第二七〇話 U-18 練習開始
え?まじかよ・・・ありえない。
嘉位はシートベルトのサインが消えると、香織の手を取り化粧室へ。八重は大丈夫であった。
座席に戻り、着陸態勢にはいると、嘉位の手をギュっと握る香織
ががががっががーーーーーーーーーーん。しゅーーーーーん
那覇空港に到着。香織は再度嘉位の袖をひっぱりながら、耳元に手をあてて
香織
「嘉位、嘉位、嘉位、漏れちゃいました」
嘉位
「降りたらすぐ、トイレがあるから、待てるかな」
香織
「はい、この夜用があれば大丈夫です」
4人は飛行機をおり、それぞれお手洗いを済ませタクシーで、ロイヤルに到着
嘉位がフロントに行くと、フロントがすぐに気が付いて
「副社長様、甲子園優勝おめでとうございます。こちらが2部屋のキーになります」
嘉位はロビーに行き
由良と八重さんにルームキーを渡し、部屋に移動した。その後由良と八重さんは、嘉位の部屋にやってきた。
由良
「夕食まで時間があるから、偶には、と思ってね」
「これ見たか、嘉位」
嘉位は新聞を受け取ると、香織と八重も新聞を覗いて
そこには広末が組織ぐるみの犯罪であり、反社に依頼。この試合をきっかけに、内部告発が多数SNSであがった事により
高野連は事の次第を重く受け止め、1年間の対外試合禁止処分、重ねて、監督、部長の永久追放となった。社説には寮生活の見直し、紳士たれ、学業の一環に高校野球があること等が書かれていた
八重
「当然よね!、無事で良かった、由良、キャプテン」
香織
「八重のおかげだよ、ありがとう八重、もう、怖くない?」
八重
「大丈夫。常に由良が居てくれるからね」
由良
「かなり深い部分まで調べ切っている、嘉位か?」
嘉位
「ま、そんなところ。なかじ、小久保君、石津君の事を思うとね」
一行はディナーを取り、それぞれ部屋でお風呂と夜を過ごし、朝5時に4人でランニングをしてきた
八重
「今日は私達、お昼ごろに行くのよね。非公開練習の時は、どうすれば良いの?」
由良
「近くの喫茶店で、二人で待ってもらうしかないかな、監督も違うからね」
「原田監督や井畑監督ならね、ベンチ入っていいぞーとか、言いそうだけれど」
香織
「うん、言いそうだよね、わかった、八重と近くのお店で待機しているね、直ぐ近くだけどね」
一旦部屋に戻り、お昼まで、部屋でそれぞれ過ごして、香織と八重は私服、嘉位と由良は和井田の野球部のジャージと荷物を持って、スタジアムに向かった」
嘉位と由良は中に入り、挨拶を済ませた。総勢20名。監督、コーチ陣の改めて紹介があり、選手達も改めて自己紹介を。
グラウンドに姿を現すと、ストレッチをそれぞれ始め、監督の号令でフリーバッティングが始まった。
流石にU18代表である、良い音を立てて、飛ばす、飛ばす。最後に、由良と嘉位である
ばこーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーん
かきーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーん
う、嘘、だろう、打球は場外に、140メートルを軽く超えて行った。
これがノーノー伝説のそれも、2年生。和井田学園の実力なのかと
軽めノックと、投手陣は軽めに調整であった。
監督が選手を集め方針を改めて説明。嘉位と由良は控えという形であった。嘉位と由良も十分に納得し、U18ある意味、高校三年生はドラフトへの最後のアピールの場でもあるからである。ただし
嘉位
「監督、1つだけ、わがままを言って良いでしょうか」
監督
「もちろん、伝説のピッチャー」
先輩達も、あれは打てない、無理ゲー。というかNPBではなく、メジャーだよなと。
嘉位
「1回だけで良いので、日本大学代表との一戦、打席、宗山走の時、僕と由良を出して貰えないでしょうか」
監督
「そんな事で良いのか、全試合先発で考えてくれないかと、言うのかと思っていたが」
嘉位
「いえ、そのような事はありません。先輩方は素晴らしい選手です。そして、皆様にはNPBが待っています。僕達は2年生です。あえていうならば、大学に進学します」
由良
「もちろん、世界一を取るために、いつでも出れる様にしておきます。」
監督
「わかった、ありがとう。ピンチの時は是非頼む。」
嘉位・由良
「はい!」
明日の午後は非公開とのことで、練習は終了した。
帰り道
由良
「なにか申し訳ないよな、2枠」
八重
「どうして?由良とキャプテンが出れば優勝間違いなしじゃない」
香織
「うん。そうだよね、優勝、世界一」
嘉位
「いや僕らが出なくても、十分世界一を取れる実力揃いだよ。由良が申し訳ないというのは、本来この2枠も高校三年生が出て、ドラフトに届け出を出すアピールになるのにと」
八重
「そうか、ドラフトだものね、10月末頃?」
香織
「立命館の宗山さんだよね、注目のドラフト選手!」
嘉位
「まさに、天才。大学日本代表で来る!、もう1度対戦出来るのが、楽しみで」
「後、明日の午後の練習は非公開だから、近くで」
八重
「わかった、キャプテン」
話をしながら、ホテルに戻ってきた。一同は先にお風呂を済ませて、それからディナーを。夜も盛り上がっていた。
翌朝7時にグラウンドに入り、ストレッチをしていて、練習が開始
軽めの連携が行われ、午後は非公開。非公開練習では球速測定が行われ、言わずとも嘉位が162km前後で調整を。
3年生は、嘉位にスプリットと、スイーパーの投げ方を教わり、嘉位が指導を徹底していた。
4人の投手がそれぞれ、スプリットとスイーパーを物にしてく。
コーチ
「どっちが先輩だか、わからんな。しかし、完璧すぎる指導だ。これが和井田学園なのか。」
次の日も練習が行われ、さらに翌日、大学日本代表との壮行試合が行われる当日を迎えた。
スターティングメンバーが発表され、嘉位、由良はベンチである。
ベンチに誰かが、走ってくる。宗山だ
そう
「なんや、嘉位、由良、お前らでーへんのか?」
嘉位
「そうさん、大丈夫です。必ず出ますので、途中交代しないでくださいね」
そう
「嘉位と由良が出たら、負け確定だからな。はじめのうちに暴れておくは」
監督
「嘉位、由良、宗山君と知り合いなのか?」
そう
「そりゃー、もう打ち取られましたからね、天才やわ、嘉位、由良、甲子園で場外もありえないし、ノーノーも、168Kmも」
監督
「宗山君が打席に入る、そうだな、後半に。」
そうは、一言残して、走って、大学代表ベンチに戻っていた。
「監督、おおきに」
試合は流石日本を代表する大学生である。8回表 大学代表 7-0 U18という展開であった。
嘉位・由良(組み立て方が間違っている。甲子園を終えたばかりだから、気持ちはわかるが)
スタンドに居た香織、八重
「負けちゃうね、出ないね。この回で由良出ないと、宗山さんと対戦できないのに」
そこで、バッテリーの交代が告げられ
監督
「嘉位、由良、流れ変えられるか?」
嘉位・由良
「はい」
マウンドで投球練習が行われ、そしてプレイ
初球。
スタジアムは、静まり返っていた。
両チームの選手、監督をはじめ首脳陣、スタンドに居る観客が目にしたものは




