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第一話中編『あなた、ひょっとしたら魔力が?!』






 都内某所にある俺が通う桜丘アニメーション学院。未だ真夏の猛暑の名残りがある夜の帳の中。

 補習と言うなの束縛から何とか逃れた俺は、あろう事か今日に限り夜食の食材の買い出しに赴く。



 その帰り道に俺が住み込み中の学生寮への近道がてら路地裏を抜ける最中。雑居ビルがひしめくこの都会の迷宮(ダンジョン)にて、この付近を根城にする不良チームに絡まれていたマリオンっつーネーミングを語るあ謎の少女に出くわし何故かその彼女が関わる厄介事に自ら巻き込まれる事態になろうとは。



 なんか、俺っちゃ〜ひょっとしてっ?




          ◆◇






「ぐっふっふっふっふぅ〜…おらが陣取るここ爆烈団に喧嘩売った凄腕と聞いて駆け付けたが、なんだっぺ?お前。見た所普通の大学生が小路(こうじ)を葬ったっぺか?」

「そうっスよ、御理羅(ゴリラ)の旦那ぁ〜」




 うっわ…なんつーかあの連中、皆んなして勘違い病を満悦さして俺をガン見してねーか?

 しかもさっき俺達に襲いかかりやがったあのデカ男。体型に似合わず”小路”って、なんつーかわいい名?



「よう兄ちゃん…ぐへっ?」

「ふへっ?」

「ほらっあなた、呼ばれてるよ?」

「いや…あのっ(汗」


 ぢゃねぇぇぇえ!や、やべぇ、あんのだっぺ野郎が野生剥き出しな表情で俺だけを!

ていうか、等の彼女を逃がすだけの作戦が何故こんな惨状になるんだ?



 それに、幾らなんでも一風変わった容姿とは言え、今現在隣側に佇むか細い彼女と見比べれば当然男子たる俺に目がいくのは自然の摂、理でもあり。疑われんのは明白だ。

 でも本当は、違うからねっ?あのデカ男を一撃でぶっ飛ばしたんは未だ余裕ぶっこいてるそこの彼女っ?



「ありっ?ま、マリオンちゃん?」

「はぁ…仕方ない、ほらほらぼさっとしてないでちゃっちゃと片付けるよ?」



 そう… 俺は、目を見開き疑う、先程から目線の先に佇む野郎を含む集団もなんつーか。

 いつの間に彼女が持ち出したこれまた小柄な身体とは不具合なドデカい黒いバッグ。そのバッグをガサゴソと物色し、どのような仕組みか分からんが、1メートル位の杖。更に使い古した分厚く重そうな書物を散らかし初める。



「おい、アンタ、こんな時に何を考えて」

「アンタじゃないっ!マリオンだよっ。あ、この杖持ってて?それにさぁー。あの人数分を簡単にビビらす秘策が…あーもぅ!ちょっと話しかけないでよ!」

「てか、敵さんが居る前だぞ?少しは」

「でも、ちゃんと待ってくれてるよ?ねえ!」


「「「…お、おう〜」」」


 うっわ…。か、かなり嫌な視線をスンゲェ強いんすが。



 なんつーか、別の意味で睨み混じりな視線に極少数派の連中がビビり後退りをする。

 その連中だけならまだしも等の頭にもなる先頭を陣取るゴツい奴。

 たしか、ゴリラとか呼ばれてたな?

 その頭らしき野郎が予想通に肉質極まりない両肩を鳴らし、何かしら仕掛けるのも時間の問題のようだ。



 多分奴の目的は今現在背後に居る彼女を庇う形で対峙する俺だろう。



「こ、こうなりゃ神頼み的に陽動作戦で引きつけるしか」



 案の定、一部の奴等を除き、皆の敵意は俺に向いている。ならば一か八か何かしらのリアクションを仕掛け、野郎等を引きつけここの路地裏から表に助けを請うのもありか。

 全く、こりゃー下手したら…でも見ず知らずのあのコスプレ彼女を救出すんのにこうも骨折れ仕事な惨状になるんかな。


「さて、不本意だがこの俺に倒されてェ〜奴。あ、相手してや?…ちょ?」

「身のこなしは上々やな?」



 仕掛ける前に仕掛けて来やがったし!てか、危ねっ!光物な獲物をふりかざしってぇ?



「なあ旦那、こんなスッカスカに小路の奴やられたんかァ?」

「だから獲物は卑怯だっつー…のわわ?」


 いきなり懐に跳び込み左手首を器用に滑らしサバイバル用のダガーが頬から上を掠める。

 少しよろけたのが幸いして辛うじて回避は出来たものを、素早く逆手に持ち直しながらの第二撃が空を切り裂き。襟元ギリギリに掠める。

 わざと外して嬲るつもりか?



「って?んなろ!」

「そんな余裕こいてる暇はねぇぇぇよ?もっと俺を楽しませろゃ!」


 かなり手慣れたナイフ裁きなのか。30名は居る不良集団がまるで彼のバトルショウを楽しむかのように眺める中。

 苦し紛れに彼女に渡された杖を使いつい突き出してしまう。


「なっ!なんやこれ?」

「って?俺に聞くなぁー!」


 鈍い金属質な音源が両耳を塞ぎ、研ぎ澄まされた見た事も無い銀色に輝く剣先。

 数にして三叉に効率良く展開された西洋的な剣が小柄なナイフを吹き飛ばし。螺旋状に回転。



 呆気に取られた野郎の直ぐ脇の地面に突き刺さる。


「な、なん、だ、と?」


 カシリと金属質な音源を機に。再び元の杖の切っ先になるソレをただ呆然と見つめる中。何かしらの準備が整ったのか。

 背後に居る筈のマリオンが重い腰を上げながら。


「うん。これはね、護身用に特化したパリーイング・ダガー。文字通り三叉に展開する刃物が敵のソードからガード。別名ソードブレイカーの一種だけど。何で発動出来たかは、あなた自身の魔力。ひょっとしたら」



 つづく。


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