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第1話 本田数記 逃げたい



ほら、お姉さんで、調べてみる?かずきくーん

先生になるのでしょう。おいで、おいで。



まったくもって、馬鹿にしている。子供だと思って

本田産婦人科の息子である僕は、看護師さんや受付のお姉さんたちに、からかわれていた。


両親揃って産科医出ある。兄も姉も医者を目指していた。


僕は自由に、勉強をし、学童野球、中学校は和井田中等部に進学し、軟式野球部に入った。

硬式野球のクラブチームも考えたが、勉強する時間が取るのは難しいと学童の先輩が言っていた事もあり、

野球を辞めるか、天秤にかけ、部活動を選んだ。


自慢じゃないが、もてる方であり、中等部ではモテルトップ3に入っていた。

1番は御手洗君、2番は、石井君、そして僕である。


放課後の部活動では、僕のファンらしき子が沢山応援に来てくれていた。


野球部ではセカンドと中継ぎ投手、守備はノーエラーが自慢である。

帰宅すると、直ぐに勉強に邁進する。夜遅くなるまで、眠るまで勉強をした。

勉強しながら寝てしまう事が多かった。


登校すると、下駄箱や机の中に、ラブレターがあるときも、

今の時代に手紙とは、ありがたいものである。

しかし、興味はない。



僕の家庭環境のせいであろう、病院の現場を見る事もある。

看護師さん達には、いずれ病院を継ぐであろうという視線でみられ、

変な好意を寄せてくる大人たちもいて、

女性不信に陥っていたのである。元々人見知りで、言葉数も少ないのである。


夜の病院に呼び出されて、変なお誘いを受ける事も実際にはあった。

僕は怖くて、怖くて、仕方がなかった。


中学校で男友達と話すかと言えば、そうでもない。

休み時間も、難解な数式を解く事が楽しく、いつも一人である。

成績は常に3位以内には入って居る。


中学校3年になり、野球部も最後の大会であったが、3回戦で負けてしまい。

僕の野球人生はここまでにしよう。この後は勉強一本で。


勉強して何なりたいのか、目標が定まっていない。

プログラミングは僕の最大の武器である。

解析とか、予測そういった職業に就きたいと思って机に向かう


決して、医者になろう等とは思っていない、1度もない。

兄か姉が病院を継ぐと思う。

病院に行けば、お姉さんたちに、ナンパされるし、

もう、これってセクハラだよね。胸を誇張してきたり、あえて下着が見えるそぶりで


それは、院長の息子であれば、近寄ってくるのも分からなくはないが、

女性に対して感心そのものが、無くなっていた。


野球部が終わるとき、僕のとんでもない、失敗をしたのを今でも覚えている。


挨拶をし、これで野球ともお別れだと。


すると、一人の女の子が僕が出てくるのを待っていたのである

下級生だ。


その子は、花束を持っていた。明らかに視線は僕を向いていて、

周りの応援しているお友達であろうか、その子の背中を押している。


段々と、僕に近寄ってくる。既に野球部は誰も残っていない。間違いなく僕に対してだ。



しかし


僕の取った行動は、


一旦、部室に戻り、裏口から帰ってしまったのだ。



そう、その場に出てくるであろう、下級生達を残したままで。



帰宅後、勉強を始めるが、どこか集中できない。


なんで僕は、堂々と前を通って、断るなら断ると言えなかったのだろうか

もしかして、まだ、残っているという事は無いだろうか

まさかな。



どうにも勉強に手が付かないので、夜中もう1度学校に行ってみる事にした。

野球部のグラウンド、3年間ありがとう。これで終わり。

流石に真っ暗で、何も見えないが、その子が居たであろう場所には足を運んだ


この時間である、誰も居なかった。どこかホットした自分が居た。


安心し、家に帰り、勉強する。


翌日学校に行ったが、何も変わった事は無かった。

和井田高等部に進学する事は決まっているが、パンフレットに硬式野球部は寮生活と明記されていた。


家に居ずらかった、姉も、僕をからかってくるし、外をあるけば、お姉さんたちが声をかけてくる。

和井田野球部に入る事に決めた。


やはりどこか、何か引っかかっていた。


久しぶりにグラウンドに立った。誰も居ないグラウンドである。

野球は中学校で終わりと決めていたのだが、高等部で硬式野球に入るとはね。

グラウンドに自分の姿が映る。

チーム全体のレベルが上がれば、もっと上を目指せたのにな。




よう、かずき




振り返ると、御手洗君である。U-15代表で世界を制したキャッチャー

「かずき、なんで硬式やらなかったのだよ、何度か見たけど、旨いじゃないか、セカンドのボールさばき」

「セカンドは頭使うからな、難しい、ボールと逆方向に動かなくてはいけない、それを完璧にこなせている」

「高校野球部なんだって、一緒に硬式やろう」


かずき

「僕のレベルは通用しないと思う、軟式から硬式。僕は記録員をやろうと思っているんだ」


由良

「もったいねー。記録員重要だけど、かずきの守備まじで、旨いぞ、記録員は女マネがいるだろうし」

かずき

「世界一に褒められるとは、恐縮です。そこは高校生になってから、改めて考えるよ」





由良

「ところで、かずき、さっきから、あそこ、女の子待っているぞ、俺じゃなく、かずきを」

「俺が来る前から、ずっといるみたいだ」


かずき(え?気が付かなかった、3年間の野球を振り返っていた事もあり)

「え?、あ、あの時の、下級生」

由良

「いってやれ、どうするのかは、自分で決めればよい、ただ答えを出さないのは、ダメだ」

「野球は点取りゲーム。0-0では永遠に終わらない。わかるよな、かずきなら」


かずき

「御手洗君、ありがとう、行ってくる」



そうだ、何かひっかかって、ここにきたのは、下級生の事だ。

野球は、点取りゲームか、旨い事いうな、0対0では、永遠に終わらない。

その通りだ。きちんとね。



僕は下級生の前に出て

「少し前だけれど、帰りまっていてくれたよね。」


下級生

「はい、あの、私、ずっと、かずき先輩の事が」

「好きです」

「お付き合いしてください」



かずき(好きな子がいるわけでは無いけれど、今は、ごめん。)

「気持ちはありがとう、その気持ちには答えられない」

「ごめんなさい。もっと早く答えれば良かった、申し訳ない、待たせてしまい」


下級生(わかっていた事だけど、胸が痛いな、でも、泣かない、泣いたら、先輩卒業がね)

「はい、わかりました。」

「高等部でも、野球頑張ってください」

「影ながら応援しています」

「答えをくれて、ありがとうございました」

「私は後2年間あるので、頑張って良い人を見つけます」


かずき

「え?1年生なの?びっくりした、全然見えないよ、中学校3年生でもおかしくない」

「うわ、僕より大人だね」


そういうと、笑顔で


下級生

「先輩ったら、おかしい!」

「私も同級生だったら、チャンスあったのかな、3年間」

「まだ、後2年あるので、新しい恋を見つけます。」

「たまには、中等部に遊びに来てくださいね」



下級生は手を振りながら、笑顔で帰って行った。




由良

「かずき、はっきりさせたのは、偉いぞ」


かずき

「御手洗君こそ、はっきりさせてきたら?」


由良(え?、バレてるの?)

「なんのことだよ、わからないな」


かずき(バレバレだっていうの、あれだけ、体育館に張り付いていれば)

「バスケ部」


由良

「はぁーー!?、知らん、知らん、俺は野球一筋」



二人は笑いながら、中等部を卒業したのであった。




想いに、決着をつけた。受け入れられなかったけど。

高等部では、出会いがあれば、気持ちを受け入れよう。

いつまでも、逃げていては、ダメだものね。

あれ?女性不信だったのが、あ、治ったのかな。




この事がきっかけで、想いを受け入れ、高等部で運命の人と出会う事になるのであった。

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