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プロローグ

久々の作品です。

や、ほんと久しぶりで、なんだかまだ勘が全然戻っておりません(笑

さて、今回始まった小説ですが、暇つぶしにでも覗いてやってくださいな。

感想などいただければ、作者のやる気にダイレクトに繋がります(^^)

(毎週土曜更新)

「なんなのよ、あんた……」

 思わず、呟きが口からこぼれた。

 言おうとして言ったのではない。本当に、ただ純粋に、動揺から起こった反射のような動作だった。

 こんなものは、知らない。

 どれだけ記憶を遡っても、どれだけ知識を脳内にぶちまけて掻き出してみても。

 今、自分たちの眼前に在るようなモノは、この場にいる誰一人の理解の範疇にも収まらない。

 なぜ、自分たちはこんなものと対峙している?

 なぜ、こんなものが目の前にいる?

 なぜ、存在することが許される?

 楽な仕事のはずだった。

 仲間内からの評判は決して良いとは言えないが、それでも最も有効な手段だと思っていた。

 相手の力量、経験、センス、その全てを推し量るのに丁度良い試練のつもりだった。

 新しい同胞を迎えるための、性質の悪い茶番。


(なのに、なんで、こんな――――)


 息を呑む。

 自分達を見つめているその赤い目に、月光を纏いなびくその髪に、その、おぞましい程の殺意の奔流に、当てられて。

 それは未知との遭遇の興奮か、絶大な存在への畏怖か。 否、断じて否。これはそんな生易しいものではない。

 人はこの感覚を、戦慄と、そう呼ぶ。

 ありえない。

 唯の人ならまだしも、自分たちが覚えるのはお門違いもいいところだ。

 目の前のこれは、人だ。

 目も耳も口も体も、普段相手にしているそれとは比べ物にならないくらい人間で、どこに戦慄を覚えることがあるだろうか。

 理性が叫ぶ。 間違えようも無いことだと理解もしている。

 だと言うのに、本能だけが、今なお死に物狂いで警告していた。

 これは、違うと。 自分たちの知りえる何よりも、決定的に、壊滅的に、馬鹿げているほどに、違うと。

 汗が吹き出る。 喉がからからに渇いて、今すぐこの場を逃げ出したい筈なのに、どうやっても視線がそれから外せない。 指一本動かすことさえ恐ろしい。

 不意に、ソレと相対している彼女の脳内に、ここ最近の記憶が湧き出てきた。

 まるで走馬灯のように……



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