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第二四話:修学旅行前の買い物と親友の気遣い

心の準備って何?何を準備するの


学旅行まで、あと二週間となった週末。蓬田香織よもぎだ かおりは、修学旅行の準備のため、親友の中曽根八重なかそね やえと一緒に街に買い物に来ていた。爽やかな五月の風が、香織の髪を優しく揺らす。


修学旅行で必要なものリストを手に、二人は雑貨屋さんや衣料品店を見て回る。パジャマ、洗面用具、着替え。旅行に向けての準備は、少しだけ香織の心を弾ませた。


しかし、買い物をしている最中も、香織の心には、修学旅行の班が「かい」と別々になってしまったことへの寂しさが影を落としていた。八重は、香織のそんな様子に気づいていた。


「ねぇ、かおり。もしかして、まだ修学旅行の班のこと、気にしてる?」八重が香織の顔を覗き込む。

「えっ…? う、ううん、別に…」香織は慌てて誤魔化そうとする。


「大丈夫だよ、隠さなくても。山本嘉位と離れちゃって、寂しいんでしょ?」八重は優しく言う。


八重の言葉に、香織は頷くしかなかった。八重には、何もかもお見通しだ。


「うん…ちょっとだけ…」

「そっか。でもさ、修学旅行は班別行動だけじゃないんだよ? 夜とか、自由時間もあるでしょ? きっと、山本嘉位と話せる機会もあるって!」


八重は、香織を励ますように、修学旅行中の楽しみや、彼と会えるかもしれない可能性について話してくれた。その言葉が、香織の心を少しだけ軽くする。


「それにさ、もし何かあったら、私がいるじゃん! かおりのこと、いつでもサポートするから!」八重は力強く香織の肩を叩く。


八重の温かい励ましに、香織は心が温かくなるのを感じた。やはり、八重は自分の大切な親友だ。彼女がいてくれるだけで、どんな困難も乗り越えられるような気がする。


買い物を終え、二人はカフェに入った。窓の外では、人々が楽しそうに週末を過ごしている。


「ねぇ、かおり。もし、修学旅行中に山本嘉位から何かアクションがあったら、どうするの?」八重がいたずらっぽい目で香織に尋ねる。

「えっ…アクションって…?」


「だからさ、例えば、二人で抜け出そうって誘われたりとか、告白されたりとか!」

「か、告白なんて…!」香織は顔を真っ赤にする。


「ありえない話じゃないでしょ? あの山本嘉位が、かおりにゾッコンなんだから!」八重は面白がって香織をからかう。


「ゾッコンなんてことないよ…」香織は俯きながら呟く。


「あるある! 絶対あるって! だから、心の準備をしておきなさい! もし、山本嘉位から何かあったら、ちゃんと自分の気持ちに正直になるんだよ!」


八重の言葉が、香織の心に響いた。自分の気持ちに正直になる。今まで、自分の気持ちを抑え込んでばかりだった香織にとって、それは難しいことだった。しかし、彼への想いは、もう隠しきれないほど大きくなっている。


修学旅行。それは、彼との関係が進展するチャンスになるかもしれない。不安もあるけれど、八重の励ましと、彼への想いが、香織の背中をそっと押してくれた。

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