第二四五話 予想外 せん と 瞳
チャイムの音が鳴り響く
足らないな、もっと探求心のある事に時間を割きたいのだが
金曜日
今日は、野球部も吹奏楽部も部活は無い。女子バスケット部は朝も夜も集中特訓のようであった、
女バスは土曜日、日曜日、和井田の体育館で連戦が組まれているからである。
授業を終えた、せん、瞳は、寮に戻りそれぞれの部屋で着替えを済ませ
正門で合流した。
瞳
「せん、待った?この間の札幌の服で良いのだよね?」
せん
「もちろん、綺麗だよ、指輪もしているね」
瞳は少し照れながら
「うん。お化粧は薄くだけれどね」
せん
「すっぴんでも美人さんだから、化粧はしなくても良いのでは?」
瞳
「そういう、わけにはいかないの!!、わかる?せん?」
せん
(わかる、はずもない…)
「とりあえず、行こう、電車で30分位だから、すぐだよ」
二人は地下鉄に乗り、せんの実家に向かった
瞳
「そういえば、せんの実家って、どことは聞いていなかったのだけれど、この電車で良いの?」
せん
「うん、つけばわかる。駅から徒歩2,3分だし」
瞳(和井田の駅から30分県内で、徒歩2,3分…え?どういうこと?)
瞳
「本当に手見上げ一つ、持ってきていないのだけれど」
せん
「いらないって、ねーさんも居ないし、久しぶりなのじゃないかな、両親が揃って家にいるのも」
瞳
「普段は帰ってこないの?」
せん
「うん。帰ってこないね、数時間だけ居るみたいなことは、小学校の時もあった、その時はねーさんが、ごはん作ってくれていたのだけどね」
瞳
「その、お姉様は?」
せん
「今は一人暮らしみたいだよ、もう3年会っていないかな、そういえば、とうさん、かあさんと会うのも3年ぶりだ」
「入学式、卒業式は、どちらかが、顔を出していたけれど、忙しいみたいでね」
せんは笑いながら
「そんな姿を見ていたら、大学の教授等、なろうなんて、思うわけないよね。」
瞳
「そうか、それで、通えるのに、寮に入ったのね。」
そんな会話をしていると、
せん
「ここで、降りるよ。」
瞳(え?…ここ、麻布よ、麻布10番…)
瞳はわからずに、せんと手を繋ぎ、一緒に電車をおりて、駅の中をあるき、出口へと
せん
「ここから、すぐ、家だから」
瞳(どういうこと、麻布で、駅のそば?…)
せんは立ち止まり、
「瞳、ここが、我が家」
瞳は、目を丸くした、こんなのテレビでしか見たことない、大豪邸!
「えええええ!!!麻布に、麻布にこんなに大きいおうちが、ガレージも3台!」
せんは、瞳の手をとり、入口でスマートフォンをかざすと、門が空き
「いこう」
せん
「ただいまー。」
せんの御母さん
「おかえりなさい、久しぶりね、写真より、別嬪さんですわね、初めまして」
瞳
「初めまして、赤澤 瞳と申します。本日は宜しくお願い致します」
せんの御母さん
「そんな、固い挨拶は抜きで、ほら、中でみんな待っているわよ」
せん(みんな?…みんなとは?父さん、母さんだけでは、無いのか、姉さんもいるのか?…)
「瞳、あがろう」
二人は、リビングの方へ
瞳(リビング、広い!!広い!!ここ、麻布よ、麻布…もしかして、せんは、お金持ち?…)
瞳
「えええええ!!!!おとうさん、おかあさん、なんで、居るの?お仕事は?」
せん
「え?瞳の御父さん、おかあさんなの?」
瞳
「うん。」
瞳の御母さん
「増田さんがね、娘と一緒に来るというものだから、丁度、今日と明日お休みなの、偶然にもパパもね」
せんの御父さん
「まー、とりあえず、立っているのもなんだから、座って、座って」
なんと、せんの家に、瞳を紹介しに来たのであったが
既に、両家両親が目の前にいるのである。
さすがのせんも、想定していなかった。だが、これは、ある意味!そう、そうだ!
せん、瞳は、ソファーに腰を掛け
せんの御父さん
「成績は相変わらず、学年TOPらしいな、せん」
せん
「いや、TOPであって、TOP出ない」
せんの御母さん
「変な言い方するわね」
せん
「こちら、赤澤 瞳さん、同一でTOP.つまり満点をお互い譲っていない。」
瞳の御父さん
「すごいじゃないか、瞳!TOPか、いやね、ママより聞いたよ、せん君はあの数学オリンピック金メダリストだと」
「にもかかわらず、お互いがTOPとは、良く頑張っているね」
瞳の御母さん
「この間の機内出産も和井田の学生さんなんですってね、CAをはじめ、有名だし、訓練も増えたそうよ。若手中心に」
瞳
「あれは、同じ機内に私たちも搭乗していたけれど、対応したは野球部のキャプテン、副キャプテンと本田産婦人科の息子さんです。」
瞳の御母さん
「え?同じ機内、新千歳行きよ、ははーーん、そういうことね」
せんの御母さん
「良いじゃないの、あかちゃん、うちの息子で良ければですけどね」
瞳の御母さん
「もう、なんどもいっているでしょう、あかちゃん は、やめて と」
瞳
「慶応大学でのお知り合いと聞いていますが」
瞳の御母さん
「そ!私といつも、飲んだり、カラオケしたり、遊びまくっていたのよ」
「そのまま、どんどん出世して教授ですものね。」
紹介しに来たのか、いったい何しに来たのか、
まだ、わからない、せん、瞳であった
少なくとも、拒否はされておらず、好意的に受け取ってもらえているのは確かであった。
その好意は…どのような方向にすすむのであろうか




