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エピローグ

 崎ヶ原高校という学校がある。学力的にはそこまで高い訳ではないが、以前とある事が原因で爆発的に有名な学校となり、それに伴い入学希望者も増加した。

 跳ね上がる合格ラインをクリアし、入学を勝ち取った生徒達は今日も高校生活に勤しんでいる。

 その崎ヶ原高校のとあるクラスの、とある女子グループにて。



「もうやばいよ~、昨日の最終回めっちゃ泣いたよ~」


「あんた、そのドラマに異様に肩入れしてたもんね。満足そうで何よりだわ」


「うん、うん、もう満足だよ~」



 のんびりとした口調の女の子はハンカチで涙を拭う。それを眺める長身の女子は呆れたように笑う。



「今日も観てるドラマが終わっちゃうんだよね~。悲しいなあ」


「番組編成時期だからしゃーないでしょ。また新たな出会いを見つけなさいな」


「それしかないよね~。来期のお奨めのドラマある?」


「私まだチェックしてないんだよね」


「じゃあ、やっぱり彼女に聞くしかないかあ……」


「いつもならそれでいいけど、今回は止めた方がいいと思うよ? あの子、来期に関しては信者っていえるほど推してる番組があるからさ」


「あ、そうだったね。えっと、何だったっけ。恋愛ものだったよね?」


「直接加奈に聞くのが一番だと思うけど、この事に関してはうるさいからな……」


「誰か私のことを呼んだかい!?」



 と、長身の女子が腕を組んで唸っているところに件の少女――加奈が勢いよく教室にやってくる。



「うわ、出た!」


「幽霊みたいに言わない! なになに、私の名前が出てたみたいだけど?」


「いや、別になんでもな――」


「加奈ちゃんが推してた来期のドラマって何だったっけ? 私、題名忘れちゃって」



 おい待て、と長身女子がのんびり女子に制止したが、間に合わず。加奈は目に光を灯し、天使のようなまばゆい笑顔になる。



「ふふふ、よくぞ聞いてくれました。あらすじと謳い文句付きで教えてあげちゃいましょう!」


「だからやめとけって言ったのに。こうなるのは分かってたんだから」


「もう、嫌がらずに聞いちゃいなよ。本当に素晴らしい作品なんだから。前に話したよね? 私がまだ子供の頃、その作品の原作になった二人に会って、とっても優しくしてくれて。今でもあの時教わったダンスを覚えてるし、サインだって大切に飾ってあるんだから」


「その影響で加奈ちゃんは芸能人を目指すようになったんだよね?」


「ただの芸能人じゃなくてアイドルね!」



 キラリと養成所仕込みのアイドルスマイルをこれでもかと披露。「わー、可愛い」はのんびり女子の、「あざといわー」は長身女子の感想である。



「でね、そのドラマは原作となった二人の過去を、成長した本人達がちょ・く・せ・つ演じるんだよ! こんなん、観ないわけにはいかないよ! プレミアムものだよ!」


「確かその二人、片方は歌手をやりながら女優業をこなしてて、片方は最近力を付けてきた俳優よね?」


「その二人なら知ってるよ~。昨日のドラマにも出てたし」


「ふふふ……二人ともいい感じに盛り上がってきたね」



「あ、やべ」と長身女子が漏らすが加奈の暴走はもう止まらない。のんびり女子も長身女子に苦笑いを浮かべ、観念して加奈の口ぶりに耳を傾ける。



「ひょんなことから国民的アイドルと出会った少年。その時のハプニングによって芸能生命存続の危機に陥った国民的アイドルを救うため、二人はとある荒唐無稽な策を実行する」



 加奈は語りとは関係のないよくわからないモーションを付け、とりあえず大仰に聞かせて見せる。



「それは不器用な少年と天然なアイドルの恋と夢の物語! その名も――」



 最後に加奈はビシッと指を突きつけ、宣言する。



「――『アイドルと公開恋愛中!』」
















~fin~







これにて完結です。

今後の予定など、詳しい事は活動報告にてお知らせしたいと思います。

とにかく今はただ完結の喜びと読んで下さった皆様への感謝の言葉に尽きます。

一年とおよそ半年間、長い物語にお付き合い頂き本当にありがとうございました!

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