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それだけを望む   作者: 二尾 二穂
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この作品には反社会的、反倫理的な表現を使用しています。

また、完全なハッピーエンドを好まれる方、他作品(作者の他作品)とリンクするものが苦手な方はお読みになる場合、ご注意ください。

 頭痛がする。

 もう何日もまともに眠ってはいない。

 顔色は、きっとひどいものだろう。


 食欲もわかない。

 栄養補助食品やサプリメントで騙し騙しの生活は、きっと長くは続かない。


 私のことは、私が一番よくわかっている。


 紛いものの生活は、常に自滅と表裏一体。

 こんな生活は、必ず早晩破綻する。


 でも、これだけが私にできる望みをかなえる方法だった。


 捨てることは、できない。

 何も持たない私が、私の望みをかなえるには、これしかない。

 少なくとも私には、これしかわからなかった。

 正解なのか、間違いなのかすらわからない。

 その前に自滅する可能性のほうが大きくて、けれど私はこんな一縷の望みに縋るしかなかった。


 重い倦怠感を抱えているくせに、私の唯一の武器である頭は十分すぎるほどの恩恵をもたらしてくれる。

 いや、望みが叶わなければ、結局は無用の長物でしかないのかもしれない。


 同時に別々のことを考えながら、機械のように私の指先はキーボードの上を駆け回る。

 画面に増えていく文字列は、私の頭の中にある考え事の一つを着実に反映させていく。

 それでも、望みが果たされる見込みはいまだなく、破綻の未来だけが段々と影を差す。


 なのに、恐怖は欠落していた。


 私の心は、果たされずに終わる未来への恐怖がなかった。


 あるのはただ、諦めを知らない渇望だけである。


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