第二六三話 嘉位の悩み、香織の思い付き
二階にあがると既に皆、着席していて
けい
「かい、おそいよ、食べ終わるころだよ」
由良(始まっていない、腹減ったものな)
監督(俺の腹減った)目で、嘉位に早くしろと。
嘉位
「けい、ごめん、では、固い挨拶を飛ばして、みんな、お腹すいているし、食べてから、盛り上がろう」
「優勝おめでとう、かんぱーーい」
一同
「かんぱーい!」
千佳さん、一夜さん、甘利さん、内藤さん、板垣さんも来てくれていた
美見先生も、瞳さんも、理事長、校長も。株式会社 八重の皆さんも来てくれた。
和井田、最高!連君すごーい、けい君、全試合ホームラン、飯塚君ファインプレー
等黄色い声の一方で、ガツガツと食べる選手、マネージャー達
大人たちもお酒で大はしゃぎ、席は自由に動き回り、それぞれ写真を撮ったり
サインをもらったりと、大人の方がはしゃいでいた。
墨田コーチ、嘉位、香織、由良、八重は、既に次の話へと
墨田
「選手、マネージャーの宿であるが、応援の宿はどのように手配を」
嘉位
「部員、指導者は大会が始まる前から、大阪のロイヤルを抑えてあります。ツイン」
「フロアーで選手が下の階、マネージャーが上の階」
「そのほか、現地でミニバンを4台レンタルしてあります、これは千佳さんが手配してくれました」
「足りないものは、コーチ陣がマネージャーと現地調達で」
「食事は全て部屋食です。大会議室は抑えてあります」
「最寄りの練習場については、理事長からお願いし、大阪の和井田高校を使わせてもらえます」
「月曜日、全校集会その後、都庁、その足で大阪に向かいます。ツアーバス1台、運転手4名確保」
墨田
「全部、財閥なのか」
嘉位
「既に、財閥の寄付、練習場を作ったときに、この先10年は困らない金額がありますので、そちらから和井田としてです」
由良
「在校生応援の宿泊先は、高野連の指定にあるところになります。」
「抽選会には、監督と嘉位が、1日ですね」
「開会式5日で、第一試合のみ夕方。」
「問題は」
八重
「問題?」
由良
「狙っている事があるのだけれど、こればっかりは、運だから、どうしようもない」
嘉位
「だよな、由良。そこなんだよね」
墨田
「キャプテン、副社長様が悩むなんて、見たことないな、どうしたのだ」
嘉位
「抽選会、思うところがありまして、希望は開会式後の第一試合、それも先行を引き当てたい。抽選なので、香織、香織ならどうする」
香織は少し、考えて、そーだな。
「わたしなら、想いを込めて、一番手前のそうね、普段使わない、薬指があたったのを引くかな」
嘉位
「薬指?」
八重
「ほら、私たちのリングは左手の薬指。愛の証。右手の薬指は、安定とか、成就を、女の子の常識」
香織
「うん、第一試合表を引き当てるなら、想いを込めて、右手の薬指が触れたもので、想いは叶うはず」
嘉位(そういものなのか、香織が言うと、安心はする、なんだろうな、この香織の感覚、香織が同調したりすると、必ず成功するのだよな)
「わかった、それでいこう!」
「よーし!食べるぞ!、墨田さんも飲んで、飲んでくださいね」
店長が来て
「社長様、大変言いずらいのですが、下のお客様が、ノーヒットノーランの連さん、強打者けいさんと写真を撮りたいと、あとお店に和井田野球部のサインをお願いしたいのですが」
由良
「連、圭、下に行って、一緒に写真をとりたいお客さんが居るみたいだから、くれぐれも失礼の無いように」
「嘉位、お店の色紙は任せてよいか」
嘉位
「わかった」
店長
「ありがとうございます」
しばらくの間、食事とお酒、雑談の時間が続いていた。皆、自由に。
連と圭が戻ってきて、和の中へ。
楓
「連おそーーい!、バツとして、わたしに、あーんして?」
小早川 日奈
「けい君、おそーーい、おそーい、ここ、に座って、わたしにも、あーんして」
圭
「あ、はい」
せんさんと瞳さんが立ち上がり
「僕たちは今年の夏が最後、まず、最後の時期を伸ばしてくれて、本当にありがとう」
「そして、取るよ!甲子園、有終の美を、全力でいこう」
拍手、拍手
選手たちの食事は終わり、20時前なので一足先に解散となった。
大人たちはそのまま、23時まで酒盛りが続いていった。
せんさん、かずき、瞳、乙葉、連は寮で外泊届をだして、キャプテンのお屋敷に。
由良と八重も帰宅後、再度キャプテンの御屋敷に向かった
執事の方が出迎えてくれて、また、日勤のメイドさんたちも
「おめでとうございます、今日は一日テレビにくぎ付けでした、ついにやりましたな、和井田学園、初の甲子園、おめでとうございます」
「料理長が、広間でおまちでございます」
一同は広間にいくと
そこには、見たこともない、甲子園の野球場を形どった、見事なケーキが中央におかれていた
料理長
「これは、私共からのプレゼントです。焼肉と聞いておりますので、お口直しにどうぞ」
瞳
「え!これ、食べられるのですか?、すごい、すごい」
せんさん
「甲子園と書いてある」
乙葉
「すごーい、見たことがないです、このようなケーキ」
八重
「写真とろう!」
一同は写真をとり、さらに、全員ケーキと一緒に、写真を撮った。
料理長
「よろしいですか、では、とりわけますね」
香織
「美味しい!」
連
「やば、これ、うまい」
ケーキと紅茶を頂いて
嘉位
「明日、車を出してくれるので、朝食は抜きで、11時にランチを、13時にチェックインする」
「あとは、14時から17時までエステを予約済み、女性陣はエステでね」
「18時からディナー、コース」
「翌朝は部屋食、9時30分。お昼は各自、好きなものを食べて、チェックアウトで戻ります」
「月曜日、学校で全校集会、その後、都庁で挨拶をし、そのまま、大阪に向かう」
瞳・乙葉
「エステ?、ディナー」
香織
「では、それぞれ、寝室に案内してくれますので」
移動中に由良が、香織さんに
由良
「香織さん、大阪なのですが、宿、八重になにかあったら、すぐに連絡を、エンジェルをお持ちだと、嘉位から」
香織(確かに、由良君が一緒の部屋で居れば八重も安心するが、私とだから、ペンとメモも、万が一の時に)
「はい、スマート・キーホルダーですねIIIITEL」
由良
「良かった、大阪、香織さんにお任せします」
土日をリゾート気分でVIP待遇を受け、月曜日、全校集会で嘉位は一言、今年の夏は飽きさせないと
その後都庁で挨拶を済ませ、香織、八重、佐伯、桜井達ペアが成立組はパスポート作成の手続き、連は、通訳の登録を済ませて、バスは大阪に向かった。
19時に大阪のロイヤルについて、それぞれ部屋で、お風呂、食事を済ませ、そのままその日は寝る事になった。
抽選会を迎え、和井田高校が案内され
嘉位は、香織の言った通りに、右手を入れ、薬指が1番初めに、触れたものを取り出し
全体に見せて、渡した
会場がざわつく・・・
嘉位は結果を見ていない。
第一試合、和井田高校(先攻) 対 智辯和歌山(後攻)
香織の言う通り、見事に、大会初日、第一試合を引き当てたのだ
が、
対戦相手は、超名門校、智辯和歌山であった。
会場内では、ざわつきながらも、聞こえていた
かわいそうに、初出場で、智辯だなんて
東京から来て、すぐ帰るのか、甲子園は残酷だな
和井田は消えるから、ノーマークで、智辯対策を考えなければ
続いて開会式、選手宣誓が決まり、智辯和歌山主将が務める事になった。
その後、数日、大阪の和井田高校のグラウンドで練習を、
開会式を迎え、ついに、夏の甲子園
第一試合
和井田学園 対 智辯和歌山 が 始まろうとしていたのであった。
誰もが智辯の圧勝確定という先入観があり、開会式が終わった後は、テレビを消す人が全国に多かった
そう、白球が、場外に飛び込むまでは
かきーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーん




