表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
現し世は桜花の化身  作者: 和達譲
;ウキ編 めばえの章
5/75

;小娘の祈り



嫁入り駕籠に揺られること七日。

険しい山道を抜け、厳しい関所を越えた先にあったのは、華やかなる城下町だった。


祭りの如く賑わう往来、足元を駆ける元気な幼子達。

誰も彼もが活気づき、一人として窶れた顔をしていない。


清潔で煌びやかで、自然の脅威などは何処吹く風で。

まさに平和を体現した有りようは、お伽噺に出てくる異国か極楽のそれ。



地続きにありながら、こうも差とは生まれるものか。

嫉妬に焦げた胸から、何度とない未練が溢れだす。


行くなと引っ張る無数の手を、寂しいと泣く重なった声を、すべてを振り払ってこその今なのだ。

わたしの命ある限り、わたしの命で何が出来るかを、わたしは愚直に考え続けるべきなのだ。



どうか、神様、仏様。

わたしは、どうなったって構わない。

たとえこの身を削ってでも、残した家族と故郷に繁栄を。

件のお殿様とのご縁が、末永く続いてくれますように。


憐れで貧しい小娘の祈りを、果たして聞き届けてくださいますか。






はなくたし』



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ