表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

253/340

第二五三話 考える、感じ取れる人に

榎本えのもと 幸恵ゆきえ「土曜が帝京、日曜が菅生」。強豪とのオープン戦に緊張する

そういう事か!そうだよね。



日々平日練習は続き、週末を迎えた。

朝6時にグラウンドに入り、整備を開始

マネージャーもベンチの掃除、アナウンス室の掃除を徹底していた。

程なくして、アップを始め、もう1度グラウンドを整備していると

八重、香織の案内を受けた、帝大が三塁側ベンチに姿を現していた。

お互いの監督同士が挨拶をし、グラウンドの見事な出来栄えを褒めたたえていた。

一方で帝大の選手達は、何故、Aチームの俺らが、無名校と試合をしなくてはならないのか、このグラウンドもったいないと思っていた。

そう、2試合の結果が出るまでは。

お互い整列をし、試合が始まる。

先行は和井田、後攻が帝大

球審

「良いグラウンドです。怪我の無いようにね、制限なしの9回まで行うからね、それでは、プレイ」

打席は、武田が1番に入り、初球をバント、三塁手が捕球し、送球するも、毎合わず、武田は余裕のセーフ。

武田のリードが大きく、牽制球が3回来るが、武田は余裕のセーフ

次のモーションに入ったとたんに、武田は走り出し、余裕のセーフ。捕手も投げるタイミングを失っていた。

続く花島も、奇麗な犠打を決め、1Out3塁。

3番伊達が、4球目大きなレフトにフライを打ちあげて、レフトが捕球、それを見届けながら、武田は余裕の生還

先取点を。先発は駿であり、144Kmのストレートと、縦のスライダー、横のスライダー、チェンジアップを投げ分け

無失点のまま進む、適宜バント構成で毎回得点を重ね、5回で駿から、守に変わり、守も143Kmを丁寧に投げ込み

打たせて取る、ピッチングを続け、終わってみれば

和井田 9 - 0 帝大 であった。


グラウンド整備をし、お昼を取ることにし、キッチンカーからマネージャーがお弁当を、ベンチに持ってくる。

八重

「はい、みんな、お疲れ様。無失点、流石だね、帝大相手に」

戸井田

「監督のサイン通りのスモールベースボール、この基本は大事ですからね」

食事済ませ、午後からもう1試合、先行が帝大 後攻が和井田でスタート

午後の試合は、こうせいが5回、148Km そして6回から連が投げ、155Kmと順調に。

午後も終わってみれば、帝大 0 - 13 和井田

無失点で試合が終わった。

帝大Aチーム選手達は、和井田高校投手陣、えげつない。球が速すぎるし、変化量も。

帝大の監督も、選手を責める事はなく、ただひたすら、駿、守、こうせい、連を褒めたたえていた。

帝大の無失点は、観戦に来ていた帝大の父兄のSNSから、広まっていった。


翌日、菅生との対戦である。

菅生の監督もグラウンドの素晴らしさを褒めたたえ、Aチームの選手もここ、凄い。

グラウンド整備を終えて、

嘉位の号令で集合した

嘉位

「昨日は、昨日、今日は、今日。そこでだ、監督と昨日話したのだがね」

「今日の菅生戦は、ノーサインで行く」

「ここからは、僕の話をよくかみ砕いて、聞いて欲しい。」

「けい、大丈夫か?こうせいも?」

けい

「かい、もちろん」

こうせい

「もちろんだよ、かい」

嘉位

「わかった。ゆっくり話すから、心に落とし込んで欲しい。」

「僕と由良がU-15日本代表、決勝戦ノーヒットノーランで初優勝をしたのは、知っているよね」

「あの時、ノーサインだった。僕がノーサインにすると決めた」

「井畑監督も、納得の上で」

「僕達は高校生。そして和井田の学生。和井田の知恵、知略は、学問と共にある」


「もう少し、わかりやすく、言い換えるね。何故、ノーサインで試合に臨むのかをね」

「いい、ゆっくり話すから、各自の胸に刻み込んで欲しい」


「野球は、サインで動くスポーツじゃない。信じて動くスポーツだ」

「監督の指示を待つだけじゃ、勝てない。仲間を信じて、自分を信じて」

「状況を把握し、このようにすれば、仲間はこのように動いてくれる等」


「もう1度ね」



嘉位は、声を大きくし


「自分を信じ、仲間を信じ、知恵、と、知略、走攻守を最大限に活かす」


「これが、和井田の野球である」


嘉位は、由良に目を配り


由良も声を大きくし

「結果は、必ずついてくる。キャプテンの言ったこと、忘れるな」



一同

「おーーー!!」


試合が始まり、各々が考え、状況を把握し、それぞれの役目を。



アナウンス室、来賓室で、和井田のマネージャー陣である

榎本えのもと 幸恵ゆきえ

「なんだか、みんな、楽しそうに野球をしている!!飯塚君かっこいい!笑顔だよ、ほら、にこやかに」

「あら、あら、やっぱり飯塚君なのね、ゆきえちゃん」

榎本えのもと 幸恵ゆきえ

「え、だって、楓先輩、見てください、飯塚君、あんなに笑顔でプレイしているの、初めてみました。嬉しくて」

乙葉

「みてみて、かずきが、グラウンドに行っている」

小早川こばやかわ 日奈ひな

「初めてじゃないかな、打席は4番けい君で、なんだろうね」

「こっち、ひなちゃん、けい君しかみていないのね」

日奈

「え、先輩、違います。違いますって、たまたまです。伝令がかずき先輩が」

楓は、笑いながら

「はいはい」


そして次の瞬間であった


マネージャー、一斉に

「えええええ!!!!」


なんと、なんとである、あの、けいが、スクイズをしたのである。

八重

「うわ、けい君って、ホームラン以外打てるんだ、バントできるのね」

香織

「違う、違う、驚くところ、八重、それは、バント出来るでしょう。世田谷なのだから、そうではなく、このケースで、4番がスクイズ、それも、けい君が」

「凄い、みんな、自分の意思と、チームとして何をしなくては、ならないのかを、考えてプレイしている」

八重

「あ、そういう事ね、確かに。楽しそうに、そして、けい君セーフだ」

小早川こばやかわ 日奈ひな

「セーフティースクイズが成功!すごい、けい君、かっこいい!」

「ほら、やっぱり、けい君、けい君と」

桜井

「次、悟君だ。ああああーー!」

八重

「はいれーーーぇー」

桜井

「入ったーーー!!!ホームラン!悟君、ホームラン、ホームラン」

「あれ、あれ、あれれ、シュンどうしちゃったの?それは、ホームランだけど、あれれ?」

桜井

「な、なんでも、ないです」

佐伯

「ナイス、バッティング!次は、光ね」

「打ったーーー!!光るも、レフト方向に」

「入った!!」

八重

「連続ホームラン!」

香織

「今日の試合、嘉位が、ノーサインで、自由に、各々が考えてプレイさせると言ってんだよ」

八重

「うん、由良も言っていた。つまり、今のスクイズも、ホームランも、自ら考えて、行動して」

榎本

「凄い!凄い!強いよ、和井田!」

連は2試合目の最終回のみ登板し、3者三振 157Kmで投げ切った。


午前、午後、それぞれの試合は

和井田 16-0 菅生

菅生 0-18 和井田


和井田の圧勝であった。



この日以降、連は登板する事はなく、もちろん、嘉位、由良も出場はしていない。

これも、嘉位と由良、せんさん、かずき、連の講じた、作戦である。


一方で、帝大と菅生を失点0で下し、さらにグラウンドが素晴らしい事が広まり、超有名校の対戦の申込が後を絶たなかった。

5月は良く晴れ土日の試合が続き、6月は平日何日か雨があったが、土日は雨に降られることもなく、空梅雨であった。

その為、練習試合が次々と行われていった。

徳栄、常総、浦学、市船、横浜、日藤、相模、中央と週末強豪校との連戦が続く

結果全勝であり、しかも、失点0、エラー0で続いていった。


東東京大会も始まり、順当に勝ち上がり、初のベスト4まで昇り詰めるのであった。

そう、ベスト4までは。明中と神宮球場での対戦を迎えるまでは


嘉位のノーサインが再度登場するのは、そのころになる。

野球部の話はいったん、ここまでとし、学園生活の話は、6月半ばに戻って行く。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ