第二九四話 門出
豊田 連、最後は161Km ストレート、和井田学園 春夏通して3連覇達成、優勝は和井田学園
香織
「凄かったね、守君がホームラン打たれて、桐蔭に負けていて、1-0.6回」
八重
「そこで、キャプテン、由良の登場、2打席連続ホームランで、桐蔭1-2 和井田 その後6,7,8回とノーヒットノーラン」
「中島君も、小久保君も、石津君も空振り三振」
楓
「そして、最終回は、うちの連が登場して、きっちり占めて、3連覇!」
初出場から、夏、春、夏を3連覇を成し遂げ、お屋敷に帰ってきたのであった。
千佳
「副社長様、奥様、3連覇有言実行、おめでとうございます」
一夜
「楓お嬢様、連様、3連覇おめでとうございます」
そうである、千佳と一夜は、三連覇を見届けてから、お屋敷を後にする事に。
一旦はお屋敷の荷物を運んでは居たが、お屋敷のお仕事は通っていたのである。
今日が最後の日でもある。
千佳
「奥様、宜しければ、お時間を」
一夜
「楓お嬢様、宜しければ、お時間を」
一夜と楓は、楓の部屋に二人で入り
一夜は、楓を抱きしめる。
一夜
「私の妹のような存在でした、いえ、妹でした、楓お嬢様」
「大切な妹を置いてはいけないのですが」
「私も、愛する、直江様のもとに、参ります」
「青春時代は何もできませんでした。」
「楓お嬢様との、一緒に居れた時間そのものが、私の青春でした」
「楓お嬢様に、御使い出来て、一夜は、幸せでした」
「楓お嬢様、どうか、お幸せになってください」
楓の髪に、ぽつり、ぽつりと、零れ落ちて来た
楓
「一夜をしょっちゅう、困らせていました、わたし、わがままだから」
「でも、私、友達が居なくて、女優業というのもあり」
「一夜は、親友であり、お姉さんでした。大好きでした」
「いつかこの日が来ることは、もちろん、心の準備は出来ていました」
「でも、やっぱり、辛いですね」
「あれ、なんでだろう、泣かないって決めていたのに、涙が」
「一夜、いままで、ありがとう、そして、幸せになってください」
二人は抱き合って、泣き続けたのであった
一方の嘉位の部屋に
香織と、千佳が二人だけで、居るのであった
千佳
「今日で、お別れになります。奥様、いえ、ここでは香織様と」
香織もこの日が来ることはわかっていたので、笑顔でと
「はい」
千佳
「奥様、副社長様、お坊ちゃまですね」
「嘉位様は、中学の時から、3つの言葉しか言わなかったのですよ。」
「いってきます、たたいま、おねがいします」
「これだけです。どこか、わたしは、心がやんでいるのかと心配でした」
「しかし、その心配ごとは高校生になり変わりました」
「ここでは、嘉位様といいましょう。」
「嘉位様は、学校からかえってくるなり、ずっと、わたしを見るのです。」
「どうしたことでしょう、わたしも、疑問に思い、いかがなされましたか?と尋ねました」
「するとですね、嘉位様から、あの、宜しければ、お部屋で、僕の、悩み?」
「いや、おかしいのです、聞いてもらえませんか?と、内容はですね」
「今日初めて、女性の胸を直接さわりました。医学的に触診はあります、意図せず、触れたのは初めてです。」
「どうしても、その事、いやその女性が頭から離れられず」
「僕はおかしいのでしょうか?というので」
「わたしは、わたしのお胸をもんでみますか?と言いましたが、断られました」
「そう、嘉位様は、恋に落ちたことに、気が付いていないのです、香織様、奥様に」
「嘉位様、そのお方の事を、どのように、思いますか?と尋ねました。」
「嘉位様は、わからないです。と答えました」
「恥ずかしそうにした顔は覚えていて、ただ、目で追うと、胸が、痛くなり」
「でも、頭のなかから、彼女が消えないのです」
「私は言いました、それは、嘉位様が、そのお方に、恋をしたからです。」
「恋とはそう、突然、想いが、その方の事しか考えられなくなり、それはご病気などではありません。」
「純粋に恋に落ちたのです。」
「嘉位様は、そのお方の事をご存じでしたか、嘉位様は、今日初めてあったと、その日の事をおしえてくださいました。」
「わたしは、嘉位様に、それは一目ぼれです。間違いなく、恋におちたのです。良い事なのです。」
「そして、頭から離れられない女性の方、嘉位様は、どのようにしたいと」
「どうでありたいと、思いましたか?嘉位様は、一緒に居たい、もっとしりたい。近づきたい」
「嘉位様、お気づきですか、初めて、わたしとお話をしてくださっている事に」
「嘉位様は、いってきます、ただいま、ありがとう この3つのみ3年間」
「それ以外は発したことはありませんでした、それが、今はどうでしょうか」
「それから毎晩、毎晩、嘉位様は、奥様、香織様の事を話してくださり」
「事があるたびに、わたしに相談してくださったのです。」
「そう、奥様、香織様と出会わなければ、わたくしと、嘉位様も、言葉を交わす事が無いまま、御屋敷を出る事になっていたでしょう。」
「それが、香織様、奥様と出会われてからは、わたしは毎日が、楽しくて、楽しくて」
「お二人の行く末を、見届けてからと」
「嘉位様は、毎日、香織様の御話をしてくださり、わたくしも、僭越ながら、アドバイスを致しました。」
「正直にいうと、わたしは、香織様が羨ましくて、羨ましくて」
「私も嘉位様にアプローチはしたことはあるのです、でも、全くの無関心、女ごころが傷つきました」
「そして、香織様に嫉妬したこともありました」
「今は上杉様をお慕い申しております。ここで、香織様、お別れになります」
香織は既に、涙で千佳に抱き寄せられていた
「千佳さん、千佳さん、わかって居たことだけど、嫌です」
「千佳さんがいなければ、私と嘉位は結ばれなかったのですね」
「千佳さん、千佳さん、私と嘉位を結び付けてくれて、ありがとう、ありがとう、千佳さん」
「上杉さんと幸せになってください。」
「千佳さんを離したくありません、でも、それは、千佳さんの上杉さんに対する思いを、傷つけてしまいます」
「千佳さんが、嘉位と居る時に、何か良からぬ事がと想像したこともありました」
「でも、千佳さんなら、良いかなと思うときも、ありました」
「わたしは、千佳さんが大好きでした。大好きです」
香織は、やっと泣き止み
「千佳さん。ありがとうございました。お幸せになってください」
そして、千佳、一夜はお屋敷を後にしたのであった。
嘉位、由良はU-18代表を辞退し、
危機が迫る、大災害に尽力しなくてはならないからである
それからという日々、嘉位と由良は、各地をかけまわり、状況の確認と、不眠不休で対応にあたっていたのであった
月日は過ぎていく、突発的な豪雨、青天という、今までにはない、変わった天気の日々が続いていく。
山本財閥グループ、株式会社 八重、それぞれ、全ての準備は整い、いつ河川の氾濫による、東京水没が起こっても問題ないと、
準備は、万全であると、昼夜問わず徹底した作業が続いていく。
そして…
ついに
未曾有の大災害が、起きてしまったのであった。そう、嘉位、香織、由良、八重の結婚式の前日に




