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04 名前をつけよう

「ウィザー様、私思ったのですが……我々のダンジョンにも“名称”が必要なのではないでしょうか?」


「ほう、名称とな?」


「はい、思えば“世○樹の迷宮”や“ル○ランの地下迷宮”、そして“ルトラルガの迷宮”など……世界的に有名なダンジョンには全て固有の名称が付けられています」


 対して彼らのダンジョンには固有の名称がない。

 ただ単にダンジョンと呼んでいるのが現状だった。


「……待て、他はともかく“ルトラルガの迷宮”とやらは聞いたことがないが、そのダンジョンは有名なのか?」


「様々なダンジョンが乱立しているこの時代――」


「あれ、無視っ!?」


「――もはや“ダンジョン”だけでは、どこのダンジョンを指しているのか分からなくなってしまっているのです」


「ふむ、無視されたことはショックだが、確かに一理ある話だ」


「そんなわけで、我々のダンジョンに是非とも格好いい名称を付けていただければと思います」


「よし、そういうことであれば任せるが良い!」


 ウィザーは暫くの間思案したあと、おもむろに口を開く。


「俺たち二人の名前をとって、“ウィザー&ドリィの迷宮”とかはどうだ?」


「……ウィザー様、個人的には諸手をあげて賛成したいところですが、それは色々とギリギリなので却下です」


「そうか、悪くないと思ったんだがなぁ」


 いくら魔界といえど、今は色々と厳しいのである。


「では、将来的にそうなるようにとの願いを込めて、“世界一の迷宮”なんてのはどうだ?」


「……さすがに今の状況では誇大広告が過ぎるかと」


「なに問題ない。何処かから文句が来るようなら、うちのダンジョンは世界一せかいいちの迷宮じゃないですー。世界一せかいはじめの迷宮なんですー、とか言っておけばいい」


「それじゃ詐欺じゃないですか……」


「ダメか?」


「賛成はできかねますね」


「ふぅむ、迷宮の名称と一口に言っても難しいものなのだなぁ」


 その後、ウィザーとドリィは三日三晩もの間、案を出しては却下する――の繰り返しを行った。

 そしてついに――


「もういい、めんどくさい!」


 ――面倒になった。


「ドリィ、このダンジョンがある地方はなんて言う!?」


「リルガミン地方ですが……」


「じゃあ、それで! 俺たちのダンジョンは“リルガミンの迷宮”ということにする!」


「はっ、地域に根ざした良き名称かと存じ上げます」


「うむ、ではこれにて解散!」


 こうして、彼らのダンジョンは“リルガミンの迷宮”という名称を付けられることとなった。


「“リルガミンの迷宮”――今はまだ殆ど知られていないこの名前ですが、今後、全世界――いえ、全次元にその名を轟かすことになるのです……」


「……どうした、ドリィ? 独り言か?」


「いえ、演劇の練習です」

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