七十四話 悪魔種の地獄
エアトスからの了承は取らずに彼は次の議題を語り出す。
「ではお伺いしますね。・・・・・・貴方の目的はなんですか?」
問いかけらえるのは答えることの出来る質問であった。だから彼も口を開く事にした。
『簡単だ。我らの目的は星冠を手にして創造主であり、仕えるべき存在である陛下。全魔皇帝をこの世へ復活させて悪魔種を封印から解放させることだ』
彼の返答を耳にしてハティスは少しつまらなそうにしている。
「・・・・・・それだけですか?」
『なんだと?』
正直言って想定通りの返答が来て眉を顰めるしかない。
「本当にそれだけ? ・・・・・・そんなわけなどありませんよね」
『何を根拠に・・・・』
エアトスの咄嗟にはなった言葉。これがあだになってしまう。
「根拠は分かりませんよ。・・・・・ただ。貴方は今向きになった。それだけで有る程度確信できるんですよ。・・・・・・本当にそうなんですかね・・・・」
含みのある言い方をして焦らす彼にエアトスは痺れを切らす。
『・・・・何が言いたい・・・』
「・・・・・貴方達が本当に其れを望んでいるのだとしたら。・・・・・・・とっくに終わっていると思うのですが。・・・・・・何故ですかね。貴方達は未だに手をこまねいている・・・・。おかしいと思いますね」
返しの困る問い掛けにエアトスは黙る。黙るしかない。
「・・・・・沈黙ですか。・・・・・まあ、いいでしょう。先程通りやるだけですから」
やれやれと困った様子であるが元より掛け合いという物には期待していなかった。だから先程エアトスが話し出したことは想定外で有り、急に口を紡ぐのは想定内であった為元の形に戻るだけであるため全く支障が無いのだ。
「話を続けますね。・・・・・先程の主張通りなら悪魔種の封印は解かれて、全魔皇帝とやらはこの世界に顕現しているはずです。・・・・・・貴方方の力ならば其れが出来る。出来てしまうくらいの力を有しているはずです。・・・・・ですが今現在そうはなっていない。・・・・・・おかしいですよね」
遠回しすぎるハティスの追求。その言い回しに彼も少しイライラしてきている。
『・・・・何が言いたい?』
「・・・・・貴方方の目的が本当にその二つなのか。・・・・と言うところが疑問なんですよ。何か他にも目的があって行動しているのではないかってね」
言葉を句切るとハティスは首を傾げながら続きを口にした。
「・・・・・そうで無ければ説明が付かないんですよ。・・・・・なんでわざわざこんな遠回りな方法で地上を攻めるのかってね・・・」
閉口してしまうエアトス。だがその反応だけで有る程度当たりなのだと確信できた。
「そうですかそうですか。・・・・・では一体に何が目的なんですか?」
『・・・・答えるとでも?』
「思ってませんよ。・・・・・ですがそれが気になってしまうんです。・・・・・全く嫌になりますよ」
自分の性質がわかりきっているハティスは少し其れに嫌気が差している風に装う。
「・・・・話が逸れてしまいましたね。・・・・・ではここからは私の考察をお聞きください」
エアトスからしたら尤も嫌な時間が訪れてしまった。だが彼からしたらどうにも抵抗できなかった。精神操作を仕掛けてみても何故か彼には効かない。何度も使用しても効果が出ないのだ。だからただジッと反応するしかない。偶に嘘の表情も入れてみたりもした。だが彼は其れには全く反応せずに真実だけを読み取っていく。エアトスからしたら嫌な存在であった。
「さて。・・・・・では本題からいきましょうか。・・・・・・貴方達は本当に復活を望んでいるんですか?」
『当たり前だ!』
地雷を踏んだハティスに立ちしてエアトスは叫んだ。
『我ら悪魔種は封印されている間どのような環境にいるのか分かってないな。あそこは地獄だぞ』
悪魔から見て事後置くとはどのようなところなのか想定しづらいものだ。
「地獄?」
『ああ地獄だとも。何もかもきちんと整備されていて空気も清らか。そこにいるだけで自分の悪意がなくなるような感覚に襲われる』
話を聞いていて極楽の間違いではと思ってしまう。
『話を聞いたら極楽だと思うだろ? だが悪魔種にとっては違う。悪魔種って言うのは悪意と汚染によって生れた存在だ。だからそんな規則正しい清らかな空気の中では生きてはいけない。封印された後。半分の悪魔種はその空気に順応できずに死んでいった。そして残る半分は順応してしまった結果悪意が消え去ってしまい悪魔とは言えない存在になってしまった』
悪いことだとは思わないのは其れは悪魔種ではないから。
『悪魔種にとって悪意というのは力だ。其れがなくなったらもはやそれは悪魔でもなく人でも無い。それ以下の存在。ただ生きている屍に過ぎない』
苦虫をかみつぶした様な表情が浮かぶ。今までの彼らかしたら珍しいことであった。
『・・・・・・さっきの聞いた事があったな。魔王種って言うのは全魔皇帝が作り出した存在じゃないかって。・・・・・そうだよ。この悪魔種にとっての地獄から彼らを解き放つために俺達は作られた』
今さら彼は先程の質問の回答をし出す。それはそれくらい今のハティスの発言にむかついたからに他ならないであろう。だがそれは彼からしてみたら好都合であった。
『俺達は悪魔種のプライドを守る為に創られた希望の存在だ。・・・・・・だからな。こんなところで負けるわけにはいかないんだよ!』
エアトスはその体に力を込め始める。為ると少しずつ体の拘束が切れていった。さすがに危ないと感じたハティスも彼から少し距離を取ることにし、離れていく。そのタイミングで彼は立ち上がった。
「驚いきました。・・・・・その拘束。結構自信作だったのですが・・・」
言葉通りその表情は驚いていた。だがそれと同時に冷静でもあった。その目は彼の動きを観察して決して外れることはなかった。
『・・・・・・さんざん好きかってに言ってくれたな』
「・・・・・ええ。語りました。・・・・ですが正直に言えばまだ語り足りないくらいですよ」
彼の言っていることは間違い無く真実で有り、その通りの表情になっている。もっと語りたいと表情に出ているのだ。
『・・・・だがもう拘束は解いた。・・・・・・これからは好きに語れると思うなよ』
「思ってませんよ。・・・・・・それほどうぬぼれているわけでも。貴方達を過小評価しているわけでもないですから」
彼の中では明らかにスイッチを変える。これまで通りでは生けないと戦闘用に切替えたのだ。
『いけ』
背後で作った二つの竜巻をハティスへ向けて飛ばす。
「させませんよ」
だがいつの間にか背後にいたハティスはその竜巻を消滅させると彼の後頭部へ蹴りを入れる。
『っ!』
「まだ終わってません」
数百メートル吹き飛んだはずなのに再び彼は目の前に現れると今度は腹部を蹴られた。
『なにが・・・』
「起っていると思いますか?」
上空の方に飛ばされたというのに彼はまた目の前に現れる。まるで瞬間移動するように。
『っ! まさか』
トリックに気付いたがそのときには方に踵が当っていて地面へ急激に落とされる。
『ぐはっ!』
受け身も取れずに衝突した為肺から空気と血を噴き出す。
「・・・・・どうですか? ・・・・分かりましたか? 私の行なった事」
挑発するように笑い声の交じった声で問答されると。口元の血を拭いながら返答した。
『・・・・・自分時間だけを加速させたのか。・・・・・だからいつも瞬時に目の前に現れる事が出来た』
彼の答えを聞くとハティスは拍手する。
「正解です・・・・・では」
突然四肢の感覚がなくなった。その後に痛みが襲う。
『っ!』
「もう少し話しましょうか」
 




