第二一四話 予報は雨。桜、そして、涙
嘉位、香織、楓、千佳、一夜はお屋敷についた。
由良と八重も八重の自宅に。
嘉位
「千佳さん、一夜さん、ありがとうございました。別館でお休みください。」
一夜
「副社長様、お誘い頂きまして、ありがとうございます。楽しかったです。本日はこれにて失礼いたします」
嘉位と香織、楓は、部屋に戻りルームウェアーに。
それから、広間で、お茶をと。
嘉位
「あれ？連は？」
楓
「お兄様、連。連ですよ、酷いのです。1年生キャプテンだから、初日は寮に戻るね」
「ですってーー、酷くないですか！わたし一人、置いて！といっても、実は」
嘉位？はい？
香織も・・・あ、実は、私もだ。
楓
「女の子のが、来そうなので、月末ですから、それもあって、私から連に言ったのです。」
「来週末はお屋敷でお願いします。お兄様」
嘉位え？そうなると、香織も
香織は頷き
「旦那様。わたくしも、です。その、はい。」
楓
「お姉さま、お風呂一緒に入りましょうね！」
香織
「はい、楓ちゃん、痛み止めも用意しておかないとね」
嘉位あらら、焼肉パワーが、ということは、由良も同じか
嘉位は、由良に電話をかけて、スピーカーに切り替えた
嘉位
「由良、お疲れ！あと、御愁傷様」
由良
「嘉位もだろうに！！」
八重
「え？これ、スピーカー？うん、月末でまだなのだけれど、今晩かな？この胸の張りからするとね」
楓
「八重もかー、私も、お姉さまも。」
由良
「八重、香織さん、楓ちゃんから見て、1年生マネージャーの正副も決めたいので、任せるね、今日明日というわけでは無いです」
「4月8日に対外試合が、1年生だけで行うので、それまでで、あと、香曾我部さんは記録員なので、外しておいてください」
八重
「旦那様、了解です」
楓
「由良、了解！」
由良
「せんさんからの、明日の練習内容みた？皆さん？」
嘉位
「先ほど、部屋で見たよ。完璧だな、せんさん、良く見ている流石」
楓
「まだ、見ていません、どれどれ」
香織もスマートフォンを出して、見る事に
香織
「なるほど・・・。戸倉君が1年生副キャプテンなのですね」
嘉位
「今、天気予報が出ているのだが、来週木曜日から一週間雨なのかい？由良？」
由良
「気象庁はそう出しているが、俺の見立てでは、4月1日土曜日から4月7日木曜日まで、雨、8日は晴、予報より少し後ろかな？降り出し」
嘉位
「どれくらいの雨？」
由良
「しとしとと、降る程度。ある意味、桜は入学式まで持ちそうだ。開花宣言してから、雨になる。その分長い間、桜は見られる。雨も、弱い雨なので、散ることもない」
嘉位
「明日、日曜日から、来週の金曜日までに1年生のポジショニングになるわけか」
「明日のメニューはこのせんさんの配置で、確認だな。」
香織
「4月3日新学期から、4月7日まで、在校生は午前中授業、8日入学式はお休みです」
八重
「8日在学生はお休みだけれど、部活は出来るから、1年生の対外試合」
嘉位
「八重さん、1年生の御父兄の皆様には、連絡済みでしょうか？」
八重
「もちろんです。元々、宿泊していくつもりで入学式を予定していたとのこと。試合は楽しみだそうです」
楓
「それは、お父様、お母さまもお悦びになるでしょう」
由良
「そこで、4月1日土曜日から7日木曜日、会社に行こうと思う」
「1日で良いので、せんさん、瞳さん、かずき、あ、香宗我部さんもか、嘉位、かおりさん、楓ちゃん、連」
「6日か7日、会社に来てもらえないか？」
嘉位
「それは構わない。2号機だろう。」
由良
「そう。それを、2号機、せんさん、かずきに、再度確認してもらいたい」
「関東や東北は雨だが、九州から南は晴が続くので、打ち上げには問題はない。風も無い」
嘉位
「3号機の認可も予定より早く、降りそうだ」
由良
「総理か？」
嘉位
「うん」
由良
「よしゃあーーー！これで、完璧。あとは、青森と大阪、そして200名増員」
「父さんに、依頼してある。父さんから豊田会長に話がいったらしく、300は確保できるのではないかと、経験者を」
嘉位
「流石、御手洗会長、豊田会長！」
香織と楓、八重は・・・話を見守るしかなかった。
楓は思っていた、ここに、さらに、連が加わる。一体この男性陣は、どこまで先を見据えているのだろうと。
少しの間、沈黙があった。
嘉位が、電話を切ろうとしたときである。
由良が、思い出して、ちょっと、まって、あ、そうだ、和井田野球部と、株式会社八重の事で、忘れるところであった。
由良
「あ、嘉位」
嘉位
「？電話きろうと・・・」
由良やはり！
「嘉位、ちょっと、まって。一回落ち着こう」
嘉位
「ＯＫ」
さらに、少し間をおいて
香織と楓、八重は？どうしたのだろう？
八重は、由良がそういうのは、何か、重大な事があるとき。
由良は、深呼吸をしてから、話しだした
由良
「嘉位そういえば、今日じゃないのか？確認したのか？確認するまでも、無いがな」
嘉位
「あ、忘れていた、見てみるか、これ電話だから、テレビ会議に切り替えるか？」
由良
「それが良いな、一回切るね」
嘉位は、香織、楓を見てから、
嘉位
「香織、楓、センターにいこう、テレビ会議にする」
楓
「え？宜しいのでしょうか？お姉さまはともかく、わたくしまで？」
香織
「行きましょう！楓ちゃん」
香織が楓と手を繋いで、センターへ
嘉位は各種繋ぎ直しをして、モニターとカメラ、スピーカー、マイクをオンにし、再度由良をＣＡＬＬ
八重
「え？ここ部屋、映る、映る」
由良
「大丈夫、俺らだけにするから、あとは背景調整で、受けるね、ビデオ会議」
由良
「どうだ・・・？」
嘉位
「画面を共有する」
香織と楓、八重は何のことか、さっぱりわかっていない。
嘉位
「香織、楓、八重さん、では、お見せしましょう！」
嘉位は、紙を香織にわたし、そこには03163と書いてあり
香織は楓に見せて、楓はモニターに映した。
八重はなんのことかわからず
「０３１６３？ なに、これ？何かの暗号？それとも、隠語？え？なんだろう？」
香織
「わたしも、わからない。」
楓
「わたしも」
由良
「じゃ、掛け声をあわせよう、せーの、で、良い？香織さん」
香織
「はい、由良君」
由良
「では、いくよーーー」
皆いっせいに
「せーーーーーーの！」
嘉位は画面を共有したところを、ズームし、
「03163」
由良
「よっしゃ！！！」
香織、楓、八重？
八重
「由良、なにが、よっしゃなの？？？ 03163？」
由良
「嘉位、ズームを戻して、全体を表示してあげて」
嘉位は、全体表示に替えると
香織、楓、八重
「えええええええええええええええ！！！！！！」
由良
「あれは、どうだった？通知があるはず。」
嘉位
「あ、そうだ、千佳さん、いないのだった。内藤さんに聞いてみる」
「ちょっとまってて」
嘉位は広間に行き、内藤さんに会い、僕宛の書留が来ていなかったのか、確認をし、手渡された
嘉位
「内藤さん、ごめん、千佳さん、一夜さんも呼んできて欲しい、あと、板垣さん、甘利さんも、一緒にセンターに」
内藤は、センターに等呼ばれたことがない、これは何か、良からぬ事があったのだと、顔が青ざめた。書留の件もある、これは、緊急だ。
「副社長様、かしこまりました。1分程お待ちください」
すぐに、千佳と一夜も走って、
パジャマのまま、お屋敷に、甘利、板垣も合流し
嘉位
「あ、なにか、ごめんなさい、そんなに、急ぐことでも無いのですが・・・」
「せっかくなので、この内藤さんが渡してくれたものを、みんなでと、一緒にセンターに行きましょう」
一夜は下着すらつけておらず、パジャマを羽織った状態で、駆け付けていた。
嘉位は、猿飛、真田、内藤、板垣、甘利をつれてセンターに
香織は、緊張というか、驚いて、泣いていて、楓も泣いてしまっていた
それを、
千佳、一夜が目にしたことだから、
一体なにがあったのかと
千佳と、一夜はただ事ではないと、
顔が真っ青に。
内藤と、板垣、甘利は、初めて入ったセンターにびっくりしたが
それ以上に、
奥様、お嬢様が泣いているので、
これは一大事。
何か、お役にたてないかと、焦ってしまい
モニターの中で、八重も泣いていた。
一体何が？と・・・。
由良？何で、泣いているのかな？ま、いいか、
「で、嘉位？」
嘉位
「今、あける、これだ」
嘉位はモニターに映し出した、そこに記されていたのは
「厚生労働省 医師国家試験合格 初期臨床研修の免除」
その他多数の免除の記載があった。
由良
「きたーーーーー！！！！」
千佳、一夜、甘利、内藤、板垣
「えええええええええええええ！！！！！」
「医師国家試験合格！！！」
「それも、初期臨床研修の免除」
「ええええええ！！！！！！」
香織と八重、楓はこの意味が分からない、ただ、凄い事には間違いないと。
訳もわからず、涙が出て止まらない。
香織は、泣きながら、涙をすすって、
「一夜さん、おっぱい、見えちゃっています。」
一夜
「いや、別におっぱいくらい、良いです、奥様」
「国家試験合格も凄いのだけれど、初期臨床研修の免除！！！！」
「ありえない、凄い、凄いですよ、免除！！！副社長様！！！」
千佳も、一夜も喜んで、嬉しくて、自分の事にように、泣いてしまった。
香織も、八重も、楓も、その意味することがわからず
香織は泣きながら、何故、泣いているのかも、わからず、ただ、涙が止まらないのである
「こ、こ、これ？！教え、おし、おしえて、く、ださい。」
内藤は信じられず、言葉に詰まっていたが、
「奥様、つまり、この通知は、今すぐに、副社長様は、日本でも、お医者様として、治療、手術が出来る！」
「通常は医師免許合格してから、2年、研修を受ける、あるいは短縮もありますが」
「ところが、副社長様は、それすら、免除！！！」
「すごい、すごい、すごいのです！！！！！」
「ありえないのです！！！」
内藤は言いながら、事の大きい事に、あらためて、認識し、内藤も泣いてしまった。
甘利、板垣も同じで、泣いてしまった。
嘉位は、周りを見て、なんで、皆泣いているのだろう？？え？
嘉位
「あのー、僕、何か、悪い事、しちゃいましたか？なんで、皆さん、泣いているの？」
由良は、笑っていた
千佳、一夜は、泣きながら、逆に！
「副社長様、由良様！！！」
「なんで、平然としていられるですか！！」
「副社長様は、お医者様で、由良様は、気象予報士様で・・・」
千佳と一夜は、声に出して、泣いてしまった。
由良？・・・。え？普通だろ
由良
「な、嘉位？」
嘉位
「当然、問題ない」
嘉位と由良は、みんなに向かって、嘉位と由良は同時に、
「普通でしょ？」
香織、楓、八重、千佳、一夜、内藤、甘利、板垣は、大きな声で、泣きながら
「ふつーーーじゃ！！ありえません！！！」
と、泣きながら、大きな声で、言い放ち
香織？あ？あ？
そして、
香織・・・あ。
香織、緊張が和らいだせいだから？
「旦那様、旦那様、ごめんなさい、ごめんなさい、来ちゃいました・・・その、女の子のが」
嘉位・・・えええええええ・・・。
嘉位は、ある意味、涙目になり、うな垂れていた。
嘉位の背中には、哀愁が漂っていた。
それをみた、千佳と一夜は
医師免許より、奥様との蜜が大事なのですね
と
泣きながら、笑っていたのであった。
＜ つづく ＞
