第2話 平 美幸 運命
今日言うのだ、決めた。今日!走が1位で決めて、きちんと言葉で言う
好きと。
平 美幸
お隣さん同士、同じ日に生まれ、何をするにも一緒に育った。
写真もいつも二人一緒。アルバムをめくると、全ての写真が二人一緒。
ごはんも、お風呂も、寝るのも一緒。
中学校では、誰もが憧れるカップルであった。
学校でもいつも、手を繋いでいた。先生達は呆れていた。面談に両家揃ってくるものだから
先生もびっくりである。
走は、かっこよかった。
幼稚園の時、一緒に滑り台を滑って
又、かけがろうとすると、小学生の大きいお兄ちゃんたちが
じゃまだ、どけと!
私は、転んで、泣いてしまった。
割り込んできた男の子たちに
走が立ち向かって喧嘩になり、幼稚園生の走が、小学生の大きいお兄ちゃんたち5,6名を
泣かしてしまい、私を助けてくれた。
走は私のヒーロー。
何をするにも、走が一緒。
小学校高学年、中学校になるとカップルがどんどんできていた。
告白かー。そういえば、告白って、あれ?走に好きって言ったかな?
言わなくても良かったのだが
告白というものに、憧れはあった。
友達の告白を観ていると、想うところがあり
ドキドキするのかな?
泣いたりするのかな?
うちと、走は何をするにも一緒。
常に一緒に居ると、告白って必要なの?
となりの寝顔の走を観ながら、思っていた。
告白かー、そう思うと、
あれ、これって、私
私、今
ドキドキしている、ドキドキってこういう事?。
明日最後の運動会。運動会リレーで1位になったら、言おう
そう決めて、その日は眠りについた
朝走に起こされて、日課のランニングである。
眠い。昨日意識してしまい、途中で目が覚めて、又、寝ると繰り返していた。
走
「朝のジョギングは気持ちい」
美幸
「あのね、走、今日のリレー勝ったら、!ご褒美ね」
クラスも一緒。私が第一走者。アンカーは走。
走が1位、そうしたら言おう!初めての告白を。
位置について、
よーーい
バン!
スタート
ざざぁーーーぁあー
バタ
私はスタートしたとたんに、その場に倒れた
隣の子の肘があたり、バランスを崩して思いっきり、倒れこんだ。
痛い、血が出ている
そうじゃない。倒れている場合じゃない、起き上がらなきゃ
あれ?足に力が入らない。
痛い。
痛い。
それでも、走る、走らなきゃ、1位でバトンを渡すんだ。
一位で。
全力で走った。
どんどん、抜いていく、全力で走る
全力で。
1位なら、ご褒美、あげるのか、貰うのか
いや、今は、そんな事考えないで
全力で走る。1位に。
ダメだ、
追いつかい
追いつかない
追いつかない
痛い。
全力で走る、走るが追いつかない。どんどん抜いたが、トップの子と半周も差がついている
もっと
もっと
もっと
速く
この足、速くなれ!!!!
何で、
どうして
どうしてなの?
スタートで、転んじゃったのだろう、肘がぶつかったのだけれど
まさか、倒れるとは、膝を思いきり地面に打っていた。
私のせいだ、私のせいで
リレー1位になったら・・・
それでも、抜いていく、脛と膝から血が出ながら
ダメだここまで縮めても、半周TOPと差が埋まらない
半周差
走りながら、涙がこぼれて来た。わたしのせいだ。
バトンを渡さなくちゃ
え?
え?
え?
どうして?
アンカーじゃないの?
走の姿が見える、手を伸ばしている。走だ、走だ。
走がなんで、居るの
次なの?アンカーじゃ
走
「ワイに任せとけ、全部ぬいっとったる」
泣きながら、バトンを渡すと
その場に、倒れこんで、泣いてしまった。みんなが私にかけよる、大丈夫だよって。
でも、わたしのせいで、半周も差がついて
泣いている先に見たものは、
え?走が、どんどん抜いていく
泣きながら、叫んだ!全力で叫んだ!声がかれるくらい叫んだ!
行けーーーそう!!
そうー!!!
泣きながら、叫びながら
そうー!!
そうは、12人を全部抜いて、
さらに、差を広げて、その差はどんどん広がり
嘘だろ
速すぎる
ありえへん
速い
速いってもんじゃない
なんと、全部抜いて、さらに、2位と半周差をつけて、TOPでバトンを渡す
走
「ふー、ま、こんなもんやな。」
美幸は、涙をぬぐいながら
「走、アンカーじゃないの?」
走
「流石に、周回遅れまでいくと、とりかえせんから、アンカーから、かわってもろうた。」
走は、手を差し出し、
「美幸、とりかえしだでぇ、後はクラスのみんなを信じよう」
美幸と走、大声で!
「いけーーーー!」
GOAL!!!!
走
「よっしゃ!!ワイらが1位やーー!」
美幸はまた、泣いた。
ポロ、ポロと、涙がこぼれて来た。
無我夢中で、走の胸にかけより
そのまま、走に口づけを、はじめての、キスだった。
運動会、全校生徒、先生達、誰もが見ている前で、
その場全員の注目が集まっている
美幸(構わない、構わない)
走
「ご褒美って、わい。うおーーーーーー!!!」
有終の美を飾り、運動会は終わった。
運動会の跡片付け
もちろん。
先生達に二人揃って、仲良く、怒られました。




