先生という人
こんにちは、こんばんは川端です。
ぼちぼち完結させていこうと思います。
それでは、「名前のない英雄」どうぞ
腹痛&腹痛
部屋に戻ってすぐに、先生はテレビを点けた。
ゲームをするわけでもないので、画面に写る番組はどれも日頃の事件等に関するニュースや、テレビショッピング。ドラマなど様々ではあったが、どれも先生の興味をそそるものではないらしく、番組は次々変えられていった。
おかげで、どれも中途半端に観てしまったから続きが気になってしまう。
「暇……ですね」
「えぇ、暇ね」
どうやら先生自身も「暇」を感じているらしい。
だが、なぜだろう。あえてテレビを切って近づいてくるのは。
「…………」
「………………?」
「…………」
「…………??……あ、あの、先生?」
「えぇ。なにかしら」
先に無言に耐えられなくなったのは自分だった。
「なぜ、ベッドにお座りに?」
「……へんかしら?」
と、言われ返答に困った。いや、世間一般的に考えれば、病人(自分がそれに該当するのかはさておき)のベッドに腰を掛けるなんてこと。しない。だが、もしかしたら座る可能性もないわけではない。
だから、そこに文句はない。
強いていうなら、若干太ももを踏んでいるのがもどかしい。
遠慮からの若干なのか、無意識の偶然の事故による若干なのか。
この際踏むなら思い切り踏んでくれ。と、心のなかで叫びつつ──
「そりゃ、普通椅子に座るでしょうね!?」
と、やはり言わずにはいられなかった。
「……わかったわ」
「なんで不満そうなんすか」
「不満なの」
「そのまんまかよ!」
素直に移動したな。と、思ったのもつかの間。
彼女は明らかに拗ねたような表情をして、僕を見つめていた。
「……それで、なんかようですか?」
「…………?」
「え、特にないやつですか」
「そうよ」
「まじか。なんかわかんないけど、すっごい先生分かりやすい」
しかし、これでは暇を持て余すだけだ。だからこそ部屋でできる「なにか」を考えたわけだが──
結局、部屋で何のアクションのない時間を数時間ほど過ごした。
僕がベッドで横になり、その隣に先生が椅子に座って待機する。
「……暇、ですね」
「……………………暇ね」
もう千回目位ではないかと思える会話。僕からしたら初対面の人にただの真顔で、無言で横に座られるのは、恐い。だからこそ何かしらの会話をしてしようと試みているのだが、この人はほとんど相槌しか打たず、続かない。困り果てて同じことを何度も聞いているのだが、回答に変化は求められない。
またもや沈黙が訪れたたその時──
『ビーッ!ビーッ!ビー……』
今までの静寂を否定するような慌ただしいアラームが鳴る。
それに対して先生が急に立ち上がると、僕の襟首を掴んだ。
ご愛読感謝です。
今回は「先生さん」という人の人物像を短めに描きました。
彼女は物事にあまり興味を示さない。
紫陽の側には居たい。けど、それを口には出さない。
そんな感じが描けていればなと思います。