第二五六話 七夕の誓い
入れーーー入ったーーホームラン!
悟
「明日の試合、初戦、俺、ホームランを打つ」
悟は真剣な顔で、桜井を見ていた。
「ホームランを打ったら、初戦、でホームランを打ったら、僕の彼女になってください。」
桜井は、え?今じゃダメなの?心の準備はできているのに、え、どうして、ホームラン
悟
「打てなければ、それまでの男です」
「必ず、打ちます。」
その日は、そのまま、寮に返り、桜井も帰宅した。
翌日大会初日である。
監督がツアーバスに乗り込む前に、部員を集めていた。
監督
「集合」
すると、突然
悟は真剣な眼差しで
「監督、お願いがあります。今日打順1番で、出してください」
「お願いします」
悟は深々と頭をさげた。
監督
「悟の1番打者は異論ないが、どうしたのだ?
悟
「お願いします。」
監督
「オーダーは既に決まっている、キャプテン、後は宜しく頼む」
嘉位
「悟、気持ちはわかるが、落ち着いて欲しい、オーダー票を発表する」
「既に背番号は昨日伝えた通り」
「1番 ライト 背番号9 福井 悟
2番 センター 背番号8 戸倉 光
3番 ショート 背番号6 飯塚 大星
4番 キャッチャー 背番号12 山本 圭
5番 サード 背番号5 佐藤 幹
6番 セカンド 背番号4 花嶋 優斗
7番 ファースト 背番号3 中村 偉人
8番 レフト 背番号7 戸井田 空
9番 ピッチャー 背番号13 末永 駿
控えは、
線番号1 山本 嘉位、僕ね。
背番号2 御手洗 由良
背番号10 豊田 連
背番号11 宮崎 光正
背番号14 山﨑 守
背番号15 武田 進塁
背番号16 岡田 良
背番号17 伊達 颯
背番号18 本田 数記、かずきは伝令
記録員 増田 選、せんさん、お願いします。」
由良
「悟、聞いたであろう、元々、悟が、1番打者だぞ」
悟、燃えるような心が熱くなり、大きな声で
「ありがとうございます!」
由良
「基本は、先発 駿、と、こうせい、抑えに守、先発は7回を投げ、8,9で守に」
「連は決勝で、頭から行く」
「代走は武田が主軸、代打は伊達、捕手だが、岡田も捕手は出来る」
「俺と嘉位は、この大会ベンチに居る。余程の事が無い限りは出ない」
「俺と嘉位の初戦は、甲子園初戦」
「君達なら十分、東京を取れる。素質もある、そして日本代表と同じ練習をやってきた」
「クラブチームとは違う、練習メニューをだ」
「腹式呼吸のトレーニングなんて、世田谷でも無い、ボーイズでもなかったはずだ」
嘉位
「みんなを信頼している。何も問題はない」
「いくぞー」
「甲子園」
一同
「おーーー!」
道具をツアーバスにいれ、マネージャーがタブレットでチェックをし
楓
「八重!OK」
マネージャーから、奥の方にバスに乗り込む
次に、選手、コーチ、監督と
八重は、少し顔が青ざめていた。
香織
「八重、どうしたの?顔が、真っ青だよ」
八重
「ここ、どうしてか、怖い、怖いの」
香織!そうだ、トンネル崩壊の予知夢
八重は、どんどん、怖くなり
「由良!由良!由良、隣に来て、お願い、隣」
由良も理解し
「わかった。監督良いですよね?」
監督は頷く
香織わたしもと、言いそうになったが
楓が香織に耳打ちし
「お姉さま、八重がバス恐怖症になったり、不眠症になったら、困ります。わたしも我慢しますので」
香織は確かにその通りだと思った。香織は頷く。
バスは、進み、江戸川区球場に到着
東東京大会 1回戦が始まろうとしている、表の攻撃からである。
第一打席
打席には、福井 悟 背番号9
アナウンスとサイレンが鳴り響く中、
初球
悟、もらった!!!(俺の気持ちよ、スタンドまで届けー!)
サイレンが鳴り終わる前に
悟はフルスイング(好きだー!)
悟は、走りながら、打球の行方をみつめ
「いけーーーーーぇ、はいれーーーーーぇ」
と声を出して、走る
白球は、そのまま、レフトスタンドに
悟、初球
先頭打者ホームラン!
新生和井田学園 硬式野球部 公式戦、第一号は、なんと、悟であった。
4番 けい である
けいは、ノーストライク、2ボールからの三球目を、狙いすましたように、強振すると
打った瞬間にわかる、打球は一直線にライト方向に、芯でとらえた
けいは、打球の行方はみずに、フルスイングした後の体制を維持していると
ベンチから、由良の怒号が!
「けーーーい!なにやっている!」
「確定演出は要らない」
「走れ!!」
由良は微笑みながら
「あの、ばか」
と小声で。
けい、やばい、やばい、ゆらに怒られる、走らなくてはと、やっと走り出し
ライトスタンドに、ホームラン!
試合は13-0で5回コールド勝ち。2回戦に和井田は進んだ。
試合後、学校に戻り、解散。
悟は、寮で着替えてから、桜井をデートに誘った
日が沈みかける、夕方の公園である。公園には誰も居ない。二人だけの空間であった。
桜井と悟は、一緒に公園のベンチに腰をかけて、座った。
桜井は飲み物を悟に渡しながら
「凄かったね、ホームラン!!泣いちゃったよ、嬉しかった。かっこよかった!」
「えらいぞ、悟君!」
桜井は、気持ちを落ち着かせ、意を決めた事を、言葉に
「その、約束なのだけれど」
桜井が言いかけるが、悟は、手で桜井の口をふさいだ。
桜井え?どうして、ダメなの?やっと気持ちが整理出来たのに、ダメなの?どうして
どうして、それなら、デートに誘うの
え、わからない。
私何か、間違っているの
ホームランを打ったらと
今日、和井田1号
何が、いけないの
どこがダメなの
何か、誤解していたのかな
え、どうして、
そう思うと、桜井は、こみ上げていた感情とはまったく違う、悟の行動に
この後、何を言われるのかと思うと、胸の奥が苦しくなり、涙ぐんでしまった。
もしかして、わたしの勘違い、
勘違いなのか
悟は手を口元から離して、立ち上がり
悟(ここは、僕から言葉で言わないと、桜井をじっと見つめて)
「桜井さん、入寮説明会の時に、心を奪われました。一目見て、もう、目が離せなくて、離せなくて」
「伝えるきっかけが、欲しくて」
「桜井さん、好きです。一目見た時から、今はさらに、好きです」
「俺と付き合ってください」
「お願いします」
悟は、頭をさげながら、手を差し出した
すると
桜井は、フラれると思っていた。
それが、悟の口から直接、言葉で、付き合ってくださいと
桜井は、こみ上げる気持ちを、我慢していた、我慢していたが、
一気に、想いがそうホームランのように、飛び込んでいき
桜井は、涙が一気にあふれ出していた。涙を止める事は出来ない。
桜井は声にならない、か細い声で、震えながら、それは感動、心の震えであり、そっと、悟の手を取り
「わ、わ、た、しも、悟君が」
「す、す、すきです」
「おねがい、し、ます」
桜井もやっと想いを伝える事が出来て、さらに涙が止まらない。泣いてしまった。
悟
「ありがとう、次も打つよ!ホームラン。約束する。」
と言うと、桜井の涙を拭いて、桜井をたたせて、そっと、唇を重ねたのであった。
桜井は、嬉しくて、嬉しくて、嬉しくて泣いた。嬉し涙は産まれて初めてであった。
この涙は、
その後、甲子園への道を切り開く奇跡を描く、一つのきっかけになっていく。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
ここまで読んでいただきありがとうございます!ついに、桜井さん、悟君、想いが通じました。
なにかしら、心に響くものがありましたら
★評価、感想、お気に入り登録を等、いずれかで、構いません。
頂けますと、筆者の励みになります。




