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第2話 持田 彩 ラストショット

よーし、後、一勝よ、最後の最後まであきらめないで、とるよ、全国

おー!!


バスケット一筋、ここまで来た。頂点は目の前。連戦であった。

千葉や、福岡、岡山、宮崎と強いチームを下してきた。



いままで、どれだけのゴールを決めて来たのだろう、それも、決勝で、全国を制覇するために。

朝早く、夜遅く誰よりも1番長くボールを触った。

バスケットが楽しくて、楽しくて


曲線を描く、奇麗な虹のように、吸い込まれていくボール。リングにも触れずに、ネットを揺らす

この気持ちよさ。


他では味わえない、この瞬間。


土日祝日も日課は欠かさない。周りの子は、男女カップル成立とかで、賑やかであった

私は、バスケットだけに集中した。


勉強のほうはおろそかであったが、出来ないわけではない。が、良いわけでもない。

大体、この中学皆、頭良すぎるのよ、わたし、馬鹿ではないと思うのだけれど

みんなが、変なのよ。勉強ばっかりで、唯一女バスだけが、あ、皆の事を悪くいっちゃだめだよね。


練習は一生懸命なのは、皆も同じなんだから。



今までの学生生活を、振り返りながら、呼吸を落ち着かせて、決勝が始まった。


おかしい。あきらかにおかしい。みんながついてこれない。

連戦、激戦のせいで、疲労がたまっているのか、わたしのパスですら、キャッチミスをする。


第一、第二クオーターで、離されていく。


決勝の対戦相手は、和井田学園中等部



タイムアウトを取り


みんな、足が止まっているよ。和井田だって、疲れているのだから

同じ、最後の最後まで、足を止めないで、

全国を取ろう!



勢いが復活し、第三クオータで同点に追いついた。いける、いける、いける

時間が長く感じた。こんなに長い時間と思う事は無かった。


入れーーー!!


シュートは、大きな弧を描き、リングをかすめる事なく、ネットを揺らした

3P!!!


逆転!!第四クオーター、終盤で、ついに逆転

もちろん、わたしが決めた。チームメンバーも思っていた

このまま、逃げ切る、逃げ切る、逃げ切れると


どこからか、大きな声が、

「中曽根さん、打つな、そこは、バックーーーーーー!!!」


え?

え?

え??


完全に一人に、張り付いてしまった。そう、外で完全にフリーであったポイントゲッターに気が付く事が出来なかった。


どこからの、大きな声が

「脇を占めて、落ち着いてーーー!」



間に合わない、足が動かない、動け、動け、動いて

ダメだ、間に合わない。



ボールは、リングの中に、



和井田逆転!!!!!



そして、試合終了!優勝は、和井田学園中等部。




え。え?、終わったの

終わったの。終わっちゃったの


何が起きたの


挨拶後、その場を離れた。誰にも見られたくなかった。


私は泣いていたのだ。

悔しかった。どうして、あれだけやったのに、我慢できずに

涙が溢れてくる。



え?何、え?

タオル、え?


石井

「これを使って」

「それと、ドリンクを」


持田(泣いている所を観られた、でも、涙は止まらない)


石井

「欲しかったですね、でも僕がこの大会を見る中で、1番光っていて」

「実力ナンバー1なのは、あなたでした」

「技術も、飛びぬけていました」

「僕が注目するくらいだからね」


持田(え?注目、1番旨い?え?)

タオルで涙を拭いて、深呼吸をし

「本当に?」

「本当に、そう思うのですか?」


石井は笑顔で

「下手なお世辞は言いません」

「あなたのプレーは、大会通して間違いなく、トップでした」

「全体的なトッププレイヤーが集まる、和井田の高校で、さらに能力をあげて頂点を目指してみては?」


持田は石井の胸によりかかり、また、泣いてしまった

(和井田学園、女バスのトップ、え、わたしが、)

声に出して泣いた

うえーーーーーん。子供のように、声に出して。


時間が経つと、その人はどこかに行ってしまった。

あ、名前聞いていない。どこの誰かも、


タオルには、和井田学園バスケ部 石井 堅 


書いてあったのだ。




私、高校は、和井田学園に行く!

そう決めた瞬間でもあった。運命の出会いは既に始まっていたのである。

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