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第二七六話 結納式 白紙答案は月明りが照らす

息を飲むような、三名の和装美人がロビーに


早朝、それぞれ髪型を、香織、楓はお屋敷で髪を

八重は御手洗会長の縁で、専門職の方が中曽根家で髪を


嘉位と連は、練習場に行き、ストレッチをしていた。その後軽めのランニングを

いつもと変わらない風景である。


連はやや、走るスピードをあげながら

「どういうことでしょうか?財力、権力を放棄しても、成し遂げられるとは?」


嘉位(言葉では、旨く言えないのだよな。どうしてだろう、あ、そう、そうだ)

「香織の言葉に妙な、安心感と説得力があるのだよ」

連(包容力の事かな、それは、香織さんであれば、いやその話では無いな)

「香織さんの、マシンガントークがですか?確かに、ある意味、震えます。うん、硬直しますね。香織さんのマシンガントーク」

嘉位は吹き出してしまい

「いや、マシンガントークではなくてね、確かに、香織のマシンガントークには反論はできないのは、事実、いや、そうではなくて」

「どのように表現すれば、良いのか実は僕も、わかっていないのだけれど、僕の発言、一語、一語に香織が同調する事によって、確実になる。全て上手くいく。上手くことが成し遂げられる」

「あれ、僕なにか、変な事言っているよね。なんといえば良いのだろう、これを、言葉で表すことが、うまくできない」


連(言葉では表現できない、何か?)

「かいさん、そこまで言うのであれば、何か結果があったわけですか?」

嘉位、走るペースを落としながら

「連、まさに、それ。旧:N社の解体、甲子園の第一戦、第一試合を引き当てたことも、香織の同調?助言があってなのだが、偶然と言えば、それまだが、どこか香織の一言で、安心し、結果的に成功に導いてくれる」

「不思議なのだよ」


 その後

明治記念館につくと、リムジンが二台既に停まっていた。母、山本財閥会長兼社長、豊田会長である。

香織、八重、楓は、その足で、改めて、下の階で着付けを


嘉位、由良、連も袴に着替えて、少し中庭を散歩していた。

由良

「式後は、ロイヤルと聞いているのだが」

嘉位

「和井田に縁があるからね。また、僕らもロイヤルのほうが落ち着くでしょう」

連は笑いながら

「普通の高校生がロイヤルで、落ち着くとは思いませんけどね」

由良

「山本財閥の名があってこそ」

嘉位

「いや、正しくは、お勤めしている方々のご助力があってこそなのだがね」

由良も納得し

「明治記念館か、明治時代。史学から見ると、科学と豊かさを示す放物線は角度を急激な角度をあげながら進化したいった」

「一方で、目を覆いたくなる惨事も、逆ではあるが、同じことが言える」

「やらなければならない事が、多々あるな」

連(やるべきこと…そうだ、報告しておかないと)

「ついに豊田ホールディングス、市販と、株式会社 連は年明けに一車種が、同じものだそうです。」

嘉位(技術革新の放物線の急激な角度の上昇、由良旨い事言うな)

「船舶も成功した、あとは空だな。少しこれは時間がかかると思う。小型は問題ないが」

由良

「シュミレーションはともかく、実績か」

「しかし、良く思いつくものだな、嘉位、あの技術」

「結果だけ見れば、なるほど、なのですが、普通はあの発想にはたどり着きませんよ」

嘉位

「早ければ、再来年には家庭にも広まる、当然製造業をはじめ農林水産業、つまり一次、二次、三次産業全てに」

準備が整ったと係の方から告げられ、足早に戻って行った。


それぞれの結納式が、物静かに、明治記念館の各部屋で行われた。


係の方は、それぞれのお嫁さんに、息を飲んでいた。近年見たことが無い、和装美人3名である。

結納式は滞りなく執り行われた。正装に着替えを済ませ、一同はお屋敷の車で、ロイヤルに移動した。


ロイヤルでは、一同一緒に、会食が行われた。

豊田会長がマイクをとり

「仲人ではないが、この老いぼれが、後継人、仲人であろう」

「来年は祝言じゃ。長生きはするものだ。」

「山本家、豊田家、蓬田家、御手洗家、中曽根家」

「ダラダラと長い事を話すのは、つまらんし、聞いている方も、あきるじゃろう」

「そこでだ、少し、趣向を変えよう」



御手洗経団連会長(もしや、演歌、?歌うのか?、御年幾つだ?)



豊田会長は、手紙を取り出し、それを語り始めた、軽く咳払いをしながら

小早川 日奈

「八重先輩、私は夢が見つかりました。目標が出来ました。」

「私は、八重先輩のように、みんなを引っ張っていき、そして、いつかお二人のように、誰もが認める、日本一幸せなカップルになります。」

「八重先輩が私の目標です」

「一途に副キャプテンを想い、時には一歩引いて、由良先輩と。それでありながら、私たち部員に気を配り」

「全体を調整する。」

「八重先輩は、常に副キャプテンの側にいて、羨ましい限り、お二人のように、幸せになります」

「八重先輩、そのものが、私の目標です」

「副キャプテンに、尽くす姿にあこがれました。私はこの3年間和井田学園にて、八重先輩を超えるように、部活に、恋に、日々努力致します」


「次」

三好 瑠香

「香織先輩、いつも、手助けしてくれてありがとうございます。私の目標が出来ました。間違いありません。」

「香織先輩が私の目標です。何気なく手を差し伸べてくれる、気づかいが出来る女性になりたいです」

「キャプテンを心から支える姿も目標です。」

「これからもご指導の程、宜しくお願い致します」


「次」


八重と香織は何のことか、さっぱりわからなかった。


豊田会長

伊達 颯

「俺は、連の球を捕る。この場所を認めて貰い、和井田の必要不可欠になる、これが俺の目標です」

「甲子園出場の夢は叶った。和井田学園に入って良かった。素晴らしい仲間に会えた」

「ライバルもいる。友であり、ライバルであります、お互いを認めあって、和井田に伊達あり」

「これこそが、俺の目標です」



「次」

榎本 幸恵

「楓先輩、私も、素敵な彼氏ができました、わたしの恋は始まったばっかりです。」

「お付き合いが次のステップに進むように、やがて旦那様と呼べるように」

「ハートをつかみ、幸せになります。それが目標です」

「楓先輩と連先輩のような、みんなが誰しもが羨ましがられる、カップルになるのが目標です」

「俳優やアイドルは目指しません。ひたすらお付き合いしている方を信じていきます」

「楓先輩が、東東京大会 連君のノーヒットノーランを信じていたようにです」

「あれ、これで、良いのかな、目標。良いです。楓先輩が目標です」


「次」


連も、おじい様が、読み上げている手紙が、何であるのかが、わからなかった


豊田会長

佐藤 幹

「甲子園出場の夢は叶った、それも最高の形、優勝で」

「俺は、この3年間、甲子園に出場する、夢は叶った。」

「しかし終わりではない、次は継続こそがちから、それが目標」


「次」

宮崎 光正

「同い年で、別格である、連君が目標であり、ライバルでもある、超えて見せる」

「連君を常に追いかけます。そして、いつか超えて見せます」


「次」


中曽根家も、御手洗家も、豊田会長が読み上げている手紙が何のことか、わからなかった


福井 悟

「由良先輩、由良先輩が目標です。甲子園での場外ホームラン。あの伝説は超えられない」

「5打席連続ホームラン。誰もが達成していない、この記録を成し遂げ見せます、俺の目標は、副キャプテンです」

「もちろん、副キャプテンのように、誰もが羨む、彼氏彼女になってみせます」


豊田家も、山本家も、蓬田家も、豊田会長の読み上げて、語っている事がわからなかった。



豊田会長(これが、最後か)

飯塚 大星

「自分は間違っていました、自分の目標は自分だと、だから、白紙でした」

「自分が目標、今思うと、思い上がりにも程がある、恥ずかしいばかりです。」

「ただ、自分という美化した姿を、後ろから見つめ、自己肯定するだけ」

「それは、自分自身を超えられないものだと、和井田野球部で、甲子園で気が付きました」


「伝説は語り継がれるもの。それ以上に、野球とは何かを、改めて考えさせてくれました。」

「由良先輩の学と門の話、胸に響きました」

「嘉位先輩の適切な指導、そして、香織さん。ずっと寄り添っている、キャプテンと香織さん」

「俺は、キャプテン、副キャプテンが目標です、目標とは何か、目標を持つ意味を、気づかせてくださり」

「ありがとうございました。」

「目的意識をしっかり持ちます。」

「大切な人、守るべき人が、俺にも出来ました。」

「目標は簡単には手が届かない。それが目標である事を、改めて知りました」

「常に、何をどのように、どうしたら、お二人に、たどり着けるか」

「追い越せるのか、日々考え、切磋琢磨し、自己啓発を怠らず、いつか、いつか、お二人を超えてみせます」

「もちろん、この恋を成熟させるのも目標です」




豊田会長(語るのをやめて、少し間をおいてから…)


「これはキャプテン、副キャプテンが、今の1年生の入部前に出した、宿題だそうな」

「一枚目に、こう書いてあるぞ」


「遅れて、すいませんでした。と、書かれておる」


「8名 宿題提出」


香織、八重、楓、連はようやく言っている意味に気が付いた

(これは、嘉位と由良が入寮説明会の時に出した宿題であり、入寮後8名が白紙答案であり、嘉位と由良が在学中に回答できるようにまっていると、それが、この8つの目標)


そう思うと、形式的で淡々終えた、結納式であったが

今この会場では、全く違った。秋の夜空の満月の光が、語ってくれたように。


香織と八重と楓は胸が熱くなり

(みんな、忘れていなかったのだ、そんな私を目標だなんて)


涙が溢れだしていた。(今日は泣かないと決めていたのに…)


豊田会長(これが、最後の一枚じゃな)

「そして、最後」


「キャプテン、副キャプテン、連、和井田学園、野球部を甲子園に連れて行ってくれて、ありがとうございました」

「香織さん、八重さん、楓さん、末永くお幸せに、野球部一同より」


この言葉が更に、香織、八重、楓の胸を掴み、涙が止まらない。


山本の母から、蓬田の母から拍手が、会場は拍手喝采であった。


記憶に残る、想いで、結納式と、後のアルバムに書いてある、いつの日か、そのアルバムを開くときが来るのであろう


そして月日は流れていく、明日は12月である。そう約束の12月。


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