第二三五話 由良の演説
ホテルから出て、向かうは函館 五稜郭
ハイヤー3台にて、嘉位と香織
由良と八重
連と楓
それぞれで、五稜郭を目指していた。
香織は思うことがあって
「嘉位、今日はどうして、皆別々なのでしょうか、昨日はリムジンでしたが」
嘉位
「約4時間かかるのだが、楓、連と会話する時間がとれないでしょう」
「せめて、この移動時間だけでも、と」
香織、嘉位は楓ちゃんの事を、大事に思っているのだと、あらためて
香織、こんなにかっこいいお兄様が居たら、わかる、わかる。香織はにっこりと笑いながら
「旦那様、わたしとは、この時間をどのように?」
香織は体を、嘉位によせて、べったりと、嘉位にくっついていた。
嘉位・・・え?お胸が、お胸がですね、香織さん、あたっているのですが・・・。
嘉位は、少し内股になり、御屋敷に戻ってからと、言い聞かせて、香織の髪を撫でながら
「明日、由良と八重さんは首相官邸へ」
「由良は、無言を貫き、最後に一言だけ、それがどれ程、国民の心に響くか、響くと僕は思っている」
「八重さんは、緊張しているだろうね。」
香織
「嘉位は首相官邸には、行かないのは、財閥の力が働いていると、株式会社 八重の批判があったりするからでしょうか?」
嘉位、香織はよくわかっている、まさに、その通りである。
嘉位は、少しいたずらをと、香織の胸に手を伸ばし、
嘉位
「香織、その通り。」
香織は、少し大人の色気の甘い声が漏れて
嘉位、あ、今、そういう、あれ、お部屋ではこれくらいは、セーフなのに、あら?
香織は、嘉位の腕と手を持ち、自分の胸をいたずらに、押しあてて、いやらしい目つきに。
嘉位、あ、これ、やばい、やばい、やつだ。
嘉位
「香織、今は、ハイヤーの中だから、御屋敷に戻ってからね」
香織は、少しムッとしたが、それでも、香織は嘉位の手をはなさず、胸でいたずらを続けていた。
嘉位・・・。これが悟り、忍耐という、日本語なのだなと、わけもわからないことで、納得を
一方の由良と八重
八重
「ふぅーー、明日の事を考えると、緊張しちゃうよ、由良はどう?緊張とかは?」
由良?緊張、なんで?
「まったく、していない」
「そもそも、勲章を貰うために、事を起こしたわけではないし」
「ま、もらえるなら、もらっておくか、という位の気持ち、豊田会長、嘉位のお母さんが、名誉あることであるからと」
「そこは、自分の考えを、抑えて、承る位かな」
八重は、由良の腕に、胸をおしつけて
「由良は、本当にかっこいいです。旦那様、愛しています。」
「わたしは、こう見えて、緊張で、押しつぶされそうです」
八重はそう言いながらも、胸を動かしながら、由良の腕に
由良・・・あ、それは、やばいやつ。やばいやつ、どうしたのだろう、八重?。いや、それ以上は、やばいやつ
由良は八重の髪を撫でながら
「八重、八重のおうちに帰ってからね。ここは、ハイヤーの中だからね」
八重は、それでも、おかまいなしに、由良をいじくりまわしていた。
由良、心頭滅却すれば火もまた涼しの想いで、ずっと耐えていた。
こちらは、連と楓である
連は、あわてて、ハイヤーに乗り込んだこともあり、事なきを終えて、一呼吸
楓は、昨夜の事を思い出して、・・・顔が赤く、ただ、物凄く初めての感覚に、また、もっとと、思っていた
「連、夜の、もう1度、したい。凄かったの、初めて、今までで、頭の中が真っ白で、それに、出ちゃって・・・」
連・・・、これ、ダメなやつだ、ここ、ハイヤーなのだが
「今週末は、恐らく練習がなにかしらの理由で、なくなるはずだから、かいさんのお屋敷にお泊りする予定。だからね、その時に」
楓は、自分の胸に、連の手を引き寄せて、揉ませていた。
連!今の僕の話聞いていたのかな?今は、だめだって、ここ、ハイヤーの中。
楓
「うん、わかっています、でも、このまま、ずっと、お泊りは週末、約束よ」
楓はそう言いながらも、連の手を自由に、
そうなると、連も自然と指が動いてしまうのであるが
楓
「今、ハイヤーの中なのは、わかっています、でも、連、函館につくまで、ずっと、お願い・・・」
連!!堅忍不抜の意識をもって、耐えるしかなかったのである
それぞれが、耐え抜いた数時間、
ハイヤーは目的地、函館、五稜郭跡地に到着した。
それぞれがハイヤーから降りて、
何故か、男性陣。嘉位、由良、連は降りたとたんに、ガッツポーズ
一方の女性陣は、不満気であった。空気がそう、漂っていたのは、感じ取れていた。
嘉位は歩きながら
「駐車場から、歩いていくと、あまり代わり映えしないのだけれど、行ってみよう」
楓も歩きながら
「普通の街の中に、ぽつんと緑が、皇居みたいですね」
由良も歩き
「まさに、それだね!」
八重も歩きながら、話す
「ここが、戊辰戦争の最後の場所なのね、五稜郭は知っているけれど、なにか変だよ?」
「お城じゃないの?」
由良
「八重の言う、天守閣のある、お城ではないね」
香織
「お城って、どーんと、ものすごい、偉そうというか、建造物として、美しいのですが、どうして、このような、ここの案内の看板の写真もですが」
連も歩きながら
「良いところに、疑問をお持ちで」
「香織さんの言う、いわゆる日本の御城は、いつできたと思いますか?」
香織
「うーん、あ、江戸城が、今の皇居だから、1600年位?」
連
「江戸城自体は、西暦で答えるなら、1457年」
「徳川家康が、本拠にかまえるようになって、数十年かけて、改装したのが、皆さんが知っている江戸城」
嘉位
「江戸城が皇居というわけでは、無く、跡地、そう、江戸城の中心部、西の丸や、本丸、二の丸」
「1867年大政奉還の翌年に、明治天皇が京都から東京へ移ったのが、江戸城。これも正しくは東京城」
由良
「大戦後、皇居と呼ばれるようにね。」
嘉位
「香織の質問の答えをすると、五稜郭はまさに、幕末時に作られた」
「いわゆる香織の頭に描いている、御城とは異なり、高性能な大砲による攻撃に耐えうる新しい要塞として五稜郭を建設したというと、わかるかな?」
八重
「つまり、大きなお船から、大砲がどーーーん、ときても、届かないように?」
楓
「届くのでは?」
連
「当時、それほど遠くは定める事は出来なかった事もあり、ここが、お城ですよと、天守閣を持つ意味が無かった。つまり標的にされるわけで」
「逆に、平城で、砲門を作れば、海からの侵入を撃退する事が出来ると考えて、作られたと」
「ちょうど、ここに、書いてありますね」
八重
「攻めやすそうで、近代兵器を持ち込んで、逆に難攻不落ということ?」
由良
「うん、4,5あるけれど、八重の話は的を射ているね。」
「江戸城を解放後、幕府は船にのり、東北、そして最終的には、この函館に。最後の場所になったのが、まさに五稜郭」
楓
「各隊に、分かれて、奮戦するのよね、土方歳三」
「最終的に海軍副総裁の榎本武揚は、蝦夷地に旧幕臣を移住、蝦夷地を平定した旧幕府軍は、箱館政権を樹立、総裁は榎本武揚」
「奮戦むなしく、五稜郭が開城。戊辰戦争は終結」
香織
「あ、京都で見た、新選組の土方歳三の事ですね」
八重
「その総裁はどうなったの?」
由良
「投獄、黒田清隆らの助命願いにより、榎本武揚は後、逓信大臣、文部大臣等、そして、後の東京農業大学を創立者でもある」
八重?あれ?聞いてみよう
「先程から出ている、榎本武揚、まさかとは思うけれど」
「昨日、榎本さんのお父さん、お母さんとお会いしたよね?」
連
「可能性は、あるかもね、元々、北海道に榎本の姓はそれほど多くないからね」
嘉位
「では、タワーへ行って、上から見てみよう。僕も資料でしか見たことが無いから、楽しみ」
香織はタワーに向かい、あるきながら
「嘉位は、日本の文化、建造物、伝統がお好きなのですね」
嘉位
「暗記で資料を覚えても、実際見て触ることは別だから。海外で生活してきた僕には、日本はとても美しく見える」
香織
「どこでも行きます。一人は禁止です。わかりました?わかってますね?わかっていますよね?嘉位君!」
嘉位
「も、もちろん、田原坂の闘い 行きたいな」
由良
「おお、良いね、俺も行ってみたい」
連
「確かに、良いですね、僕も行ってみたいです」
嘉位
「夏優勝して、秋季大会は本線からだから、2週間位あくから、8月末行こうか?」
八重
「たばるざか?て、何処?どこ?由良?たばかる坂の間違い?」
由良、八重ちゃん、今晩お勉強会だな。うん。
「謀る、はかりごと ではなく、田原坂、熊本県。西南戦争、西郷隆盛」
八重!
「知っている!というか、知らない、そういう年表を暗記しているけれど、中身はさっぱり」
楓
「わたしも、行きたいな!熊本」
香織
「楽しみー」
そう言いながら、五稜郭タワーにつき、展望台に
香織
「資料でみるのと、ここで、みるの、全然違う」
「こんなに、広いのね!」
八重
「凄い、奇麗に、整っている、お星さまみたい!五稜郭、資料とは別、上から見ると、すごい、感動!」
楓
「確かに、凄い。相当な計算をしないと」
八重
「そうだよね、楓が言う通り、この時代、タブレットも、スマートフォンもないのに、えええ!凄い!」
連・・・やっと、ここに来る意味がわかってくれて、良かったと思った。
香織あれは、なんだろう、座っている銅像
香織
「あ、これ、土方歳三のブロンズ像!」
「嘉位、嘉位、嘉位、これ、一緒に写真とりたい!」
嘉位
「OK!みんなもそれぞれ、撮ろうよ」
ブロンズ像、そして、五稜郭を背景に写真を
連
「夜景奇麗なのだろうね、又来たいな、今度は夜」
楓
「うん、ロマンチック!」
由良
「すぐに、来ることになる。」
「東京に戻ったら、決める」
「あそこ、わかるかな、ほら、今飛行機見えるよね?」
八重
「あああ!わかった!」
連は何のことなのか、さっぱりわからなかった。
楓も、わかっていない、又来る?すぐに?
嘉位
「良い立地だ。空が使える、海も山も」
香織
「なんのことでしょう?夜景が見られるのは嬉しいのですが」
由良
「東京に戻って、会社行って、専務、せんさん、かずき、と話し合い、そして、部隊長、教官にアドバイスをもらう」
楓
「由良、話が見えないのだけれど?」
由良
「320名増員。函館は、企業倒産が相次いでいる。」
「そこで、大規模訓練場を、函館に作る。大阪の規模より、遥かに大きいもの」
「空港で移動が出来る、海も山もあるから、特殊訓練も、雪も」
「さらに、施設も作り、体験会や、講義の場、または、特殊車両の展示、子供達の遊び、撮影等」
「観光名称としても」
「隊員の訓練地、観光名所となれば」
「函館の町おこしにもなる」
連
「なるほど、この立地なのに、どうして誰も気が付かなかったのでしょうね?」
「空港付近に海と山、そして市街地までも、一本」
「港もある」
「工業地帯等、新工場設立等」
嘉位
「それでは、ごはんを食べたら、新千歳空港に向かうよ」
楓
「ここで、食べるのですか?」
嘉位
「ある意味、ここでしか、食べられないと、いう言い方が正解かな」
連
「御寿司?」
由良
「五島軒」
「いこう!」
八重
「カレー屋さんだ、スープカレーじゃなく、カレー屋さん」
「えええ!!カレーライスなのに、2000円を超えている!」
「スープカレーも、そうだったけれど」
「北海道の人は、カレーは貴重品なの?」
由良
「食べて見ればわかる」
八重
「由良は食べたことがあるの?」
由良
「俺も嘉位も、ここは初めてだけれど、新千歳空港で食べたな。」
一同は店内に入り!
北海道がカレーなのが、納得していた。
嘉位と由良は、山岡家が1番だけどなと思っていた。
車にのり、新千歳空港へ
新千歳空港で、せんさん、瞳さん、かずき、乙葉ちゃんと合流し
中に入り、
楓
「履き替えましょう!」
女性陣はお手洗いへ
そのまま、機内に搭乗し、
席に着いたとたんに、嘉位と由良を除いては、一斉に寝てしまっていた
嘉位
「五稜郭を歩いたからかな、疲れたかな。」
由良
「お腹が満たされたこともあるのでは」
「とりあえず、今日は、このまま、着たくする。明日の準備、服装等があるから」
嘉位
「わかった」
由良
「嘉位は、来ないのか?」
嘉位
「うん、財閥の色を出したくないから、株式会社 八重」
由良
「わかった。」
そして、羽田空港に着き
それぞれ、ハイヤーで帰宅、寮へと。
翌朝
嘉位、香織、楓は、駅で合流
佐伯
「どうだった?久しぶりの晴れた、お休み?わたしは、なんと、なんと、光、実家デート、お泊り!!」
桜井
「ええ??それで、お泊りということは、お泊りしたということは?」
佐伯
「まさか、それはないけれど、一緒のベッドで寝た。」
桜井!顔が赤くなり
「その、その、体を、触る、いや、脱がされるとか?」
佐伯
「光、まったくの、無反応、無反応でも、緊張して眠れないから、逆に・・・・わたしのほうから」
桜井、あ、もう、いい、これ以上聞くと、想像してしまう
「STOP!!」
「わたしは、悟君と、映画や、ゲームコーナー、クレーンゲームで盛り上がった」
そのような会話をしていると、学校に、それぞれ授業がおわり、部活動へ。
由良と八重は、それぞれのお父さん、お母さんが車で迎えにきており、今日は部活にはいかなかった。野球部は嘉位がノックを打って、終了した。
嘉位と香織、楓もお屋敷に向かった。
由良と八重は、途中で着替えを済ませ、再度車を走らせ、首相官邸に、車を止めると、複数名の方に案内されて、由良と八重のお父さん、お母さん達は、通路側で待機となった。
既に、席には、幾人もの著名人がおり、カメラマン、報道陣も。
先に秘書の方と由良が話をして
秘書
「御手洗様、あの先日の機内出産の」
由良
「はい、そうです」
秘書は驚いた様子で
「少しお待ちください、この件も総理にお伝えするので」
由良?嘉位も俺も、かずきも、やれることをやった、ただ、それだけなのだが。
由良がまず、中に案内され、野田首相より、紅綬褒章が授与された。
沢山のフラッシュが。
次に、八重が案内され
野田首相より
まず、由良から、内閣総理大臣表彰
次に、八重、内閣総理大臣表彰
もう1度由良で、株式会社 八重 に 内閣総理大臣表彰
沢山のフラッシュが
由良と八重は、深くお辞儀をし
野田首相
「未然に大災害を防ぎ、その行動力は国民に誇りです。国を代表して感謝を申し上げる。」
授与式は終わり、
車に乗り込むときに、由良と八重は報道陣に囲まれ、
由良
「私共は出来る事を、したまでです。」
「やれることは、なんでもやる」
「やるからには、全力でやる」
「二度と同じ涙を流さない」
「流す涙は、感動の涙、それ1つのみ」
報道陣は静まりかえっていた、
それは、高校生が述べる発言ではなかったからである。
静まり返った中で、記者の一人が手をあげて
「朝刊ですが、機内出産の奇跡があります、こちらも」
由良
「はい」
「我々は民間です。民間で出来る事、志を共にし、迅速に対応する」
「私共は、困っている方、窮地に追い込まれている方の」
すこし、間をとり
「差し伸べられている手を、払いのける事は、無い!」
「そのような、手は持ち合わせておりません」
少し、間をとり
「親が子を守るように」
「自然災害は予知できません。但し、予測は可能です。最大限予測し」
「困難極める事はこれからも、多々あることでしょう」
「私共は、民間でありながら、親でもある。とするならば、皆様を自然災害から未然に防ぐ、これは使命である」
少し、間を再度とり
「助かる命を、目の前に、手続き、許可を待たないと動けない、前政権は、この事を見て見ぬふりをしてきた。断じて許せない行為」
「新内閣、野田総理は、この問題を、必ず解決してくれます」
「信じております」
「私共は、民間として助かる命を置き去りにしない。もう1度」
「2度と同じ涙は、流さない」
取材陣は、圧倒されてしまい、何も言い出せない
報道もそのまま生放送されていた。
由良は、深く頭をさげて、由良と八重は車に乗り込み、車は出発した。
車の中に入ると、八重は涙を我慢していたが、
由良の話に深く感動し、車の中ということもあり、堰を切ったように泣き出した
由良は、八重の髪を撫でながら、ずっと、八重は、ボロボロと涙がとまらず、泣き続けていた。
車は、八重の家に到着したのであった。
一方お屋敷では、嘉位と香織、楓である
広間で、テレビの中継を見ていた
千佳
「奥様、こちら朝刊なのですが、この機内出産の奇跡の記事」
香織
「はい、千佳さん、嘉位です」
千佳!!!、一夜!!!
嘉位は思っていた、由良、十分な成果。流石だと。
楓
「わたしは、見ていたのですが、感動して泣いちゃいました。」
一夜
「お嬢様、わかります。わたしもこの記事を読んで、泣いてしまいました」
甘利、板垣、内藤も、同じであった。
料理長が広間にきて
「おおお、由良様」
その時である、嘉位に電話が、そうからである
「おいおい、みとるで、由良君!ほんま、あえて良かった、おそらく、多々連絡あるから、一言、おめでとう」
そいうと電話が終わり
香織にも電話が
「エリア店長、見ています、ドレスの件、中曽根様の、旦那様が、由良様と、精魂込めておつくり致します。ありがとうございます」
電話が、ひっきりなしに、かかってきた。原田監督、井畑監督からもであった。
食事を終えて、お風呂に入り、それぞれ部屋で
嘉位
「明日は全校集会」
香織
「そのような、予定はないと思うのですが」
嘉位
「今日の件で、由良、八重さん、僕、香織、楓、せんさん、瞳さん、かずき、乙葉ちゃん」
「校長より賞状が贈られる」
香織
「えええ!!そうなのですか」
「嘉位隣に居てくれますよね?」
嘉位は、すこしだけ、ちょっとだけ
「うーん、どうだろう、並び順、いやあるいは、病人が出たらその場には」
香織
「えええ!!じゃ、わたしが、病人になります!」
「それなら、嘉位が診てくれますから」
嘉位は顔がひきつりながら、だめだ、冗談が通じない・・・と
< つづく >




