第一六九話 バレンタインデーの告白
香織の先導で、一同は階段の手前のトイレに!
そう、ここは、この間八重が怖い夢を見て
由良と嘉位が間一髪で、大事故を免れた
トイレであった。
一同は!
「えええええええーー!」
香織!
「すごいでしょう、中入ろう!みんなで!」
せんさん、笑いながら
「僕らは入れなですよ」
女子一同は大興奮
声扉も開けっ放しという事もあり
声は、駄々洩れであった。
佐伯
「すごーーーい!、こんなに奇麗」
桜井
「これは、まさに、ありがたい!神だ」
瞳さん
「これは、甲子園のトイレ、じゃなかった、和井田の練習場のトイレと同じものですね」
八重
「うん、そうだ、洗面なんか、おしゃれになって」
楓
「ありがたい、これで、我慢しなくてすむ」
香織
「嘉位が言うには、全部のトイレ改修済みだって、あと各扉も」
佐伯
「うわ、それは、超嬉しい!ここだけでなくて、教室の方のトイレも?」
桜井
「神の技だ、これなら、もう、トイレ我慢しなくて、大丈夫、助かる」
女子の声は、外の男子、せんさん、由良、嘉位に駄々洩れであった
嘉位
「あんなに喜んでもらえるのであれば、初めから修繕しておくべきだったな」
由良
「そうだな、男子のトイレも、酷かったし」
せんさん
「僕は、寮まで戻っていました。寮はまだ築が浅いので、奇麗ですから」
由良
「そうなのですね、寮行った事が無いからな、今度行ってみても良いですか?」
せんさん
「もちろんです。ただ、僕達今日は午前終わりで、明日は準備という名目の休みで、それからグアム、学科によってはオーストラリアですから」
「来週の水曜日に帰国で、次は木曜日ですね」
由良
「せんさん、大丈夫です。すぐに見たいというわけでは、無いですから、瞳さんとラブラブデートしてきてください」
嘉位
「由良、それと、水は駄目とのことで、今日各箇所にウォーターサーバが設置される。教室にも」
由良
「配管なのか、そうなると全改修だから、もともと錆くさいから、誰も口にはしていないし、掃除用にしか使ってないから」
「もっとも、学生証で飲み物は、買えるし」
「教室にウォーターサーバはありがたい!」
一方の女子達は、まだ、わいわいしていて
その中で、
楓は、ボタンをはずして、じゃじゃーーん
「見て、連からのプレゼント」
と自慢を
香織
「朝は寝ぼけていたから、良く見ていなかったのですが、これ、凄い、細かいです。ずっしりと、確かにこれは高価ですね」
佐伯
「楓、す、すごいの!お姫様みたい」
瞳さん
「うん、これは、存在感が凄い」
桜井
「こう、魔法の効果が秘められている、アイテムみたいで」(ゲーム脳)
八重
「連君やるな!これ、相当高いのでしょう?」
楓
「お兄様が言うには、800-850万って今朝言っていました」
佐伯・桜井・八重・瞳さん
「850万!!!!!!!!」
香織
「凄いですよね、私もこのような高価なプレゼントは、今まで無いです。いや色々頂いていますが、850万なんて」
楓?!かお、何を言っているの?的に疑問で、
「お姉さま、クリスマスイブに婚約指輪、お兄様から受け取りましたよね?」
香織は、顔が赤くなり
「はい、凄い、キラキラして高そうで、お正月の両家お披露目の時に、あらためてつけてみました」
楓
「え?かお、わかっていないの?あの価値が」
香織
「高そうなのは、わかりますが、特別な物ですので、大事に保管しています、あれは、幾らするのでしょうか?」
瞳さん
「ええええ!!婚約指輪、香織さん、受け取っているのですか、凄いキャプテン!」
楓
「あれは、値はつかない代物ですわよ。ソリテールスターパヴェ、ダイヤモンドは特注品、2カラットのダイヤを変更オーダー物、この世に1つです。」
「お兄様が海外に行かれる前に、手配したもので、1億はするのでは、5カラット越えていたはずです」
佐伯・桜井・八重・瞳さん
「ええええええ!!!1億円!!」
香織
「えええええ!!!!帰ったら見てみます、特別な物なので、良く見ていなくて、その時のドキドキのほうが強かった事もあって」
佐伯・桜井
「ええええ、いいなー、桁違いは、世界が違うからとしても、女の子の憧れだものね、ダイヤモンド」
「楓のも、すごい!」
瞳さん
「そろそろ、楓さん、ボタンしめて、教室に向かわないと、間に合いませんわ。私は午前まで、明日はお休みで、水曜日から1週間グアムですので」
「今日は、ここまでです。」
楓!!
「あ、そうだ、間に合わない」
嘉位と由良と、せんさん・・・今気が付いたのか。
一同は慌てて、教室に入った、ぎりぎりセーフ
ホームルームでは、トイレや扉が改修されたこと、ウォーターサーバが教室、他に設置されたこと、水道水は飲まない事、掃除用等が伝えられた
又、現2年生は、本日は11時まで、明日は準備でお休み、それぞれの学科が海外に行くことも伝えられた。
今日から午後も授業があること。
先生たちの頑張りもあったおかげで、トイレの改修が終わったのだと、生徒たちも、先生に感謝していた。
休み時間になり
嘉位・・・
「教室から女子が消えた」
由良が嘉位の教室にやってきて
「嘉位、お、こっちの教室も!うちの教室も女子達いないよ」
嘉位
「バレンタインだからか?」
由良
「そんなわけないだろうに、男子は教室にいるのだから」
嘉位は笑いながら
「それも、そうだな、もっとはやく、改善してあげれば良かったな」
由良
「ほかに、改善してほしいところを、生徒会に募ってもらうとかは?」
嘉位
「お、良いね、今度行ってみよう」
お昼休みは、食堂はがらがらであった。
そう、既に2年生は海外への準備の為、居ない
今学園には1年生しか、残っていない。
由良
「女子のみなさん、休み時間何処に行っていたの?」
女子一同
「トイレ!」
楓
「もう、憩いの場よね」
佐伯
「最高、なんでも、話せるし」
由良
「え?トイレが憩いの場なの?」
八重
「ゆーーーーらーーーー!トイレではなく、洗面のほうだからね、変な想像しないの!」
佐伯と桜井は、笑って
由良
「だよな。1つのトイレに4,5人で入るのかと」
楓
「そんなわけ、ないでしょうに」
楓
「ほら、トレンディードラマとかのOLさん、化粧室で良く、話たりするシーンあるじゃない?」
「あれですよ、あれ!」
香織
「楓ちゃんが、言うとなにか、本格的に伝わりますね、女優さん!」
嘉位
「由良の提案でね、今回の改修喜んでくれたので、ご意見箱を設置して、それを財閥側で理事長と相談して修繕していこうかと」
「生徒会って1年生もいるの?」
楓
「はい、でましたよ、お兄様の悪いところ、学校生活に無関心なところ。」
「お兄様帰国子女の中学校から帰ってきても、学校どうでしたか?と聞いても、勉強のみ、練習してくる」
「・・・学園生活ってものに、無関心でしたからね」
「もっとも、お姉さまに心を奪われたからは、変わりましたが」
「あくまでも、それは、お姉さまに対してだけで、このように、学園生活については、無関心」
香織は顔が赤くなり
八重
「よし、それについて、任されよう!ここらあたりがあるから」
昼休みを終え、午後の授業も終わり、
下校の時間である。
桜井、あ、チョコレートだ
佐伯も、お、チョコレート
下駄箱をあけると、嘉位、由良もチョコレートが入っていた。
八重
「バレンタインデーだからね、初チョコよ、初」
香織
「わたしも、はじめてです」
楓
「私は、今日渡す事が出来なかったから、昨日変える前に渡してきたわ」
佐伯・桜井
「いいなー」
外にでてみると、茂みにチョコレートを渡している、女子がいた
楓・由良
「あ、うちのクラスの男女だ」
こっそりと、覗きながら
「お、うまく、行ったみたい」
佐伯、桜井
「そうか、いいな、ということは、あそこだ!」
「かお とキャプテンが、いちゃ・いちゃ、していたところ」
「あそこは、人目につかないから、絶対に居る!」
「行ってみよう」
由良
「ほら、人様の恋路に・・・って早いな、走る事なのか」
八重
「ま、行ってみましょう」
嘉位と香織、楓もついていった。
そう隠れて
すると、
八重・香織
「あ、うちのクラスの男女だ」
女子生徒が、チョコを手渡しながら、頭をさげていた。
ところが
男子生徒は、微動たりしない。
佐伯
「え?なにか、これは」
桜井
「だめなやつ?」
八重
「え、うそ、そんな、相当覚悟がいるはずなのに」
男子生徒は、まったく受け取る気配もなく、ぴくり、とも動かない
女子生徒は、泣きながら
その場を走って、下駄箱の方へ
由良は嘉位に
あれは、緊張だな
どのようにするかが、わからない
香織、八重
「また、目で会話している」
「何か知っているの?」
由良
「では、ちょっと、行ってくるか」
八重
「え?人の恋路には、踏み入らないのでは?」
由良と嘉位が、男子生徒の元へ
男子生徒は、野球部のスター二人に気が付いて
男子生徒
「今、下村さんからチョコレートを渡され、付き合ってくださいと」
「どうして、良いのかわからず、パニックになってしまい」
「結果的に泣かせてしまいました」
八重
「田口君だ、田口君どうしたの?」
田口
「中曽根さん、蓬田さん、今、下村さんからチョコレートと告白があったのですが」
「どうしてよいのかが、わからず、・・・。」
「そうしたら、下村さん泣いてしまって、走っていっちゃって」
佐伯
「ええええ・・・かわいそう」
桜井
「そ、それは、無いよ・・・」
嘉位
「田口君、誰かお付き合いしている人や、他に好きな人がいるのですか?」
田口
「いえ、いません」
由良
「田口君、その下村さんとは、中学校から一緒ですよね?」
田口
「はい、中学2年、3年、そして、今も同じクラスです」
香織
「その、田口君は、下村さんの事、どのように思ったりしています?」
田口
「まじめで、あまり話した事は、ないのですが」
「あ、でも、中学3年の時に、下村さんが具合が悪く学校を休んだときには」
「授業のノートを写して、プリントを、届けに行きました」
「翌日もお休みでしたので、大丈夫かなと、ノートを写して、プリントを届けに行きました」
八重
「?ん?それって、意識していないと、出来ないよね?」
「え、田口君は、下村さんの事を、気にかけていたのでは?」
田口
「あ、たしかに、はい、そうですね。下村さんの事は気になっていました」
桜井
「え?じゃーどうして、チョコレート受け取らなかったの?」
田口
「いや、付き合うって、何をどうしてよいのかが、わからず・・・頭の中が、どうすれば、良いのか?」
佐伯
「あちゃー、それは、下村さんが、御気の毒だわ」
田口
「・・・。でも、付き合うって何をするのか?」
香織
「意識しすぎてしまっているのですね。普通にしていれば良いのです」
「女の子は、ごく普通に、何気ない休み時間の会話を二人で一緒にするとか」
「お昼を一緒に食べるとか、登下校を一緒にするとか」
「とにかく、何をするにも、一緒に居てくれれば、それで、嬉しいのですよ」
八重
「ほら、男の子たちと休み時間、話しているでしょう、その相手が、下村さんというわけよ」
「深く考えすぎだって」
田口
「え?それが付き合うって事ですか?」
八重
「ようは、女の子は、好きな人と常に一緒に居たいの、私だけであれば、もうそれだけで、幸せなの」
「放課後図書室で一緒に勉強するのも、うれしいし、電話で何気ない、テレビの話でも、うれしいの!」
桜井
「そうよ、ゲームの話でも、盛り上がるわ」(ゲーム脳)
佐伯
「桜井は、ちょっと、黙っていて」
楓
「つまり、付き合い方がわからないという事で、返答が出来なかった。好意はお互い持っている、で、よいかしら?」
田口
「はい!」
由良
「ま、手くらいは、繋いであげてよ」
田口
「えええ、そんなこと、恥ずかしくて、出来ないですよ!」
由良
「男の子が恥ずかしいように、女の子は、もっと恥ずかしいの、だから、半ば強引でもリードしないと」
八重
「わたしだって、つい先月よ、はじめて、男の人と手をつないだのも、そりゃ、繋ぎたい、と思っていても、恥ずかしくて」
「由良は、それを何気なく、ごく普通に手をつないでくれて、もう、思い出すだけで、うれしくて、涙でちゃうわ」
田口
「そういう、ものなのですね」
嘉位
「田口君、するべきことは、わかったみたいですね。であれば、これから何をする?」
田口
「下村さんを追いかけます。謝ります。」
嘉位
「それで?」
田口
「僕から、告白します」
香織
「うん、そうだね、がんばって」
田口
「ところで、下村さんはどちらに?」
嘉位
「教室に居るはず、一人で、泣きながら頭を伏せているよ」
田口
「わかりました、行ってきます」
田口は、走って、教室に向かった
香織、八重、桜井、佐伯、楓、由良、嘉位も、こっそりと、ついていった。
教室では、一人
窓際の机で、顔がかくれるように、机の上で泣いている女の子が居た。下村である。
田口は、ゆっくり、静かに教室の扉を開けた
教室の扉も改修されているので、とても静かに、物音をたてることもなく
田口は、ゆっくりと、下村に近づいて
下村の前に立った
田口
「下村さん、先ほどはごめんなさい」
下村は、びっくりした、誰も居ない教室のはずが、目の前に田口君が立っていたから
下村
「もう、いいの」
と泣きながら、顔をあげた
下村
「ダメなら、ダメとはっきりと、言ってほしかった、もういいの」
と泣きながら、下村は言った
田口
「ごめん」
下村
「だから、もう、いいって」
田口
「泣き止んで」
下村、泣きながら
「もう、いいって」
田口は、声を大きくして
「下村さん」
下村もびっくりして、もう1度、顔をあげて、田口を見た
田口
「下村さん、好きです、ずっと、僕とつきあってください、宜しくお願いします」
と田口は
手を差し伸べた
下村は、え?何、どういうこと、
今、さっき、フラれた!のでは、私は?
今、付き合って? 好きですと?
田口は、もう1度、大きな事で、少し、震えながら
「好きです、付き合ってください」
下村は、思いっきり泣いた
「はい、私も、田口君が好きです、宜しくお願いします」
そして下村は、そのまま
立ち上がり
田口の唇に、
自分の唇を合わせた
そう、泣きながら
隠れていた
八重、香織、楓、桜井、佐伯、由良、嘉位
楓
「あおはる だねーーえ」
八重
「うん、良かった、なんか、泣けてきちゃう」
香織
「うん、私も」
一斉に、扉をあけて
みんなは、田口、下村に
大きな拍手を送った!!
下村と田口は、びっくりして
キスをしているところを、目撃され
動揺したものの
田口
「皆さん、ありがとう!」
田口は、あらためて、大きな声で
堂々と
「今日から下村さんの彼氏になります!」
下村は、また、泣き出してしまった
「す、すごく、嬉しいです。ありがとう」
涙は止まらなかった。
< つづく >