第一話後編『私のElementlum(特性)とあなたのが原因で暴走?』
某駅前付近裏側から続いている雑居ビルがひしめきあうメインストリート。
幾つもの店が連なりその街並みを様々なネオンで彩られ
そんな未だ夜の帳の中を行き交う学生やサラリーマン達がごった返する時刻なのだろうか。
皆それぞれ家に帰宅する者。未だ放課後からの楽しい一時を過ごし会う者…そんな何時もと変わらない風景……
そして、そんな煌びやかな街並みとは裏腹に、この表側から俺こと、葛城光雄は、メインストリートの裏側、薄暗いビルの陰に囲まれる場所にてありえもしね〜自体に遭遇している。
そんな中、この路地裏を根城にする爆烈団っつーバカみてーな集団と、これ又痛々しいっつー言葉が似合う。マリオンとか名乗る謎のコスプレちゃんとの騒動に巻き込まれながらっ。
やっぱり、俺って……
◇◆
「なっ!?俺の…一撃を斬り飛ばしたソレ、ほ、本物か?」
ほんの数分前俺に仕掛けて来た不良集団の内。数名は目を見開き疑う、
散乱するゴミに紛れて首を突っ込み動かない者。はたまた自慢のナイフや鉄パイプを吹き飛ばされ戦意喪失な役2名。
その内の3人係で各々が先程力任せに襲った金属バットや鉄棒で。目線の先に佇む俺とマリオンを吹き飛ばすには充分過ぎる程手応えはあった筈だ。
それ所か逆に蒼く光明に輝く六っつのナニカに四方から獲物を吹き飛ばし、空中に乾いた音源を残しながら方向違いに壁や壊れた自販機に突き刺さり。パチリと放電染みた残像が残る。
空中を我王顏で金属片らしからぬ物が残像を残し飛び回る様は正に手品を通り越し。非現実さえ感じられる意表をつくかのような状況に、額から流れる汗を拭う所か、集団の約3割が「ギャァ!」やら「光虫イィ?」やらてんやわんやに逃げ惑い初めてる騒ぎにってぇ?
突風に煽られるみたいに散らばる紙くずに混じり。捨てられた原チャや壊れた自販機が爆散するわ。その四散した破片が壁や地面を削るように拡散。破壊の余波はそれだけには収まらず。更に拍車をかけるが如く、光速で飛び回るナニカに今度は電柱が砂埃を立てながら倒壊。
まるで壁や地面がネズミかナニカに齧られたようなパニック映画さながらな惨状をゴツい大男を筆頭に半泣き状態で逃げ惑う始末。
半壊した無人の雑居ビルのコンクリートがへしゃげ。
視界いっぱいに広がる砂埃に青白い無数のエーテルがパチリと交差する景色に足元まであるマントをバサバサと暴れさせながら浮かぶシルエットがゆっくりと振り向く。
「はぁ…なんか調子狂うなぁ、能力的にはまだまだだよ」
「いやいや、まだっつってもこれ、アンタまさか?や、ヤバすぎだろ!」
「ん?…アルパテレスの精霊の力を借りて、あの者達を平和的にビビらせ退散させるのが…これだよったく」
「じゃねぇっての、いや、そんな事よかもう十分だし、それにうわっ!危!おおい、この妙なのを何とか」
「へっ?」
ふ、不良共所の騒ぎじゃねぇー!こ、こいつは一体全体なんちゅー魔法をやらかしたのか。
お、俺まで巻き添えになる危ないもんをしでかしては、まるで「これも全部”あなたのせい”だよ!」と、逆ギレしてやがる。
「あり?」
”あなたの”という非常に気になるワードが。
つーか、さっき彼女に渡されたこのヘンテコな杖。右手に持つソレは一体何の金属なんか。たしか不良共と交戦した時に形状が変わったよな?それに、あいつ…俺に'魔力”やら”特性”やら聞いて。いや待て待て待てっ!いやいやいや、ソレを信じる程この俺様は単調バカじゃないからねっ?
ようは、アレだっ!…
こほん。
偶然にもある魔法使いに関わる事になる俺は、内なるチート能力に目覚め。その魔法少女?と、共に『契約』なんか結び。あらゆる事件に巻き込まれながらその少女とっ?
って!?ちがぁーーーうっ!…いや、なんか俺。マジカル的にかなり痛々しいもんを
「コラ…」
これはそう。”夢だっ!”…何時もいつもあの二次元大好き悪友達とのめくるめく学院生活にてついに病んじまった俺の妄想劇が生み出した。うん。しいて言えば思考まで犯されちまっ?…痛てっ!
「んもぅ〜……い・い・加減に気付けやこんのクソアンポンタンガァ―――ッ!!」(注:とうとう本来の地が?(笑)…)
「のわわっ!?……」
うっわ…は、恥ずかしい事に自分自身の自己解決的な妄想を膨らまし、幾ら彼女が話しかけてもシカトぶっこいてる俺についにイラついたのか、口元を可愛らしく?引く尽かせ突然目の前にドアップに迫るマリオンのご機嫌斜めな表情が。
……いや…そんな猫を被ってんのを無理矢理倒壊させたら可愛いヒロイン失格だからね?かりに?っぷぁ!?
「おい!いい加減その痛々しい妄想。今度やったら」
「ひゃいっ?」
や……やや…やっべぇ〜…何か俺…思考まで読まれてるし。しかもかなりじと目で睨まないでぇ。ぶっちゃけメンタル弱いからね。非常ーに壊れ安くデリケートなんだから。
「そ、それに…あ…あの〜……敵さんは既に退散したが…アンタは一体全体なにをやってるのでしょうかっ?」
「―――えない――」
「へっ?よ…よく聞きとれなかった……で、なになにっ?」
「だからぁ!消え無いって言ってさっきから言ってんでしょうがっ!」
「なっ?おいてめ――まさか……アンタこの魔術もしかしてっ?」
「な…なによぅ〜…」
「んで…そのアンタが発動させたこれ……あまり聞き辛いんだが…実は発動させたはいいが消し方が分からんって事で?」
「うんっ!もちろんそうよっ。分かってるじゃない」
とキッパリって…
つか、半分は俺の持つ魔法特性は分かるが。にしてもなにそれっ?それってその子‥実は私〜っ。魔術学校の習いたて魔術師で〜‥‥実は〜魔術を使えるけど消し方がわかんないの〜‥テヘペロ
みたいな。
やべぇ。超やべぇぞマジそのシュツエーションかなり萌えって?
今それどころじゃ。
どーすんの!一体どーすれば。
そっか、彼女の師匠に頼めば軽く
つかまてまてまてっ。
師匠さんこんな場所にわざわざ居ねーっつーの。
俺一体全体なにやってんだ?
しかもそんなアホな思考を断ち切るように彼女ことマリオンをとりあえず見てみる。
「へ??……」
「あの〜…なんかさぁ〜‥完全に発動しはじめちゃって……」
げぇ。な‥なにやら魔法陣から巨大な水柱みたいな何かが吹き出してるし。
そこにはもう既にその魔方陣の中心付近から渦を巻きつつなにかしらが吹き出す前触れみたいなのって!?
「はわっ?」
「よし逃げるぞっ」
「へわわわっ?で…でもこれ…なんとかしな」
「だァァァァもう無理だって!だからっ」
「「ちょっ」」
と、一難去って又一難と今度は自身が発動させちゃった魔術に今度は襲われる事態に発展。
はたして俺達はこの路地裏から無事脱出する事が出来るのだろうかっ。多分又嫌な予感がしてならないんやがね。
つ、つづくっ?