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08 お姫様をさらおう

「ウィザー様、今度は国を相手取りましょう」


「いきなりなんの話だ?」


「もう忘れたのですか? 悪行ポイントの話ですよ」


「あー、そんな話もあったなぁ」


「前回は近場の村で手軽に済まそうと考えたのがいけませんでした。やはり魔王は魔王らしく、どんと大きく一国を相手取るべきだったのです」


「はぁ、国を相手にねぇ――いや待て、ドリィ……お前まさか……」


「さすがウィザー様、気付かれましたか」


「姫かっ!? この国の姫をさらおうと言うのだな!」


「その通りです!」


「うむ、いい! 実にいいぞ! これこそまさに、ザ・魔王って感じだな! いや、別に俺は魔王になりたいわけじゃないけどなっ」


「ええ、それに今回は下調べも完璧です。適正年齢の姫がこの国に存在することを確認しております」


「さすがドリィ! ――と言いたいところだが、一つ確認しておきたいことがある」


「はっ、なんでしょうか」


「適正年齢の姫がこの国に居ることは分かった。しかし――実は見た目がゴリラでした――とかそんなオチはないよな?」


「ご安心くださいウィザー様。下調べは完璧と申したはずです」


 不敵な笑みをこぼしながら、ドリィはあらかじめ用意しておいた姫の映像を見せる。


「あら、かわいい」


 そこには見目麗しい姫の姿が映し出されていた。


「パーフェクトだ、ドリィ! では、出陣の用意をせよ! 姫を我がダンジョンにお連れするのだ!」


「そして姫を奪還すべく、次々とダンジョンに冒険者や騎士団の連中がやってくるという寸法ですね!」


「その通り! もしかしたら“勇者”もやってくるかもしれんぞ!」


「おお! もし勇者を撃破したらウィザー様、魔王として一躍有名人になれますね!」


「かぁーっ! 参ったなー、別に俺は魔王になりたいわけでも有名になりたいわけでもないんだけどなーっ! ほんと参るわー!」


 まだ見ぬ明るい未来に想いを馳せながら、ウィザーたちは姫が住まう王都へと到着する。

 しかし――


「うわー! 隣国の侵略だぁー!」


「騎士団は壊滅したってよぉ! この国はもうおしまいだぁ!」


 王都は燃えていた。

 長き歴史を誇るこの国は、隣国の侵略により今まさに滅びの時を迎えようとしていたのである。


「ウィザー様、これどうしましょう……?」


「どうしましょうって、お前……」


 ウィザーは少しの間思案して、一つの決断を下す。


「――帰るか」


「そうですね、帰りましょう」


 そしてウィザーたちは、燃える王都をあとにした。

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