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キョウランノウタゲ ~battle、battle、battle~ [3.1.2]

 遊具も、街灯も、地面さえも飲み込んで、ただそこにある闇色。 日の光の加護から離れ、月の光も失われかかったにも関わらず、不思議と誘い込まれるようなその場所に入る彼の姿は、まるで溶けるように、ずぶずぶと、飲み込まれていくように、消えてゆく。

「――チッ。 全く、うるさい奴等よ」

 煙草の光だけが彼の居場所を示す中、忌々しげに呟いたのは、果たして緋嵩だっただろうか。

 歩いているのに、まるで進んでいるという感覚が無い。

 無機質な黒色の中を、ただ歩く真似だけしてみせる。 不気味というよりも、世界が狂ってしまったかのような錯覚を与える光景だ。

 だが、そこを行く彼の足に、淀みは無い。 

 一寸先さえも見えない闇、進めど進めど到達しない矛盾。 考えれば考えるほど説明のつかない現象だらけの中を、何食わぬ顔でひたすら歩く。 

「そろそろ、良いか」  

 入るときに付けたはずの煙草は、既に三分の一ほどの長さになっていた。

 どう言うわけか、ここへ来て緋嵩の機嫌は随分と荒立っているらしい。

 いつものように億劫そうな言葉の中に込められた、この上ない苛立ち。 それを隠そうともせず、彼は唐突に持っていた煙草を手の中に収め握り潰した。

 視界も、聴覚も完全に役に立たなくなった空間に、人肉の焼けるすえた臭いだけが僅かに漂った。

 ……じわり、と。

 何処に何がいるかも見えない黒一色に浮かぶ、点。

 赤く、紅い。

 まさに血のような、生々しくおぞましい一対の光が、灯った。

「ふっ!!」

 刹那。

 一閃、とでも言うべきか。 それまで一色に閉ざされていた空間が、まるで絹を引き裂くような耳障りな音と共に引き裂け、消える。

 彼の先にあるのは、僅かな月光に照らされる金属製の遊具か。 それとも、闇を照らす人工の光か。

 どちらも否だ。

 あったのは、数えるのも億劫になるほどの、金色に光る無数の点。

 きしきし、がちがちと。 生々しい駆動音を至る所から上げるそれらは、目の前に現れた餌に歓喜しひしめき合い涎を垂らす、おぞましい化け物の群れに他ならなかった。

 そして、彼等の目は今、緋嵩ただ一人に注がれている。 

 隙間など無い。 限りなど無い。 視界の全てを支配する気が狂いそうな数の目、目、目、目――。

 姿を闇に溶かす彼等の、その毒々しい眼球だけが、そこに居るという唯一にして最大の証明。

 煌々と滲む点の中心、周りに巣食うそれらのゆうに十倍はあろうかという大きさの球体に向かって、緋嵩の顔が皮肉気に、凶暴に、狂おしく、歪む。

「獲物を誘い込んで衰弱させて餓鬼共に狩らせ、自分は高見の見物か。 ククッ、外見通り蟲という訳だ」

 彼の侮蔑と同時に、不意に差した月光が彼の者の姿を淡く照らし出す。

 そこに浮かぶは、果たして、蟻か。

 二本足、四本足、六本足。

 節足、軟体、脊椎。 

 数多の種が混在し混じりあう集合体、その中心に規格外の巨躯を構えているのは、まるで女王蟻とでも言うべき様相のバケモノだった。

 ただし、部分部分が蟻に近しいと言うだけで、蟻がそのまま巨大化したというわけではない。

 五メートル近い高さの鉄色の肉塊。 その上部に生える上半身と頭部こそ蟻そのものだが、そこから生える異常に長い四本の前腕の形状は間違いなく人間のそれだ。 加え、肉塊の長さはゆうに十メートルに達し、所々から粘着質な溶液を滴らせる人の足と思しき脚部を多数生やしている。

 が、やはり一番こちらの興味を引くのは、その肉塊が一定感覚で半透明な円状の膜を貼り付けているということだろう。 中には様々な形態の、だが間違いなく何かが息衝いている気配がある。

 つまりは、繁殖しているということなのだろう。

 それは、今この場所にいる化け物のすべて、いや、ともすれば那凪達が戦ったものも含め、全てがこの固体から産み出されたという印象を見た者の脳髄に焼き付ける光景に他ならない。

 彼の目の前にいるのは、紛れもない女王だった。

 そのとき不意に、ガラスをこすり合わせたような不快音が那凪たちの耳を打つ。

 見れば彼の視界の後方、巨躯の端辺り。

 今この瞬間にも、薄紫の体液に塗れた化け物が、また一匹。 女王の体内からずるりと糸を引きながら這い出して、歓喜の産声を上げたではないか。

「――――!!」

 咆哮。

 何百何万の音をめちゃくちゃに混ぜ合わせたような、声としての機能などまるで考えていない不協和音が女王から吐き出され、これでもかと言わんばかりに辺りに響く。

 刹那、今まで様子を伺うばかりだった化け物が全方位から一斉に緋嵩に襲い掛った。

 口々に粘着質な音や鳥のような甲高い音といった咆哮で自身を彩りながら、自らの半分ほどの大きさの人間を我先にと埋め尽くし切り刻み貪り喰らう。

 それはまるで、生きた化け物で塗り固められた異形の塔。 何処から見ても憐れな獲物の姿など微塵も覗かせはしない絶命のオブジェ。

 さしもの緋嵩と言えど、どうやら一度にこれだけの猛襲を防ぐことは敵わなかったらしい。

「――――!」

 我が子達が見事狩りを成功させた光景に、かの女王は人の子程もある眼球を細め、さも満足そうに天に向かって、今一度高々と咆哮した。

 そして、気付く。


 自分と同じ高さ、文字通り目前に迫る、人間の姿に。


「もおらったぁああああああああ!!!!」

 彼女の存在を器官が理解するよりも早く、振りかぶられたその腕が肉を引きちぎるような粘ついた音を響かせて深々と女王の眉間に突き刺る。

 勢いのままに刺し込まれた腕が最奥と思しい位置に到達した瞬間、プラスチックを砕いたような硬質な感触が那凪の掌に伝わった。 同時に、人間と同じ色のおびただしい鮮血が腕の隙間から噴き荒れる。

「――――!?!?」

 まるで予想していなかった襲撃にまんまと身を許してしまった女王が、痛みに叫びながら反射的に彼女を振り落とそうと勢いよく首を動かした。

「まだ終わらないよ!!」

 響く男の声。

 裂帛の気合と確かな敵意を乗せたその宣言と共に、女王の真横の草むらから二丁拳銃を構えた高原が躍り出る。

 だが、女王は彼の姿を捉えることは愚か、恐らくは彼の言葉を最後まで聞くことさえも叶わなかっただろう。

 何故なら。

 彼の声が発せられた時にはもう、女王は首から頭に狙いを定められた数十発の弾丸に囲まれていたのだから。

 着弾。 いや、それはもはや爆散と言ってもいい。

 あらゆる方向から襲い掛かった秒速四百メートルを超える大口径の銃弾は、瞬く間に獲物の内部で凶暴に荒れ狂い、その端々に至るまでをこれ以上無いまでに掻き回し引きちぎる。 また、そうやって女王が体液を内臓をぶちまけて撒き散らせている間にも銃撃は留まることを知らず、それぞれの肢の付け根を確実に砕き貫いていった。

 女王が成す術もなく次々と荒れ狂う銃弾に蹂躙されていく中で、四肢を装甲で固めた最初の襲撃者は、ようやく鮮血と肉片に塗れた腕を引き抜く。

 まるで魔法のように彼女の周辺だけを避ける銃弾は、彼女を彩るように血と肉の花火を絶え間なく咲かしていた。

 彼女は、ゆっくりと身を起こすと、もはやただの肉山と化しつつある女王の頭部を無造作に踏みつけ、そして――――跳んだ。

 銃撃が、終わる。

 腕も頭も何もかも完膚なきまでに破壊された女王が、僅かに面影を残す上半身を、ゆっくりと重力に任せて地面に倒れこませた。

 だが、自分達の産みの親の哀れな成れの果てに感情を揺らすものはおろか、目を向けるものさえこの場にはいない。 

 当然だ。

 異形たちの前には、今まさに彼らの元へと降り立たんとしている、最強の敵がいるのだから。

 空からの僅かな月光に彩られ崩れ落ちる巨躯を背景にした彼女の姿は、まるで死と闇を統べる女神の如く。 その場にいる全ての異形の意識を視線をその身に集め、最高の標的としての価値を惜しげもなく彼らに示す。

 だからこそ、彼らは気付かない。

 彼女の遥か下方、自分達により近しい場所で響く、同胞の断末魔に。 

 辿ってみれば、そこにあるのは、かつて異形の塔を誇ったもの達の成れの果て。 火種のように内部に所々赤みを残した炭の塊が蒸気の上がる耳障りな音を立てて燻り、炭になりきれなかったものは液状となってその周りで今もなお溶岩のように沸騰していた。

 唯一、

「成る程。 今のがお前の能力というわけか」

 死骸の中心で佇む緋嵩の姿だけが、数秒前と何一つ変わっていない光景としてその場に残っていた。

 彼の視線の先には、何かしたとは思えない距離で穏やかな表情を浮かべる御国が佇んでいる。

「おい、お前を助けた俺には何も無しか?」  

 責めるような半眼をくれながら文句をつけたのは、緋嵩のすぐ隣で腕を組む轟だ。

 どうやら何らかの手段で緋嵩が生き残っているうちに、彼に群がる化け物を屠ったのは轟に間違いないらしい。 だが、緋嵩はまるでそんなことなど眼中に無いと言わんばかりに、遠くへと目を向けていた。 そして小さな舌打ちを一つ。

「三秒でいい、もう一度今のを俺の前に張れるか?」

 視線を戻した彼の口から出てきたのは、感謝を表す言葉どころかまるで試すような口調のそれだった。

 しかも、相手は轟ではなく、御国に向かって。

「任せてください」

 互いに顔を合わせ、一人は頷き、一人は口角を僅かに上げる。

 完全に存在を無視される中、二人の間でなにやら意味ありげな会話が成立したことだけはなんとか理解できた轟が、痺れを切らしたように緋嵩に向かって腕を伸ばした。  

「おい、ちったぁ俺の話も――」

「合わせるぞ。 俺は中、お前は外、奴等が気付く前に仕掛ける」

「は? あ、お、おう」

 あれほどの襲撃に加えて中核への強襲も成功した現状、緋嵩のほうに意識を向けている固体は皆無と言っていい状況だった。 更に、前方では那凪と高原が残った残党を捌いている最中でもある。

 追い討ちをかけるには絶好の機会に返された、なんとも間の抜けた轟の返事っぷりに、緋嵩の眉間に皺が刻まれた。

「気を抜くな。 まだ終わってないぞ」

「ちっ、分ぁかってるよ」 

 まるで先の自分を咎めるような緋嵩の台詞に、轟ががしがしを頭を掻いて、そして音も無く構えを取る。

 再び臨戦態勢に立ち戻ったその姿に緋嵩の顔が一瞬優しげな笑みを作るが、それもすぐに、戦意に埋もれて消えてしまった。

「シッ!」

 気合を込めた声を残して、緋嵩の身体が異形の蠢く肉林へと一直線に駆けてゆく。

 目に見えないというレベルではないものの、轟が目で追ったとき、彼の姿はもはや最前列のそれとの距離は一メートルも無かった。

 当然、そこまで迫られて相手が気付かないはずも無い。

「御国っ!!」

 迫り来る緋嵩の姿に相手が気付くのと時を同じく、緋嵩が短く御国を呼ぶ。

 声を受けた彼女はと言えば、どういうわけか先程の位置から一歩たりとも動いていないではないか。

 今の状態の緋嵩からすれば、それは何をするにも手遅れの距離だといえよう。 まして彼女は飛び道具どころか、目立った武装さえしていないのである。

 だが、戦略的に絶望的な配置に浮かぶ彼女の表情は軽く、その腕の一つは何を意味するのか、緋嵩を視界から隠すように掌が広げられていた。

「ソテリシェルヤーヴァッ!」

 短く早口で唱えられたのは、果たして何の遊びか。

「ォォオオオオアアアアアア!!!!!!!」

 いや、もしも遊びというのなら、それは御国の方ではない。

 何故なら、そのまま凄まじい雄叫びを上げて敵陣へと突貫を繰り出した彼の方こそ、よほど冗談に近い光景を生み出していたのだから。

 緋嵩が凶刃蠢く肉林と接触した瞬間。

 彼の足は止まらずに、あろうことか速度を維持したまま前に進み始めたのだ。 それも、衣服にさえ傷一つつけずに。

 突き通し、弾き飛ばし、時には轢き潰しさえしながら猛然と異形の中を突き進んでいく様子は、皮肉にも無力な人間の群れに暴走車が突っ込んでいく光景を彷彿とさせる。 

 一体どういう仕組みなのか。

 よく見れば、彼の全身を包むように不自然な流線型の空間の歪みのようなものが発生していた。

 どうやら、禍鏡達は緋嵩というよりも、彼の纏う空間そのものに弾かれているらしい。

 しかし、月光さえも殆ど射さず各々が夜目に頼るしかないこの闇の中では、さしもの禍鏡と言えどそんな僅かな変化を見切れている者はまずいまい。 まして、緋嵩は止まっているわけではないのだ。

 実際に彼の姿を目にする時間は、多く見積もっても一瞬。

 それを過ぎれば、後は宙に吹き飛ばされているか、全身を地面と歪みに挟まれて三分の一ほどの厚さになっているかのどちらかなのである。

「はっ、無茶やるぜあいつ。 どっちが化物だか、っと!」

 緋嵩の姿が異形の中に消えてゆくのを見ながら、轟から笑い混じりの声が漏れた。 その最中にも吹き飛ばされてきた異形の一体を容赦なく素手で刺し貫く。

「ふんっ!!」

 熱したフライパンに水を注いだような音を響かせながら突き刺した腕の勢いを殺さずに、そのまま上へスライド。

 結果、貫かれた禍鏡は断末魔を残す間もなく、Yの字に引き裂かれて絶命した。 

「御国の障壁を使って突っ込むってか。 一歩間違えたら化け物共に押し潰されるぞ」

 物騒な台詞とは裏腹に、その声に滲む色は心配よりも呆れに近い。

 まるでとんでもない馬鹿者を見たような表情で呟いた轟が、すぐ傍で弾き飛ばされた衝撃に悶える禍鏡の首を蹴り飛ばした。

 程なくして、ようやく立ち上がれるまでに回復してきた数体の異形が轟を標的として認識しだすと、彼も犬歯をむき出しにした凶悪な笑顔と共に、眼前の相手への敵意を露わにする。

「はっ。 なるほどな、貴様らが俺達のノルマと言うわけか……上等だ」

 群れから離され、自分達から扇状に展開する配置になった禍鏡を前に、轟が自らを鼓舞するように言い放つ。 俺達、と言う彼の言葉通り、彼の隣にはいつの間に移動してきたのか、既に臨戦態勢を整えた御国の姿があった。

「援護は任せたぜ、御国!!」

「はいっ!!」

 御国が返事を返した瞬間。 まるでそれを合図にしたかのように、周りにいた禍鏡が一斉に二人へと跳びかかっていった。

 一方、轟達が禍鏡と真正面から激突している頃。

 別の場所では今まさに、全身を穴だらけにされた人型の禍鏡が崩れ落ちる所だった。 倒れた先には、背中合わせの格好で周囲を取り巻く禍鏡を警戒する、那凪と高原の姿がある。

「はぁ、はぁ。 ったく、どんだけいんのよ」

「はぁ、ははっ、とりあえず見た感じでは、まだまだ尽きる気配は無いね」

 ぼやきながら汗を軽く拭う那凪に、銃のマガジンを再装填した高原が軽口を返す。

 当初の予定では既に轟たちと合流しているはずだった。

 あの軍勢を前にして那凪が立てた筋書きのポイントは二つ。

 一つは敵の頭を確実に仕留めると同時に、取り巻きの注目を一点に集めて他の仲間が奇襲する隙を作ること。 もう一つは、後は自分達が押し迫る禍鏡を手当たり次第に殲滅して奇襲している仲間の元へと突破口を開くことだ。

 成功すれば、残るは母体を潰された挙句奇襲に混乱する烏合の衆、と言うわけである。

 彼女らしい大胆な計画であり、即興のものとしては上出来の部類だろう。

 事実、途中まで上手くいってもいたのだが、どうやら相手は彼女が思っているより群れとしての意識がしっかりしていたようだ。

 禍鏡達は早々に個で攻めることを止めると、群れとしての攻め、いわゆる持久戦の構えに移ったのである。

 今まで単体で行動していた禍鏡達ばかり相手にしていた経験からてっきり集団としての協調性に欠けると考えていた那凪はあっさりと逃げ道を封鎖され、消耗戦の形に陥ってしまったのだった。

 慌ててサポートに入った高原も巻き込んで、二人は現在、禍鏡のど真ん中で立ち往生という有様だ。

 加えて、不幸にも崩れ落ちた女王が壁のように立ち塞がる形になり、轟達が居るであろう場所は完全に二人の視界から遮られて連携を取るには絶望的な位置。

 応援は期待できず、囮となって突入した自分たちの周囲には、何重にも群がりながら隙間のない壁を作る敵、敵、敵。

 愚痴の一つでもこぼしたくなるというものだろう。

「てっきり生まれたばっかりで手慣れてないと思ったのに、やってくれるじゃない。 総一は役に立たないし、もっと本気出しなさいよねあいつっ」

「でも、彼が注意を引いてくれたおかげで供給源は絶てたんだし、これ以上増えることが無いのはありがたいね、っと!!」

 言い終わるや否や、三方から勢いよく禍鏡が飛び出した。

 うち一体を近づく前に蜂の巣にすると、高原は側面から突き出された槍のような前足を僅かにサイドステップして躱す。 そこにカウンターの要領で繰り出された那凪のハイキックが相手の頭蓋を蹴り砕くと、最後の一匹が那凪の身体へ大人の腕ほどもある牙を突きたてようと大口を開け、

「ッ!?」  

 そのまま何発もの銃弾を叩き込まれて、顔面を花火のように破裂させる。

「はっ、間一ぱ、つっ!」

 息つく暇も無く正面から新たに飛び込んできた禍鏡の顔面へ語尾に合わせて裏拳を叩き込むと、那凪が周囲への警戒そのままに再び態勢を元へと戻した。

「はぁ、はぁ、はぁ」

「はぁ、ふぅ、っはぁ」 

 じり貧、という言葉が二人の脳裏に浮かぶ。

 先ほどの攻防で仕留めたのは、僅かに四体。

 何度戦っても、周りをとり囲んでいる集団には衰える気配がまる見えなかった。

 だと言うのも、獲物をテリトリーから逃がさずに時間を掛けて確実に仕留める戦法に移ったことで那凪達に一度に向けられる戦力が小出しになってしまったからである。

 定期的にあらゆる角度から差し向けられる刺客に警戒を解くことは許されず、距離をとられたことで必然的に警戒の範囲さえも広げられた今の状況は、乱戦よりも遥かに二人の精神を消耗させていった。

 今の調子でいけばそう遠くない未来、絶えず張りつめることを強要された緊張感は限界を迎え、必ずどこかでほつれを生んでしまうだろう。

 そうなってしまったら最後。 後に残るのはどう転んでも、無残な最後しか起こり得ない。

 思考は絶えず苛まれ、疲労と緊張を滲ませながらも突破口を探すその顔には濃い焦燥が張り付いていた。

「は、ぁ。 どうする?」

「どうするって、言われても、どうしようもないんじゃないかな。 流石に」

 一点突破を図ればまず間違いなく他方から攻め入られる、かと言って周りの禍鏡全てを一気にどうにかするだけの手札も彼らには残っていない。

 僅かな動作で高原が視線を自身の腰に落とすと、ベルトに差さっている替えのマガジンは予想通りどちらも残り一つだけ。

(くそっ、せめてもう一セットあれば)

 悔しげな舌打ちが、彼の口から漏れた。

 だが、尚も不運は続く。

 獲物達の疲労を感じ取ったのか、あろうことか異形達の輪が徐々にその大きさを縮め始めてしまったのである。

「ね。 一瞬でいいから、あいつら全部の動き、止められない?」

 じりじりと狭まる輪の中で、那凪が高原に反対方向を向きながら話しかけてきた。

「出来ない事もないけど、次は無いかな」  

「お願い」

 額の汗を拭おうともせずただ威嚇の銃口を向けるだけの高原に対して、那凪がなにやら決意めいた表情で短く頷いた。

「イチかバチか、飛び越えてみる」

 飛び出したのは、思った以上に簡潔な答え。 だが、高原にはそれだけで十分だったようだ。

 聞いた瞬間にこそ彼も目を見開いたものの、すぐにその顔を歪めた。

 呆れたような、しかし楽しげな。

 笑みの形に、だ。

「失敗したら、僕ら骨も残らないね」

「じゃあ、やめる?」

「まさか。 それくらいのリスクがないと面白くないからね」

 景気づけに軽口を叩き合うと、もはや一メートルと無いほどにまで近づいた禍鏡の群れの中で、二人が小気味いい笑みを浮かべた。

 どうやら起死回生の策は、高原が全方向に向かって牽制している間に那凪が高原ごと輪の外へと飛び出す方針らしい。

 もっとも、囲んでいる敵の総数も分からずに、更には人一人抱えたままでは、いかに跳躍力を強化した那凪と言えども大した成功率は期待できまい。 その上、禍鏡の中に跳躍や飛び道具に優れたものがいないとも限らないのだ。

 もし失敗すれば、ピラニアの水槽にえさを放り入れるが如く、なす術も無く異形に貪り尽くされることになるだろう。

 が、このまま全方位からの襲撃を受け続けたところで、結果はさして変わらない。

 二人の顔に、もはや迷いは感じられなかった。 

「いくよ高原っ!」

 那凪の合図と共に、高原が使いかけのマガジンを捨てて新しいものへと付け替えた。   

 途端、何かをする気配を感じ取ったのか、禍鏡達が二人に向かって一斉に牙を向く。

「しまっ――」

 失敗。

 牽制する前に攻め込まれてしまっては、もはや銃を撃ったところで先頭に立つ数体に手傷を負わせるぐらいしか出来はしない。

 加えて、今の彼らにはもう乱戦をする体力も精神も、武器も無いのだ。

 あまりにあっけない作戦の崩壊に、二人は抵抗の術さえも思い浮かばないまま無情にも闇色の奔流に飲まれて消える。


 そんな時だ……雨が、降ったのは。


「「!?」」

 予兆も何も無い突然の降水の感触に、思わず二人が反射的に顔を上げた。

 最初こそただの雨かと言いたげなものだったその顔が、見る見るうちに驚愕に染まっていく。

 なぜなら、それはありえない現象だから。

 世界を映し、仮初の世界を作り出す鏡面結界。 言い換えればそれは、映し出した瞬間の世界しか反映しない写真のようなものだ。

 発動した後には、現実の世界の天気がどう変わろうと影響するはずが無いのである。

 描かれた絵の中で雨が降る状況など、異常と言わずなんと言うだろう。

 では、今起こっているこれは、何か。

 降り始めた雨は間違いなく世界の全てを余すことなく濡らしていく。 幻でもなければ、何某かの特殊能力とも思えない、至極緩やかな雨足で。

「「「「「……」」」」」

 奔流は、止まっていた。

 人あらざるもの本能でさえ塞き止めるほどの異常事態は、同時に飲み込まれるはずだった那凪達をも混乱の渦に引き入れる。

 目の前にいる禍鏡の混乱は、つまり。

 この光景は、彼らの所業でも無いと言うことなのだから。

「これ……」

 自分達でもない、禍鏡でもない。 事態の把握もままならない中で、淡々と雨に濡れるだけだった那凪だったが、ふと妙な違和感を覚えた。

 結界の性質に関するような知識めいたものではなく、それはもっと肉体的な、感覚的なものに起因する違和感。

 自分を濡らし続けるこれは――――――本当に水なのだろうか、と。

「ヒギャアアアアアアアアアア!!!?」

 それは、悲鳴。

 動揺の沈黙の中に突然響いた絶叫に、那凪達は愚か禍鏡さえもが意識を奪われ本能的に目を向けた。

 映ったのは、何だっただろう。

「あ……あ……」 

 眼球の飛び込んできた映像に理解が追いつかない。 理性が潰れて本能が警鐘を鳴らす。

 浮かび上がった光景を先ほどまで自分達が見ていたものと一致させることができず、それどころか、もはや頭が考えること自体拒否しているような錯覚を覚える中。 何かを言いたいわけでもないのに、口が勝手に不規則的な音を漏らしていく。

 驚愕なのか、恐怖なのか。 それさえも判らない中で、眼球だけがいつも通りに広がる光景を鏡のように写し取っていた。

 目の前の、真っ二つになった女王の腹の前で、自分達を襲うはずだった化け物の一体をあろうことか素手で貫き、易々と掲げた男の佇む光景を。

 血のように紅い眼を光らせて、降り注ぐ化け物の血を心地よさそうに受けている、もう一つのバケモノを。

「やれやれ、どうせこんな事だろうと思ったさ」 

 バケモノはそう呟くと、突き刺していた手を大振りに振って、刺さっていた化け物を地面へと放り捨てた。

 固体と液体が中途半端に混ざった衝突音が生々しい血生臭さをもって、見ている者をを現実世界へと引き戻す。

 心地よさそうに見えた顔も、実は皮肉げなため息をついていたものだったのだと、気付く。

「そ、う、いち」

 声に出し呟いた言葉を媒介に、那凪の瞳が徐々に理性の色を取り戻す。

 そうだ。 自分はこのバケモノを知っている。

 かつて戦いを挑み、完膚なきまでに叩きのめされた。 ことあるごとに自分を貶し、叩かれた。

 それでも決してそれは敵じゃあない。 目の前の、このおせっかいな性格の変わり者は――

「緋嵩、総一」

 理性が現実を理解する。

 ようやく、那凪と高原が止まっていた思考を復活させて現状を把握した時には、既に禍鏡達は混乱から立ち直っていた。

 だがどの個体も、もはや弱りきった那凪達など眼中にない。 今彼らの意識を独占しているのは、たった一人。

「さあ、これからが本番だ、雑魚共」


 目の前にいる獲物よりも自分達を遥かに威圧し、脅かす存在。 緋嵩総一というバケモノだけだ。 


「ッ、ッ」

 きしきし、ざわざわと。 蠢く禍鏡の一つ一つから出る生態音が、まるで一つの意思を持った生き物が舌なめずりをしているように、ねっとりと緋嵩を囲う。 那凪達を外側へと残し、緋嵩を中心にして完全な円の形を作り上げた。

 数の上での圧倒的な優位性が、目の前のただ一人を餌へと変える。

「敵を包囲して、潰す、か。 確かに有効な手段だ。 それで? この先はどうする?」

 帰ってきたのは、まるで状況を理解していない間の抜けた言葉と動作。

 まるで演説か活劇のように、ぐるりと身体を回して言い放った彼の顔は、何を考えているのか、誰にも分かりはしなかった。

「「「「「……」」」」」

 刹那の硬直。  

 嵐の前の静けさを彷彿とさせるその僅かな静寂を前にして、緋嵩はゆっくりと両手を広げる。 まるで自身の死すらも楽しいかのような、コワれたピエロの笑顔を浮かべて。

「さあ、宴の始まりだ」

 どこからか、一匹の化物が、鳴いた。

 闇に響き、大気を震わせる獣そのままの音は、果たして。 目の前の粋がった人間風情への侮蔑か。 それとも、自身を奮い立たせるための虚勢か。

 どちらにせよこれで――群れが、動く。

「――」  

 無音。

 鳴き声も、威勢も、足音さえも聞かせはしない。

 何一つ相手に感じさせない静寂の中、無慈悲な殺意だけをぎらつかせた瞬速の刃が緋嵩に降り注ぐ。 幾重も幾十も幾百も積み重なった凶刃が上下左右縦横無尽に吸い込まれるように一点へと狙いを定めて放たれる。

 瞬きをする間さえもなく。

 一撃一撃が必殺の威力を持つ禍鏡の牙、その全てが、一様に炸裂した。

 緋嵩の居た、その空間に。

「所詮、端役か」

 声がした。

 降り注いだ刃の、遥か後方で。 気だるげな表情のまま佇む、小さな人間から。


 ……雨が降る。


 びちゃびちゃと。

 びちゃびちゃと。

 消えた命の余韻を残し、耳に粘つく音を立て、首の無くなった亡骸達へと。


 紅色の、雨が降る。


 そして。

 彼が、嗤う。

 先ほどまで彼が居た場所から今いる場所まで、その直線上に居た全ての禍鏡から首がもぎ取られ、無残にも雨となる噴水を上げ続ける光景を前にして。

 生暖かい血に染まりながら、まるで臆することもなく、残った獲物に殺意を向けるわけでもない。 その人間は、ただただ楽しそうに、嗤う。 

 あまりにおぞましく、あまりに凄惨なその光景に、彼以外の全ての生き物が恐怖という感情に全身を染め上げられる。

 化け物だからなんだというのか。 そんなものは、理由になんかなりはしない。

 命を陵辱するものに恐怖を覚えないことなど――ない。

「くく、くくく、どうしたよ? 俺を殺したいんだろう? 喰らいたいんだろう? 四肢をもいで内臓を引き裂いて骨を砕いて血を啜りたいんだろう?」

 手に持っていた禍鏡の首を掲げて楽しそうに口ずさんだ彼の言葉の、なんと狂っていることか。 

 彼はそのまま、手に掴んでいた禍鏡の首を、今自分を見ている全ての生き物に見せ付けるような動作で地面に落とした。

 無残にもひしゃげ、もはや原型さえなくなったそれが粘着質な音を響かせて地面に触れると同時に、彼の足が持ち上がり勢いよく残った頭蓋を踏み砕く。

「さあ、喰らおうじゃないか? 化け物よ」

 赤染めの暗闇の中、悪趣味なスタートピストルを響かせて満面の狂喜を浮かべたのは、何だ?

 取るに足らない人間だったはずの、禍鏡にとってただの餌でしかなかったはずのそれは、それ自身が化け物と呼んだ存在よりも、遥かに――

 降り注ぐ赤い血の中で閃光のように煌く紅い眼が、哀れにも生き残り恐怖に固まる化け物を、容赦なく、蹂躙する。

「ッ!? ッ――」

 あるものは顔面を掴まれた瞬間に圧砕され、

「ぴッBRRR……」

 またあるものは悲鳴を上げている最中に肺に位置する器官そのものが吹き飛ばされ、ただ空気の漏れる音と血反吐を死ぬまで口から垂れ流す。

 だがやはり圧倒的に多いのは、一定時間毎に発動する先のような無音のギロチンに、反応する間もなく首を撥ねられて息絶えるものだった。

 気が狂いそうな血臭と赤色を空へと注ぐ亡骸の数は、百など遥か昔に超えている。

「――」

 相対する禍鏡には、戦意などもはや無いに等しかった。

 彼らはただ、逃げる。

 一瞬先の死に怯えるよりも、まるで勝ち目のない戦いに身を投じるでも、仲間の逃げる時間を稼ぐことも。 考えうる行動の一切を忘れてしまったかのように、一心不乱に我先にと逃げ帰る。

 かつて自分たちの生まれた、その残骸へ。 

「はっ! 今更親へと命乞いか?」

 我関せずとでも言いたげに、自分のすぐ隣を無防備に通り過ぎて行こうとした禍鏡を撫でるような掌の一閃であっさり六等分すると、緋高が嘲るように吐き棄てた。

 本能のままに母体へと群がる禍鏡を前に、興を削がれるでもなく、腹を立てるでもなく、彼は呟く。 

「ようやく、ゆっくり眠れそうだ」

 湧き上がっているのは、喜び。

 笑みの形を貼り付けて、死の臭いを撒き散らし、踊りはまだ、終わらない。

「……なんなのよ……なんで、こんな」

 尚も繰り広げられる血の狂宴に、呆然とした表情でそう呟いたのは、那凪。

 隣にいる高原も、既に意識は平静を保つどころか空気に呑まれ、身動きさえ取れなくなってしまっていた。 

 無理も無い。

 突然現れた仲間だと思っていた人間が、誰よりも敵に思えるような惨劇と地獄を作り出しているなど、一体何の間違いだ。

 逃げ惑う化け物の足を、腕を、首を、人間が笑いながら玩具の様に跳ね飛ばす光景を見て、精神が揺れない方がどうかしている。

「おい……なんだよ、こりゃあ」

「酷い……」

 それは、ようやく仲間の下へと辿り着いた者達も同じだった。

 那凪達がへたり込んでいる場所の反対側。 女王の残骸の後方からようやく援軍に来た轟と御国の二人も、突然眼に入りこんできた地獄に目を奪われて立ち止まる。

「……っ!? 那凪!! 高原!!」

 少しの間呆然と固まっていた轟だったが、どうやら惨劇の一部しか見ていない分意識へのダメージは少なかったようだ。

 視界の隅でへたりこむ那凪と高原を見て僅かに正気を取り戻し、強張った顔のまま二人に駆け寄って行く。 当然その後ろには、彼の声ではっと我に返った御国も続いた。 

「虎さん、さなちゃん」

 どこか上の空で二人の姿を認識した那凪を見て、やってきた二人は改めて状況の異常さを思い知った。

「那凪、いった――」

 言葉の途中で耳に叩き込まれたその一際高い断末魔に振り向くと、挽肉を握りつぶしたような肉々しい破裂音を響かせて、また一匹禍鏡がひしゃげて息絶える。 

 四人が、息を呑んだ。

 いったいどれ程の握力があれば、いや、それ以前に、どうすればこうも簡単にあの化け物共を弄べると言うのか。

 まるで映画の一シーンでも見ているような現実感の無さと、それを覆すリアルな血生臭さに、援護どころか誰一人声を出すことさえ叶わない。

 

 どれだけ、そうしていただろう。

 どれだけ、時間が経っただろう。

 

 気がつけば、雨は止んでいた。

 いや、雨だけではない。 逃げていたはずの禍鏡の波も、断末魔も……緋嵩さえも。

「な、え?」

 いつの間にか、溢れ出る狂気に飲まれて呆けてしまった那凪達を置き去りにして、惨劇の代わりに張り詰めた沈黙が場に訪れていた。

 完全に傍観者となった四人が、訳も分からずきょときょとと緋嵩と禍鏡の間に視線を行き来させる。

 音が無い。

 動きも無い。

 ただ、緊張だけは、解けていない。

「…………」

 無言のまま、緋嵩は警戒を解いた様子も見せず、ただ静かに目を閉じていた。

 一見すれば棒立ちのように見えるが、纏う雰囲気は那凪たちと戦ったときと同様、一抹の隙さえも窺わせない。

 対する禍鏡は、皆一様に視線を一点へと向け微動だにしていなかった。

 その隙だらけの敵を前にして、何故か彼は動かない。 さっきとはまるで別人のように、ただじっと、立ち尽くすばかり。  

「な、なあ、なんであいつら、動かないんだ?」

「そんなこと、僕が知りたいよ」

「なんなのよ、もうなんなのよこれ」 

 ざわざわと騒ぎだす外野の声も、禍鏡が何をしているのかも、今の緋嵩には聞こえない。

 ただ、待つ。 経験と本能の赴くままに。

「……来た」 

 始まりは、唐突に。

「う、うわっ!?」

「ちょ、今度はなっ……に……!?」

 地震か、雄叫びか、それとも、歓喜か。

――RUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUU――

 鳴る。

 鳴る、鳴る、鳴る、鳴る鳴る鳴る鳴る鳴る鳴る鳴る――

 大気が、地面が、空間が、壊れるほどに歪み震えて叫びだす。 そして、爆ぜる。

 若い女の悲鳴のような音の中、まるで風船が割れたような甲高い破裂音が二度、三度と、めまぐるしい速度で響いては散っていく。

 気を狂わせんほどに耳朶を振るわせる音の嵐。

 その突然すぎる場の変化に、那凪達は誰一人として順応できず次々と耳を塞いでうずくまってしまう。


 だから、彼らは見逃した。


 あの時何が鳴いたのかも、その瞬間に何が起こったのかも。

 すべてを見逃して、だから――――顔を上げた瞬間とき、彼女達は狂うのだ。

「ひっ――」

 目を裂けんばかりに見開き、畏怖に体を震わせて、それでも彼らは魅入られずにはいられない。 

 人が認知できる限界を超えているからこそ、壊れずにはいられない。

 

 ヒトは決して、神を認識できはしないのだから――

ああ疲れた……

今回の『キョウランノウタゲ』は一気に書き上げました。

やっぱりばとるは勢いが大事ですものね。

というわけで、まだまだ行きますいっちゃいます。

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