第二二七話 唯一無二の彼女(ユニークアイテムな女子)
翌日、朝8時に高速道路の規制は解除され、特殊車両は盛岡を出て行った。
一方、嘉位、香織、楓は、小雨の中、駅に
駅で合流し、
佐伯
「明日から、つまらなーい!!」
「ほら、明日から1年生宿泊学習でしょう。光いっちゃうのよね、長野」
楓
「連もね。」
桜井
「セーフ、セーフ」
佐伯
「ところで、ゴールデンウィークの遠征が中止になったのは、この台風とかでわかるのですが」
「その間も、こっちも雨なの?」
由良
「ゴールデンウィーク、初日は強い風が吹いて、2日くらい雨が降ったり、やんだりで、5日の朝位から、晴れ間が戻ってくる」
嘉位
「試合は全てキャンセルしたので、」
「せっかくだから、5日から、7日オフにして、それぞれ、デートでもしてきたら?」
香織と八重は気が付いていた、変に心配をかけないために、話をそらして居る事に。
佐伯
「やったーーー!光を実家につれていこう!」
「桜井も、悟君をさそってみては?」
桜井
「な、な、なんで、私が!!!あ、うん、でも、うーーん」
そんな話をしながら、学校につき
授業を終え、下校となった
由良と八重、せんさん、瞳さんは会社へ
かずきは、乙葉に宿泊学習のまとめを、寮で、連と楓も寮で、纏めを。
嘉位と香織は帰宅し、
千佳
「おかえりなさいませ」
「17時とお伺いしております」
香織
「はい、部屋で着替えてから、センターに」
部屋で着替えていると
香織は、嘉位の顔つきが変わって居る事を察し
「嘉位、今日の会議に私は側に居ます、いさせてください。ただ、映らない方が良いです」
嘉位
「わかった。」
着替えを済ませ、センターに
カメラ、マイクは、嘉位のみが映るようにセットし
香織は、隣で嘉位の膝にそっと、手を添えていた
会議が始まり、岩手県知事とである
県知事
「副社長様、突然ですので、準備が間に合わず、前の会議体のまま、岩手、盛岡を中心とする記者団も目の前ですが、宜しいでしょうか」
嘉位
「はい、構いません」
県知事
「この長雨、岩手もそうですが、宮城の農作物に対する被害は甚大です。」
「土砂災害、停電等は起きていません。公共交通機関、高速道路、新幹線、在来線は影響あり」
嘉位
「被害額、年間では」
県知事
「5000億円規模になります。副社長様」
「先ほどまでの会議が、そちらの報告のまとめでした。」
「資料は後程、送らせて頂きます」
嘉位
「5000億円、その算出額を上回る、甚大な災害が迫っています」
県知事のまわりの記者がざわつく
県知事
「まだ、豪雨が続くと?」
嘉位
「大型で非常に強い台風8号、上陸はしない。大型、強風域が広い、そして前線を押し上げ、局地的短時間豪雨が発生する」
「5月3日、早朝、トンネルが崩壊する。土砂災害も1か所起きる」
県知事
「それは、山本財閥の世界最大、最新のシミュレーターによるものでしょうか」
嘉位
「はい、その通りです。死者223名」
県知事
「死者223名!!!」
県知事の周りもざわつく
県知事
「大惨事です。」
嘉位
「そこで、知事に3つお願いがございます」
県知事
「はい、何なりと」
嘉位
「1つ目、2つの小学校と中学校、廃校をゴールデンウィーク中貸してください」
「民間ハイパーレスキュー特殊部隊、特殊車両を待機させます」
「2つ目、土砂災害の箇所を特定しています。そこに特殊車両の搬入及び、土砂災害の防止柵の設置、住民の事前避難」
「3つ目、5月3日、高速道路の上下線の通行止め」
県知事
「廃校わかりました、土砂災害の事前対応も、お願いします、3つ目の高速道路は、国の管轄です、希望は出せます
嘉位
「このまま、この会議に首相、国土交通大臣が参加します、お待ちください」
首相は災害対応の服装で、画面に現れた
「山本様、資料読みました、甚大な被害、これを未然に防ぐために、高速道路を5月3日6時に上下線を止める事。」
国土交通副大臣、お酒に酔っているのか、この人は?かなり泥酔状態に見える
「高速なんて、すぐには止められませんわ、大体、そのシミュレーション、どれくらいの精度なの、起きなかったら誰が責任を取るの?」
首相
「死者223名と出ている、山本財閥、世界見渡してもどこにも、この精度が出すものは無い、ところで、大臣はどうしたのかね?」
国土交通副大臣
「大臣?必要ない、必要ない、優秀な、私が勝手に出ています。」
首相
「あなたを読んだ覚えがない、大臣を」
国土交通副大臣
「いいの、いいの、結局私になるのだから、ぼんくらどもが、総理と話すより、私よ」
「それで、223名死んじゃうの?良いのでは?その責任を総理がとるのでしょ!」
「そして223名程度が死んだ責任を、総理がとって、前政権与党の私が、総理の席に返り咲く」
「たかだか、田舎の223名くらいで、政権が復活するのよ、いいじゃないの、総理、責任を取って辞任を、私がその席に返り咲くは」
知事
「なんと、今、自分が言っている事がわかっていますか?」
首相
「大臣を呼べ、この酔っ払いのリモートを切断したまえ」
香織・・・このテレビ会議、確か、岩手の記者団との報告の延長であるから、今の話、記者団に
国土交通副大臣は、切断され
画面から消えた
知事
「憤りを感じます」
首相
「大臣はまだかね」
国土交通大臣
「遅くなり申し訳ありません、何故か鍵がかけられていて、戻れず」
「資料は目を通してあります。高速道路閉鎖の件、指示を出します」
知事
「ありがとう」
首相
「それでは、移動せねばならないので、これにて、大臣も同席を」
首相と、国土交通大臣は会議から抜けた
知事はもとより、記者たちの怒りは頂点に達して
一部の記者は、SNSに配信をしていた事もあり
元与党、現副大臣の暴言は、瞬く間に広がって行った
さらに、配信者がそれに加工を加えたものが、広がっていく
知事は冷静を保ち
「記者団の方、配信を止めてください。誰とは言いません。今すぐ止めてください」
止めました。
知事
「記者団の方も、ここからは、皆様も、個人として、聞いてください」
「被害を避けたい、最小限ではなく、これ以上の被害は避けたい。そして予測出来ているのであれば、最大限手を打ちます」
嘉位
「被害総額は1兆円規模。そこで、災害対策基本法、救助法に基づき、災害募金を集めてください」
「無記名で、3兆円を寄付致します。甚大な農作物被害にあててください」
知事
「わかりました、ありがとうございます」
「それでは、失礼致します」
嘉位
「ありがとうございました」
嘉位も会議を終えた。
香織は、ずっと、嘉位の側にいて
そして、翌日、と日は過ぎて行った
5月2日になり、この日は株式会社 八重に泊まることになった。
一度、それぞれが、帰宅、寮に戻り、夜食、お風呂を済ませてから
和井田野球部のジャージに着替えて、駅に21時集合した。
由良、八重、嘉位、香織、楓、せんさん、瞳さん、かずき、乙葉
は、手荷物を持ち、株式会社八重に向かった。
由良
「お疲れ様です」
庶務の方
「社長、お疲れ様です」
専務
「社長、新樹脂の柵の設置、間に合いました、報告があがっています。住民の避難も済んでいます」
「岩手山SAに、特殊車両とマイクロ2台、隊員が待機しています」
かずき
「上下線ともですか」
専務
「もちろんです、それぞれ、上下線ともです」
由良
「今22時になります。いったん、専務をはじめ、皆様、お帰りなられては如何でしょうか」
サービスマン
「徹夜はなれていますから、家族に伝えてありますし」
エンジニア
「うちもですよ、社長」
専務
「当然私もです。庶務の方はお帰りください。ご家族が心配されます」
庶務の方々
「大丈夫です。家族の事は主人に任せてあります」
由良
「ありがとう、せめて、食事や、シャワーを」
庶務の方
「皆さんの分のお弁当を買ってきますね、コンビニで良いですか?」
庶務の方たちが、メモをとり、お弁当等、予備でおにぎりもと。
嘉位
「備えには、備え、それは、我々も同じです。専務、技術スタッフ、庶務の方は、1回仮眠室で、4時頃でお願いします」
専務
「わかりました、お弁当を食べたら、一回、仮眠室に行きます。男女わかれていますし、ベッドが6つずつあるのは、良いですね」
由良、嘉位達は、一度会議室に
由良
「ここまでは、予定通り、後は時間を待つ。ただし、モニターはしていないと、何かある場合も」
かずき
「モニターと、もう1度シミュレートを1000回やる。」
楓
「ところで、最近出回っている、お兄様と、おじ様のこれ?なんですか?」
楓は、スマートフォンを出して、SNSに上がっている、泥酔した政治家を
嘉位、あ、あれ、配信されていたのか、別にやましい事ではないし、堂々と首相が政治のふるまいをしているし
乙葉
「見ました!この泥酔の方への誹謗中傷が、さらに、増幅された動画になっていますね。しかし、政治家というのは、こういう人なのでしょうか?」
瞳
「この人、前与党に居た人だよね。金の亡者みたいで、わたしは嫌いですわ」
乙葉
「キャプテン、普通にしていますが、緊張とかなかったのですか?」
由良
「嘉位が、緊張?あるわけないでしょうに、嘉位が緊張しているのは、香織さんのマシンガントークを受けている時くらいじゃないか?」
香織は真っ赤になり、え?わたし?わたし?わたし?そ、そんなに?
楓
「お姉さまのお兄様に対する、想いは、尋常じゃないですからね」
「ここで私が、お兄様に抱き着いたものなら、お姉さまは、どーなるのか、もう、想像するのに、容易いですわ」
八重は笑いながら
「わかるーーぅ!香織の、マシンガントークは、芸術の域だよね!よくも、あー、言葉が、出るわ、出るわ、」
嘉位、リラックスできている、良い。
「よし、マシン室にいこう」
せんさん、かずきがコンソールを触り、現状をモニターし、スクリーンやモニターに映す
かずきは、再度シミュレーションを実行
結果は同じであった。
瞳と乙葉は、少し眠くなってしまい、横になる事に。
香織
「今丁度4時です」
その時である、嘉位のエンジェル通信、緊急が鳴る、首相からである
嘉位
「EC受信」
首相
「すまない、謝らなければ、東北道、岩手、指定区間の上下線通行止め6時でアナウンスしていたのを、
「落ち度だ、国土交通省副大臣が、勝手に8時で、流してしまった。」
「今からだと、修正が効かない。」
「すまない。」
嘉位
「国土交通大臣にも、エンジェルは渡してあります。今から6時は間に合わないという事ですね」
「国土交通大臣もいらっしゃいますか?」
首相
「もちろん、災害対策本部に一緒に居る」
嘉位
「テレビ会議可能でしょうか、野田首相」
首相
「出来る。この間、教えてもらったもので、CALLする」
通話を終了すると同時に、テレビ会議のコールが鳴っていた。
由良と八重、嘉位、香織、楓、せんさんは、会議室へと走る。
丁度そのころ、専務たちもきたので、会議室へ
マシン室には、かずき、瞳さん、乙葉が残っていた。
会議室
モニターには、首相をはじめとする、災害対策本部が設置されていた
由良
「今からでは、6時は間に合わないという、理解で良いですね?」
国土交通大臣
「申し訳ない、落ち度です。勝手な事を、全て私の責任です」
由良
「ETCの通過状況を流してもらえますか?最新のものだけでよいです。惨事の場所から半径100Km」
国土交通大臣
「わかった」
由良は嘉位を見て、
嘉位は由良を見て
嘉位、と、由良
「問題ない」
香織と八重、楓、お兄様たちが、問題ない、問題ないと、言っている!!!!。
嘉位はエンジェルを取り出し、どこかにCALLした
部隊長
「EC受信」
嘉位
「隊長、無理かどうか、即答してください」
「上下線、トンネル前に、マイクロ1台、横倒しに出来ますか?」
部隊長
「もちろん、余裕です。元:自衛隊特殊部隊を舐めないで頂きたい」
嘉位
「今から、上下線、マイクロ1台、特殊車両1台で、トンネル前に向かい、マイクロを横転させてください」
「上下線通行止めにします。下りは岩手山SAに誘導、登りは田山PAに、誘導してください」
部隊長
「自分が行きます、宜しいですね」
由良が変わり、
「お願いします」
部隊長
「整列、M-332-AAGーONE」
暴風雨の音に、マイクロ、特殊車両が一斉に動いていく音を残して、通話が切れた
しばらくすると、再度、嘉位のエンジェルが鳴り
嘉位
「EC受信」
部隊長
「許可を」
由良が変わり
「許可」
ぎゅううういいいいいいぎいいいいいいーーーーーーーーぃ
部隊長
「ふぅー雨風強いから、滑る滑る、ミッションコンプリート」
「登りも封鎖、完了」
由良
「部隊長を載せて、特殊車両はそこから、500メートル後方で待機。一般車両は来ないが、万一の場合、止めてください」
部隊長
「了解、各班に伝える」
といって、通話は切れた
嘉位
「ご覧の通り、首相、国土交通大臣、一般車両の事故です。上下線封鎖をお願いします」
国土交通大臣
「ま、まさか、このようなやり方を、信じられん、思いつきもしない、もちろん、了解だ」
首相
「ありがとう、ありがとう」
香織と八重と楓は、ハイタッチ!!!
専務
「し、信じられない・・・そのような、発想」
エンジニア
「そんな、やり方、凄い。」
国土交通大臣
「上下線、事故、及び暴風雨の為、閉鎖しました」
「このような、やり方は前代未聞です」
嘉位
「全責任は、僕がとります」
首相
「人命が最優先。道路の補強、台風が去ったあとの迂回路を、大臣お願いします」
国土交通大臣
「はい、既に、手配をしています」
時間は、朝の7時を回っていた。
由良のエンジェルに連絡が
「EC受信」
隊員
「SAに1台、パンクで残されていた、車を誘導し、これで、上下線、ゼロです」
由良
「ありがとうございます」
隊員
「パンク修理は、台風が行った後で良いとのことで、運転していたご家族を、サービスエリアに避難させました」
由良
「適切な対応ありがとう」
7時20分
せんさん
「そろそろ、雷が鳴るころ」
嘉位はエンジェルを取り出して
鬼教官
「EC受信」
嘉位
「教官、そろそろ雷がなります、落ちます。そこから、離れてください」
「落雷後、土砂崩れが始まります。」
鬼教官
「既に離れて待機しています。Live中継を流しています、確認を」
「どっどどどどどどおどどーーーーーーーん」
通話は終わった
首相、災害対策本部にも、Live中継の映像が映っていた
一瞬、画面が真っ白になりあたりが明るくなったとたん、
土砂崩れが始まった。
その様子はLive中継されており、一般にも公開されていた。
土砂はものすごいスピードで、下ってくる。
集落の前に、設置した特殊柵で、土砂は止まった。
集落が押し流されることは無かった!
由良、嘉位
「7:30、まもなく、トンネル」
せんさんが、Liveカメラを映し出し
首相、災害対策本部も、株式会社 八重のLive中継のトンネル、上下線を見守る
嘉位
「残り、40秒。30秒、20秒、10秒」
「9,8,7,6,5,4,3,2,1、ZERO」
と同時に、上下線のトンネルが押しつぶされた。
それは、Live映像でも明らかであった。
マシン室で状況を確認していた
かずき、瞳さん、乙葉も会議室にやってきた
嘉位はエンジェルを取り出し
部隊長
「EC受信」
嘉位
「崩壊確認、生存者センサー」
部隊長
「熊も、猫も、無事ですよ、死傷者無し」
瞳さん、乙葉、八重、香織、楓、ハイタッチ!
「やったーーーー!!!!!」
嘉位
「お疲れ様です、後は公共に任せましょう、閉鎖中ですからSAで待機してください。」
「ありがとうございました」
首相
「本当に、ありがとう、本来ゴールデンウィークともなれば、上下線とも渋滞で」
「通行止めに躊躇し、とめられず、大惨事を起こすところでした。」
「皆さん、本当にありがとう」
「あとの事は、お任せください」
首相災害対策本部とのビデオ会議は終了し、
株式会社 八重の会議室は
しーーーーーーん
と
なった。
が
香織、八重、楓、瞳さん、乙葉
「やったーーーー!!!」
庶務の方も、エンジニアの方も、専務も
拍手!
拍手!
拍手!
大拍手!拍手喝采!!!!
庶務の方は、泣いてしまっていた。
サービスマンも泣いていた。
由良は嘉位に向かって進み、
嘉位と由良は、ハイタッチ!
お互い
「流石!」
そのまま、由良は、八重の所へ
いったん、しーーんと静まり返る
由良はポケットから、何かを取り出し
「八重、ありがとう、八重が全てだ。幼い事からずっと、そうだったのかも」
「中学生から意識していた」
「俺は八重が全てだ。」
「八重の誕生日までとっておくつもりだったが」
「八重は、唯一無二の彼女(ユニークアイテムな女子)」
「そう、この世に一人、八重だけ」
由良は、八重の前で、片膝をついて
八重の左手を取り、
由良
「八重、俺と結婚してください」
そういいながら、八重の薬指に、ダイヤモンドの指輪をはめたのであった
八重は、大泣きしてしまい。声にならない、声で
「はい」
と
一同!!!それを見て、もらい泣き。
八重!!おめでとう!!
由良おめでとう!!
社長、奥様、おめでとう!!!!!
鳴りやまない拍手と涙は、そのまま、ずっと、ずっと
お互いが、お互いを支えあって
さらに、ここ数日の様々な出来事を思い出すと
涙は止まるはずもないのであった。




