第6話 1 On 1
フラれちゃった。あ、もう、どうしてだろう
この1年間、ずっと、ずっと、想い続けてがんばったのに
フラれちゃった
一同体育館に揃う
持田
「来てくれて、ありがとう!」
と、さらっと、シュートを決める。
持田は、意を決して
「では、はじめようか1On1 3本勝負、私がディフェンス。」
「1本でも入ったら、私の負け」
「3本全て止めたら、私の勝ち」
石井
「了解、では、はじめるか」
「いくよ」
石井はドリブルをはじめ、左へ展開
直ぐに、持田のサイドへ、お互いステップを譲らない。
石井は右にいくと、見せかけて、左側から持田をかわし
レイアップするものの、ぎりぎりの所で、持田の指がボールに触れて
ボールはリングを捉えるものの、跳ねてしまい
ノーゴール
持田
「止めたわよ、次2本目」
石井
「良くあれに間に合ったね、ターンが早い、では2本目行くよ」
石井今度は、正面から、持田の前にドリブルし、フェイントでかわしながらも
また、外側に移動し、持田はまずい、と思い
持田!間に合わない、
とどけーーーーーーーーー!!!
石井の3ポイントシュート。
誰もが決まったとおもったが、
ギリギリのところで、持田はボールにわずかに触れる事ができて
シュートはリングに弾かれた
誰も、声が出ない
出せないのである
石井
「これにも、反応する、流石だ、良く頑張った、次でラストだ」
由良
「あ!ちょっと、ごめん、5分ここで休憩貰ってよい?」
女バスメンバーも、呼吸をしていないくらい、息が詰まっていたので
「うん、5分、休憩にしましょう」
嘉位と由良で、石井の筋肉をほぐす
石井
「持田さん、お待たせ、まってもらって、ありがとう」
持田
「5分じゃ何もかわらないでしょう」
石井
「普通ならね、でも、彼らは世界一だからね」
「では、最後の3本目だよ、いいね?」
持田は頷き
石井
「いくよ!」
ドリブルで、左右にステップしながら
持田!早い、さっきとまでとは、全然違う、コースが読めない
持田!ただ、これは、ドリブルをカットできる!
と手を出したその時
石井は、ボールをつかみながら、背後に倒れこむように飛び
スロー!
ボールは、大きな弧を描いて、そのまま、音もたてずに、リングの中へ
石井はそのまま、倒れこんだ
石井、いてーぇ
「痛い、ふーー、決まった。体が軽い、バスケットは気持ちいな」
持田
持田も、その場で倒れこみ
まさか、あの体制から、
それも、フェイダウェイ
凄い、かこいいなーー。
1年間、和井田に来て、全力で頑張ったのだけれど
勝てなかったか。良くやったのだけれどな
誰よりも、誰よりも、長く、長く
ひたすら、練習して
認めて貰おうと
1年間をふりかえり、日々の練習を思い出すと、瞳から、涙がこぼれてきた
あれ?わたし、泣いている。あ、そうか、ダメだんだ。
告白、
3本止められなかったから、がんばったのだけれど、全力だったのに、想いは伝わらなかった。
石井君にも、
ボールにも
そして、なにより、自分自身にも
フラれちゃった。バスケット一筋だったけれど、中学校の全国大会よね
石井君に初めてあって、このタオル覚えているのかな
涙をタオルでぬぐった、それは、石井が全国大会決勝で負けたときに、わたされたタオルであった。
私の宝物だった、だったのに、終わってしまった。
石井は立ち上がり、持田の元へ。持田の隣にすわり、もちろん、タオルにも気が付いた。
石井
「まだ、もっていたのだね、このタオル」
持田
「うん。宝物だから。」
「この1年、認めて貰おうと頑張ったのだけれど」
「負けちゃった、バスケも恋も」
石井は持田の頭を撫でて
「バスケは負けても、恋は負けていないよ」
持田は、え?となり、なんのこと、え?負けてない、恋が?
意味がわからない。涙が止まらない
石井
「これからは、僕が持田の専属コーチとして、一緒にいるから」
「恋は負けていない。恋は持田の勝ち」
「いや、僕の勝ちかな」
持田は、
え?
本当に
ダメなのでは、
え?
私の事を見ていた?
いつから?
え?
石井
「僕じゃだめ?」
持田は、首を左右にふり、さらに泣き出して
石井
「お願いします!ずっと!あの日から」
持田は、大泣きをし
石井はあらためて、持田と一緒にたちあがり
石井、きちんと言葉で、だったね、かい君
「持田さん、僕も好きでした。見ていました。僕と付き合ってください」
持田は、また、涙がでてしまい
「はい。」
そして、高校三年最後の夏、和井田学園 女子バスケットボール部は、見事に全国を制覇したのである
持田
「堅、いままで、ありがとう、そしてお願いがあるの、聞いて」
「堅、大学で、バスケットやろうよ」
石井は笑顔で
「もちろん」
二人はゴールの下で、口づけをするのであった。
Fin.




