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永遠の一秒  〜佐久間警部の帰郷〜(2024年編集)  作者: 佐久間 元三
プロローグ
1/26

帰郷(2024年編集)

久しぶりに書きたくなったので、少しだけ加筆修正します。

タイトルロゴに、(2024年編集)と書いてあるものが、加筆修正が済んだものです。

物語自体の改変は、あまりしないので、先が気になる方は、ご自由にどうぞ。

 静岡県浜松市浜北区。


 かつては、浜北市であったが、2005年の市町村編入によって、合併された地である。


 佐久間は幼少時代、この地で育ち、いつか戻ってきたいと思っていた。捜査が一区切りしたことを機に、英気を養おうと、家族に声を掛けた。日頃から、家に殆どいない、佐久間の提案に、家族は大いに驚き、そして、素直に喜んだ。子供たちは、「お父さんの気が変わらないうちに、早く行こうよ」と母の千春にせがんだが、千春は「静岡は、逃げません」と一蹴した。


(まいったな)


 佐久間も、家族サービスが出来ていないことを、重々分かっていて、「寂しい思いをさせて、ごめんな。せめて、おいしい食べ物を、たらふく食わるから」と苦笑いするしかなく、それを見た子供たちは、「絶対、約束だよ。僕、クラスで、旅行のこと自慢するからね」と足早に、部屋に戻っていく。


「あらあら、もう旅行準備するのかしら?あの行動力は、…あなたに、似たのかもね」


 千春も、まんざらでもないらしく、子供たちの後を追った。


(………)


 佐久間は、縁側で、タバコに火をつけると、静岡の夜空を探した。



 ~ 東京駅 ~


「ねえ、お父さん。駅弁を二つ、買っても良い?」


「もちろんだ。駅弁を食べるのが、新幹線の醍醐味だからな」


 駅弁は、子供の目線高さに、陳列しており、自ら、選べるのが嬉しい。目移りしながらも、子供たちは、釜飯と焼売弁当を手にとり、千春に手渡すと、さっさと、店外へ出て行く。


(…即決か。誰に似たのだろう)


「あの子たちをお願い」と、目で合図された佐久間は、慌てて、後を追う。


「幕の内弁当を頼む、絶対だぞ」と言い残して。


(あらあら)


 普段とは違う亭主の姿に、思わず、微笑む千春であった。



 ~ 浜北区の小学校 ~


 澄み切った、そして、少しだけ、初秋の懐かしい風が、肌に触れる。


 昔、佐久間を育んだ建物は、色褪せたとはいえ、当時の面影のままだ。


(校歌の記念碑も、敷き詰めている丸い石も、日が当たらない玄関も、体育館の通路も、風化したとはいえ、他には、何も変わっていない。…昔のままで、嬉しいな)


 校庭に造成された、小盛りの丘に、競い合って、駆け上がった。ジャングルジムの天辺で、周囲の景色を確かめている、子供たちの姿が、何よりも嬉しい。


(ささやかな希望が、叶ったな)


 子供のように、はしゃぐ佐久間を、千春は、『珍しいわ』と、シャッターを切った。いつもの佐久間といえば、昼夜問わず、誰かと電話するか、すぐに、呼び出されてしまう。夫婦の会話は、普通にあるが、目の奥では、『事件を追いかけているな』と、時折、感じることがある。普段から、言葉使いがきれいな佐久間からは、想像もつかない。


(これは、中々、貴重(レア)ですな、後で、氏原()くんに見せよっと)


 一通り、遊具を満喫した佐久間は、しみじみと、子どもたちに語りかける。


「パパは、昔、母さんに叱られて、あの家から、追い出されたことがある。それで、この場所で、同じように三角座りして、あの家を眺めた。しばらくすると、母さんや兄貴が、パパの名前を呼びながら、真っ暗なあぜ道を、懐中電灯で照らしながら、探していたな。『お前は、もう家の子じゃない、出て行け』と言われたものだから、パパも、意地を張って、この場所に(うずくま)ってさ、『寂しさで、押し潰れそうになる気持ち』と、『帰ってやるもんかっていう、意地っぱりの気持ち』が混ざって、一人切りで、オンオンと泣いていたな。お前たちには、分からないかもしれんがな」


「……あなたも人の子ね。山川さん、今のあなたを見たら『ほおぉ』って顔するわね」


 無邪気に、丘を駆け下りる佐久間。


「良いんだよ、たまには。戦士にも、休息は必要だ。なぁ、絢花、智己!」


「まあね。でもパパ、はしゃぎ過ぎじゃない?ママのあの顔、どう見ても、引いてるんじゃない?」


「故郷とは、こうまで人を変貌させるのね。…びっくりだわ」


「君だって、はしゃぐことはないのかい?」


「故郷って、言われても。だって、千葉県(お隣)で、電車で、30分で行けるし」


「まあ、そうだな。……そうだ、あそこに、タイヤの跳び箱があるだろう?パパさ、小学生の頃、あの跳び箱で、ふざけて片手飛びしたんだけれど、全体重が左手に掛かってさ、骨にヒビが入って、のたうち回ったんだ。…ということで、今度は、タイヤの跳び箱(あそこ)で、記念撮影だ!」


 一目散に駆けていく、そして、初めて垣間見る、無邪気な父親の背中。


 絢花と智己は、互いに顔を見やると、夢中で背中を追った。


「すまないが、ここでも、写真を撮ってくれないか?」


「はいはい、分かりました。何枚でも、お撮りしますわ」


 校庭を走り回る、子供たちを横目に、ブランコに腰掛け、佐久間は思いを馳せる。


「……故郷って、ありがたいなあ。日頃のストレスが、嘘みたいだ」


 千春は、秋風で乱れた髪を、そっと直しながら、微笑んだ。


「今までが、忙し過ぎたのよ、きっと。だから、あなたも帰郷したくなった。……二人とも、パパと並んで、ブランコに乗りなさい。写真を撮るわよ」


「はーーい」

「分かった」


 その時である。


「あの、失礼ですが。…もしかすると、佐久間さん?」


(------!)


 足で、地面に「ズズズッ」とブレーキを掛け、思わず後ろを振り向く。自分と同い年位だろうか?一人の中年男性が、恐る恐る、こちらを窺っている。


「そうですが?」


(…どこかで見たような)


「やっぱり!俺だよ、俺。泰成だよ、分かんないかな?」


(------!)


「泰ちゃん?本当に?あの村松泰成?」


「その通りだ!いやー、久しぶりだなー!びっくりしたぜ」


「私もだ!」


 佐久間は、熱い抱擁を交わすと、家族を紹介した。


「泰ちゃん、妻の千春に、長女の絢花、それと長男の智己だ。千春、こちらは、村松泰成さん。昔、サッカーしたり、ファミコンやったり、缶蹴りしたり。…とにかく、日が昇って、日が落ちるまで、毎日のように遊んだ仲間さ」


「初めまして、妻の千春です。主人がお世話になってます。さあ、あなた達も挨拶しなさい」


「初めまして、絢花です」


「…智己です。パパ、ファミコンって何?」


「昔、流行ったゲーム機の呼び名さ」


「パパが、ゲームする姿ってさ、想像出来ないんだけど。お姉ちゃんどう?」


「うーん、全く、分かんない」


 絢花も、同意見だ。


「どうも初めまして、村松です」


 村松泰成は、子供たちの頭を撫でながら、

「なあ、佐久間。一体、何年ぶりぐらいだ?」


「…二十年ぶり?……くらいかな?」


「ふた昔か。時が経つとは、このことだ。…どうだ、故郷の空気()は?」


「格別だよ。…それより、泰ちゃん。何故、小学校(ここ)に?」


 村松泰成は、ほくそ笑む。


「お前と、一緒だ」


(……?)


「ほれ、あそこのウサギ小屋に、子供がいるだろう?…俺の、息子さ」


「お互い、年取るわけだ」


「どうしても、自分と、同じ小学校に通わせたくてな?…思い切って、東京からUターンしたんだ。今は、小林に住んでいるんだ」


(------!)


「東京にいたのか。どこに住んでいた?」


「下北沢だよ」


「私も、下北沢に住んでいたぞ。どの大学に?」


「明治大学の、法学部だ」


「泰ちゃんは、昔から、賢かったからな」


 村松泰成は、少し照れ臭い表情で、

「辞めてくれよ。今は、実家を改装して、司法書士をしている。…お前は?」


「警視庁に、進んだよ」


(警視庁…警察官か?)


「高校から別々だったから、全然分からなかったよ。それにしても、まさか、警視庁とはね」


 二人は、大笑いしながら、再び抱擁をする。家族は、普段とは違う佐久間の姿に、目を見張った。


「なんか凄いね、あの二人。ねっ、ママ?」


「…そうね。でも、何だか、私たちも嬉しいね。パパのあんな顔、初めて見るものね?」


「うん。いつもは、冷静で静かなパパだもん。こっちのパパも、中々良いよ!」


「あなた、ウサギ小屋見てくるわ。ほら、行きましょう」


 懐かしそうに、会話を弾ませる佐久間を気遣い、千春たちは、席を外した。


 佐久間は、千春の気遣いに感謝しつつ、他のクラスメイトについて、近況を聞きたくなった。


「静岡県を出てから、クラスメイトの情報がないんだ。中村、深見、櫻井先生は、どうしているかな?」


「中村光利は、昔、住んでいた道本から、浜名湖の(ほとり)の、細江町に移り住んでいる。親父さんの工場を継いで、医療品関係だったかな?奥さんは、何と、真央ちゃんだ」


(真央?)


「真央って、あの真央ちゃんか?…確か、ずっと、お前が好きだった?」


「ああ、光利の野郎に、取られちまった。……まあ、それは良いさ。今の妻とでないと、息子は産まれて来なかったわけだから。…どこまで、話したっけ。……ああ、深見ね。深見和生は、都内の大学で、確か准教授していたな。大学名は、確か……。忘れたよ」


「櫻井先生は?」


「櫻井先生は、隣の磐田市で、ずっと教鞭取られていたな。今は、確か教頭で、来年の3月で定年だよ。同窓会を開いたら、来てくれるか?」


「ああ、もちろん。みんなに会いたいな」


「じゃあ、絶対に連絡するから、住所を教えてくれ。光利のやつ、喜ぶぞ。何せ、結婚式の当日まで、お前の行方を捜していたからな。『佐久間の居所だけが、分からない』ってさ」


「……それは、悪いことしたな。こちらからも、連絡とってみるよ」


「そうしてやってくれ。……今日は、お前に会えて良かった、じゃあな」


「ああ、またな」


 村松泰成は、佐久間の肩をポンと叩くと、千春たちと挨拶を交わして、去っていく。


 佐久間は、時代の経過を噛みしめながら、去りゆく旧友を見送ると、

「昼ご飯は、ここから少し遠いが、うなぎを食べに行くぞ。天龍市内に、昔ながらの名店があるんだ。浜名湖で獲れた天然のうなぎは、びっくりする程、美味しいぞ。何と、二重底のうな重だ」


 うなぎが大好物の子どもたちは、『キャッ、キャッ』とはしゃぐと、千春の手を取り、駆け出そうとする。


「早く食べに行こうよ、お腹減ったよ」


「はいはい、分かりました。……あなた、小学校(ここ)は、もう良いの?」


「…ああ、十分すぎる程、嬉しかったよ。午後からは、子供たちが、楽しめる所を案内するよ。私本位で、申し訳ないがね」


「あら、いつもの佐久間(あなた)に戻ったわ。捜査一課は、今頃、クシャミしてるわよ」



 ~ 東京都、府中市山中 ~


「へー、くしょん」


「風邪ですか、山川さん」


「……いや。多分、誰かが噂してるんだ。ところで、機動捜査隊(やつら)は、まだか?」


 捜査要請を受けた山川たちは、東京都府中市の、とある山中に来ている。


 現場は、道中から外れたところで、一筋縄ではいかず、難儀している。


 沢をくだることになった山川たちは、苦悶の表情で、木の枝を払い、蜘蛛の巣を避け、堆積した落ち葉に、足を取られながら、慎重に歩を進める。


 歩を進める度に、足が埋まり、靴に腐った落ち葉が入る。


(くそっ)


「何で、こんなに辺鄙な場所で、被害者(ホトケ)が出て来るんだ。どうみても、長靴がいるぞ」


 日下が窘める。


「仕方がないですよ。簡単に見つかる所には、人は埋まっていませんから。…それより、あと少しです。ほら、あそこに、機動捜査隊(彼ら)が見えますよ」


 山川と日下は、やっとの思いで、人なき道を下り、川沿いに着いた。開けた場所で捜査している、機動捜査隊に合流した。


「お疲れ様です。第二機動捜査隊所属、橘です」


 山川は、苦労した顔を見られたくないのか、ハンカチで汗を軽く拭うと、威厳を見せる面持ちで、橘に答えた。


「ああ、お疲れ様。お前たちも、苦労したな?…ところで、被害者(ホトケ)は?」


 周辺を見渡し、ふと、警察犬がいる所に目を向けた。


 警察犬がしきりに吠え、六名の機動捜査隊員と、所轄署の警察官たちが、懸命に、地面を掘り起こしている。


(…あそこか?)


「はっ。本日、七時二十分頃。110番通報で、こちらに駆けつけたところ、身元不明の、白骨化死体を発見。今、鑑識官たちによる、証拠保全中です」


(………)


「そんなことは、見れば分かる。それより、第一発見者は?」


「あそこの老夫婦です。山菜採りに、早朝から山に入り、川沿いの、この場所で休憩しようと、たまたま立ち寄ったところ、躓いて、転んだ拍子に、人骨らしきものを発見したと」


(……たまたまね)


「状況を詳しく聞いてみよう。日下は、橘くんから、他の情報を得てくれ」


「はい、分かりました」


 山川は、わざと、不信感を醸し出しながら、第一発見者に歩み寄る。山川の悪い癖である。


 第二機動捜査隊所属の橘は、山川が、いなくなったのを確認し、日下に囁いた。


「…あの、日下さん?」


「はい?」


「いつも、あの人は、あんな感じですか?高圧的というか、横柄というか」


(………)


「佐久間警部が不在で、イライラしてるんだよ」


(ああ、それでか)


「佐久間警部なら、気さくに、意見を聞いて貰えるし、機動捜査隊(うちら)の中でも、佐久間警部に当たると『ラッキー』って、心の中で、ガッツポーズします」


「まあ、佐久間警部(あの人)を、悪く思う人はいないな。部下からの信頼も厚いし、上層部(うえ)からの、評価も高いし。きっと、ああいう人が、警視総監(トップ)になれるんだと思うよ」


「僕も、捜査一課に入れば良かったかな。機動捜査隊(うち)の仕事って、その場で解決出来ないものが、多いじゃないですか。大抵、捜査一課にお願いすることになるし。モヤッとした感が、結構あるんですよ」


(………)


「まあ、気持ちは、分かります。でもね、ここだけの話、捜査一課で、何でも解決しているというのは、大きな声じゃ、言えないんですがね、少し語弊があります。解決する=ほぼ、佐久間警部の推理による賜物なんです。…驚かれるかもしれませんが」


「そんなにですか?」


「…ええ、そんなにです。犯人の行動心理、行動分析を、プロファイリングするんです。言わずと知れた、スペシャリストですね」


 橘は、心底、感心した。


「上に立つ人間()は、やはり、何か特異性がないと、ダメなんですかね?」


「僕の知る限り、佐久間警部は、どの能力も、トップクラスだと思います。だから、あの人を見ていると、自分に足らないものが、嫌と言う程、分かります」


 鑑識作業が終わり、山川に声を掛けようと、日下が、振り向いた時である。


「…どうせ、俺は、人望ないよ」


(------!)

(------!)


 後の祭りで、山川が、不機嫌な表情で、二人を睨んでいる。


「い、いやあ、山川さん。これはですね?」


(……ふん)


「まあ、良いさ」


「あ、あの、山川さん。第一発見者から、何か、有益な情報を、引き出せましたか?」


 橘も、話をすり替えようと、必死だ。


「いいや。……ただな、今回、遺体が埋まっていたところは、過去にも、同じことがあったんだと」


「同じって、この場所に遺体が?」


「ああ、そうらしい。だから、地元の人間とか、山菜採りの連中は、余程のことがない限り、休憩しないそうだ。気味悪いからな」


「はあ、そんなことが」


 山川は、経緯を話しつつ、地形に関して、持論を展開する。


「事件性を抜きで考えると、この場所は、地形的には、休憩に適しているぞ。山中にしては、スポット的ではあるが、平場で開けているし、川沿いだ。迷ったら、沢を下れば、麓に出られるしな」


「そう言われてみれば、おかしくはないですね」


 鑑識官が、山川に、中間報告に来た。


「山川刑事。被害者(ガイシャ)は、どうやら女性ですね」


(まあ、骨の大きさから、そうだわな)


「死後、どのくらい経過しているか、分かるか?」


「とりあえず、科捜研で調べてみないと。でも、おそらく、科警研生物第二研究室(二研)でしか、個別識別は、出来ないでしょう。…かなりの年数が、経過していると思います」


(科捜研か)


「…山川さん、氏原さんに、連絡しますか?」


 山川は、首を横に振る。


氏原(あいつ)に、直接、話が出来るのは、佐久間警部だけだ。そもそも、薬物判定が専門だしな。ちと、面倒だが、公式な手続きで、依頼しよう」


(………)


 日下は、山川の判断を、『佐久間警部なら、どうするのだろう』と考えながら、ふと、前方の黒い石碑が、目に入った。


「あの、山川さん。あそこに、何か、石碑がありますが?」


(石碑?)


 山川たちは、日下が見つけた石碑に近づき、調べようと、手を伸ばした。


「ダメですよ、無闇に、近づいては!」


 老夫婦の声だ。


「近づいてはダメ?どうしてですか?」


「あの石碑は、誰が建てたのか、分かりませんが、『触った者は、皆、不幸な死に方をした』と言い伝えがあります。だから、悪いことは言わない、やめておいた方が良いですよ」


(馬鹿馬鹿しい)


「おい、日下、試しに触ってみろ」


(------!)

(------!)


 二人は、顔を合わせ、生唾を飲む。


 石碑に一歩、また一歩近づく。


 禍々しい負のイメージが、日下の脳裏を支配し、足が止まる。


「…山川さん、やめておきましょう。言い伝えには、尾ひれがつきますが、実もあるはず。何かヤバイ気がします」


「橘くんは?触ってみるか?」


 橘も、即、否定した。


(つまらんな)


「…とりあえず、鑑識作業も、大方完了したようだし、捜査一課に戻るぞ。『科捜研の報告を待つ』と担当者へ、申し送りしてくれ」


「了解しました」


 こうして、山川たちは、現場検証を終えたのだった。


(警部、緊急性は、高くなさそうです。ゆっくり、お休みください)


 辺りは、早くも、日が落ち始めていた。

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