第二五九話 ノーサインのフルサイン
ぐちゃーーーぁ、バッキィ
5回裏 明大 9-0 和井田
ベンチに戻ってくるなり、
こうせいは、怒りをあらわにし、ベンチにグローブを思いっきり、投げつける
物凄い音が、ベンチ内に響く
バッキィー
それを見た。嘉位
「こうせい、ちょっと一緒に来てくれ。」
嘉位はこうせいを、ベンチの外の通路に出して
嘉位
「こうせい、2つに対して注意します。1つめ、道具を大事にしなさい。」
「ご両親がどれだけ苦労して、どんな思いを込めて、買ってくれたグローブであるのか?」
「わかるよね?こうせい、物にあたってはダメ。」
こうせいは涙目で、頷く
嘉位
「2つ目は、どうしてこうなったか、わかるかね?」
こうせいは、涙目で、答える
「サインを読まれている。俺のせいで、俺のせいで」
嘉位
「その通り、サインが読まれている。こうせい、君のせいではない」
嘉位は、こうせいをつれて、ベンチに戻ると
嘉位
「ではみんな、聞いて欲しい」
一同は、キャプテンに集まる
「サインを読まれている。全て。」
「そこで、ノーサインで行きます。」
「そして、監督はバントのサインを出し続けてください。」
「ランナーコーチャーは盗塁のサインを出し続けてください。
「打者はサインを無視しつつ、周りの動きをみて、」
「各自で判断。ほら、やったでしょ、」
「ノーサインで練習試合を、思い出して、ノーサイン」
「自ら考え、仲間を信じて」
「ノーサインのフルサインで、行きます。打者、走者はサイン全無視を貫いて各自の判断で」
「かずき、伝令で、打者とランナーコーチにも。球審に攻撃のタイムを。」
かずきは、グラウンドに入り、球審にタイムを申告し
打者悟と、ランナーコーチに作戦を伝えた。
かずきは、深く頭をさげて、ベンチに戻ってきた。
ベンチで、
せんさん、連、由良 あれだな、
由良
「外野の両方のスタンドをスコープでみると、あの旗を2つとバトンで、サインを盗んで、合図をベンチに送っている。くだらない事を。」
由良は大きな声で、メンバーに
「和井田の野球は、知恵と知略、知恵と知略で負ける事はない」
「この裏の回19点とって、コールド勝ちとする」
こうせいは、嘉位と由良を見て
嘉位と由良
「問題ない」
打者に入った悟、
いきなり初球をはずしてきて、1塁手、3塁手が猛チャージ、ショート、セカンドは塁のカバーへ
ボール1塁手、3塁手が猛チャージ、ショート、セカンドは塁のカバー
2球目もボール、そしてフォアボール。そのたびに守備はチャージを繰り返す
次
光、初球
捕手きたぞ、と、2塁に送球するが、ランナーは走ってない事に、気が付き、球は大きくそれて、左中間をつきぬけ、
悟はその間に、ゆっくりと、三塁に
2球目もバントのサインか、スクイズだな
と1塁、3塁が猛チャージするが、ボール。悟は3塁の上のまま
それを繰り返しフォアボール
そのまま、同じことを、延々と繰り返し、守備も猛チャージ
押し出し、押し出し、押し出し、押し出し
何もしないまま、
5回裏 明大 9ー4 和井田
5回裏、和井田はバットを振ってすらいない
スタンドでは、チアと吹奏楽部が盛り上がる
八重
「これで、コールドは無い!ここから、ここから」
投手が交代するも、バントと盗塁のサインが続き、何もしないまま
5回裏 明大 9-9 和井田
同点においつく
嘉位はベンチで
「では、そろそろやるかな」
由良
「だな」
連
「行きましょう」
こうせい
「何をやるのですか?」
嘉位
「フルスイング、あと10点で終わらせる。たった10点だ。」
こうせい
「え?ここから10点一気に?」
由良
「打者13人に6球ずつ、その間に、1塁手、3塁手の猛チャージ、セカンド、ショートのポジショニング」
「単純に78球、この短時間に猛チャージ、やりたいか?」
こうせい
「いやです」
かずき
「そうだよね、つまり、もう、内野手それに、外野もカバーしているから、フィールドプレイヤーは足腰、がくがくだよ」
「簡単に打球は抜けるし、エラーの連続だろうね」
嘉位
「監督、サインは継続してください。みんなは、フルスイングで」
すると、
けいが、いきなり、満塁ホームラン
5回裏 明大 9-13 和井田
ついに、逆転!
スタンドは大盛り上がり!
その後も、簡単なショートゴロが、そのまま、抜けていきヒットが続き
5回裏 明大 9-18 和井田
打席には悟
悟(シングルヒットで、さよならだが、それでは、こうせいの怒りは収まらないだろう、ここは」
悟、フルスイングで、さよなら満塁ホームラン、レフトスタンド一直線!!!
悟はフルスイングの体制で、打球すらみずに、ニヤリと
由良がベンチから怒号で
「さとーーーーるーーーう、確定演出はいらないぞ、ソーシャルゲームじゃないぞーーはしーーーれー」
悟、(決まった)
やっと、走りだし、ホームイン。
スタンドの桜井は大泣きしてしまい、
マネージャー、大興奮
「サヨナラ打!!!!満塁ホームラン」
ゲームがコールされ、劇的な満塁さよならホームランで、幕を閉じたのであった。
和井田学園、初の決勝進出が決まった瞬間でもあった。
連には強い思いがあり、それを、決勝で実行するのは、確定事項であり
決勝で、連の名前が、新聞一面、ニュースを独占するのは、これからである。




