表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
330/340

第2話 香宗我部 乙葉 貧しい生活、わたし高校に行かない、働く

本当ですか!嘘じゃなく、エイプリルフールじゃないのですよ

嬉しい。これで、高校に行けます。ありがとうございました。




おはよう、あれ、お父さんは


お母さん

「朝4時前には、でたわよ、昨夜帰ってきたのが1時なのに」


乙葉

「お父さん、寝る時間あるの?体、大丈夫なの?」


お母さん

「心配は、心配ね、新聞社ってこうなのかしらね」


乙葉

「朝ごはん手伝うね。その後弟たち起こしてくるから」



これが毎日であった。


それでも、母は、私にバイオリンとピアノは習わせてくれた。

弟が二人。起きないのである。たたき起こすことで、やっと起きる。

勉強も出来ない、私が家庭教師である。


中学校も夏が終わり、秋を迎え、そろそろ進路を決めなくてはならない。


家に帰ると、弟たちをお風呂に入れて、ごはんを作って

母もパートに出ている事もあり、私がやれることは、やる。

弟たちに勉強を教える。自分の勉強は授業さえ聞いて居れば、その先も推測して覚えられる。



毎日同じことを繰り返して想う事があった。

私、高校行けないな。成績はTOP,バイオリンコンクールも金賞、ピアノも。



高校か、通信にして、働きに出るかな。


周りの子は、彼氏、彼女が出来て、洋服も奇麗で

たまに化粧等もしている


うちでは、金銭的に無理である。

いつのまにか、中学校生活は、振り返ってみると

無口で、内気、地味というように思えた

いや、想われていたのであろう。


コンクールだけは、唯一お姫様になれる瞬間でもあった。


音楽もやめるしかないな。


弟たちは野球に夢中で、そのお金も考えなくては。


駄目だな、進学は諦めるしかないかな。



明日進路指導の先生と、三者面談。母もパートを抜けてきてくれるらしい。

相変わらず、父は、家にはいない。帰ってきた形跡はある。

私が起きる前には、家にいない。


物価高も影響し、家計を圧迫しているのは、わたしにもわかる。

洗濯は毎日するが、母の服は殆ど毎日同じものである。

私もあまり変わらない。



弟たちを寝かしつけてから、母と話した


乙葉

「おかあさん、明日、進路の話なのだけどね」


おかあさん

「もちろん、大丈夫、必ず行くからね。頭の良い乙葉なら、土佐よね。土佐に行きなさい」

「おかあさん、一杯働くし、お父さんも頑張っているか、大丈夫」


乙葉(無理している、無理させている、私の為に)


「あのね、おかあさん」

「明日、言おうと思うの、進路指導の先生に」


お母さん(良かった、土佐、あそこにけるようにお金は貯めて来たのだから)

「はい、なーに?、決めたの?」


乙葉

「うん、決めた」


「わたし」


「高校に行かないで、働く」


バン!

テーブルを激しく叩く、母


そして、いきなり、私の頬を平手打ち


お母さん(どうして、そんな事を言うの、初めて子供に手を出してしまった)

「ど、どうして、そんな」


母はボロボロと泣いていた。


乙葉(痛い、はじめて、ぶたれた)


「だって、だ、だ、、って・・・」


乙葉もボロボロと涙がこぼれた




お母さん

「馬鹿な事いわないの、良い、明日、おかあさんが先生に話すからね」



その日、布団に入り、私は泣いた。泣き続けた。

お母さんが、どんな気持ちで、働いていたのかが、わかった。

気持ちだけでは、どうにもならないのである。



翌日、中学校の面談である


香宗我部さんお入りください

そうですね、成績は学校トップ、バイオリンもピアノもコンクールで金賞

岡山の有名私立や、大阪の有名私立を薦めます。学校推薦で決まります



乙葉(それでは、ダメなの、うちは)


お母さん

「もう少し通えるようなところで、土佐とかは」


学年主任

「土佐は、費用が高いですが、これが資料です」



お母さん(こ、こんなに)

「わかりました、1日考えさせてもらえませんか」


進路指導

「わかりました、そう焦らなくても、大丈夫です乙葉さん、成績優秀ですから、私の方でも探してみます」


お母さん

「ありがとうございます」



そして、帰宅。母は、仕事に行った。


乙葉はお風呂を洗いながら、やっぱり駄目だよね。高校。

弟たちをお風呂に入れないと。

乙葉は弟たちとお風呂に入って居た。


その時にお母さんが、帰ってきたのであった。何か慌てた様子で


バーーーーーーーン


お風呂を開けると

お母さん

「こら、野球坊主たち、いい加減におねーちゃんとお風呂に入るのやめなさい」

「おねーちゃんは、女の子ですよ、来年から高校生、大人の女性なのだから」


弟たち、はーい。


乙葉

「私は、気にしないは、大丈夫、これからも」


お母さん

「ちがうのよ、乙葉、お風呂出たら、話すね」


乙葉(なんのことだろう、お母さん、涙ぐんでいたな、弟たちとお風呂に入るのが、ダメなのかな)



髪を乾かし終わって、テーブルに行くと


お母さん

「乙葉、座って、座って」


なにやら、母が嬉しそうだ、こんなに声が軽い母。いつぶりだろう

私は音を聞き分けられる、声も、発声で相手の気持ちもわかる。


乙葉

「どうしたの?今日の事、土佐は無理かな、私ね、やっぱり」


そう言いかけた時


お母さん

「電話があったの、東京、和井田学園高等部、特待生」

「野球部寮だけれど、マネージャー全部費用が無い」

「吹奏楽部も大部分免除、東京に行きなさい。和井田学園なら、和井田大学にいけるから」



乙葉(え?嘘、わたしが、東京、東京に、それも、和井田に)

(全部がマネージャ?野球部、大部分が、吹奏楽)

(それなら、音楽なら、大学に行ってからでも)


「わたし、和井田の野球部」

「マネージャーやる」


お母さん(え?)

「吹奏楽部じゃないの?」


乙葉

「うん、吹奏楽は大学に行ってからでも、個人でも出来る。」

「弟たちも野球をやるのだから、この際野球を覚えてくる」

「信じられない、嬉しい、だって」


「だって」


「高校に行かないで、働くと決めた矢先だったから」


小声になり

「働くと」


そう言い終わると、ボロボロと涙が、

わたし、高校に行って良いんだ。私が、良いのだ

そう思うと、涙が止まらない。


お母さんと二人で、泣いた、泣いた、泣いた


翌日学校に行き、進路指導の先生にあい

「おどろいたよ、いきなり学校に電話があってな和井田学園から」」

「お母さん喜んでいたよ、和井田の吹奏楽部」


乙葉

「違います、和井田学園野球部マネージャになります。先生ありがとう」

「夢みたいです。」


先生

「野球部マネージャーか、頭が良いから何でもできるのだろう」

「おめでとう、東京でがんばってこい!」



乙葉


「ありがとうございます」


こうして、私は中学校を無事に卒業し

春の終わりに、和井田学園に入寮したのであった。



和井田学園

野球部

マネージャ


人生の選択

乙葉の人生そのものを、導いてくれる運命の出会い


東京で起こるのだとは、誰も、思ってもいなかったのである。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ