神様が両手を前に伸ばしながら、呪文のようなものを唱え始めた。すると辺りの草原は消え暗闇が広がった。そして目の前には白く光輝く大きな扉が現れた。


「さあ、心の準備はできましたか?」

「心の準備って、


バコンッ!────

質問しようとしたそのとき、扉が勢いよく開いた。扉の向こうには青空が広がっていた。と言うことは、、、、


「ちょっ、待っ──

「行ってらっしゃいませ、サキさま。」


うあああああああぁぁぁ!────────

勢いよく扉に吸い込まれ、そのまままっ逆さまに落ちていった。異世界転生って言えば扉の向こうが異世界なんじゃないの!?

どうしよう。さっき死んだのに、このままじゃまた死んじゃうよ!


あぁ、意識が遠退いていく。もうだめだ・・・・




「うわぁっ!もうだめだっ」


バハッ!

咄嗟(とっさ)に身構えたが大丈夫だ。

どうやら小屋の中のベッドで寝ていたらしい。


「おお。お目覚めになられましたか。」


そこには白髪頭のお爺さんが立っていた。きっとこのお爺さんが私をここまで運んでくれたのだろう。


「お前たち、勇者様がお目覚めになられたぞ」

「本当ですか。今行きます」

「おお、それはよかった」


お爺さんが大きな声で呼ぶと、扉の向こうから何人かの返事が聞こえた。お爺さん以外にも人がいるんだ。後でお礼をいわなきゃな。

それより、今お爺さんなんて言ったの? 勇者?


「よかった。無事にお目覚めになられたのですね」

「一時はどうなるかと思いましたよ」

「いやぁ、これでひと安心だな」

「伝説は本当だったってことだな。」

「そうさ。勇者様が世界を救って下さるんだよ」

「うれしいわぁ、うれしいわぁ」


扉が開くと大勢の人が私を囲んでそれぞれが喜びあった。

それより、さっきから勇者や伝説ってなんの事だろう?とりあえず、さっきのお爺さんに聞いてみる。


「あのぉ、盛り上がってるところ申し訳ないんですが勇者ってなんですか?」

「あぁ、すいません。我々の村に伝わる伝説があるんですよ」

「伝説?」

「はい。『空より出でし者、この世の悪を滅するなり』という言い伝えがありましてね。それであなた様が昨日の夜に空から落ちてきたのですよ!」

「あっ、やっぱり落ちてきたんだ、私。」

「ええ。それは凄い音でしたよ。何事だと思って行ってみるとあなた様が倒れてたんです」

「それで、なぜ私が勇者なんですか?」

「あなた様が大事に抱えていた本ですよ。その本にこう書かれていたんです。『魔王を討伐する』って」


あぁ、ソーレナの書の事か。あれって女神様が言うには特定の出来事を記録するらしいけどどういう規則性なんだろう。


「それで、その本って今どこに?」

「ああ、すいません。今持ってきますね」


そう言うと、お爺さんがソーレナの書を持ってきた。


「その、1ページ目に書かれていたんですよ」


本当だ。確かに書かれていた。

私は興味深く眺めていると、新たに文字が浮かび上がってきた。


『なぜか、異世界の言葉が理解できる』


「うわっ、なんだこれ」

「どうかされましたか?」

「だ、大丈夫です」


私はとっさにソーレナの書を隠した。これはさすがに見られたらまずいやつだろ。というか、言われてみれば確かに。何で理解できるんだろ?


「勇者様、いつ旅に出られるんですか?」


そっか。この村では私、一応勇者なんだ。確かに長居するのも申し訳ないよね。ここは、勇者らしく。


「もう、からだの具合も良くなったのでこの村を出ようと思います」


でも、旅ってどうすれば良いんだろ?


「おお、そうですか。それならこれを持っていって下さい」

「あと、これも」


お爺さんからはいかにもRPGっぽい剣を、お婆さんからは布でできた肩下げの鞄を渡された。


「こんな立派な物貰っちゃっていいんですか?」

「もちろんですよ。あ、ちょっと待って下さいね。おーい、セイラ。勇者様が旅に出られますよ」

「はーい。今行きます」


お婆さんが呼ぶと、扉の向こうから返事が聞こえた。

扉が開くと、そこには私と同い年ぐらいの女性が立っていた。


「勇者様初めまして!私はメイド見習いのセイラと申します」

「勇者様、どうかこの娘を旅に連れていってはくれませんか。彼女は見習いですが家事は一通り出きるんです。それに、村から勇者様に仕えたメイドがいるとなればきっと村が有名になると思うんですよ」


うわぁ、下心まるだしだなぁ。でも、一人で旅ってのも心細いし。私家事苦手だし。


「いいですよ。私一人だと心細いので、是非来てほしいです」

「本当ですか!勇者様ありがとうございます!」


それにしても元気な娘だなぁ。賑やかな旅になりそうだ。


「それでは、行ってきます」

「勇者様、頑張って下さいね」

「この世界に再び平和を」

「セイラもしっかりね」


村の人々の見送りを後に私たちは村を出た。


「これから、何処に向かえばいい?」

「そうですね。ウィルバなんてどうでしょうか」

「そこは、どんなとこなの?」

「ええと、冒険者達には始まりの街と呼ばれています。そこで、冒険者のライセンスを発行してもらったり仲間を探したりするんですよ!」

「なるほどねぇ。セイラは、ライセンス持ってるの?」

「はい!去年取ったばかりなんです」


セイラはポケットからカードを取り出してそう言った。


「見せてもらっていい?」

「もちろん!」


なるほど。ライセンスはICカードのような感じだ。


「このライセンスがあったら何が出来るの?」

「ええっとですねぇ、これがあればモンスターを狩れるようになります。」

「そうなんだ。他には?」

「他には、職業にもよりますが呪文が使えるようになったり冒険に役立つスキルを覚えられたりしますよ」

「セイラは何か呪文とか使えるの?」

「いえ。私はメイドなので呪文じゃなくて家事スキルしか覚えてないです。けど、絶対勇者様の役に立ちます!」


セイラは胸の前でガッツポーズをしながら自信満々に言った。


「そういえば、勇者様のお名前をまだ聞いてませんでしたよね」

「あっ、ごめんね。忘れてたよ。私は衣笠サキ、21歳。これからよろしくね」

「サキ様ですね!こちらこそよろしくお願いいたします!」

「それにしても、セイラは元気がいいね」

「はい!元気だけは誰にも負けませんよ」


他愛もない会話を続けながら歩き続けた。村を出てから結構時間が経ったと思う。日も傾いてきた。まだ、着かないのだろうか?


「ねぇセイラ、まだ着かないの?」

「もう着きますよ。ほら、あそこです」


セイラが指差した先を見てみると、そこには賑やかな灯りに包まれていた城下町があった。


「あと30分位で着きますよ!頑張りましょう!」

「あはは・・セイラは元気だねぇ」


その後は二人で黙々と歩いた。


「着きましたよ!サキ様!」

「す、凄い、、」


思わず声が出た。目の前にはファンタジー世界から飛び出して来たような街が広がっていた。賑やかな屋台には見たこともない料理や宝石や他にも色んな物が沢山置いてあり、お祭のような雰囲気が漂っていた。その奥には、家が広がっていていかにも城下町という感じだ。


「サキ様、行きましょう!」


セイラに手を引かれながら私は門をくぐった。


「凄いね。ここは普段から賑やかなの?」

「そうですよ。ここら辺は凶暴なモンスターもまわりにいないので沢山の人が住んでいるんですよ」

「そうなんだ。でもこんなに広いと迷いそうだね」


ぐうぅ~──

お腹がなってしまった。仕方ないよね、お昼から何も食べてないもん。


「サキ様、お腹空きましたか?実は私もお腹が空いていまして」

「どこかいいお店ある?」

「ありますよ!安くて美味しい定食屋が!」

「いいねぇ。そこ行こうよ」

「はい!案内しますね」


それにしても、凄い人だ。ちょうど夕飯時だからだろうな。


タッタッタッタッタッタ────

「どけっ!」


ドスッ──


「痛ってぇ」


「大丈夫ですかサキ様!」


セイラが慌てて駆け寄ってきた。


「うん。平気だよ。それより何だったんだろうね」

「そうですよね。走ってきていきなり『どけっ!』って」

「顔は見えなかったけど子供だよね、さっきの」

「どうせ行く宛もないのが店のもの盗んだんじゃないんですか?」

「そういうものなの?」

「ええ、よくありますよ。特にこういう大きい街では」

「そうなんだ」


私は起き上がると、転けた拍子に飛び出したソーレナの書を拾い上げた。ソーレナの書が若干光っているように思えたので表紙をめくってみると、


「ん?なんだこれ」


そこには『最初に訪れる街では面倒事に巻き込まれがち』と書かれていた。


あぁ。なんだか嫌な予感がしてきた──────












前回から、引き続きで第二話になります。第一話が少し短いと感じたので今回は少し長くしてみました。

初めての小説なのでグダグダな部分ばかりだと思いますが、楽しめてもらえたらうれしい限りでございます。

感想やご意見がありましたら、是非お書きください。


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