第4話 七夕の事故
どうして、いつも、私の隣に居るの?、意識しているのは、私。そう、私なの
こんな気持ち、初めて、でも、何をどうしたらよいのかが、わからないの
誰か、誰か、助けてください。
桜井はいつも、思っていた。
どうして、悟君は毎回、私を誘うのであろう
それは、嫌な事では無かった。もちろん、悟の事にどんどん、引き込まれていく自分に気が付いていた。
しかし、桜井は表現するすべを知らない。根っからのお嬢様。男性と話すなんて、キャプテン、副キャプテン、せんさん、かずき位
今日は七夕である。つまり、明日が東東京大会、初戦という大事な日でもあった。
悟は、桜井を誘い出し、二人は夕方のショッピングモールに向かった。
特に予定があるわけでもないが、悟は桜井と一緒に居たかったのである。
理由もなく、ショッピングモールに
桜井
「明日、初戦でしょう?出歩いていて良いの?寮でミーティングとかないの?」
悟
「ない、ない、試合前日に詰めたところで、何も成果は出ないからね」
「日頃から常に100%を出していれば、試合でもおのずと100%そして、それ以上の成果が出る」
「日々の練習に力を出し切らない野球人は、試合でも、ちからを発揮できないから」
桜井
「確かに、そうなのかもね。よくあるよね、青春ドラマとかで、ここで決める!みたいな」
悟
「そう、ある、ある、それってね、常に100%を出し切っているから、さらに20%増量みたいな、事が出来るのに」
「日頃、50%でやっていたら、単純に70%、それだと、結果に結びつかない」
「これは、僕達和井田全員同じ、常に100%の力を出し切って、日々練習している。」
桜井
「なるほど、みんな全力で泥だらけになりながら、毎日練習しているものね。明日決勝なのかと思うくらいに」
悟
「皆、中学校のクラブチームでそれぞれ、タイトルを取っている仲間だから、練習で何をすべきなのか、よくわかって居る」
「まさか、腹式呼吸でインナーマッスルが鍛えられるから毎日やるというのは、知らなかったけれど」
「走攻守。キャプテンのあの言葉、胸に響いたな」
桜井は、わかって居ながら、あえて尋ねた
「いよいよ、明日だね。応援するね」
「ところで、どうして、いつも、私を誘ってくれるの?」
悟
「それは、居たいから、ここが俺の居場所」
一緒に横断歩道を渡りながら、会話が進んでいった。
ところが、桜井は、横断歩道の途中で、考えてしまう
桜井、居場所、ここが、居たいから、え?
考えてしまう、桜井は、道の真ん中で、立ち止ってしまった。
そして、信号が赤に変わっていた。トラックは激しくクラクションを鳴らす
激しいクラクションの音に
桜井は、気が付かない、まじかに、トラックが来ている事に、
悟の言葉、ここが居場所が、頭から、離れず、考えてしまい
悟が振り返り、
悟
「あぶない!」
悟は速攻で、それは迅速、雷よりも早い、一瞬で
トラックに引かれそうになる、寸前で、桜井を救出
俊足の悟だから、出来た。悟は、腕と足をすりむく程度で
悟
「桜井さん、大丈夫?怪我はない?」
桜井
「どうして、どうして」
「明日から、大会でしょ!初戦!」
桜井
「悟君、怪我している、ごめんなさい、ごめんなさい、考え事を、ごめんなさい」
悟
「大丈夫、俺は、かすり傷」
「こんなの練習で血がでる位の鬼ノックより、軽い、軽い、何ともないよ」
桜井
「あ、ありがとう、ごめんなさい、助かった、まったく、気が付かなかった」
「本当に、ごめんなさい」
桜井も気持ちは固まっていた。桜井は、想いを伝えたいが、どう伝えれば良いのかが、わからない
二人は、ショッピングセンターについた、目の前には、短冊、七夕コーナーがあり
悟
「七夕、そうだ、今日、七夕だね、短冊かこうよ、自由にかいて良いみたいだし」
桜井
「うん」
桜井は、短冊に、王子様と寄り添いたい、と書いて、隠して、短冊に結んだ。
悟は、桜井が書いているのを、見ていたので、
桜井の短冊のうえ、悟が書いた、短冊を結ぶ
悟の短冊には、
それが俺
と書いてあった。
そう、今日は七夕である。
桜井は目を赤くし、悟を見る
悟
「ただ、待って欲しい!」
桜井、え?何を待つの?何を、どういう事なの?私じゃ、ダメなの?
二人は、七夕の短冊を見つめていた
桜井は、今の状況を理解できていなかった
そう、彼の発する言葉をきくまでは