第一七〇話 それぞれの伝え方のバレンタインデー
八重
「良かったですね、では、お邪魔なので、私たちはこれで」
田口は少し震えていたが、
ここは、と、よし
手をそっと伸ばし。下村の手をふれ、下村と手をつないだ
下村はドキドキが収まらず、またどこか、顔が赤くなっていた
由良、やれば、できるではないか!よし
「では、お邪魔しました」
一同は、教室をでると、佐伯は気が付き
佐伯
「あれ、うちらの教室にも誰かいるわよ?」
桜井!本当だ、勉強している、これは入っても大丈夫だね。
嘉位が、が止めて、しゃがむようにと
八重、香織はなんのことだろうと?由良と、嘉位を見るが
由良もすぐに、わかり、とにかくしゃがもう
桜井は、まったく、わかっていなかったため
佐伯と楓が半ば、強引に桜井をしゃがませた。
桜井
「え?なかに、入っちゃだめなの?」
「ほら、黒板に書いてあるの、キャプテン先生の講義の続きみたいなのを、勉強しているのでしょう?」
佐伯
「え?そうなの?バレンタインデーなのに、和井田は、これだから・・・」
楓
「え?どこをどう見れば、勉強しているように、見えるのよ」
「ちゃんと、黒板に書いてあるものを、読んで!レイもシュンも」
桜井
「シュンは、内緒、内緒」
佐伯
「レイも内緒で」
桜井
「え?やっぱり、キャプテン先生の続きですわ」
佐伯
「うん、そうですわ、あ、そうか、皆さんはキャプテン先生の自習講義をしらないからですわ」
香織は、ちょっと、ムっとして
「嘉位、なんですか、それは!」
嘉位
「しー!自習の時に、前回のテストで皆さんが難しくて解けなかった問題の、解き方を自習で、講師として解き方の説明をね」
由良
「だから、しー!しかし、良く出来ているな」
「そうとう、時間かけないと考えられないぞ、これ」
楓
「確かに」
八重と香織は、この補習?が、バレンタインデーとどのように、関係があるのかが、わからなかった
もちろん、佐伯も桜井もまったく、わからなかった。
頭を少しだけあげて、目視してみる
気が付かれてはいないようだ。
佐伯
「三好さんと、一色君だ」
桜井
「あのふたりも頭良いものね、お勉強中だって」
楓
「わざわざ、教室で勉強しないでしょう、図書室等もあるのに、今人が居ないのはどこ?」
「教室、さらに、卒業する三年生も、居なければ、2年生は海外研修の準備で居ない」
「そうなると、1年生だけ。つまり、このバレンタインデーは、告白するのには、絶好のチャンスですわ」
桜井
「あ!そういう事か、フラれても、目立たないし」
佐伯
「不吉な事を、言うな!でも、勉強しているようにしか見えないですわ」
嘉位
「静かにすれば、話していること聞こえるから」
「もっとも、僕と由良は唇、口の動きだけで、理解できる」
桜井・佐伯
「キャプテン、副キャプテン、やはり、人間じゃないわ」
楓
「だから、しーー、レイ、シュン」
桜井
「了解、マスター」
しーーん、と、なって、教室の中の声を、聴いてみた
うん、何か言っている。
三好さん
「この間の山本先生の覚え方、解き方、面白かったよね」
「自習時間の休み時間に、他の場合も想定してみたい」
「文字を短く、思いを込めたものとかも」
「外国人のツアー客、面白いだろうね、と一色君言っていましたね」
一色君
「うん!あれは、難しかった。山本さんの解き方が、凄くわかりやすかったです」
「確かに、ツアーコンダクターとして、面白く伝えてみたいなーとも言いましたね」
「三好さん、聞いていたのですね」
三好さん
「はい、もちろん、それで」
「黒板に書きました」
「見てください!」
「字が奇麗でしょう」
「でも、字を褒めてもらうより、」
「あの時は鳥羽伏見の戦いを300文字」
「今回は200文字内という設定にしました」
「薩摩藩の願い」
「これが、題材です」
先陣を切った薩摩兵の勢い、まさに雷霆の如し。
上様の命に背き、会津は義を貫かんとす。
京の都は、戦火に包まれながらも静かに時を刻む。
今こそ、志を胸に、刀を抜く時ぞ。
断じて退かず、我らの誠を示さん。
江戸の空、春の霞に紛れて、別れの言葉は風に消ゆ。
薩摩の誇りを胸に、旗の下で友と敵が交差する
運命に抗う術はただ、心の奥に秘めた願いのみ。
一色!!!わーー!
「凄い、こう、戦場を駆け抜ける、決意みたいなものが」
「物語的にまとまっています。三好さん凄いです!」
「これは、山本先生に見てもらうと、褒めてくれますね」
三好は・・・?いや、そうじゃないのだけれど
三好・・・今日は、何の日?わかる、わからないの?
三好は、少し、ムッとしながら
三好
「では、一色君これを、隣に、翻訳したものを、書いてください」
「外国人さんにツアーコンダクターとして、説明しなくては、いけませんね」
一色
「すこし、はずい、けれど、これは、物語として伝わるように、アレンジして」
「外国人の歴史ファンも、アニメファンも喜ぶ構成ですね」
「では、三好さん、書きますね」
一色は、三好の書いたとなりに、英文をスラスラと書き始めた
Satsuma troops charged forth like thunder.
Under imperial command, Aizu defies to uphold honor.
Kyoto, wrapped in flames, quietly marks the passage of time.
It is now the moment to draw blades with resolve.
Determined not to retreat, we shall prove our sincerity.
Edo’s spring haze veils farewell words lost to the wind.
Satsuma in our hearts, beneath the banner, friend and foe converge.
Unyielding to fate, only hidden wishes remain within the heart.
こっそり、隠れていた由良、嘉位、楓は、やはり!やるな!テクニックだ!
一方の
佐伯と桜井、八重、香織、英文はわかるが、バレンタインとの関係が、さっぱりわからなかった。
教室の中
三好!むふ、予定通り!完璧、完璧な回答。想定通り。
三好さん
「一色君、素晴らしいは、では、声に出してよんでみてください」
「わたしが、外国人さんの旅行者です」
「一色君が、コンダクターになります。」
「隣に行きますね」
「わたしに、説明してください」
一色君
「わかりました」
一色は、身振り手振りをまじえながら、英語で、三好に伝えた
とても、聞き取りやすい発音で、三好は感心した
三好さん
「すごーい!わかりやすい、イントネーションもあって」
「物語というか、flagではなく、bannerによって戦闘の臨場感があります」
「そして、なにより」
三好は、ここれで、一呼吸おいて
ふーう、と息を
三好さん
「only hidden wishes remain within the heart.」
「この表現で、想いが、良く伝わります」
「心の奥に秘めた想い!」
一色君
「三好さん、ありがとう!このように勉強していくと、効率的ですね」
三好さんは、ムっとして、そこじゃないのだけれど
三好さん、わからないのかな
三好さんは、イライラしていて
三好さん
「一色君、ここで、この黒板に書いてある意味、わかりますか?」
「よく、見てください。私の原文と、一色君の訳文」
一色は、じーと、見つめて、うん、良く出来ている文面。
意味?意味って、そのままでは、うん。間違いは、無い
一色君
「うん、良く出来ている文面で、間違いは無いですね」
三好さん、イライラが増して、そのような事を聞いているのでは、なく
三好さん
「今日は、いったい、何の日なの?」
一色・・・あ!そういうことか
「今日は、午前中で二年生が帰りで、修学旅行の準備の日ですね」
隠れていた、八重・佐伯・香織・桜井・・・、だめだ、こりゃ。
三好さん・・・。勉強ばっかりだと、こうなのか、私が悪いの?
嘉位は由良に目で
愛の告白って
こんなに、難しいの?
いや、好きで良い
だよね。
八重と香織は、また、二人は目で会話しているよ。
三好さん!!!!違うでしょ、違うでしょう!あ、もう!
一色君、あれ、なにか、三好さん怒っているような、あ!そうか
「ごめん、トイレと、扉が新しくなった日だった。ごめん、そうだよね、奇麗になった」
楓・・・。少し、噴き出してしまい、ダメだ、こりゃと。
三好さんは、あきれながら、黒板を指さした、まず、日本語のほう
三好さん
「ここ、まず、ここ、声を出して、読んで」
三好は、末文を、指でさした、心の奥に秘めた願いのみ。
一色君
「こころ の おく に ひめた ねがい のみ」
「だよね?」
三好は、もう、イライラがおさまらず、そのまま
「次!英語のほう」
一色君は、もう一度、英訳を声で、伝えた
三好は、なんで、わからないの!!!発音は上手だけれど、そうじゃない!!!!
三好は、英文を、指で、上から、下になぞった、これでダメなら、え?私が、悪いのかな?わかるよね
一色は、上から、下、上から、下
一色はわからず、
三好は!!!!もう!!
「声に出してみて!!!!!」
一色、・・・うわ、怒っている、あれ、怒らせるような事したのかな
一色君
「はい」
「えす、ゆー、けー、あい、でぃー、いー、えすー、ゆー」
三好・・・・!!!!どうだ、どうだ、これなら、どうだ?
隠れていた、佐伯・桜井・八重・香織もやっと意味がわかった。
そして、さらに、これは、1年生の瞳さんバージョンだとも思った。
三好さんを、瞳さんバージョンと置き換えてしまうと、思わず、声に出て、笑ってしまった。
楓、しーー、しーーー!
三好、あ、もう。私が悪いのか・・・。それとも、私に対して、無関心?え?嘘
三好さん
「その頭文字、黒板に横に書いてみて、繋げて!!!!」
一色君、うわ、怒っている。何故だろう
「え!はい、」
三好さん
「早く!」
一色君は、黒板にそれぞれの文章の頭文字のアルファベットを書き出した
SUKIDESU
一色君は、ああああ!!!!!今日はバレンタイン
え?三好さん、えええええーーー、
うわ、ドキドキしてきた。
好きとか、そういうの、無縁の世界だったから、え、でも、すごく、嬉しい
三好さんから、好きと、意識していたことは、あるけれど、高嶺の花だし
遠い存在であったから、え!
一色君は
ローマ字を声にだした
「好きです」
三好さん!やっと、伝わった、ってそれ、声に出して読んだだけでしょう!!伝わっているのかしら?
一色君
「今日はバレンタインデー、もしかして、三好さん、思いを」
「もし、そうだとしたら、凄く嬉しいです」
「そうでなくても、今日一緒に二人で居られただけでも、嬉しいです」
三好さん!気が付いてくれた、どうしよう、今度は、私が困った。どう、すれば・・・。
三好は一色を見つめた。想いが伝われ。
一色君、そういう事。流石に僕でも。
「心の奥に秘めた願いのみ、これは、僕も一緒です。三好さん」
一色は、三好の前に立ち、
「僕と同じ想い、違うかもしれないけれど」
「ダメ元で、」
「僕は三好さんの事を、美人さんで、手の届かない人と、遠くの存在だと思っていました」
「いつも、見ているだけで、ごくごくまれに、お話できると、それは、とても嬉しかったです」
「三好さん、好きです。中学のときからずっと、この4年間」
「僕で、良ければ、」
「この心の奥に秘めた願いのみ」
「を、受け取ってください」
改めて、一色は、声を大きくし
「僕と、付き合ってください!」
と頭を、三好の前に下げた
三好も、ようやく・・・と思うと同時に、瞳から涙が、こぼれて
三好さん
「はい、私も、一色君が好きです。宜しくお願いします」
佐伯・桜井、やったーーー!!
楓、八重、香織、良かった。
嘉位、由良、女の子ってわからん。
一同は、教室を開けて
「三好さん、一色君、おめでとう!」
と
拍手を送った
三好は、一連の流れを見られていたことが、恥ずかしくなり
特に、山本先生に、見られていたことが
嘉位
「三好さん、素晴らしい!この 恋の問題」
「これは、難問でしたね。」
「完璧です」
「一色君も、この恋の問題を、良く解けました」
「もう一度、皆さん、拍手」
八重、香織、楓、佐伯、桜井、由良、嘉位は
暖かい、拍手を送った。
一色君
「山本先生、皆さん、ありがとうございます」
「僕は、三好さんを大切にします」
三好さんは、その場で泣いてしまった。
はじめての告白であった。
正直、ダメだと思っていたから。
きっかけは、山本先生が作ってくれたこともあり
そして、紙袋
そう、チョコレートを一色に渡した
一色君
「三好さん、ありがとう!」
一色は、チョコを受け取り、さらに
三好の手をとり、
手を繋いだ
三好は顔が真っ赤になり
香織が前に出て
「三好さん、一色君、スマートフォンを持っていますか?」
一色と三好はスマートフォンを取り出して
香織
「このような、告白なんて、なかなか、想像がつくものでありません」
「せっかくですので、黒板の告白と、お二人を、スマートフォンに収めますね」
一色は、三好と手をつないだまま、黒板の文字が見える位置に移動し
香織は、二人を、スマートフォンで撮影した。
楓
「それでは、おじゃましましたーー」
と一同は、教室を後にし、下駄箱へと
由良
「女の子の告白って、あんなに複雑に、するのものなのか?」
楓
「和井田だからでしょうね。」
香織
「伝え方は様々ですが、想いが、伝わり、実って良かったですね」
八重
「本当にそう!」
香織
「ところで、山本先生の授業ってどのようだったのですか?」
佐伯・桜井
「ちょーーー!面白い、わかりやすい」
香織
「ええええええーーー、しりたーーーい」
佐伯・桜井
「それは、ねー、一色君、特に三好さんに聞いてみてね」
香織
「もう、いじわるーー!、でも、今度聞いてみよう」
八重
「本人に聞けばよいでしょうに」
由良
「嘉位なら、普通わかるでしょう と 答えるからな」
一同は、笑っていた
< つづく >