第二五四話 一時の休憩
打ち上げ成功です。起動に乗りました。民間衛星エンジェル3号機成功です。
木曜日は終日雨の為、練習を中止。由良が言うには、明日も小雨とのこと。
金曜日は午前小雨の為、練習は中止にしたが、夕方には雨は止んでいた。
お昼休みに、せんさん、かずきとも連絡をとって
今日は嘉位のお屋敷に泊り、明日5時30分にお屋敷を出て、グラウンドに
嘉位、由良、連、せんさん、かずき
香織、八重、楓、瞳さん、乙葉
一同は、お屋敷に入ると、まず男女分かれて、お風呂に入ることにした。
お風呂の後食事という流れである。
女性陣が大浴場へ
瞳と乙葉は、嬉しいのである。それぞれとお泊りが出来て。そう、瞳はせんさん。乙葉はかずき。
男性陣は、露天風呂へ
由良
「ここなら、ゆっくり話せるな」
嘉位
「もちろん、まず、今朝の報告だけど、エンジェル3号機が無事に打ちあがり、軌道に乗り稼働した。」
せんさん
「気象衛星も兼ねているから、局地的、短期間豪雨も割り出せる。そして高速衛星通信だからリアルタイム」
かずき
「予測幅も広がるね」
由良
「昨日、父さん、つまり経団連会長と、俺とかずきで、改めて国土交通大臣と面会、表向きは経団連としてだが」
「気象衛星について感謝されたよ。」
かずき
「国土交通大臣とも昨日初めて、あった。乙葉のお父さんね。」
「個人的に話をしたのだけれど、意外であって、交際をしている事は知っている。宜しくね、 と 気さくな人で拍子抜けしてしまったよ」
連は大笑い。
「話す方も、話すほうだけど、聞く方も聞く方だよ。政治の中に、娘をくださいと言っているようなものですから」
由良も笑いながら
「確かに、言われてみれば、連の言う通りだな」
嘉位
「結果的には、良かったのでは」
かずき
「そうだね」
連
「自動車産業の再編成の事、うまく行っているみたいです。日経平均も過去最高を日々更新していっています」
由良
「連、良くやったよ。これで失業者は出ないですむ」
嘉位
「あとは、秋に豊田ホールディングスが動き、株式会社 連と共同で」
かずき
「ものすごい、発想。でも理にかなっている。この方法しか、日本は道が無い」
せんさん
「そうなるね。早く手が打ててよかった。半年遅れていたら、取り戻す術がなかったからね」
連
「はい、せんさんの言う通りです」
嘉位
「函館のほうも、順調に話が進んでいると聞いている」
由良
「降下訓練も許可が下りたよ、大臣から。正式な調印は、後日になる。専務に任せてある。」
「授業と時間が被るからね」
せんさん
「部隊長は函館が出来るのであれば、もっと隊員を増やしていき、47都道府県全てに配置をと」
嘉位
「わかった。その件は、山本財閥で対応しよう」
「では、そろそろ出て、食事にしよう」
広間で、男性陣がやはり、先であった。
しばらくニュース等を見ていると、エンジェル3号の話で特集が組まれていた。
そして、女性陣も広間に。
それぞれが、ペアで座り
料理長
「今日は、北から南まで、取り揃えた、お肉、それをしゃぶしゃぶで、お召し上がりください」
千佳
「沢山ありますからね」
一夜
「ごはんも、どんどん、おかわり、してください」
お互いに、あーん、など、甘い食事をかわして
八重
「それにしても、野球部、強いね!強豪校に、失点0よ、0」
香織
「凄いよね!失策も0」
楓
「連は、投げてないけどね」
連
「これも作戦。作戦」
瞳さん
「作戦なの?何の作戦?」
せんさん
「キャプテン、副キャプテン、連君を表に出して研究されたくない。」
「練習試合といっても、和井田は観客を受け入れているから」
かずき
「中には、別の高校のいわゆる、偵察部隊も居るから」
乙葉
「つまり、探られないために、連君は表に出さないというわけね」
由良
「乙葉ちゃん、正解」
「連が表に出るのは、東東京大会、決勝戦」
「余程の事がなければ、俺も嘉位も、連も出る必要が無い」
嘉位
「そう、それ位チームは出来上がっている。連が出なくても取れる」
「ただ、そうすると、楓が、怒るからね、なんで、出してくれないのと」
楓は顔が赤くなり
「お兄様、私、そのような事」
嘉位は意地悪く
「そうなの、じゃー連は、甲子園からにするか」
楓
「やだ、やだ、やだ、やだ、お兄様、連を、連を」
香織は笑いながら
「楓ちゃん、冗談だって、連君で有終の美を飾りたいの」
「嘉位と由良君が居なくなった後を、任せる為にもね」
楓は少し、ムっとなったが
「もう、いじわるなんだから」
かずき
「徳栄にコールドで勝ってから、偵察が増えすぎている。浦学の時なんて、ざっと20校は偵察に来ていた」
「変なのも居たな」
乙葉
「変なのとは?」
せんさん
「確かに居た。あらゆる角度から、ビデオ撮影している。そう、ベンチとかも」
「球にカメラを向けるなら、わかるのだが、完全に固定して録画していたね」
連
「ランナーコーチも録画されていましたね」
瞳
「それは、何処の高校かはわかるの?」
嘉位
「練習試合は、オープンなので、どこのだれかはわからないです」
「高崎のように、野球部のジャージ出来ているところもあれば」
「一般の野球ファンを装うところもあるのです」
瞳
「偵察って大事なの?」
せんさん
「そのチームの作戦だとか、どのタイミングで、スクイズをするとか、場合によってはサインを盗む等ね」
乙葉
「サインを盗んだところで、実際の試合では、見えないのではないでしょうか」
八重
「今は、色々あるからねー、わからない機械がいっぱい。わたしには、わからないけど」
かずき
「ありますね。それもリアルタイムに伝達できるし、仮に和井田で使っているカメラ等が流通すれば」
由良
「あれは、流通はしないが、それに近しいものは、既に出ているね200メートルクラスなら」
「さすがに2Kmは出回っていないが」
香織
「200メートルが、株式会社 八重と同じように、鮮明にリアルタイムで伝わるということ?」
瞳
「トンネル落盤の時のあの、カメラの劣化版?」
せんさん
「そう、そう、そのような物が出回っている」
「ま、試合で使う事は無いだろうけど、対策、研究には使える」
「ただ、そこまでして、勝ちたいのかな」
連
「そもそも、勝ち上がってこなければ、対戦しないですけどね」
由良
「そりゃ、そうだ。」
お肉を沢山食べながら
香織
「公式戦、第一号は、誰が打つのでしょうね?」
由良
「けい、だろうな」
連
「佐藤も」
八重
「けい君も、佐藤君も飛ばすよね。」
楓
「みんな、打つものね。全員ホームラン打っているから」
かずき
「いや、僕は打っていないです」
乙葉
「伝令も大事な仕事ですよ、かずき、はい、あーんして」
食事は野球の話で盛り上がり、時間は過ぎって行った。
食事を終えて、それぞれの部屋へ。
千佳の案内で、せんさん、瞳さんは客間に
一夜の案内で、かずき、乙葉も客間に
由良と八重は、勝手に、洋間に入って
それぞが、二人きりの夜の営みを、そして朝を迎えた。
朝4時に、由良が起きると、八重も起きて、皆も同じく、起きて早朝ランニングを男女全員で。
その後、女性陣がおにぎりを握り、由良も一緒に。
朝、おにぎりを食べてから、和井田の野球場に向かうのであった。
一時の休憩として、宿泊を取ったのは、嘉位の計らいであった。
せんさん、瞳さん。かずき、乙葉ちゃんの為である
このひと時の、夜に話した、偵察の話が
後に、和井田学園
初の甲子園出場の鍵を阻む、大きな、トラブルになることとは…




