第二五二話 つぼみが膨らみ始める
カキーーーーーン、白球はスタンドへ
東京に戻ってきた、一同はそれぞれ帰宅し、翌朝学校に向かっていた。ある意味本来の高校生らしい、生活に戻ってきたのだ。
嘉位、香織、楓はいつも通り、駅でみんなと合流
佐伯
「おはよう!聞いて、聞いて、光のお家に、お泊りしちゃったー!」
八重
「もしかして?もしかする?」
佐伯
「お父さん、お母さんも、一緒だからね、でも!とても、光の子供の話とかで、盛り上がって、楽しかった!」
桜井
「わたしは、悟君が秋葉原に行きたいというから、アニメイトで籠城」
楓
「シュン、籠城って?どれくらい?」
桜井
「丸々一日、アニメやゲーム、コミックで盛り上がっちゃって、お昼食べるのも忘れて」
「翌日も秋葉原で、悟がPADのペンが欲しいと、買い物はすぐ終わって、サイゼで食べてから、また、アニメイトに」
香織
「ある意味、お疲れ様。」
そんな会話をしながら、学校に着いて、午前中の授業が終わり、お昼を食べ、午後の授業も終わった。
一同は、野球練習場に歩いて向かっていった。
八重
「久しぶりに来た。我が、ホームグラウンド」
香織
「そうだよね、八重は特に、由良君もだけれど、会社、会社、お仕事、お仕事だったものね」
既に、せんさん、一年生はアップを済ませており、嘉位、由良、かずきは、着替えを済ませてから、軽いアップをし、グラウンドの中へ
連がノックを打っており、既にユニフォームは土で、汚れていた。一年生全員である。
嘉位
「よーし、集合」
「皆良くやっているね。感心。感心。それでは、レギュバをやろう」
「僕が1塁審、2塁が、せんさん、由良が球審で、3塁は、墨田コーチで、そうだな、先に駿から投げようか、座るのは、けいで」
「カウント、ノーノーで」
由良
「嘉位、ちょっとだけ、駿、ストーレートのみで、一巡させたい。その後、レギュバで」
嘉位
「確かに、由良、良いね」
「かずき、乙葉ちゃんは、電光ONでスピードと、乙葉ちゃん、駿から投手が変わったら、スコアつけてください」
「では、守備位置に、連はサードに」
一同は猛ダッシュで
「はい!」
嘉位
「打席は、佐藤、伊達、戸井田、けい」
駿はストレートのみ、軽めに134-140km台でド真ん中に、投げ込むと
佐藤は3球目を
「しゃーあー!」
由良
「佐藤は飛ばすなー、レフトスタンドにダイレクトか、打球速度も相当なものだ」
「佐藤、ナイスバッティング」
佐藤
「あざーす」
由良
「次。伊達」
伊達は、2球ド真ン中のストレートを見送り、3球目、少し浮いたストレートを
伊達
「きたぁーー!」
(元々中学校のクラブチームではボーイズ、ヤング、シニアの代表選手、さらに磨きがかかり、取り組む姿勢が変わっている)
由良
「伊達も飛ぶ、代打の切り札だな、ライトスタンドに入った、ナイスバッティング、よし、伊達、けいと捕手交代で、次戸井田」
伊達
「はい!」
戸井田は2球目の低めを救い上げて
「入れ、入れ」と言いながら、ベースを駆け抜ける。
打球は大きな放物線を描いて、レフトスタンドに
由良
「戸井田も、スタンドインか、よし、次、けい」
けい
「由良、10球打って良い?、駿10球ね」
由良
「けい、まったく、ま、やってみるか」
けいは、10球全て、フルスイング
由良
「けい、確定演出のポーズは要らない、ゲームじゃないぞ!、走れ!走れ!もう1度言う、走れ!」
「言っただろう、野球は走攻守。人がホーム、つまり、ホームランを打っても、選手が各ベースを回って、ホームに帰らないと、得点にならないぞ!」
「けいは、全球スタンドインか、ま、けいなら、当然といえば、当然だが」
由良
「駿お疲れ、ストレート一本だから、バッピは今ので、良いぞ、コントロール抜群だったぞ」
末永
「はい!次は、変化球も投げさせてください!」
由良
「駿、わかった。今日は肩を休めて、次、交代、守、変化ありで、けい、組立は自由で」
けい
「由良!了解」
こうせい
「由良!俺は?」
(けい、と、こうせいは、相変わらず 由良、嘉位なのだよな。ま、良いか)
由良
「こうせいは、守の後な」
守がスライダーから入ると、岡田はジャストミート!強い打球が、ワンバンで、抜ける!、抜ける!
花島泥だらけになりながらも、ダイビングして、キャッチ、横倒れながら、そして、片手で上に軽く、ボールをあげ、それを走りこんでくる飯塚。花島から、飯塚へのトスが奇麗に決まり、飯塚はファースト中村へ
嘉位は走りこんでくる、岡田と、中村のキャッチンぐのタイミングをしっかりと見て、
「He's out.」
岡田
「くぅー、」
由良
「花島!ナイスキャッチ、飯塚ナイスロー、今の連携、重要、重要」
飯塚
「はい!」
数打順周り、守、こうせいに交代
嘉位
「守お疲れ。ナイスピッチング。」
守
「花島と飯塚に助けられました」
こうせい
「ゆら、了解!」
こうせいは、ガンガン投げる、投げる。こうせいの、スライダーは、一級品である。
戸井田、三振
武田、三振
伊達、三振
そのように、和井田学園の野球部の練習は日々続いていく。これからも。
一方のマネージャー達は、アナウンス室と来賓室からレギュバを見て居てた。
小早川 日奈 ひなは、けいの打球がスタンドに消えるたび、胸の奥がざわついた
「けい君すごーい!全部ホームラン」
三好 瑠香 るかは、こうせいの一球、一球のスピードを確認しながら、145Km,147Km
「こうせい、球早い!連続三振、すごーい」
楓(連が言ってた話ね、ひなちゃんが、けいに、るかちゃんが、こうせい君にと)
「ひなちゃん、るかちゃん、けいと、こうせいだけ、見ているよね?」
ひな、るか
「すいません、すいません」
楓
「良いの、良いの、連から聞いたよ、良く、けい、と、こうせいに勉強を教えられるわね」
「けいなんて、教科書は枕であり、ペンは、投げるものだと思っている位だったからね」
「こうせい君の、あの掛け算も難儀だったけれど」
ひな、るか
「私達に、お任せください!」
ひな
「でも、少し、変なのです。けい君のペンを持つ手を、間違いを指摘するために、触れようとすると、サッと手をどけちゃうのですよ」
るか
「うん、こうせい君も、変なのです。後ろから、赤ペンで、間違いを指摘していると、どんどん、遠くに椅子をずらしていってしまうのですよ」
楓
「こうせい君は、わからないけれど、けいは、元々、女の子と話すというより、年末に集まっても、女性とはまったく、話さない。むしろ、お兄様としか話さないはね。」
「けいも、こうせい君も、女性に対して免疫というものが、無いのだろうな」
ひな、るか
「えええええーーー!」
ひな、るか(もしかして、チャンスあり?)
さらには、ぽろっと、榎本 幸恵が、
「飯塚君かっこいい。」
それを、八重は聞き漏らすはずもなく。
八重
「おっと、ゆきえちゃん、飯塚君に?もしかして、もしかして?、飯塚君かっこいいものね」
ゆきえ
「いえ、たまたま、です、たまたま」
八重
「え、ずっと、飯塚君、飯塚君って、言ってたよ、気が付いて居ないの?」
ゆきえは顔が赤くなりながら
「ええええ?わたし、名前、言ってました、そんなに?飯塚君、え?飯塚君と、え?声が漏れちゃっていた」
香織は微笑みながら
「ゆきえちゃん、1回しか、声にだしていませんよ」
「八重に、つられましたね。」
ゆきえ
「えええええーーー八重先輩ずるーーーい」
八重、むふふ
「皆、頑張って!応援して、マネージャーの仕事をやろう!」
「ところで、ゆきえちゃん、札幌とのことで」
楓
「そう、榎本でしょう、性、もしかして、榎本武揚の末裔とか?」
ゆきえ
「詳しい事は、わかりませんが、なにかしらの縁はあるみたいです。おじいちゃんが言っていました」
「そうそう、キャプテンに、うちの父と母が、お世話になったのを、お礼しなくては、なりません」
楓
「大丈夫、大丈夫、お兄様は、なんでもしてくれますから、お礼なんていりません、ね、奥様?」
香織
「はい。嘉位は関わりのある方、全てに手を差し伸べてくれますので、お礼は要りません」
楓
「だそうよ、ゆきえちゃん」
ゆきえ
「ありがとうございます」
乙葉は言わなくては、今なら言えると思い、思い切って、手を挙げて
マネージャー、一同は乙葉に注目
乙葉は頬を赤くして、照れながら
「あのー、わたくし、2年生のかずきと、お付き合いをすることになりました。」
「宜しくお願いします」
一同は、笑いながら
「そりゃ、そうでしょう、あれだけ、ずっと二人きりで居れば、わかっていたよ」
「乙葉ちゃん、おめでとう」
乙葉
「ありがとうございます」
一人だけ、見て見ぬふりをしていたのは、桜井であった。
悟がプレーしているのを、両手で自分の目を覆いながらも、指と指の間の隙間から見ている
楓(これは、時間かかるな、シュンと悟君)
うるさいのは、佐伯
「光、大好きーーー!」
楓が、メガホンで、かるく、佐伯の頭をごつん
佐伯
「いたーーーい、いたーーーい」
楓
「まったく、痛くないでしょうに」
マネージャ一同は大笑いしていた。
野球部、男子は由良の演説後、胸に秘める何かが開花し、各々が、練習に熱が入っていた。
一方で、女子マネージャーは、別の熱が入っていた、桜は既に散っているが、あきらかに、何かつぼみが膨らんでいるのあった。
これが今後どのような展開になっていくのかは、まだ、先の事である。
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