表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
279/340

第二七九話 記念すべきキスシーン

ドキドキしている、ヤバい、ヤバい



数日前の話である。午前中はパラパラと雨であり、野球部の練習は中止であった。もっとも午後には雨は止むのは

由良も十分にわかっていた。秋季優勝という事、来月には対外試合が3月末まで行えなくなる。

週末までゆっくり休ませる事も大事。



放課後

せんさん、瞳さん、嘉位、香織、由良、八重、連、楓、かずき、乙葉は練習場に向かっていた。


(おかしいな、なんでグローブがないのだろ)

ごそごそと、野球バックを探るがなかったので、忘れて来たのかな、おかしいな、あったはずなのに

武田は練習場に行くことにした。



瞳さんたちがつくと、誰かが練習場に入っていくのが見えた。

和井田野球部関係者以外は認証されないので、特に心配する事は無い。


せんさんと瞳さんは、雑誌とタブレットで調べものをしている

乙葉

「瞳さん、何をそんなに真剣にしらべているのですか?」

「新居、新居よ。ほら1月には寮を出始めるじゃない、福岡に帰る訳にはいかないし、せんと一緒に、生活するアパートを探していて」

かずき

「そうですね。あっという間に卒業になりますね。3年生は1月以降登校しないですからね。今年も全員和井田大学進学みたいですから」

せんさん

「来月中には決めないと、瞳が家に住むという事も考えて居る」

乙葉

「わ!同棲!って、うちらも、そうか」

「今日もこの後、キャプテンのお家で料理レッスンですよね?」

香織(住まい、あ、そうだ。いよいよだ)と嘉位の顔を覗き込んでいた


嘉位

「来月の土曜日なのだけれど、ここに居る全員、付き合って欲しい所がある」

「せんさん、瞳さん、忙しい所ですが、お願いできませんか」

せんさん(キャプテンからの頼み事、断れるわけがない)

「もちろんです、良いよね、瞳」

「はい、では、さっそく、私からね」

瞳はせんの腕をひっぱって、石碑の前に


「ついに、何も書かれていなかった、石碑に、刻みましたね」

「優勝記録と、ノーノー、さらにU-18、秋季も刻まれています」

香織

「瞳さん、撮りますよ」

瞳さんと、せんさんは、石碑の隣に立って居た。

「せん、あら、瞼に何かついているよ」

「もっと、顔だして、顔を」

瞳は大きな声で

「ちょっとまっててね、せんの顔に、何かついているから、あ、撮ってていいけど、連写とかでもね」

「もっと、顔を寄せて、こっち、わたしのほうに、取れないでしょう」

せんは言われた通りに、石碑の横でカメラの正面を向いていたが、体の向きを、反対側の瞳にむけて、やや、頭を落として、顔を寄せると

瞳さんは、そのまま、キス!

香織(連写モードってそういうことね、本当に、なにかしら、やるのね。この技、わたしも習得しなければ)

「撮れたよー、ばっちり、キスシーン!」

瞳さんはニコニコしながら、小さくガッツポーズ

そして、メンバー、一同写真を撮り、最後に警備員の方に、全員で撮ってもった

丁度そのころ、武田が走ってきて

「先輩達、なにやってるの?」

由良

「武田こそ、どうした?今日練習休みだぞ」

武田

「はい、ちょっと、忘れ物したと思って、ロッカー行ってきます」


瞳(はて?さっき、誰か中に入って行ったのだけど?もしや?)


武田は練習場の中に


「ねーねー、ちょっと、後を追いましょう」

一同は、なぜかこっそりと、後をつけていった。


選手ロッカーの中、ごそごそと、誰かが居た。

(なんで、このロッカー明かないの、部屋には入れたのに)

(どうしよう、このグローブケース、こっそり戻して置こうと持ったのに)

(誰も居ないから、せっかくだし、自撮りしちゃおう、ロッカーの名前が入るように、入るように)

(ここに、いつもいるのよね、そして、ここに座っている、定位置なのよね)

(一人で居ると、この選手控室、ものすごく広い)

(おしゃれだし、どこかメジャーリーグのロッカーみたいな、テレビでみたやつの)

(よし、誰も居ないし、今だけは、私の世界)


自撮りを始めていたのは、1年生マネージャーの、酒井さかい 芽衣子めいこである。

そう、背にあるロッカーの名前は、武田たけだ 進塁しんるい

何枚も好きなように、撮っているその時である、機械音、そう施錠が解除された音が聞こえ

武田が、入って来た。


びっくりした、酒井は、スマートフォンをしまおうとするが、手がすべってしまい、そのまま、前のめり

スマートフォンを落とさないように、両手を伸ばすと、前に倒れそうに


そこに武田が、走りこんで来て、酒井両肩を抑え、酒井は倒れなかったものの、勢いで武田の胸に顔をうづめてしまった。

酒井(ドキドキしている、ヤバい、ヤバい、バレる、バレる、色々な事が)

武田

「あぶなかったね、大丈夫?、どうしたの一人で、今日練習無いよ」

(武田が扉を閉める前に、少しだけ開けて隙間から、中を覗き込んでいるのは、瞳さん達)

酒井

「ありがとう、えーと、うーん、なんていえば良いのだろう、ごめんなさい」

武田

「え?え?どうしたの?」

武田(あ、僕のグローブ、ケース、あ、そういう事か、良かった)

「このロッカー、下駄箱と同じで、本人の学生証じゃないと空かないのだよ」

「部屋はマネージャーだから空くけどね」

酒井(まだ、武田の胸に顔をくっつけたまま、ドキドキが止まらない、止まらない)

武田

「酒井さん、いつも僕の道具、磨いてくれているよね、知った居たよ」

酒井(え?バレてる、怒られる?野球選手にとって、グローブ、バットは命、怒られる、怒られる、勝手に…)

武田

「それだけではなく、視線で僕をいつも、追いかけているよね」

酒井(それも、バレている、怒られない、怒らないの、なんで?)

「うん」

武田(良かった)

「この間、飯塚、けい、こうせいが、付き合い始めた時、僕ね、上級生、3年生の吹奏楽部の方から告白された」

酒井(え、じゃもう、彼女が居るの。遅かったの。もっと早く、伝えれば良かった、あ、なんだろう、胸が苦しい)

「そ、そうなんだ」

酒井(初恋は叶わないっていうものね、片思いだった、このグローブケースの中の手紙、どうしよう、初めて書いたラブレター、読まれる前に、フラれちゃった。)

酒井は、ぽつり、ぽつりと、涙がこぼれてきた。

「ご、ごめんなさい」

その場から、離れたい酒井。その涙を武田が拭い

武田

「三年生の吹奏楽部の告白は、丁重にお断りしました」

酒井(え?彼氏・彼女じゃないの?)

「どうして?」

武田

「酒井さんと同じ、好きな人が居るから」

酒井(言っている意味がわからない、私が想っている事は、バレている。同じ、好きな人、どういうこと)

「わからない、わからない」

「わからないよ」

酒井はそういうと、泣き止んでいたのに、また、ボロボロと泣いて

武田

「この部屋に居る、僕らが相思相愛という事」

「これで、わかるかな」

「僕ね、三年生の先輩に告白されたときに、最後に意中の人はと聞かれて、僕は酒井さんと目があったのだよ」

酒井(相思相愛、この部屋、この部屋は今、わたしと、武田君だけ、え?、もしかして、武田君」

武田

「いつも、僕の事だけ、一生懸命お世話をしてくれてありがとう、ずっと気が付いて居た」

「グローブももしかして、と、思っていた」

「なかなか、二人きりになれないから、秋季大会も終わり、対外試合も当分ない、冬トレははじまるが」

「話が長いね」

武田

「僕が好きなのは、酒井さん、酒井さんが好きなのは、僕、だから相思相愛」

「伝えるのが遅くなってしまい」

酒井(言葉より、夢中になって今と)

酒井は顔あげて、そのまま武田と唇を重ねた。

武田は酒井の髪を撫でながら、唇をはなし

「もっと早く伝えれば良かった。もう心配する事は、無い、僕とつきあってください」

酒井はその言葉を聞くと、もう1度ボロボロと涙が、零れてしまい。

「ダメだと思った。フラれると思った、先輩から告白されたといわれたとき、逃げたかった」

「逃げなくて良かった」

「わ、た、わたしは、ずっと好き」

そういうと、酒井は再度、唇を重ね

武田

「芽衣子と呼ぶね、僕も進塁でも、シンでも、呼びやすいように」

芽衣子

「進塁、進塁が大好き、大好きです」

進塁(今度は肩をだきよせて、進塁のほうから、キスを交わした)

芽衣子の涙は止まらない。


そして、瞳さん一同が、拍手しながら入ってきて

「武田君、酒井さん、おめでとう!」

八重

「もう、まったく、野球部は彼氏、彼女をみつけるところじゃないのにね」

「おめでとう、お似合いだよ」

と拍手


武田と酒井は、びっくりしていた、それもそのはず、いつから居たのだ、どこから聞かれていたのだと


「せっかくだから、武田君も酒井さんも、そとの石碑で、写真撮りましょう、キスシーンをね」

進塁は、芽衣子と手を繋いでそとへ


香織(いいなー、キスシーン、私も、撮りたいのに…)

「いきますよー、せーーの」


そこに映し出されたのは、武田と酒井、記念すべき和井田に刻んだ、キスシーンの写真であった。


嘉位

「おめでとう、武田、酒井さん」

「僕達は先に帰るから、スタジアムのベンチとか、グラウンドを上から二人きりで見るデートも乙な物だよ」


進塁と芽衣子は手をとり、スタジアムのベンチに



日は進み


12月の土曜日を迎えるのであった、



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ